an・anでいうところのダイエットかまたは恋愛か。
丁寧なくらし系メディアでも、そのくらい頻繁に取り上げられる話題があります。
それは「鉄フライパン」。
今まで使っていたフライパンが、ついに先日使い物にならなくなったので、
ついに「鉄フライパン」デビューを決心したのでした。
先代フライパンの引退を決意した理由
いつの間にか取っ手がガクガクになっており、重みで勝手に30度傾く仕様に。
永遠にオムライスがひっくり返せないんじゃないか、そう錯覚してしまうようなフライパンに成り下がっていました。
では、どこの鉄フライパンにするか。
満を持しての鉄フライパン、デメリットはすでにリサーチ済み。
- 重いんでしょ?
- 使いはじめに必ず「焼き慣らし」とかいう儀式がいるんでしょ?
- 毎日のメンテが大変なんでしょ?
- 手順をサボるとこびりつく?サビがでる?
ここで少しでもひるんで、楽なモノ・便利なモノを選んでしまうと、
結局何かしらのコーディングがしてあったり、異素材が使ってあって、
せっかくの耐火性・耐久性が落ちてしまいます。
(私は死ぬまでにあといくつのフライパンを捨てるんだろう)と
数年ごとの買替えのたびにおセンチになるか、
あるいは、捨てるに捨てられないフライパンはまぁ茹で鍋として使って余生を送ってもらうか......いや、もういらん。すでにあの席には、テフロンはげティファールさんがa.k.a.茹で鍋として常にベンチ温めてくれてる。
わーー!どちらももう嫌だ!と覚悟を決めた私は、
ネットで「とにかく激重(げきおも)」「重すぎて女性はひるむ」と評判の、
しかしフォルムとスペックも断トツで鬼のようにカッコいい、
ドイツのturk(ターク)に決めました。
ちなみにturkは100年もつと言われていて、それはつまり新品の時点で100年後の付喪神 (つくもがみ)が約束されているというエリート妖怪のような良道具だということです。
こちら、Amazonで注文すると翌日に届きました。
正規品だと赤い袋が付くらしいんですが、並行輸入品のマイナス1万円以上の差額に惹かれてポチリ。
Amazonお得意のデカダンボールに包まれて到着。もちろん赤い袋などには付いておらず、シールとパンフレットが大胆にも鍋肌に直に貼ってありました。
届いてさっそく「焼き慣らし」作業。やり方はこちらを参考にしました。
ターク フライパンの焼きならしとお手入れ方法 - YouTube
これだけ下調べしたのに、焼き慣らしの最中に引っ越しの見積りが来て中断したり、「焼き慣らしの完了はフライパンの底が黒くなり始めるまで」とのことだったんだけど、ちょうど台所の電球が切れていて、鍋底が黒くなったかどうかあんまよく見えないまま、なんとなく焼き慣らしのような所作を完了させたのでした。
焼き慣らしの香ばしい匂いにつられて夫がやってきたので、Amazonの並行輸入品なんだけどねー。と何気なく報告すると、
「おまえ勇気あるな。Amazonの並行輸入品(しかも代行出品)にお金ぶっ込むとか、逆にその勇気を褒めたたえるわ。」とか言い出したので、
だんだん不安になってきて、夜な夜な代行会社の名前と場所を調べた結果、すべてがうさん臭く見えてきて無駄にモヤモヤしました(笑) ※すべて個人の感想です。
さて、turk初日の晩ご飯はシンプルに塩胡椒&ハーブのポークソテー。
(鉄フライパンが性に合わなかった時のために、しばらくは置いておくか...)と
先代の30度傾きフライパンも戸棚にスタンバイさせつつ。
初回はさすがに少しはこびりつくかなーと予想してたんですが、まったく引っ付きませんでした!
ドイツの鉄フライパン、turk着火式の今夜は、シンプルに塩胡椒&ハーブのポークソテー。これは我が家お気に入りのステーキチェーン店"カウボーイ家族"いらずの幕開けである。
turkだと、ただの“焼く”が明らかにワンランクアップします。
BBQのお肉やウィンナーってなんかめっちゃうまいじゃないですか、あんな感じです。
turkは重いし面倒!でもわたしはあなたを受け入れる。
ネットのみんなが言ってた事は本当でした。
はっきり言って重いし、メンテも面倒。
ですがそのデメリットを上回る、ごちそう力のランクアップと見栄えの良さについて、
ここではしつこいくらいに特筆しておきたいと思います。
とにかくturkは何を焼いても美味そうに見えるビジュアルなので、
iPhoneのアルバムが今、turk写真日記みたいになってます。
安い大容量のウィンナーと単なる目玉焼き。パリッとエッジが立って、ごちそう力が1あがった。
最近お気に入りのクランペット。ホットケーキよりもちもちしてて好きです。
鉄の火力だからか表面はカリッ、中はモチッ!
