TEXT 池田純一
Googleはどこへ向かおうとしているのか
2015年8月にGoogleは大幅な組織改革を断行した。持株会社としてAlphabetを新設し、Googleそのものは、持株会社Alphabetの下で事業会社の一つとして位置づけられることになった。
Googleの他には、NestやCalicoなど、共同創業者の一人であるラリー・ペイジが2011年にCEOに就任以来、立て続けに買収もしくは出資してきた会社が並んでいる。ペイジの好むMoonshot(月にロケットを到達させるような、スケールの大きい夢のあるプロジェクト)を実現するために設立された研究部門のGoogle Xもその中に入っている。
こうしたGoogleの挑戦を理解するための手引となるのが、先ごろ翻訳が出されたピーター・ディアマンデスの『BOLD(邦題「ボールド 突き抜ける力」)』だ。
有名な起業家であるディアマンデスは、レイ・カーツワイルが提唱する「シンギュラリティ」を与件として未来を構想し実現することを目的とするシンギュラリティ・ユニバーシティの設立者の一人であり、賞金付き技術開発コンテストであるXPRIZEの主催者の一人でもある。
『BOLD』は、ディアマンデスが考える「エクポネンシャル(指数関数的に性能が向上する)テクノロジーが開く未来」に向けて「勇猛果敢(=Bold)に」取り組む方策を書き記している。
キーワードは6つの”D”
『BOLD』は、3部からなる。テクノロジー、マインドセット、クラウドの3つが主要なテーマで、まず、テクノロジーについては、「ムーアの法則(コンピュータの演算能力が18ヵ月で倍増するというルール)」に準じた「エクスポネンシャル・テクノロジー」について、紹介している。
今まで経済界を支配してきた「リニア(線形)思考」に対して「エクスポネンシャル思考」の特徴は6つあって、具体的には6つの”D”からなる。それはDigitized(デジタル化)、Deceptive(潜行)、Disruptive(破壊)、Demonetize(非収益化)、Dematerialize(非物質化)、Democratize(大衆化)の6つだ。
エクスポネンシャル・テクノロジーは基本的にデジタル技術に基づく。指数関数的に(累乗的に)性能が向上する特徴から、開発当初は、潜水艦が海中で「潜行」するように人に気づかれない時期がある(deceptiveとは「認識=cept」から「外れた=de」というのが原意だ)。
しかし、一度人びとに認知されると、その累乗的増加の特徴から、あっという間に性能が向上してしまう。そして、その桁外れの性能向上の速さから、しばしば既存業界の商慣行や収益モデルを「破壊」してしまうほどのイノベーションを実現させる。
そのサービスの特徴は、情報(「非物質」)による記録や操作を中核に据え、従来の収益機会をしばしば無効化(「非収益化」)し、特定の商品やサービスの利用を広く人びとに開放する(「大衆化」)。
このようなテクノロジーの特徴の下で必要とされる「マインドセット」は、基本的には、視野を広げ高みを目指すビッグ・シンキングに根ざしている。この野心的なところが、タイトルとなった「Bold」の由来でもある。
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