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サイパンの慰霊関連施設 中国人客急増 「手がつけられず」

産経新聞 11月29日(日)7時55分配信

 日本の慰霊碑や旧日本軍施設への悪質な嫌がらせ行為が相次ぐ背景には、日本人観光客の足が遠のくなど、監視の目が行き届かなくなっている実情もあるとみられる。地元政府観光局は警戒を強め、在住の日本人らも修復を続けているが、すぐに新たな被害が確認されるなど、いたちごっこの状態が続いている。

 サイパン島は第二次大戦を挟み、100年来にわたって日本と深い関係にある。平成9年ごろまでは多くの日本人観光客が訪れていたが、17年以降、日本航空(JAL)の定期便撤退や日系ホテルの閉鎖などもあり激減した。

 一方、21年からサイパンは米領で唯一、中国人がビザなしで渡航できるようになったことから、中国人観光客が急増している。

 そうした中、24年9月に尖閣諸島が国有化されるなどして、中国国民の反日感情が高まったことも影響し、島内にある日本の慰霊関係施設への嫌がらせが激化しているとみられる。

 かつて日本人が断崖から「万歳」と叫びながら身を投じたことで知られる、島北部の「バンザイクリフ」でも被害は確認されている。遺族や戦友会などが建立した二十数基の慰霊碑が並ぶが、近年、これらの碑文の溝にかみ終えたガムを貼り付ける行為が多発している。

 地元の政府観光局はこれらの施設に警備員を常駐させて監視を強化しているが、大勢の中国人観光客らが連日訪れ、同様の嫌がらせを行うなど手がつけられない状態だという。

 島では第二次大戦中、日本兵や民間人ら約5万5千人が死亡し、計1千超の慰霊碑がある。

 在島歴35年の安井悦子さんは「慰霊碑は現地の人にも受け入れられており、こうした行為には思想的な悪意を感じる。これまで可能な範囲で修復をしてきたが、どんな理由であれ、死者を汚す行為はやめてほしい」と話している。 (池田祥子)

最終更新:11月29日(日)7時55分

産経新聞

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