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スターチャンネルオリジナル オードリー・ヘプバーンカレンダー2016年版
- 当選数
- 100名様
- 期間
- 2015.11.16~2015.12.06
画像出典元:flickr Photo by Tanel Teemusk Mother
2015.10.14 | ライフスタイル | 閲覧数:1272
人類における最大のドラマ“出産”を真正面から描ききった映画と
“出産”を支援し続けるある女性の話
出産を経験した人にも、していない人にも… いえ、女性だけではなく、この世に“出産された”経験を持つ全ての人たちに観てほしい映画があります。
その映画の主人公は、出産に臨む世界各地の女性たち。そんな彼女たちの心にとめどもなく湧き上がる、期待、不安、怖れ、そして祈り…。それらが全編にわたって複雑に絡み合い、さまざまな響きを持つ言語が心地よいオーケストラのように混じり合い、文化的背景も出産方法も全く異なる女性たちのストーリーが、まるで一つの抒情詩のように浮かび上がってきます。
『プルミエール ~私たちの出産~』DVD発売中
発売元:コムストック・グループ
販売元:ポニーキャニオン
価 格:¥3,800(本体)+税
(C)Mai Juin Productions-M6 Films 2007
『LE PREMIER CRI』(邦題:プルミエール)は、仏語で「最初の泣き声」という意味をもつ映画。監督のジル・ド・メストルは、テレビの仕事で出産にまつわるドキュメンタリー番組を担当したことにより、他の多くの男性同様それまで深く考えもしなかった出産という出来事に強い関心を抱き、映画を撮ることを決意したといいます。
世界各地で行われているさまざまな出産とそれにまつわる多様な風習を調査したメストルは、その中から印象深かった10の地域を舞台として選び出しました。
・医療機関に一切頼らず、友人たちの手による自宅出産を選択したケベック出身でアメリカ在住の女性
・イルカと共に水中分娩に挑むメキシコの女性たち
・アマゾンのジャングルに住み、全身をタトゥーやペイントで覆うカポヤ族の女性
・サハラ砂漠の砂の上で出産する、青衣の民トゥアレグ族の女性
・キリマンジャロの麓で遊牧生活をおくる、マサイ族の女性
・臨月まで客前で踊り続ける、フランスのキャバレーダンサーの女性
・極貧生活の中で再び女児を生んでしまい、絶望に陥るインドの女性
・極寒のシベリアで出産に挑む、モンゴル系遊牧民の女性
・1日に120もの出産が行われる世界一忙しい病院で出産するベトナムの女性たち
・古民家で共同生活をおくりながら出産準備をする日本の女性たち
出産の過程を生々しくとらえた映像は、まるで観ている者をその瞬間に立ち会ったかのような思いにさせます。この世に現れ“最初の泣き声”をあげる新しい命、そしてその声をあげることが叶わなかった我が子の肉塊を呆然と見つめ、涙を流す女性…。
妊娠・出産というテーマは、とかく日本においてはセンシティブになりやすく、実際“腫れ物”のように扱われている面も多く見受けられます。でもこの映画は、そのような価値観や先入観をいったん置いて観るべき映画かもしれません。
そして、もしもこの映画を観る機会がおとずれたなら、字幕や吹き替え音声無しで観ることを強くお勧めします。余計な情報に引きずられることなく、目の前に映し出されるストーリーに集中し、彼女たちとそれを取り巻く人々の声に耳を傾けてください。
言葉の意味などわからないほうが、より深くこの映画を感じることができると思います。
高度で芸術的な編集技術と、会話、つぶやき、祈りなどの生の声と洗練された音楽が重層的に編み込まれ、アート作品としても高い完成度を誇る作品と言えるでしょう。ぜひご覧あれ。
さて、話は変わりますが、私が一年間過ごしたインドネシアのバリ島に、BUMI SEHAT(ブミ・セハット)という助産院がありました。
©BUMI SEHAT
貧困層の女性たちの出産を支援するために作られたこの助産院は、彼女たちへ24時間無償サービスを提供しています。経済発展めざましいインドネシアですが医療保険制度は未だ広く浸透しておらず、もしあったとしても経済格差の激しいインドネシアでは、多くの人が利用できない状態にあります。
また、もし出産施設を利用したとしても、その場ですぐに出産費用が払えない場合、赤ん坊を渡してもらえないことも…。不衛生な環境、不適切な医療技術、そして妊娠中および出産後の栄養不足で女性たちが命を落としているというバリの現実は、多くの人がイメージするバリの風景からは想像できないかもしれません。
そのような女性たちの駆け込み寺としてブミ・セハットは誕生しました。
©BUMI SEHAT
またブミ・セハットはバリ島だけでなく、世界各地の出産も支援します。大地震や巨大台風などの被災地へ救援チームを派遣。仮設クリニックを設置して現地の女性たちをサポートし、多くの赤ちゃんを取り上げてきました。
©BUMI SEHAT
創設者ロビン・リムは、他の何にも代え難い崇高な行為の中で命を落としてしまう女性たちの存在を知ってもらおうと、世界に訴えかけました。
ジェット機は約400人の乗客を乗せて空を飛びますが
もし2機のジェット機が毎日墜落したとしたら
あなたは飛行機に乗りますか?
私だったら乗りません
この地球で、今日
803人のお母さんが亡くなります
人生で一番幸せであるはずのその時にです
昨日もそうでした、そして明日も
それでも世の女性は、赤ちゃんを産む勇気を
持ち続けるのです
この現状を変えるために
どうか私に力を貸してください
決してゼロにはできない数字かもしれません。でも最低限の環境があり、適切な処置が施され、母子に対する社会の正しい理解が進めば、減らすことは決して不可能ではありません。
より多くの産声が世界中に響き渡りますように。
そして悲しみの涙や、時にその命までもを落とす女性たちが、少しでも減っていきますように。
ブミ・セハットの詳しい情報はこちらの支援団体EARTH COMPANYにて
トップ画像:flickr Photo by Tanel Teemusk Mother
投稿者
岡 昌之
父子旅行家、作家。
新潟県長岡市出身。早大中退後、新宿・渋谷でバーを経営。第一子出生に伴いライフスタイルを変更。
家事・育児中心の兼業主夫になり、執筆・創作活動を始める。
さまざまな媒体にて執筆中。趣味は息子との世界の美術館・博物館・科学館巡りと観劇。
父子旅行・父子留学を重ね、2014年8月からはインドネシア・バリ島のグリーンスクールへ父子留学中。
http://blog.oricon.co.jp/tokui-ten/
https://www.compathy.net/u
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