親子丼の具。関西風すき焼きみたいな段取りで、まず鶏と玉ねぎにいい色が付くまで焼いて、砂糖・酒・みりん・醤油を煮からめました。
というわけで、turkライフを思いっきり楽しんでいます。
鉄に十分な厚みがあるので蓄熱性がいいのが特長なんですが、
一旦ケムリが出るまで熱しておけば調理そのものは、基本ずっと中〜弱火で大丈夫。
今までのテフロン加工のアルミ製フライパンだと、なかなか焼き色付かないなor火力強すぎるな、とこまめに火力調整する必要があったんですが、
turkだと火の周りに関してはめちゃめちゃ使い勝手がいいです。
焼き具合の進行を予測しやすい、とでも言うのでしょうか。
なので、お肉焼きながらお皿洗ったり、調味料出したり、がやりやすい。
今週のお題「今年買って良かったモノ」*1というより、こりゃ生涯で買ってよかったモノにエントリーだな、と購入10日目のわたしは満足げに思うのでした。
気になるいろいろQ&A
おそらくturk購入を検討してる方が気になること、Q&Aで書き出してみました。
Q:取っ手って熱いの?いちいちミトンやふきん越しで取っ手を触らないとだめ?
A:公式には「取っ手も鉄製のため熱くなります。必ずミトンを着用してください。」とあります。
で、ここからは個人の感想。turkの取っ手は長めなので、そんなに熱くなりません。
さすがに本体に近い下半分の部分は熱いですが、上半分はほんのりとお風呂の温度くらいの熱さなので、素手でわしづかみしています。
個人の責任で、チョン・チョンって触ってみて確かめてみてください。
Q:日々のお手入れはどのようにするのか?
A:鉄フライパンによってお手入れ方法も少しずつ違って混乱するんですが、
turkの場合は思ってたより、わりと簡単。
- 使い終わったら(できれば熱いうちに)タワシで水洗い
- 火にかけて水気を飛ばします
- 終了。使用後に油を塗る必要はありません←これがないだけでかなり助かる!
Q:重さは耐えられるものなのか?
A:わたしが購入したのは6号 28cm、重さは1.88kg。中華鍋より重いです。
でも、抱っこをせがんでくるむすめより圧倒的に軽いわけですし、フライパンとは本来こういうもんなんだと割り切っています。
とはいえ、コンロからシンクへの移動や、汁気のある料理をお皿に運ぶときには、
無意識に...ッフンヌ!!と猛々しい鼻息が漏れます。
余談ですが、いま家でカンフーが流行っていまして、相手(turk)の重さと反動を利用すれば、うまいこと軽々と取り回して演舞できるんじゃないかと模索中です。
デメリットはほんとにデメリットだったのか。
購入前に迷っていた、鉄フライパンのデメリット。
ふりかえってまとめてみると、どれもストレスが発生しないものばかりだったので、
私にとってはデメリットじゃなかったなと。
重いんでしょ?
フライパンは重いもの、と思ってしまえばいい。私の場合、メリット(ごちそう力が1あがる、見てて美しい道具、一生使える)に比べたらラクラク飲み込める条件だと思いました。
使いはじめに必ず「焼き慣らし」とかいう儀式がいるんでしょ?
習字でいうところの硯で墨をする感覚で、楽しい。
一生付き合っていくからよろしくね、という気持ちで、
道具と自分の相性をすり合わせていくかのように丁寧に野菜くずを炒めました。
まずはturkの癖に向かい合い時間をかけて享受し、はじめてturkの使い手となれるのだ、とファンタジー界の大事な儀式っぽく捉えると、ワクワク感がさらに募ります。
毎日のメンテが大変なんでしょ?
まぁまぁいいお値段したのもあって、使った後はたしかに即お手入れしてます。
ですが、熱い状態でこするとスルリと汚れも落ちますし、前述したとおり思ったほど大変ではないです。
メンテの副産物としてなかなかいいなぁと思っている事があとひとつあって。
今までは、料理ができたら温かいうちに食べよう!と、
よごれたフライパンをコンロに置きっぱなしにしてたんですが、
turk生活になってからは、いつでもキレイな状態でフライパンがスタンバイしてる台所風景が自然と出来上がるところ。ここがいいなぁと思ってます。
手順をサボるとこびりつく?サビがでる?
買って10日目なのでまだこびりついたりサビがでることはないんですが、
洗う前にフライパンが冷めてしまった時は、100〜200ccほどの水を入れて沸騰させてからタワシでこすれば、こびりついた汚れもするっと落ちます(ヤケド注意)。
わが家には10年選手の鉄の中華鍋があるんですが、若い時に買ったのもあってこちらはメンテも超適当。引っ張り出すとたまに赤サビが出てたりしますが、タワシでこすれば落ちるし、焼いてる途中でもしこびりついてもガシガシ金属製のおたまでこすったらいいし。
鉄だもん、まぁまぁ適当で大丈夫。鉄のポテンシャルを信じろ。恐れるな。
◆
軽いから便利。こびりつかないから便利。
今まで色々な便利を賢く選択してるつもりだったけど、じつは別の不便が生まれていたわけで。こびりつかないけど消耗品、軽いけど消耗品。このコーティングはげてきたけど、有毒だったりしないかな?とかとか。
ちまたの旋風は、次はマーブルコートかセラフィットか。
この永久に続くフライパンラビリンスから、
君も一緒に抜け出さないか?