「道重伝説」今尚更新中 ~11月26日 道重さゆみさんの 卒業1周年に思いを馳せる会~レポ

モーニング娘。6期メンバーにして8代目リーダーである道重さゆみがモーニング娘。を卒業してちょうど1年となる11月26日、ファンたちが、1周年を記念して集まった。世界中で同様の催しは無数に開催されたことかと思うが、そのうち東京は渋谷で開催された『道重さゆみさんの 卒業1周年に思いを馳せる会』の模様をレポートする。
(いわゆるファン ミーティングでもあり、そのすべてを詳らかにできない部分もあるだけでなく、ファンの側のあれこれをレポートしていることをお断りしておきます。)

道重さゆみさんが、横浜アリーナの舞台を最後にモーニング娘。を卒業して1年が経過しました。
この間、「復帰」云々どころではなく、道重さんについては、後輩のブログで時折漏れ聞こえる以外は一切の動きが報じられることはありませんが、多くのファンは、道重さんのことを忘れてはいないようです(※1)。

原宿では29日まで、道重さんのファンのみんなが道重さんを想って制作した作品が展示されているさゆロス展も催されています。
それに、ちょうど道重さんが卒業してから1年になる11月26日には、道重さんの熱心なファンたちが主導して、渋谷で『道重さゆみさんの 卒業1周年に思いを馳せる会』が開催されました。投稿者は主催者さんからSNS経由でご招待いただいて、これに参加した次第。

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『思いを馳せる会』は、渋谷の貸切パーティーができるバーにて。
案内役さんが控えているというハチ公前に行ってみると、なにやら “ピンクの人” がいます。
ご挨拶してみると、初対面なのに会話が弾むこと。もう、何というか、道重さんのことを話せるのが嬉しくてしかたないって感じで。

先日、パシフィコのモーニングのライブで再会した道重さんファン仲間(バスツアー同室組)に、うっかりと「つばきファクトリーが可愛い」と漏らしたところ、「若い子に流れた」との罪状できっちりボコられた投稿者としては(← 秘密)、きっとこの集まりの参加者は筋の通ったガチでド直球な「さゆヲタ」ばかりだろうと覚悟して、「若い子に流れた」半端な(どころか道重さん卒業前からBerryz工房や℃-uteにも浮気しまくっていた)自分などは隅っこでちっちゃくなっていようと思っていたのに、いきなり「いつからハロヲタを?」みたいな話題で話が盛り上がってしまって、自分もその盛り上がりに参加した当事者なのに、その “余計な読み合い、探り合いを省いた” 会話のスタートに驚いたものです。

いつからヲタをやっているのかという話題で「一緒だ!」と笑い合うこともできました。
変な人” である一方、これでも一応大人なので、日常で持っている知識や経験や境遇なんかが「一緒」だったからって喜び合うような場面は、ほとんどないんですよ。
道重さんのファンの集まりは、そんな荒んだ大人同士(※2)であっても、同じ気持ちで喜びあえるような、そんな場でしたよ。

  1. 「荒んでるのはおまえだけだ」との声が聞えてきましたが。

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「思いを馳せる会」の様子

会場に到着すると、みんなピンクです。もちろん、道重さんのお誕生日Tシャツや横浜アリーナで物販された「さゆみん大好き」Tシャツなどで、みなさん正装しているわけです。
会社帰りにネクタイ姿でやってきてしまった自分の迂闊さに天を仰ぐ始末となったわけですが、「なあに、ここまで案内してくれた方も、一緒に案内人さんについてきた方も、普段着じゃないか」と安心したのも束の間、会場に到着するやいそいそと着替え始めるみなさんです。ヲタとしての腰の座らなさに自分のことながら嘆息する投稿者でした。

出会えた人々

会場では、劔樹人の「男のうさちゃんピース」 でも有名な、いや「さゆヲタ」界隈では、有名どころではない、かの劔樹人さんともお会いすることができ、ハロプロ男子校’15 関連の話題で盛り上がることができました。あちこちの現場で劔さんを一方的にお見かけしていたとはいえ、初対面で不躾な声掛けにもかかわらず、フレンドリーにお話してくれたことはとても嬉しく、楽しい時間をすごせました。
2014年の11月26日に、横浜アリーナから帰ってきて、自分でも理由がわからないままに抜け殻のようになっていた私が、なんとか日常に復帰することができたのは、劔さんの文章を読んだことが大きかったのです。(※3)

