「帰国すれば死刑」イラン人の母国送還取り消し

日本で知人のイラン人を殺害して服役し、強制退去処分を受けたイラン国籍の男性(46)が「帰国すると死刑になる可能性が高い」として、国に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。

石井寛明裁判長は「生命に差し迫った危険が発生することが予想される」と述べ、請求を棄却した1審・大阪地裁判決を変更し、送還先をイランと指定した部分を違法として取り消した。

控訴審判決によると、男性は2000年7月、偽造パスポートで不法入国し、名古屋市内でイスラム教徒のイラン人を刺殺したとして、01年に愛知県警に逮捕された。02年に殺人罪などで懲役10年の判決を受け、11年6月に大阪刑務所から仮釈放される際、大阪入国管理局からイランへの退去処分を受けた。

昨年5月の1審・大阪地裁判決は、処分を適法としたが、石井裁判長は、イスラム教徒を殺害した男性が送還された場合、イラン・イスラム刑法により、国内で報復の対象となるとし、「死刑に処される可能性は極めて高い」と述べた。

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