面白いものをお見せしましょう
男は突然車を降りて歩きだした
(鎌田浩毅)こういうね…
そこは九州・阿蘇山の麓
私たちの足元には地球の歴史が刻まれている
火山学者・鎌田浩毅は今居ても立ってもいられない
このところ各地で頻発する火山の噴火
誰もが漠然と天変地異の到来を予感している
自分に何ができるのか
これまでに30冊以上の著書を通じて火山の仕組みや恐ろしさを伝えてきた
メディアの取材にも積極的に応じている
阿蘇山でもこの10月に噴火が起きた
随分温かくなってきたでしょねっ天然浴
火山列島・日本
大地の恵みは偉大だが一たび暴れだせば人間の手には負えない
だからこそ還暦の伝道師は奔走する
ふぅ〜
鎌田の拠点は…
ひときわ目を引くリュックの赤は本人いわくマグマの赤だそうだ
はいどうぞ
研究室にもなぜか派手な服が並んでいた
まぁこんな感じでちょっと普通の教授の部屋と違うのはこの辺に服が掛かってて赤はマグマの赤で僕のトレードマークで…
カラフルないでたちで臨む講義は学生たちにも大いに人気があるらしい
火山学者の朝は世界中から寄せられてくる噴火情報などのチェックから始まった
今日は噴火してないですね噴火すると一気にたくさん見えるのでまぁホントに1分置きぐらいに新しい情報が…今はもうツイッターですけどねあっこれきれいですねこれ噴火…
パソコンには鎌田が目の前で出くわした噴火の資料も収められていた
伊豆大島…伊豆大島って僕が噴火に遭遇したんですこれ僕が撮った写真ですけど写真撮っててねそしたらだんだん噴火が激しくなって火山弾が降ってきたんですよ火山弾ってねこれです
数日前に溶岩を噴き出した三原山は小康状態にあった
(爆発音)やるぞやるぞやった
この朝現地に入った鎌田は飛んでくる溶岩の破片・火山弾に驚いた
(爆発音)
噴火の様子を一目見ようと島には観光客も訪れていた
火山の恐ろしさをまだ誰も本当には知らなかった
あっあっあっあっ!
爆発音がしだいに激しくなり火山弾の大きさも増していく
(爆発音)
(爆発音)
当初鎌田たちはマグマの放出を伴わない水蒸気爆発だろうと考えていた
だが…
夕方三原山からは再び溶岩が流れ出し全島挙げての避難を開始する
来た来た来た
予測できない噴火の恐怖を鎌田は肌で感じた
その生々しい体験が研究一筋だった学者を独自のポジションへと向かわせた
著作の大半が読みやすい入門書であることも大きなこだわりだ
鎌田によれば今は大地変動の時代
何より気がかりなのは富士山の大噴火らしい
2011年の東日本大震災以降活発化の傾向を示し始めた火山が全国で20あるのだと鎌田は言う
もしもここに懸念されている南海トラフ地震が追い打ちをかけると更なる噴火が起こる可能性は極めて高い
とりわけ富士山
大噴火した場合裾野を下る溶岩流は駿河湾にまで達し東西の交通が分断されてしまうことも考えられる
更に恐ろしいのは火山灰だ
300年余り前の噴火でも江戸の町に降り注いだ火山灰の厚みは実に5cmを超えていた
現在の東京がそれだけの火山灰に覆われたら都市機能は完全に麻痺してしまうらしい
では具体的にどのようなことが起きるのか
渋谷を歩きながら教えてくれた
これも鎌田のアウトリーチ
ずっとこう上の方向に斜面ですよねこれ火山灰が積もるとタイヤがスリップするんですよ火山灰はガラスのかけらですからね雨が降ればべったりへばりつくしものすごくやっかいだよね雪はね解ければなくなるけど火山灰っていうのはずっと残るわけですねそれからちょっと見ていただくと側溝があるでしょ火山灰が降るとねここの中に全部入るでしょそれで流れなくなるんですよね東京はこういう側溝は全部埋めちゃってますよねだから一旦入ってしまうとこれを取り出して捨てるということがものすごく難しいですよねそういうことを想定されてないんですよ今全てのライフラインはコンピューターで動いてますよねコンピューターってちりに弱いこれ有名な話で富士山から飛んできたとすればものすごく細かい灰が…かけらが24時間舞ってるわけですよねそういう中でコンピューターいろんな電子機器が誤作動を起こすんじゃないかということが心配されてるんですね