  1. こちらを参照
    ハロヲタ達のありがたさ(11月26日道重さゆみ卒コン当日、好きという気持ちを受け止めきれない極私的な風景
    とりわけ投稿日時にご注目。一ヶ月ほど抜け殻だったのでした

その当のご本人に出会えて、きちんとお礼を述べることができたことは、嬉しいことでした。ハローの現場で、ハロメンの握手会で、メンバーに感謝の気持ちを伝えることはできても(なかなか難しいですが)、ハロー関連で同様に感謝している誰かに向かって、ちゃんとお礼を言える場面はとても限られていますからね。
(いつかどこかでDマガの編集をしてる人にも会いたいものです)

他にも会場にはさゆロス展主催者の方もいらっしゃいましたし、何より、そのハロプロ関連ラジオでの投稿採用率の高さだけではなく、採用される投稿には常にその時々のハロプロ事情が適切に織り込まれていて、ラジオでのパーソナリティーのトークを、聴く者にとって「そうそう、そういう話が聞きたかったんだよ!」という上手い方向へ誘導する高度な技でもハロヲタに知られる「オレンジの6番」さんとお会いすることができました。
道重さんも「まーた、オレ6かよ(笑」と嬉しそうに言及していた、あの「オレンジの6番」さんです。
とても穏やかな方で、静かにお話される方でした。
なんだか道重さんのファンの方は、(少なくとも私の知る範囲で)穏やかで優しい方が多い印象ですね。この投稿者が最もミリタントなくらいに。

オレンジの6番さんは、道重さんが卒業しても、ずっとモーニングの後輩たちのライブやイベントを追い続けているそうですよ。「そうすることが、ハローとモーニングを愛した道重さんが望むことだと思うから(趣旨)」とのこと。

道重さんの映像に合わせて

会場では道重さんの映像が流されていました。道重さんのコンサートのときの映像です。2013年の「CHANCE!」の画像あり、ハロコンで他のユニットのメンバーと歌ったときの映像あり、なんと久住小春さんとのデュエットの映像なんかもありましたよ。
いろんなライブでの、いろんな道重さんの映像が流れる中、その映像を見ながら、みんなで「あの時は…」とか、「そうそう、この時は…」といった会話が。そんな思い出話しとか、映し出される道重さんを見て「やっぱり可愛い」「き、きれいだなああ」とか思わず漏らしたり。

この集まりは、道重さんの卒業1周年に思いを馳せる会です。ですから、ほんとうはみんな心の中では「どうしているんだろうか」「元気だろうか」って思っているんだと思いますし、何より「戻ってきてくれるんだろうか」と思っているはずなんです。誰もが。
だから、同じ気持ちを抱えた者たちが集まって、しかも先ほど書いたように「余計な探り合いを省ける」場ですから、そうした内心に抱え込んだ、どうしようもない疑問を吐露し合うことになるんだろうかと、お互いの不安をぶつけ合うことになるんだろうかと思っていたんです。あたかも、会話しているようでいながら、実は全員が独り言の、言ってもしょうがない繰り言を垂れ流すばかりのように。お互いに向って話ながら、実は壁に向って話しているかのように。

でもね。そんな話は、ほとんどありませんでした。
みんな、スクリーンに映し出される道重さんを見ながら、「やっぱり、ほんとに可愛いなあ」って笑っていました。みんな、やっぱり道重さんは可愛いなって、そのことばかり。
道重さんを愛したファンのみんなは、そんな人ばかりでしたよ。

映像は、途中から、去年の11月26日の道重さんソロアングルDVDに切り替わりました。
道重さんの、その自称とは真逆の、パフォーマーとしての凄み。それを改めて実感することになりました。…というのも、あの横浜アリーナのラストライブは、その道重さゆみソロアングルは、もちろん購入こそしたものの、恐くてまだ見ていられなかったからです。
一人では踏ん切りがつかずに見ることができなかったソロアングルDVD。それも、こうして同じく道重さんを愛し惜しむ者たちと一緒に見ることができました

鞘師ちゃんにガチキスをするシーンで沸きに沸く会場。アクシデントにともなって顔を歪める道重さんと一緒になって悲鳴をあげる会場。そして、スクリーンに映し出されるライブの進行にともなった楽曲に応じて、正しくコールを入れる会場。
あたかも、あの日の横浜アリーナをもう一度体験しているようでした
突然のことに、ただの観客でしかないにも関わらず、いたたまれなくて、ちゃんとは体験できていなかったあの横アリを。お誕生日のバスツアーで購入したうさちゃんペンライトを握りしめ涙を流しながら、ただ「さーゆみん!」と声援を送るだけで精一杯であった道重さんのラストの花道を。
今、改めて、多くの仲間たちと一緒に(初対面だけども)ちゃんと味わうことができたのでした。

