旅行ネタがいい加減くどいのだが、今回の旅行に絡めて本書の中のフィレンツェの役割とか象徴しているものについて、登場人物を絡めて自分なりの解釈を書いてみた。
旅行記→『冷静と情熱のあいだ』 聖地巡りしてきた(フィレンツェ編)
万一内容が重なったら二番煎じ感が出てしまうので「冷静と情熱のあいだ blu」で検索をかけ、書評系のブログをいくつか読んだのだが、「二人のすれ違いが切ない」とか「不誠実」「この展開はありえない」とか、なんか表面だけでもったいない!!と思う感じのがけっこうヒットした。
そこで、Bluは15回以上、Rossoを7,8回ほど読んでいる私が、Blu寄りにひいき目で深読みした解釈をぶつけてみようというところ。
というよりも、「時間」というこの2作品の軸を辿ってみたとき、
結論から書くと、私はこの物語は、
二人の恋愛を題材として、現在と分離していた過去と未来を統合していく話
だと思っている。どういうことかというと。
一応、人物の設定とあらすじは旅行記に簡単にまとめています。
※『rosso』『blu』両編のネタバレ含む。
この話の中心点・構成
この作品は「アオイの30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモで待ち合わせす
アオイと順正について
順正
順正の仕事は、無残に劣化した絵画の「
アオイと順正が別れた原因は、
失った子供の命と、アオイ。過去と決着が付けられず、「過去に取り付かれている」のが順正だ。
「現在」の中でも、
アオイ
アオイは、勝手に(といっても、
人を寄せつけず、変化のない生活を続けている、「
(私はなぜかアオイとまどマギのほむほむのイメージがダブる)
「変わらない」自分とどんどん変化していく周囲に、取り残されていく。
「現在」は、順正はアオイと真逆で子供っぽくグラマラスな、(
現在から目を背け、向き合わないことで過去に居続ける。
「あの約束」を中心にした過去→現在→未来
お互いに、あの約束を覚えてはいないだろうと思っている。
アオイの30歳の誕生日にフィレンツェのドゥオモに一緒に登ると
ジョバンナ先生の、
約束は未来だわ。思い出は過去。
そして物語の終盤、約束の日の後、
それぞれのパートナーという現在との決着と過去との統合。
初読のときはお互いと再開する直前にうまいことそれぞれパートナ
フィレンツェの街が象徴するもの
その順正編の話の舞台となるのがフィレンツェなわけだが、
十六世紀から時間を止めたような街。「再生」
過去を守る為に、未来を犠牲にしてきた街。
だからこそ、アオイとの約束を果たしてアオイが去ったあと、
過去との決別。順正の中で、やっと「
現在は点ではなく、永遠に続いているものだ、と悟った。僕は、過去を蘇らせるのではなく、未来に期待するだけではなく、 現在を響かせなければならないのだ。
過去と現在と未来と自分自身が統合され、一致した。
おわりに
そして、過去に生きるフィレンツェから、
最後のところは解釈がいろいろあると思うけれど、Blu派の私としては、「成熟した二人が再び新しく出会う」展開へ向かうラストだと、私はそう思っている。
フィレンツェで撮った、ドゥオモと青空。