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2015-11-28 これはオススメ!意外と良かった日本語吹替え版映画ベスト10
どうも、タイプあ〜るです。9月頃に書いたブログ記事に、なぜか突然アクセスが殺到し始め、この数日間でメチャクチャ閲覧されました。主にツイッター経由で拡散されたようですが、同時にはてなブックマークの数もかなり増えているので、相乗効果的にPVが増加したと思われ、嬉しい限りです(^.^)
・これはひどい!苦情が殺到した日本語吹替え版映画ワースト10
↑ この記事では「プロの声優を使わず、タレントや有名芸能人を起用した日本語吹き替え版映画」について言及し、その中でも特に評判が悪かった10作品を選出してみました。はてブのコメントを読むと「確かにこの吹き替えはひどかった!」という意見も多く、やはり皆さん「ダメな日本語吹替え版」には辟易していたようですねえ(^_^;)
ただ、そんな中でも「ひどい吹き替えばかりじゃなくて、良い吹き替えもあるんじゃないの?」というコメントもチラホラ。いや、もちろんそうでしょう。この記事では「ダメな吹き替え」しか取り上げていませんが、当然「出来のいい吹き替え」も存在するはずですから。
例えば、ピクサー・アニメーション・スタジオが作ったCGアニメ『トイ・ストーリー』では、主人公のウッディを俳優の唐沢寿明さん、バズをお笑いタレントの所ジョージさんがそれぞれ演じていますが、プロの声優でないにもかかわらず、実に見事な演じっぷりで映画ファンの評価も上々だとか。
また、『モンスターズ・インク』では、お笑いコンビ「ホンジャマカ」の石塚英彦さんと「爆笑問題」の田中裕二さんが、それぞれ主人公のサリーとマイクを演じていて、こちらも非常に好評だそうです。その他、『Mr.インクレディブル』では三浦友和さん、黒木瞳さん、綾瀬はるかさん、「雨上がり決死隊」の宮迫博之さん、『ファインディング・ニモ』では「とんねるず」の木梨憲武さん。
そしてウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの『塔の上のラプンツェル』ではタレントの中川翔子さんが、さらに『アナと雪の女王』では女優の神田沙也加さんと松たか子さんが主人公の声を吹き替えて大評判になりました(ピエール瀧さんが演じたオラフも良かったです)。
あとはドリームワークス・アニメーションの作品で、『シュレック』が「ダウンタウン」の浜田雅功さん、『マダガスカル』が玉木宏さん、柳沢慎吾さん、高島礼子さん、「おぎやはぎ」の小木博明さんと矢作兼さんをキャスティングして、いずれも大成功。こうして見ると、ディズニーやピクサーなどのCGアニメ作品は”プロの声優以外の人”を起用する際にも、人選に気を遣っていることが分かりますね。
というわけで、「有名芸能人を起用した日本語吹き替え映画を観る場合は、CGアニメを選んでおけばほぼ間違いなし」という結論になってしまうわけですが、それだけでリストが埋め尽くされるのも何だかなあ…と。そこで本日は、「CGアニメ以外の実写映画で評価できる日本語吹き替え映画はどの作品か?」をテーマに10本をチョイスしてみました。
もちろん、基本的には「プロの声優が一番!」なのは大前提であり、あくまでも「素人だと思って期待せずに観たら意外と良かった日本語吹き替え」であることを念頭に置いた上で、出来るだけハードル低めでご覧ください。また、僕が個人的に良かったと感じたものの中から選んでいるため、「あの映画が入ってない」という意見もあるかもしれません。なので”良作”を知っている方は教えてもらえるとありがたいです(^.^)
●『テッド』