発注してなかったのに

宴もたけなわな頃、気付くと2時間半以上が経過しています。
ここで様々に趣向をこらしたメッセージがのったケーキが登場します。それはもちろん、道重さんの大好物である「ジョトォのケーキ 」。

いくつか写真をのせますが、ほんとはもっとたくさんありましたよ。
主催者によれば、メッセージの中の音符マークなどは発注していなかったのに、ケーキ屋さんが正しく追加してくれているとのこと。「ケーキ屋さんの中にヲタがいる?」との疑惑も浮上です。

sayu-cake

この『道重さゆみさんの 卒業1周年に思いを馳せる会』は、立食パーティー風に、フロアを自由に彷徨いながら、準備されている料理を自由にバイキング形式でセルフで取り分ける方式。いろいろ準備されているお料理も美味しくて、唐辛子が苦手な私は世間のカレーは口に出来ないというのに、この会場に準備されていたカレーは、おもわずペロリと平らげてしまったほど。
さて、ヲタが潜んでいるのではないかという疑惑はケーキ屋さんだけには留まりません。未確認情報ながら、オーダーしていないのに、道重さんの大好物である「明太子スパゲッティ」が登場したとかしないとか。
どうやら我々の思っている以上に、日常のあちこちにヲタは密かに生息している模様です。

Happy大作戦

ケーキも堪能し、時間も残りわずかというところで、横浜アリーナの映像もラストの一曲となりました。

横浜アリーナの道重さんの映像に合わせて、最後にみんなで肩を組んで『Happy大作戦』を。
2013年のお誕生日のバスツアーでのソロライブで道重さんが客席に強要(笑)したように、私たちは、横浜アリーナの道重さんの映像に合わせて、みんなで肩を組んで、左右に揺れながら、『Happy大作戦』を歌いました。楽しかったし、嬉しかった。

『Happy大作戦』、ほんとに良い曲ですね。道重さんのフィナーレに、まことに相応しい。
そういえば、通販DVDの『道重カメラ特別編』の特典映像にも、道重さんがハローのメンバーと一緒に2ショットを撮る場面を連ねながら、そのBGMには『Happy大作戦』が選ばれていたんでした。

最後の記念撮影をして、ここで解散。
最後に私は、すばらしい時間を与えてくれた主催者さんに「お誘いいただいて、ありがとう」と声をかけます。すると主催者さんは「あんまりお話できなくてすみません」と。
いやいや、そんなそんな。
だって主催者さんは主催者さんで、私は私で、それぞれフロアの思い思いの場所で、それぞれに道重さんのあれこれを語り、楽しい時間を過ごしたわけですから。

この主催者さんの一言だけでなく、私が話した参加者さんだけでなく、初対面の方ばかりだったというのに、みなさん、とても和やかに穏やかに、そしてどこか寂しげに、でも楽しげに、道重さんのことを語る、やさしい方ばかりでした。

道重さんが残してくれた “Happy” は、道重さんを愛した人々に、しっかり染み込んでいるようです。

道重さゆみ 不在だからこそ更新される「伝説」

これまで投稿者は、道重さんのことを形容するとなると、たとえば次のような感じの文章を書き連ねてしまっていました。

自分をどう見せるかという点でも、グループへの献身という点でも、後輩たちから慕われ愛されたという点でも、ファンへの誠実な態度という点でも、造りこまれたイメージの背後から漏れ出る愛らしい素顔という点でも、そしてそのルックスの愛らしさや可愛らしさという点でも、日本の芸能界に不滅の金字塔を打ち立てた道重さゆみさん。
上にも述べたように、いろんな点でその美質を指摘できる道重さんですが、それ以上に、そうした様々を、道重さん本人が意図的に演出し、努力し、研鑽して自ら造り上げてきたという点で、ある時期からのハロー!プロジェクトのテイストに大きな影響を与えただけではなく、生き方や姿勢を含めて、平成日本に、いや、21世紀の世界に「こんな子が実在するのか」と驚きと感動をもって受け止められた、文字通り「伝説のアイドル・オブ・アイドル」です。リーダーに就任してからの重圧に悩み、大先輩の肩を借りて涙したこともありました。ここに書き連ねているような大業な形容だったり、モーニング娘。リーダーという大看板だったりの重圧に苦しんだところも含めて、道重さんは「アイドル」でした。そして、重圧に苦しみながらも、投げかけられる(ある意味勝手な)賛美の声に応え続けたところも。裏では涙した時も、ファンの前ではニッコリ微笑んでくれたところも。

