(この小説は、アイドルになって、松本潤の恋人になりたい!(1)からのつづきです!)
あ! ひょっとして魔法使いのおばあさんが言っていた「招待状」って、このことかしら?
○○は勇気を出してオーディションを受けに行くことにした。
結果は、見事、合格!
あっという間に芸能界デビューが決まった。それも日本で一番人気のあるアイドルグル―プmilkyのメンバーとして。
でも実は、デビューが決まってから後が大変だった。
毎日、専属の先生が付いてヴォーカルやダンスのレッスン。それからアイドルらしいトークの練習までさせられる。このとき○○は、アイドルが本音とはかけ離れた、オタクと呼ばれる一部の男性達から好まれる会話しか出来ないことを、改めて思い知らされたのである。
それからテレビ局や雑誌社への挨拶回り。デビューまでは、まだ1か月以上もあるというのにっ。どれだけ気持ちが落ち込んでいる時だって、生理痛に苦しんでいる時だって、満面の笑みで「よろしくお願いします」って挨拶しなければならない。
○○はその日もテレビ局の楽屋で、挨拶回りをやらされていた。マネジャーの指示が飛ぶ。
「次、松本潤さん、今日は1人で録画撮りのために来てるから」
「え! 松本潤さんっっ…」
○○は一瞬歩くのを止めて、その場に立ちすくんでしまった。
「何、モタモタしてるの。急いで!」
夜、○○は1人で松本潤の住んでいるマンションへ向かう。
マンションの入り口では特に慎重になった。何度も後ろを振り返って、周りに誰もいないことを確認した。
それから、もう一度つばの広い帽子を深くかぶり直す。それから天井にある防犯カメラの位置を確認した。バックで手元を隠して、どの部屋番号を押したのかカメラに映らないようにしてから、インターホンの部屋番号を押す。
名前を告げると「やぁ、お入り」という明るい潤の声と共にオートロックが開いた。エレベーターに乗り、25階の6号室へ向かう。もう心臓が破裂しそうなぐらい緊張した。
(つづく)