「大人のせいで世の中こうなった」19歳メガホンズが訴える絶望
メガホンズ『コドモ・フルコース』- インタビュー・テキスト
- 天野史彬
- 撮影:永峰拓也
俺たちには言いたいことがある! ――そう聴き手に叩きつけるようにがなる、怒号にも似た歌声。背後に膨大な音楽への理解と素養を感じさせながらも、それをあくまで一塊のエナジーへと凝縮して吐き出そうとする衝動的なガレージロックサウンド。
1996年生まれの19歳。高校卒業後、今年4月に地元・福井から上京してきた3ピースバンド・メガホンズが、1st EP『コドモ・フルコース』をリリースする。バンドにとって初のインタビューに答えてくれたのは泰平(Vo,Gt)とMoh(Ba,Cho)。特にバンドのブレーンである泰平は、確信に満ちた言葉で自らの想いを語る聡明な青年だった。しかし、話を聞いていてキツくなってしまう瞬間もあった。だって、未だ19歳の彼らの目の前に広がっているのは、「いっそ戦争をやってしまえばいい」と言えてしまう世界なのだ。彼らにとって「大人」たちが作った今の世界は、あまりに醜く絶望的なものなのかもしれない。
あらゆる出来事が起こった「その後」の世界を「子供」として生きてきた彼らは、「モノ言う世代」として、バンドというメガホンを手にした。声を上げることを恐れない彼らの音楽が、誰かを生かし、彼ら自身も生かすものになってほしい。
人間って誰しもが、絶対に敵わない相手に対する反抗心を持っているものだと思うんですよ。(泰平)
―プロフィールによれば、「心の声を大にして」というのが、メガホンズが掲げるモットーなんですよね?
泰平(Vo,Gt):そうですね。人間って誰しもが、絶対に敵わない相手に対する反抗心を持っているものだと思うんですよ。たとえば、子供の頃は親や学校に対してだったり、大人になれば上司や会社に対してだったり、もっと大きなスケールだと、国や世界の動きに対してだったり。自分が敵わない相手だからこそ苛立つし、反抗心は自分の中にどんどん溜まっていくものだと思うんです。そういうエネルギーを、僕らが音楽として代弁できたらなって。
―泰平さんがご自身の中にある反抗心に自覚的になったきっかけって、何があったんですか?
泰平:僕の家は本当に厳しくて、小さい頃から母親に全部「ダメ」って言われてきたんです。そもそも親はそんなに音楽が好きじゃなかったんですけど、僕は吹奏楽部で、姉は和太鼓部とか合唱部とかに入っていて。姉の大会はしょっちゅう観に行くのに、僕の大会には1回も来たことがないっていう感じで。ギターを始めたいと思ったときもダメと言われたし、バンドを始めるのもダメと言われたし。でも、「それでも俺はやるんだ!」って言って中学生の頃にギターとバンドを始めて。
―音楽をやること自体が、抑圧に対する反抗の意味合いも持っていたんですね。
泰平:そうですね。仕返しじゃないけど、ぎゃふんと言わせたいなって。それに高校の進学先だって「ダメだ」と言われたけど、そのときに気づいたんですよ。ダメと言われても、自分で押し通したものは続けていけるし、続ける意味を自分の中でずっと持つことができるんだって。だから、ダメと言われることがダメなんじゃなくて、ダメって言われた後に自分がどうするかが問題だと思うんです。ダメと言われて「ナニクソ!」と思ってやることにエネルギーがあるし、それを音楽にできたらなって。
―Mohさんは、「心の声を大にして」という言葉をどう受け止めましたか?
Moh(Ba,Cho):結成した頃はまだ高校1年生だったので、すごく子供だったんです。だから、「かっこいいこと言われたなぁ」みたいな。「いいじゃん! うぇ~い!」って感じでした(笑)。でも、僕も中1の頃にいじめられていたこともあって、強い人が嫌いだったし、その反抗心に共感する部分もありましたね。
―泰平さんのお母さんがそれほど厳しいなら、こうやって高校卒業後すぐに上京してバンド活動をすることも反対されたんじゃないですか?