最初、芸人の有吉弘行さんがクマのぬいぐるみの声を吹き替えると聞いた時、「いくらなんでもそれは無いんじゃ…」と全く期待していなかったんですが、観た人の反応は「予想外に良かった」「イメージにぴったり!」と大変好評のようです。
まあ、「もの凄く演技が上手いか?」と言われれば決してそんなことはないと思うんですけど、子供時代の可愛い姿からは想像もできないほどやさぐれてしまった中年テディベアの「どうしようもない感じ」を見事に再現しているところがグッドでした。
『007』シリーズなどのスパイアクション映画をパロディにしたコメディ映画で、主役のローワン・アトキンソンの声を吹き替えたのが、お笑いタレントの山口智充さんです。山口さんといえばお笑いだけでなく、俳優として『のぼうの城』などの映画に出演したり、特技のモノマネを番組で披露したりと多才なんですが、声の仕事もメチャクチャ上手いんですよ。
過去にピクサー・アニメの『シャーク・テイル』でレニー役を、さらに『カーズ』では準主役のメーター役を演じて大絶賛されました。正直、「お笑い芸人の日本語吹き替えはあまり演技が上手くない」と思っていたので、「本物の声優か?」と勘違いするぐらい上手い演技にビックリしましたよ。さすが芸達者な人は違いますねえ。
リュック・ベッソン監督・原作・脚本によるファンタジー映画。主人公のアーサーの声を神木隆之介さんが演じ、ヒロインを戸田恵梨香さん、敵のボスを歌手のGACKTさんがそれぞれ演じています。その他、「タカアンドトシ」のタカさんとトシさんや俳優のえなりかずきさんなど、多数の芸能人が参加した豪華な日本語吹き替え版ですよ。
中でも神木隆之介さんは『ハウルの動く城』のマルクルや、『サマーウォーズ』の主人公:小磯健二など、様々なアニメで声優の仕事をこなしているだけあって、洋画の吹き替えでも不自然さがありません。あと、意外なことにGACKTさんがハマってました。と言っても役のバリエーション的には少なそうですけどね(笑)。実写の演技に比べて喋り方がアニメっぽいので、「クールな二枚目キャラ」をやらせたら最強だと思います(^.^)
●『ファンタスティック・フォー』
ヒロインのスーザン・ストームの声を演じたのは女優の堀北真希さんで、本作が公開された当時、「あの堀北真希が声優初挑戦!」と宣伝されましたが、実はニンテンドーDS用ゲーム『レイトン教授と不思議な町』でルーク少年の声を演じていました。これが抜群に上手い!
ちゃんと子供の声に聞こえるよう、喋り方を変えて演じていて、普通に聞いたら堀北真希とは気付かないほどです。レイトン教授を演じていた大泉洋さんは丸わかりでしたが(笑)。スーザン・ストーム役も抜群の安定感を誇っていましたよ。
●『アメイジング・スパイダーマン2』
エレクトロ役のジェイミー・フォックスの声を吹き替えた中村獅童さんは熱烈なアメコミファンとして知られ、特に『スパイダーマン』の大ファンらしい。なので本作のオファーが来た時は即答だったとか。中村さんといえば歌舞伎役者ですが、俳優としての仕事も多く、さらにアニメの声優までこなすマルチな才能を発揮しています。
中でも実写映画版『デスノート』で演じたリュークの声が絶品で、アニメ版でも引き続きリューク役を任されるほどでした。『アメイジング・スパイダーマン2』でもその声の技術がいかんなく発揮され、なかなかの高評価でしたよ。
●『アントマン』
ヒロインのホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)の声を女優の内田有紀さんが、そして主人公の友人ルイス(マイケル・ペーニャ)を「ブラックマヨネーズ」の小杉竜一さんがそれぞれ演じています。小杉さんの場合、ルイスのキャラがおしゃべりなだけあって、かなり役にハマッていました。
一方の内田有紀さんは、今回が声優初挑戦ということで少々固いかな…という印象。元々の声質が低いことも影響しているのかもしれませんが、ちょっとぎこちない感じがしましたねえ。でも、米倉涼子さんのブラック・ウィドウよりは断然よかったです(^.^)
