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「東京裁判」公判記録、1人で編纂に挑む 自虐史観、日本バッシング…英文4万ページ速記録、史料 山口の松元氏「羅列でなく体系立って」」
パール判事の判決文
やがて、戦勝国が敗戦国を事後法で裁いた東京裁判で、被告席に立った「戦犯」全員の無罪を主張したインド代表、パール判事の下した判決文(意見書)に出会う。
「時が熱狂と偏見とをやわらげた暁には、また理性が虚偽からその仮面を剥ぎとった暁には、その時こそ正義の女神は、その秤(はかり)を平衡に保ちながら、過去の賞罰の多くに、そのところを変えることを要求するであろう」
こんな法廷の多数派とは真逆の結論を導いたパール判事に関心を抱いた。
早速、英語版の意見書をひもといた。だが、それだけでは満足できなかった。
「ただ読むだけではパール氏の考えを唯々諾々と受けいれるだけになる。公判記録まで読み込み、どんな証拠に基づき、判断を下したのかを知りたい。それこそが先の大戦についての理解につながるはずだ」
松元氏はそう信じ、独り、作業に没頭した。
国立公文書館(東京)から英文・和文の裁判速記録を取り寄せた。英文の速記録は4万ページを超えた。逐一、翻訳し、和文速記録と照合しながら要約する。さらに、時系列順に整理し直した。
地道で気の遠くなるような作業で、決して楽ではない。それを「極東国際軍事裁判審理要録」(原書房)としてまとめた。これまで第3巻まで刊行した。
それに先立ち、20年には東京裁判速記録の索引集「東京裁判審理要目」(雄松堂書店)の出版にもこぎつけた。
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