もちろん、これでは全然足りないわけですが、この方向でいくら言葉を連ねても、どうしても尽くせぬ部分のその一旦が、ファンの集まりに参加したことで少し見えたようにも思います。
具体的な「美質」のあれこれが問題なのではなく、その「不在」こそが本質なのではないかと。

もちろん言うまでもなく、その場に道重さゆみさんは不在です。それでも、会場に流れる映像の有無に関わらず、誰の脳裏にも道重さゆみさんは思い描かれていました。当日お逢いできた方々は、初対面の方ばかりでした。それでも、道重さんが間をつないでくれるから、ずっと知り合いだったように話すことができました。
道重さんが不在なのは、ファンの集まりの場だけではありません。卒業後1年を経過しようというのに、ハロプロにも、芸能界にも、今、道重さゆみは不在です。
にもかかわらず、その「不在」の大きな空隙に、私たちの気持ちをなお引きつけて止まない道重さゆみ。その「不在」の大きさも、その空隙になお駆り立てられるファンの気持ちの大きさも、依然として比類ない道重さんです。

思えば、「アイドル」は、いかに様々なソース(映像やインタビューなど)からその情報を摂取しようとも、当の「アイドルをやっている」その一人の女性の実像に、ファンが接近できることはありません。
ファンは「アイドル」に幻想を見るのだし、優れたアイドルは「ファンの見る幻想」を巧みに演じてくれるし、そうした偶さかの共同幻想の儚い緊張の上にようやく成り立っているのが、アイドルとファンの関係でもあります。
ファンもそのことはわかったうえで、アイドルも「ファンがわかっている」ことをわかったうえで、お互いに【敢えて】そうした「嘘」を支え合っています。

だからアイドルは、そのものとして「空虚」であり、ファンは空虚であることがわかっているから、その空隙に自らの「妄想」を満たします。
それが妄想だとわかっているから、その妄想を受け止める空虚の役割を果たしてくれている一人の女性の実像には接近できないと最初から約束されているから、だからこそ、その妄想は甘美です。

この意味で、アイドルとは、本来的に空虚な不在のなかに、甘美な嘘を、嘘とわかったうえで受け止める者なのかもしれません。
そうだとすれば、かくも大きな不在をもって、なお多くの気持ちを引きつけて止まぬ道重さゆみこそ、文字通りアイドル・オブ・アイドルというべきなのかもしれません。ようやく人類が邂逅できたアイドルの理念型である、と。

道重さんの不在に思いを馳せるこの1周年のファンの集まりで、当の道重さんが(その場にも、ハロプロにも)不在であるにも関わらず、お互いが道重さんのことが大好きだというだけで、こんなにも楽しく豊かな経験ができたことから、私はうっかりと、そんなことを思いました。

蛇足ながら、このエンタメアライブにもいくつかレポやコラムを投稿しているように、この私は、ベリキューを愛する者でもあります。今や、すっかり「つばき」にやられて「若い子に流れ」てしまってもいます。植村あかりさんの握手会にも行きました。
でもそれは、道重さゆみさんが、ブログやテレビなどで折に触れハロプロのあれこれを語ってくれていたからこそ、興味を持ったのがすべての始まりでした。
今の私の幸せのすべては、道重さゆみさんに負っていたのでしたよ、そーいえば。

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ネットパトロールが趣味だった道重さんは、この記事を見つけたりするでしょうか。
道重さん、みんな忘れていませんよ。

道重さんが芸能の世界に復帰するかどうかは、道重さんが選ぶことだし、道重さんの選択がどんなものになっても、かまわないと思っています。だから「戻ってきて」とは言いません。言いたいけど言いません。でも、道重さん、繰り返しますが、みんな、あなたのことを忘れてはいませんよ

道重さんが私たちの前から歩み去ってから、ちょうど1年が経ちました。道重さんの毎日は幸せですか? 道重さんは毎日、笑っていますか?

私たちは幸せです。
道重さんが卒業してから1年経つのに、私たちは、道重さんの残してくれた幸せな気持ちをそのままに、ファン同士で集まって卒業一周年をお祝いしたんですよ。
道重さんのおかげで、私たちは幸せですよ

(文=kogonil)

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