さわやか自然百景「兵庫 宝塚 西谷の里」 2015.11.23


(テーマ音楽)兵庫県山あいの田園地帯西谷。
昔ながらの風景が広がるため池や田んぼ。
そこには人の営みと自然が織り成す豊かな世界があります。
夏田んぼの周りでひっそりと咲く花々。
その多くはかつてはどこでも見られたものばかりです。
かれんな花々とそこに集う生き物を宝塚西谷の里に見つめます。
兵庫県宝塚市の北部西谷。
標高300m前後の山々に囲まれた田園地帯が広がります。
谷筋に沿って階段状に続く棚田。
平地の少ない西谷ではこうした棚田がいくつもあります。
ここにはもう一つ特徴があります。
ため池も階段状に造られているのです。
「棚池」と呼ばれています。
西谷のこの環境は多様な植物を育みます。
7月田んぼと田んぼの間に広がる斜面ではさまざまな植物が花の時期を迎えます。
草の生い茂る土手。
そこにひっそりと咲く花を見つけました。
スズサイコです。
各地で急速に数を減らしている植物です。
星形で緑がかった1cmほどの花を咲かせます。
秋の七草の一つキキョウ。
かつては日本中どこにでも咲いていましたが今では絶滅が心配されています。
なぜ希少になった花々が見られるのでしょうか。
棚田の斜面や畦では草刈りが行われます。
成長が早く繁殖力の強い草が増えないようにするためです。
草を刈ると日光が地面まで届きます。
すると成長が遅いものなど多様な植物が育つ事ができます。
適度に人の手が加わる西谷の自然。
ここで見られる草の種類は400を超えます。
畦の近くにハッチョウトンボが飛んできました。
大きさ2cm足らず。
日本で一番小さいトンボです。
近くにメスもいました。
人の手が加えられているのは畦や土手だけではありません。
浅く掘られた水路では今では貴重なミズオオバコが咲いていました。
棚田の周りに広がる雑木林。
その縁では田んぼに日が当たるよう木が切られています。
こちらはチダケサシ。
林の際や山あいの草原に生えます。
田んぼの周りで見られる植物の多くは草原のような環境を好みます。
それらは太古の昔日本列島が寒冷化して乾燥し草原が広がった時期に根づいたと言われています。
その後現在のような温暖で湿潤な気候になるとこうした植物は田んぼの畦など人の手が加わる環境で生き延びてきました。
西谷の田んぼを取り囲む雑木林。
木々のほとんどは広葉樹です。
中には直径1mにもなるコナラもあります。
カブトムシがいました。
お目当ては樹液です。
樹液はオオムラサキなどさまざまな虫を呼び寄せます。
雑木林の中では至る所に湧き水が見られます。
地中にため込まれた雨水が少しずつしみ出してくるのです。
湧き水はやがて小川となります。
絶えず湧き出す水に支えられ小川はかれる事がありません。
このような湧き水を集めたのがため池です。
西谷は雨の少ない瀬戸内式気候。
こうしたため池を造る事で昔から田んぼを維持してきたのです。
きれいな湧き水によって育まれた田んぼは貴重な植物だけでなく動物たちも支えています。
こちらは…アオサギの向こうにはケリもいました。
鳥たちの狙いは田んぼの水路などにすむ小さな生き物です。
獲物の一つがトノサマガエル。
日本の田んぼを代表するカエルです。
イモリの幼生です。
まだエラが残っています。
穏やかな水辺にすむさまざまな生き物。
人の営みがつくった環境が命の輪を支えています。
真夏のため池では珍しい植物が花を咲かせます。
ガガブタ。
ため池に特有の水草です。
花の寿命は1日だけ。
水の中には花のつぼみが待機していて順番に咲いていきます。
ガガブタの花は夜明けとともに一斉に開花します。
花の大きさは僅か1cm余り。
ガガブタは水位が低い時には葉のすぐ下から根を伸ばし池の底に張ります。
反対に水位が高い時には茎を伸ばして浮かびます。
田んぼへ水が流れる度に水位が変動するため池にうまく適応しているのです。
水面に緑の小さな葉のようなものが浮かんでいます。
珍しい水に浮かぶコケの仲間です。
イチョウの葉に似た形からその名が付きました。
ため池でも生き物たちの営みが見られます。
ジュンサイの葉の上で卵を産もうとしているのは…右側のオスが尻尾の先でメスをしっかりとつかんでいます。
しばらくすると…。
メスが沈みました。
メスは自ら水中に入ったのです。
ジュンサイの茎に卵を産み付けるためです。
少しでも深い所に産めば水位が下がっても卵が乾燥する心配はありません。
こうして15分ほど潜水し命をつないでいきます。
こちらでは小さな魚が泳いでいます。
メダカです。
かつては日本の小川の代表的な魚でしたが今では全国的に貴重になりつつあります。
ここにはまだすめる環境が残っているのです。
8月下旬西谷に雨の日が増えてきました。
(雨音)一雨ごとに彩りが深まっていきます。
田んぼの周りでは夏から秋へ季節の移ろいを告げる花々が咲きます。
かつて日本各地の田園地帯で普通に見られたかれんな花々。
ところが今田んぼを巡る環境の変化によってこうした野の花は姿を消しつつあります。
兵庫県宝塚西谷。
田んぼを取り囲む小さな草原は希少な草花の楽園となっていました。
2015/11/23(月) 09:50〜10:05
NHK総合1・神戸
さわやか自然百景「兵庫 宝塚 西谷の里」[字]

なだらかな棚田を彩るキキョウやオミナエシなどのかれんな花々。水辺を泳ぐメダカやトノサマガエル。懐かしい田園風景の中に息づく希少な命を、夏の宝塚・西谷で見つめる。

詳細情報
番組内容
兵庫県宝塚市の北部、棚田とため池が広がる田園地帯、西谷。夏、田んぼの近くにはキキョウやオミナエシ、スズサイコなどが咲き誇る。一昔前ならどこででも見られたが、今や絶滅が心配される貴重な花々だ。水辺ではトノサマガエルやメダカが泳ぎ、クロイトトンボは水の中に身を沈めて植物の茎に産卵、ダイサギやアオサギは小動物を狙って狩りをする。日本の田園の原風景が残る西谷で、希少な花々の花園と多様な命の営みを見つめる。
出演者
【語り】森山春香

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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