泰平:最初は「バカじゃないの?」って言われました。でも、「CD出すんだ」とか「今度ラジオ出るよ」とか言い出してから、ちょっとずつ裏で応援していてくれたみたいで。仕事のお得意さんに「うちの子がラジオ出るのでよろしくお願いします」みたいなことを言って回っていたらしいんですよね。それを知って、「あの野郎……」みたいな(笑)。まぁ、最初は止められたけど、僕にも強い想いがあったし、それと同時に具体的なプランがないと大人には通用しないこともわかっているから、お金や仕事、音楽面のプランもちゃんと僕から母親にプレゼンしたんです。そうしたら、「好きにしなさい」って言われましたね。
イベント情報
- 『Eggs×CINRA presents exPoP!!!!! volume81』
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2015年11月26日(木)OPEN 18:30 / START 19:00
会場:東京都 渋谷 TSUTAYA O-nest
出演:
どついたるねん
odol
ヘンショクリュウ
Emerald
メガホンズ
料金:無料(2ドリンク別)
※会場入口で音楽アプリ「Eggs」の起動画面を提示すると入場時のドリンク代無料
リリース情報
- メガホンズ
『コドモ・フルコース』(CD) -
2015年12月4日(金)発売
価格:500円(税込) ライブ会場限定販売1. THE LOVE
2. 青いリンゴ
3. Understanding Child
4. 愛を込めて戦争を~Luv&Peace&War~
イベント情報
- 『メガホンズ1st E.P.『コドモ・フルコース』Release Tour「コドモ・フルツアー」』
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2015年12月4日(金)
会場:東京都 下北沢 DaisyBar2015年12月7日(月)
会場:東京都 両国 SUNRIZE2015年12月11日(金)
会場:沖縄県 那覇 Cyber-Box2015年12月13日(日)
会場:北海道 苫小牧 ELLCUBE2015年12月14日(月)
会場:北海道 札幌 Spiritual Lounge2015年12月20日(日)
会場:東京都 両国 SUNRIZE2015年12月21日(月)
会場:宮城県 仙台 MACANA2015年12月22日(火)
会場:石川県 金沢 vanvanV42015年12月23日(水・祝)
会場:福井県 CHOP2015年12月24日(木)
会場:新潟県 GOLDENPIGS BLACK STAGE2015年12月29日(火)
会場:福井県 HALLBEE2015年12月30日(水)
会場:東京都 両国 SUNRIZE2016年1月8日(金)
会場:岡山県 CRAZYMAMA2nd room2016年1月9日(土)
会場:高知県 X-pt2016年1月10日(日)
会場:香川県 高松 DIME2016年1月11日(月・祝)
会場:徳島県 GRINDHOUSE2016年1月18日(月)
会場:東京都 渋谷 aube2016年1月23日(土)
会場:岩手県 盛岡 CHANGE WAVE2016年1月24日(日)
会場:福島県 いわき SONIC2016年1月25日(月)
会場:東京都 新宿 JAM2016年1月30日(土)
会場:山口県 岩国 RockCountry2016年1月31日(日)
会場:島根県 出雲 APOLLO2016年2月1日(月)
会場:大阪府 心斎橋 火影2016年2月2日(火)
会場:愛知県 名古屋 HACK FINN2016年2月4日(木)
会場:東京都 立川 BABEL2016年2月5日(金)
会場:栃木県 宇都宮 HELLO DOLLY2016年2月6日(土)
会場:秋田県 swindle2016年2月11日(木・祝)
会場:群馬県 SUBURST2016年2月12日(金)
会場:山梨県 KAZOOHALL2016年2月13日(土)
会場:兵庫県 神戸 BLUEPORT2016年2月14日(日)
会場:福岡県 小倉 FUSE2016年2月15日(月)
会場:福岡県 qublick2016年2月18日(木)
会場:大阪府 梅田 zeela2016年2月19日(金)
会場:大阪府 堺 goith2016年2月25日(木)
会場:愛知県 栄 R.A.D2016年2月26日(金)
会場:滋賀県 B-FLAT2016年2月27日(土)
会場:広島県 尾道 B×B2016年2月28日(日)
会場:長崎県 DO!2016年3月3日(木)
会場:京都府 MOJO2016年3月4日(金)
会場:京都府 GROWLY2016年3月5日(土)
会場:三重県 鈴鹿 ANSWER2016年3月6日(日)
会場:長野県 club JUNK BOX2016年3月7日(月)
会場:東京都 八王子 MatchVox2016年3月9日(水)
会場:千葉県 LOOK2016年3月10日(木)
会場:千葉県 稲毛 K'S DREAM2016年3月11日(金)
会場:神奈川県 横浜 B.B.STREET2016年3月12日(土)
会場:東京都 新宿 ACB2016年3月13日(日)
会場:埼玉県 北浦和 KYARA2016年3月18日(金)
会場:埼玉県 越谷 EASYGOINGS2016年3月21日(月)
会場:東京都 新宿 ANTIKNOCK
プロフィール
- メガホンズ
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全員が1996年生まれ。2013年1月、当時高校1年生だったMoh(Ba,Cho)が泰平(Vo,Gt)に声をかけて結成。同年8月、番長(Dr)が加入し現体制に。「心の声を大にして」というモットーで「メガホンズ」と泰平が命名。2015年4月、高校卒業と同時に地元福井を離れて上京。今や関東だけでなく全国へとその活動拠点を広げつつある。ロックンロールやブルースを基調とながらも、様々なジャンルを柔軟に織り交ぜた楽曲、社会や大人への憤りがあふれた歌詞、そして爆発的なライブで、着々と日本を斡旋している。2015年12月、1st E.P.『コドモ・フルコース』をリリース。『コドモ・フルツアー』として、合計50本の全国ツアーを慣行する。