●『バットマン』
ティム・バートンが監督した1989年版の『バットマン』で、悪役のジョーカー(ジャック・ニコルソン)の声を吹き替えたのがデーモン小暮さん(現デーモン閣下)。ちなみに「水曜ロードショー」で放送された際は大平透さん、「日曜洋画劇場」では内海賢二さんや玄田哲章さんなどのプロ声優がジョーカーを演じていました。
デーモン小暮さんといえばミュージシャン、コメンテーター、相撲評論家など様々な分野で活躍しているマルチタレントですが、舞台やミュージカルにも出演していて演技の経験も豊富らしい。過去にはオリジナルアニメ『超神伝説うろつき童子』のシリーズでミュンヒハウゼン2世という役を演じていて、これが非常に上手かったと記憶しています。”悪魔”だからジョーカーみたいな役も得意なんでしょうね(^.^)
●『ザ・カンニング IQ=0』
1980年代に「ゴールデン洋画劇場」で放送された際、当時人気者だった「初代いいとも青年隊」の久保田篤さん、野々村真さん、羽賀研二さんが吹替えを担当して話題になりました。中でも羽賀研二さんが上手かったですねえ(他の2人はそこそこでしたがw)。
羽賀研二さんといえば、昔ディズニーアニメ『アラジン』で主人公の声を担当してたんですけど、アラジンも上手かったんですよ。その他、格闘ゲームをアニメ化した『ストリートファイターII MOVIE』ではケンを演じていて、これまた見事な出来栄えでした(元々アフレコが得意な人なのかもしれません)。ただ、例の事件の後、『アラジン』の声優が三木眞一郎さんに変更されたのは残念でしたねえ(-_-;)
ヒロインのウフーラ(ゾーイ・サルダナ)の声を演じた栗山千明さんは、『バトル・ロワイアル』や『キル・ビル』などで強烈なインパクトを残した人気女優です。でも吹き替えの実力はどうなんだろう?と思ったらこちらも上手い!彼女以外は全員プロの声優なのに、ほとんど違和感がありません。
よく日本語吹き替え版を観ている時に、「なんかこの声って違和感があるなあ」と思って調べてみたら素人だった、というパターンが多いんですけど、逆に上手い人の場合は自然に受け入れてしまうので、「芸能人が演じていても気が付かない」というパターンも多いんじゃないでしょうか?栗山さんもそんな感じでした。
ちなみに、栗山さんは押井守監督の劇場アニメ『スカイ・クロラ』でもヒロインを演じていて、あまりの上手さに気付かなかったです。逆に、主人公を演じた菊地凛子さんはあまりにもヘタすぎて、会話が全く頭に入って来ませんでした(^_^;)
●『パシフィック・リム』
この映画では、ロン・パールマン演じるハンニバル役をお笑い芸人のケンドーコバヤシさんが声を当てていて、とても良かったです(ケンコバさんは『ベルセルク』の時も上手かった)。しかしそれ以上に本作は、「日本語吹き替え版に力を入れている」という点において他に類を見ない画期的な作品なのですよ。
杉田智和、林原めぐみ、玄田哲章、古谷徹、池田秀一、三ツ矢雄二、千葉繁、浪川大輔など、多数のベテラン人気声優が集結した素晴らしすぎる配役に映画ファンも声優ファンも狂喜乱舞。「字幕版よりもむしろ吹き替え版で観るべきだ!」と大絶賛されたそうです。
やっぱり、洋画の日本語吹き替え版を製作する際は、宣伝や話題作りのためだけに芸能人を起用するんじゃなくて、これぐらい本気でキャスティングを考えて欲しいですねえ。タレントやアイドルを使うのもいいけど、せめて重要なキャラは実力のある声優さんに演じてもらいたいなと。
なお、本作でヒロインのマコ役を演じた菊地凛子さんは、自分の声を本人ではなく、なぜか林原めぐみさんに吹き替えられるという屈辱的なキャスティングになってて微妙な気持ちでした。芦田愛菜ちゃんは自分の声なのになあ…(^_^;)