第二次大戦の激戦地、北マリアナ諸島・米自治領サイパン島で、日本政府が建立した慰霊碑近くに掲揚された国旗が盗まれるなど、日本の慰霊関連施設への嫌がらせ行為が相次いでいることが28日、分かった。平成24年9月の尖閣諸島(沖縄県石垣市)国有化後、被害が目立ち始めているという。中国語で日本を中傷する落書きも確認され、地元当局は警戒を強めている。
関係者によると、盗まれた日本国旗は島北部の「中部太平洋戦没者の碑」に掲揚されていたもの。11月16日午前に巡回していたマリアナ政府観光局の職員が発見したという。
碑の近くにある3本のポールにそれぞれ、日本国旗のほか、米国と北マリアナ諸島連邦の旗が掲げられていたが、いずれも刃物で切られ奪われていた。15日夕時点で異常はなかったことが確認されている。
碑は昭和49年に日本政府が建立し、敷地は厚生労働省が管理。平成17年には天皇、皇后両陛下も訪問、供花された。
ポールは長年敷地内に設置されていたが、傾くなど老朽化し、現地で暮らす松本宇位里(ういり)さん(60)がマリアナ政府観光局の補助金と自費を投じて修復。10月20日から日本国旗などを掲揚したばかりだった。松本さんは「島で暮らす日本人にとっても慰霊碑は大事な存在で、とても残念だ」と語る。
近くにある韓国人の慰霊碑にも同様に、韓国、米国の国旗が掲揚されているが、そこには手は付けられておらず、日本国旗だけが意図的に狙われたとみられる。
碑をめぐっては、25年3月に碑文の「日本政府」と刻まれた部分に「×」印が付けられる嫌がらせもあった。また、近くの旧日本軍施設の壁には、日本人を豚に例える中国語の蔑称「日本猪」や中国語で「尖閣諸島は中国の領土だ」との落書きが行われたり、碑が壊されたりする被害が相次いでいる。
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