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 2020年の東京五輪・パラリンピックを機に、自分たちの暮らす街の名物を世界に発信し、地域活性化につなげようという動きが全国に広がっている。特産品や郷土の味、観光名所など、「お宝」は様々だ。

 金属洋食器、鍋などのハウスウェアで国内生産量の9割を占める新潟県燕市。五輪・パラリンピックの選手村の食堂で地元の食器や厨房(ちゅうぼう)器具を使ってもらおうと2年前、市やメーカー、商工会議所などがプロジェクトチームを立ち上げた。

 メンバーの一人、山崎修司さん(41)はノーベル賞晩餐(ばんさん)会で使われているスプーンやフォークをつくる山崎金属工業の工場長。「日本の職人の技が詰まっている燕の洋食器を世界にアピールしたい」。食器洗いをする市民ボランティアの派遣など、アイデアを膨らませている。

 三重県菰野(こもの)町は伝統の「菰野ばんこ」と呼ばれる茶わんや蚊やり豚などの陶器を売り出そうと考えている。各地の自治体と共同で選手村近くの会場を借り上げ、「免税での特産品アンテナショップの運営」をイメージする。漆の産地・岩手県二戸市は「浄法寺(じょうぼうじ)漆」を使ったメダルを、静岡市は伝統工芸の駿河漆器と駿河蒔絵(まきえ)の技術を使い、世界遺産に登録された富士山を描いたメダルケースを、それぞれ提案する。

 今年6月には、五輪・パラリンピックを通じて特産品を活用したり、名所や食文化をPRして観光客を呼び込んだりしたいと考える自治体が「首長連合」を発足。11月時点で47都道府県の計350市町村が加わる。連合の設立を呼びかけた新潟県三条市の国定勇人市長(43)は「オリンピックを東京だけのものにするわけにはいかない。地元の宝を発見し、磨きをかけていきたい」。具体的な提案はこれからだという。(宮嶋加菜子)