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【社会】

戦争被害語るシンポ 中国人参加者ビザ却下

集いであいさつする藤田高景理事長(中)=27日、東京・永田町の衆議院第1議員会館で

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 東京都内で二十七日に始まった中国と韓国の戦争被害者や遺族らが証言するシンポジウムに参加予定だった中国人十二人が、外務省にビザ申請を却下されていた。韓国側証言者は参加した。主催した市民団体「アジアと日本の連帯実行委員会」は同様のシンポジウムを二〇〇五年から毎年開催してきたが、海外からの参加者にビザが発給されなかったのは初めてという。

 シンポジウムの名称は「戦争法の廃止を求め 侵略と植民地支配の歴史を直視し アジアに平和をつくる集い」。二十九日まで都内三カ所で開催し、国内の大学教授や中国、韓国の戦争被害者が証言するプログラム。ルポライターの鎌田慧氏や村山首相談話を継承し発展させる会の藤田高景(たかかげ)理事長らが呼び掛け人となっている。

 二十七日午後に東京・永田町の衆議院第一議員会館で開かれたシンポジウムでは、藤田氏が「これまで参加が認められていた参加者まで拒否された。政府の判断は露骨な言論弾圧だ」と批判した。

 ビザ申請に携わった一瀬敬一郎弁護士によると、参加を予定していたのは、旧日本軍の七三一部隊が行った細菌戦の被害者遺族であり被害者協会代表の弁護士や、裁判官、検察官ら十二人。一瀬氏が十一月四日に、北京大使館と上海総領事館の二カ所にビザを申請した。過去にシンポジウムに招いた時は四、五日で出ていたビザがなかなか発給されないため、大使館側に問い合わせたところ、「調査中」と回答された。二十日以降は「外務省の指示待ち」となり、二十五日に「今回は発給しない」と伝えられたという。

 一瀬氏は「政府の判断は、戦争被害の実態を日本に伝え、過ちを繰り返さないよう日中交流を深めようとする人の気持ちを踏みにじるものだ」と話した。外務省外国人課は「個別の判断理由は答えられないが、却下した理由に、シンポジウムの趣旨への政治的な判断は一切ない」としている。

 

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