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「東京裁判」公判記録、1人で編纂に挑む 自虐史観、日本バッシング…英文4万ページ速記録、史料 山口の松元氏「羅列でなく体系立って」」
昭和21~23年に開かれた極東国際軍事裁判(東京裁判)について、山口県下関市の松元直歳氏(69)が、英文で残された公判速記録の翻訳と要約にたった1人で挑戦している。4万ページを超える速記録など、膨大な史料と格闘し、地道に作業を進めている。
(九州総局 中村雅和)
「速記録や傍聴記者の記録など東京裁判の史料は多いものの、どれも内容が羅列されているだけ。裁判の研究には、体系立った整理が必要だと感じたんです」
松元氏は15年近く前に編纂(へんさん)に取りかかったきっかけをこう語る。
戦後間もないころ、福岡県八女市に生まれた。東大法学部を卒業後、日本航空に入社した。その後、平成9年から作陽短期大(岡山県)の教員に転じ、現在は国士舘大法学部比較法制研究所(東京)で特別研究員を務めている。
日航時代には営業担当として世界中を飛び回っていた。だが、海外に出張するたび、繰り返し「日本バッシング」に遭遇した。
当時はまだ、訪問先には戦場を経験した元兵士も数多くいた。かつての「敵国」ならまだ、日本が批判されるのは「仕方がないかもしれない」と思った。だが、日本人の一部までも祖国をあしざまにいうのには腹が立ったという。
「日本人でありながら、自分たちや家族、先輩や後輩の失敗を人ごとのように、一方的にあげつらう態度は間違っている。あまりに一方的ではないか」
いわゆる「自虐史観」に染まった主張に違和感を覚え、自然と戦前・戦中の研究にのめり込んだという。
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