平成27年12月5日(土)午後5:58~6:00 【総合】全国
平成27年12月6日(日)午後11:45~11:47 【BS1】全国
NHK仙台放送局では、震災5年に向け、NHK東北各局とともに、被災地へ希望を届ける復興応援キャンペーン「大好き♡東北」を展開しています。キャンペーンの柱の一つ「つくろう!子どもの未来」から「想いのかけら」は生まれました。
このアニメーションには、被災地に暮らし、周りに支えられながら夢に向かって走るヒロイン・陽菜(ひな)の姿が描かれています。子どもたちに未来を信じて歩んでほしいという「想い」と、陽菜を支える人たちの心の温かさが、東北の美しい景色の中で響きあって、皆さんの心に届くことを願っています。
東北の港町に住む13歳の女の子。元気いっぱいだが少しおっちょこちょいで、いつも周りをはらはらさせる。フィギュアスケートの練習に励むものの、最近は壁にぶつかることも・・・
漁師。仮設住宅で娘の陽菜と2人暮らし。
だんだんと親の手をはなれてゆく陽菜に、頼もしさとほんの少しのさみしさを感じている。
いつも優しく見守ってくれていた母。
陽菜にとっては、今も思い出の中でそっと背中を押してくれる存在。
「想いのかけら」の監督を務めた、福島ガイナックスの浅尾芳宣さん。
制作にこめた「想い」をインタビューで聞きました。
浅尾芳宣監督
浅尾さん自身がアニメにこめた「想い」はどういうものだったのでしょうか?
まもなく震災から5年になりますが、被災していない人にとっては、この5年は長く、社会自体は次のステップへ進んでいるのかなと実感しています。震災を日常のなかで意識しなくなるのは自然なことだと思いますが、一方で、忘れてはいけないものや日常のふとした瞬間に思い出すようなものもあると思います。
今回のアニメの主人公も、毎日の生活が続いていく中で、壁にぶつかったり、物事がうまくいかなかったりするのですが、そういうときに、震災以前の思い出が救ってくれることも多いと思うんですね。震災でたくさんの方が犠牲になった、その事実を受け止めながら、一方で、それを忘れず、毎日やってくる日常の生活や人生を送っていってほしいという「想い」をアニメにこめました。
その「想い」を表現する難しさはありましたか?
いつもは、もともとフィクションのものをアニメにするんですけど、今回はリアルなものをフィクションに変える。リアルなものをありのままに出すというよりは、そこにある想いとか感情とか願いが出るように注意しました。キャラクターの表情やしぐさ、動きの中で、リアルな心の表情を表現するように注意しました。
アフレコ(アニメにあわせて、声や音を録音すること)で声優さんに演出をするときも、最初から最後まで気持ちを入れすぎないように、と伝えました。冒頭から気持ちを100%入れた状態でしゃべってしまうと、一番伝えたいことがわからなくなっちゃうんですよ。
福島市出身の浅尾さん。ことし4月に、ご自身のふるさとでアニメの制作会社を立ち上げたということですが、会社を作ろうと思ったきっかけは?
僕は福島市出身ですけど、ひどい言い方ですが、震災まで実家やふるさとを思うことはほとんどなかったんです。今回、震災があって初めて自分にとって「ふるさとって何なのか」とか「僕らが復興に協力できることって何なのか」と考えました。
その時、福島で使われなくなった公共の場所や学校が多くなってきていると聞いて、そういう場所にアニメを制作する拠点をつくって、街や場所を元気づけられないかと考えたんです。会社を立ち上げたことで、コンテンツで地元を応援したいと思っています。また、なるべく地元から人を雇って、人を育て、その人がまた次の人を育てて…というように、未来へつなげてきたいです。