「中国行軍」父をたどる 井上靖次女が取材、「日記」単行本に
(2015/11/28 14:44)-
井上は1937年8月25日に召集され、大陸へ渡った。部隊の一員として行軍に参加したが、体調を崩して38年1月19日に帰国した。過酷な日々の記録は月刊誌「新潮」2009年12月号で初公開された。
単行本はこの記事を再録し、11月の取材で撮影した写真、井上の湯ケ島小の同級生で同じ部隊だった西川喜三郎さん(故人)が持ち帰った現地の写真、作品論考も加える。同館長だった故松本亮三さん(9月29日死去、享年74)が企画し、徳山学芸員らが遺志を継いだ。
西川氏の長男濃さん(75)=伊豆市=は「知られざる井上さんの姿が分かる。おやじもさぞ、喜ぶだろう」と刊行を心待ちにする。徳山学芸員は、井上が後に書いた行軍ルート周辺の町名を織り込んだ詩を例示し、「戦争体験がどう作品に昇華したかを示したい」と意欲を見せた。
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