国民宿舎鵜ノ岬(茨城県十王町)が人気を呼んで周辺の高萩市、北茨城市の芸術美術館巡りが今、静かなブームを巻きおこしています。今回はシリーズのまとめとして、夏休みファミリー向けに小旅行の「まちかどの美術館巡り」を企画してみました。
高萩市内の大心苑は元々炭砿施設の跡地。広大な敷地には軟式野球場、球技場、体育館、総合グラウンド、ゴルフコース、デイキャンプ場、バーベキューガーデン、クラフト工房、カルチャー棟、フラワーショップ、さらにはレストラン、カフェ、合宿施設などが整っています。
その中に昨年オープンしたのが「小さな美術館」。開館以来、人間国宝や国内外の現代陶芸作家の作品展示会を催し、関東各地から多くの人が訪れています。
平屋建てのモダンな美術館周辺には、森や高原の雰囲気が漂い、アプローチの木陰では心地よい高原の風が頬をなでます。
高萩周辺には笠間焼、益子焼など有名な窯元があり、地元からも新鋭陶芸家が傑出しているなど、陶芸の土壌は十分に熟した土地柄のようです。
この大心苑内に「海の日」の20日、「大心苑の森・ホテル」がリニューアル・オープンしました。館内は客室50、収容220人で昭和天皇、皇后両陛下が宿泊された部屋をはじめ、桧展望大浴場、大小研修室、大小宴会場、レストラン、売店などを完備。社会人や学生の合宿だけでなく、夏休みの家族やグループ旅行の宿泊にも最適ですので、ホテルを利用しながら美術館巡りを楽しんでみてはいかがでしょう。
苑内のレストラン「コクリコ」のシェフは、東京六本木で腕をふるった本格的フランス料理の職人。新鮮な地元の食材にこだわっています。
近くの茨城県畳高等職業訓練校内には「畳工芸美術館」があります。
交通:常磐線高萩駅からバス15分、大心苑前下車
TEL:0293(22)2151
一日に5百~千人が入場する「茨城県天心記念五浦美術館」は、北茨城屈指の美術館です。
五浦海岸は1906年(明治39年)から7年間、岡倉天心が横山大観、下村観山、菱田春草、木村武山などの愛弟子と共に幾つもの傑作を生み出し、日本近代美術史上に大きな足跡を残した地です。
同美術館はこうした作家たちの業績紹介と作品展示、美術鑑賞の機会を提供し、日本美術の新たな芸術・文化活動の情報発信拠点化をめざしています。天心記念室、200インチハイビジョン、映像ギャラリー、美術情報ライブラリー、カフェテリア、太平洋を望む展望ギャラリーなどが備わっています。
周辺は泣き砂で知られる海岸や立ち寄り温泉などもあります。
交通:常磐線大津港駅からバスで終点下車
TEL:0293(46)5311
北茨城市歴史民俗資料館の1階が「野口雨情記念館」で、昭和55年に開館。偉大な業績顕彰を展示し、初出原稿、へん額、掛け軸、作品、遺品、写真が200余点展示されています。明治、大正、昭和にわたって詩や創作民謡、童謡の分野に数々の作品を残した雨情の波瀾万丈の生涯をうかがえます。館内に流れる「赤い靴」「七つの子」などの雨情の代表曲が郷愁を誘います。
また近くにある「雨情生家」には直孫が生活していますが、展示資料室では雨情の個人的遺品を見ることができます。
交通:雨情記念館(常磐線磯原駅から徒歩15分)雨情生家(同10分)
TEL:雨情記念館0293(43)4160 雨情生家0293(42)1891