オウム菊地被告に逆転無罪 東京高裁、一審判決を破棄
2015年11月27日15時57分 スポーツ報知
東京都庁小包爆弾事件に関与したとして、一審東京地裁で懲役5年の判決を受けた元オウム真理教信者菊地直子被告(43)の控訴審判決で、東京高裁は27日、一審判決を破棄し、無罪を言い渡した。大島隆明裁判長は一審が有罪の根拠とした元教団幹部井上嘉浩死刑囚(45)の証言を「信用できない」と指摘した。
爆薬原料の運び役として起訴された菊地被告に、原料の薬品が事件に使われるという認識があったかが争点で、弁護側は無罪を主張していた。
裁判員裁判だった一審東京地裁判決は、原料を運び込んだアジトで井上死刑囚から実際に製造した爆薬を見せられ「頑張ります」と応じたと認定し、「薬品が人の殺傷に使われる危険性を認識していた」と、殺人未遂ほう助罪で有罪とした。
弁護側は一審に続いて「認識はなかった」などと主張。菊地被告も控訴審の被告人質問で同様の供述を繰り返した。
一審判決によると、菊地被告は1995年4月、山梨県内の教団施設から東京都内のアジトまで爆薬原料の薬品を運んだ。翌月、元幹部らが爆弾を仕掛けた小包が都庁の知事秘書室で爆発し、職員が重傷を負った。この事件は教団に対する捜査のかく乱が目的だった。
菊地被告は事件後約17年間逃亡し、2012年6月に逮捕された。