[PR]

 韓国の金賢雄法相は27日、「覆面姿で暴力をふるったデモ参加者を厳罰に処す」とする談話を発表した。韓国では集会での暴力行為が頻発。朴槿恵(パククネ)大統領は、一部の参加者を過激派組織「イスラム国」(IS)と同一視。覆面姿での集会参加を禁じる法案の検討も始まった。

 14日には警察発表で8万人がソウル市内に集結。教科書国定化など政府の政策への反対を訴えた。一部の参加者はマスクやタオル、サングラスなどで顔を隠し、ロープで警察車両を引っ張ったり、鉄パイプを振り回したりした。

 デモ集会を指導した労組幹部は近くの寺に逃走。警察の捜査を逃れながら、12月に2回目の大規模デモを行うと予告していた。

 朴大統領は24日の閣議で「覆面デモをできないようにすべきだ。ISもそうやって(顔を隠して)いる」と激怒。国会では与党セヌリ党が25日、身元を隠す目的での覆面を禁じるため、「集会示威関連法」の改正を提案した。

 金法相は「顔を隠して処罰を免れようとする考えは捨てるべきだ。逃走する犯罪者を助ける者の責任も追及する」と強調した。

 韓国の専門家は、「表現の自由」の制約につながる可能性を指摘する一方、「集会のやり方が、軍事政権時代と変わっていないのも問題だ」と語った。(ソウル=牧野愛博)