火山灰は送電線の絶縁体に付着して大停電を招く恐れもあるという
その現実を一人でも多くに伝えなければ…
今年だけで既に3冊
年末までにあと3冊の出版を予定していた
一方で講演活動にも力を入れている
まずご覧いただきたいのがこの赤でしてこの講演会でもこんな格好で出てきた演者はいないのではないかと…
この日招かれたのは東京の外資系証券会社
(笑い)
専門用語は一切使わずひたすら分かりやすく
・おはようございますあっおはようございます
続いてラジオの生放送が待っていた
(南部)ラジオネームトントさんからの質問ですが…
(荻上)火山からの逃げ方折り畳みのヘルメットあるんですね
(荻上)数十m稼げたりしますよねそうそうそうまたよろしくお願いしますはいこちらこそいつでもどうぞ
1時間しゃべり続けて終わった時にはもう日付が変わろうとしていた
本当に面白かったです今日
必要とあらばテレビのバラエティー番組もいとわない
どうも今日はありがとうございます…はやりませんけれど一応まだ今日までは大丈夫です今日はちゃんと教授で出ます
京都大学では定期的に野外授業を行っている
まぁ戦前かな…
教養課程の1年生を引き連れ大学近くの吉田山へ
目についた全てを教材にしてしまう
何でしょうねこれまぁ鳥居は分かるわね鳥居作ってる岩石は何でしょう知ってることを全部言ってくださいえっと知らないんですけど…全然知らなきゃパスねえ〜…ちょっと入学取り消しかなぁこれマグマですマグマって分かる?何ですかマグマえっと〜え〜あの〜…溶岩の地表に出てくる前のやつそうそうそうそうどれぐらいゆっくり冷えたと…
この鳥居は花崗岩で出来ている
花崗岩はマグマが地中で冷えて固まったもの
ただ教えるだけでなく実際に目で見て考えさせるのが鎌田のやり方だった
偉そうに言ってください「これ知ってる?」とか言って「黒いのは黒雲母で白いのは石英で…」とか「どうして出来たと思う?これはマグマなんだ」これだけでねウケますよ
講義を終えた帰り道にはよく学生街の古書店をのぞく
ちょうど今なくてあっちょうどあったはいありがとうございます
(店員)ちょうどお預かりいたしますこんなとこにハハッ
(スタッフ)自分の本が…
(スタッフ)あっうれしいんですか?うんでもね…要するに…だから…これぐらいで行きましょうか今日は
こんな鎌田もふと立ち止まることがある
何か俺のやってることがすごくむなしいというか…何の役にも立たない人にこうワ〜ワ〜言ってたぶらかしてるだけの赤い服着て何かこう…やってるだけのような気がして「じゃあどうすんだ」と言われると「いや分かりません」って…だって知識を得るしか学問…研究をするしか僕は知らないもん他の生き方知らないからある意味ですごい不器用なんですよね勉強しかしてない人から勉強取ったら何も残んないみたいなねそんな感じですごい困ってる
東大を卒業して地質調査の仕事に就き火山のメカニズムに魅せられた
アメリカの火山観測所で研究に取り組んだ時期もある
だが学者としての人生に無慈悲な現実が突きつけられた
1991年雲仙・普賢岳で発生した大火砕流
研究で駆けつけた海外の友人3人が高熱の火山灰にのみ込まれ命を落とした
やっぱり雲仙の普賢岳の噴火が僕のある意味で火山学…研究だけのね基礎研究だけで好きな研究だけしてる火山学者ではないというふうに変えてったってことは確かですよねねぇ…なんともやりきれないしだからこそ頑張って研究しなきゃいけないしそれを伝えなきゃいけないし
派手な服で人を振り向かせるのも大切な話を聞いてもらいたいから
ラルディーニこの間評判良くてやっぱりあのしまの昨日も講演会があってあれでやったんですけどやっぱり服でねある時赤い服を着たら急に皆さんの関心が高くなったことに気付いてやっぱり服って大事だなと思った
行きつけの高級セレクトショップでボーナスのほとんどをブランド物につぎ込んでいる
おぉクラシック
同じ人と会う時は極力服を変えるのもポリシーだという
