野口陽
2015年11月28日10時39分
厚生労働省と国土交通省は、自宅などの空き部屋を使った「民泊」のルールづくりに乗り出す。民泊は外国人旅行客らの手軽な宿として広がってきたが、いまのところ旅館業法で原則として認められていない。活用にかじを切るのは、深刻なホテル不足に対応するためだ。
政府の規制改革会議は今年度に入り、民泊を活用する方向で議論を進めている。25日の会議では、すでに国内でインターネットを使った仲介を始めている米Airbnb(エアビーアンドビー)などから意見を聞いた。
本来なら民泊が商売敵(しょうばいがたき)になるはずのホテルや旅館を所管する観光庁も、足並みをそろえている。田村明比古長官は、「宿泊施設を短い時間で増やす意味では有効な手段だ」と期待する。
背景には都市部での宿泊施設不足が深刻化していることがある。観光庁によると、今年8月の宿泊施設の稼働率は大阪府で90・4%、東京都は83・6%だった。一般に、稼働率が80%を超えると予約が難しくなるとされる。全国でみても、宿泊数と客室稼働率が過去最高になった。
外国人旅行客が急増しているためだ。すでに、政府が20年までの目標としていた年間2千万人に迫っている。みずほ総研の試算では、このままのペースだと20年には2500万人に達し、大阪、東京、京都、福岡など11都府県で客室が足りなくなるという。東京五輪・パラリンピックに向けて建設が進む新しいホテルを見込んでも、全体で約1万室が不足する計算だ。
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