奇抜にも見えるファッションは鎌田のアウトリーチに欠かせない武器の一つなのだ
去年の秋から阿蘇山では断続的に噴火が繰り返されている
かつては調査のために夢中で歩き回っていた阿蘇の大地
だが執筆や講演メディアの取材などに追われて今は年に1度やって来るのがせいぜいだった
まぁまぁ火山灰は入ってないから大丈夫ですね
阿蘇には京都大学の研究センターがある
たまたま一般公開の日に当たっていた
上映されていたのは最新の噴火の様子
2台あるんですもう色が違うでしょ?この時スコリアが出たんだあの落ちてるやつはね多分1mぐらいあるんじゃないかな一番近くに落ちてるやつあぁあの黒いの全部…
現場に触れればやはり学者としての血が騒ぐ
実際に溶岩を作る実験
やっぱりねこういうの見ると僕ら火山学者はわくわくするんですよマグマの赤でしょこれまさに正しくマグマの赤でこの赤は偽物の赤だけどこっちは本物ですからねおぉ〜もう冷たいかなよくこれねハワイに行くと落ちてるんですよつまり空中にこう飛び散るでしょそれが落ちてくる間に冷えるわけねそうするとこういう形で落ちてくるわけ涙に似てるでしょこれね「ペレの涙」っていうのねペレっていうのはハワイの神様で…
いつの間にか講義が始まってしまった
こっち
火山学者・鎌田浩毅
出張の隙間に出版が間近に迫った著書の校正作業を始めた
巨大地震や大噴火は必ず起きる
時間を無駄にはできないのだ
災害が起きても日本人は絶滅するわけじゃないから大丈夫ですなんとかみんな生き延びます生き延びるために僕ができることは情報とかノウハウとかを伝えてるわけだけど学生たちにね何かその辺は楽観的ですね
いざという時パニックに陥らないために
伝道師の使命はそこにある
この美女が描くのは巨大な目ん玉
次回は…
31歳の秋
これが羊?
2015/11/22(日) 23:00〜23:30
MBS毎日放送
情熱大陸[字]【鎌田浩毅/異色の火山学者が語る「日本列島に迫り来る危機」とは?】
火山学者/鎌田浩毅▽今、大地が揺れている!?「火山はこれからもっと噴火する」と語る異色の火山学者の、最新の研究を伝えるための東奔西走の日々と、胸に秘めた思いに迫る
詳細情報
番組内容
日本各地で相次ぐ活発な火山活動。そんな中で、「研究の成果は伝わらないと意味が無い」と最新の研究を一般の人々へ伝えるための活動にこだわる鎌田に注目が集まっている。マグマを思わせる真っ赤な衣装を身にまとい京都大学で教鞭をとる“ライブ感溢れる授業”は、学内でも屈指の人気だ。日本列島に迫り来る危機を火山学者として世の中に伝えなくてはならないという強い責任感がある彼の、東奔西走の日々と胸に秘めた思いに迫る。
プロフィール
鎌田浩毅/火山学者
1955年東京生まれ。
東京大学理学部地学科卒業。
旧通産省を経て、1997年より京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は火山学、地球科学、科学コミュニケーション。
火山の研究だけでなく、「科学の伝道師」として、テレビ・ラジオ・雑誌などを使って火山をわかりやすく伝える“アウトリーチ活動”を積極的におこない、熱心な啓発と教育に努めている。モットーは「面白くて役に立つ教授」。
制作
【製作著作】MBS(毎日放送)
【制作協力】エネット
関連公式URL
【ツイッター】@jounetsu
番組の感想に#jounetsuをつけてください!
http://twitter.com/jounetsu
【フェイスブック】
番組公式ページへの「いいね!」もぜひ!
http://www.facebook.com/jounetsutairiku
おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32722(0x7FD2)
TransportStreamID:32722(0x7FD2)
ServiceID:2064(0x0810)
EventID:10675(0x29B3)