きょうの健康 ぜんそく 最新情報「これってぜんそく?」 2015.11.23


「きょうの健康」です。
これからの季節ぜんそくの患者さんにとってはつらい季節です。
そこで今日から2回にわたりまして「大人のぜんそく最新情報」をテーマにお伝えします。
お話は…ご専門は呼吸器内科でぜんそくをはじめとした呼吸器疾患の診察を行ってらっしゃいます。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
大人でもぜんそくに苦しんでる方いらっしゃるんですよね。
そうですね。
小児ぜんそくが有名ですけれども大人例えば高齢者とか妊婦の方今非常にぜんそくが多いというのが分かっています。
どうなんでしょうその子どもさんも含めてぜんそくの患者さんというのは今多いんですか?ぜんそくの患者さん全体の数は横ばいというふうにいわれています。
しかしぜんそくで亡くなるような非常に重症の方の数というのは以前は年間6,000人ほど亡くなっていたんですが順調に減ってきて最近では2,000人以下というところまで減ってきました。
しかし患者さんの中には自分がぜんそくという事に気付いていない方もいますので実際にはもう少し数が多いんじゃないかと思われます。
大人の場合は気付きにくいという事なんですね。
どうして気付きにくいんでしょう?この図は縦軸が症状の強さ横軸が時間経過日とか週の単位なんですけれどもこのように発作がある時期というのは誰でもぜんそくという事が分かるんですけれどもぜんそくというのはこの発作がない安定した時期というのがあってこの時期にはなかなか自分がぜんそくという事に気がつきにくかったり最近ではせきだけが出るような非常に軽い症状の方もおられてなかなか診断がつきにくいという事があります。
それではまずよくあるケースをここでご紹介したいと思います。
60歳で独り暮らしのAさんです。
ある日Aさんがかぜをひきました。
熱は下がったのですがせきだけが3週間ほどたっても治りませんでした。
しかしAさんは特に気にかけずそのまま放置。
するとある晩突然呼吸が苦しくなって救急車で運ばれてしまいました。
病院での診断はAさんが一度もかかった事がないぜんそくだったのです。
こういったケース多いんでしょうか?そうですね。
長引くせきだけという事で自分がぜんそくとは思わずに放置してしまう方というのは結構おられます。
その中で時々突然発作を起こしてしまって場合によっては非常にひどい発作が起きて亡くなってしまうと。
そういう事さえありえます。
最近そのように亡くなるようなひどい方というのは9割方が大人と。
特に65歳以上のご高齢の方に多いという事が分かってきています。
でもそのぜんそくに一度もかかった事がない人が突然ぜんそくになるとそういう場合もあるんですか?大人のぜんそくの経過というのはこのような3つが知られていて一つは…もう一つは…そして小児ぜんそくはなくて…この3つのタイプがあります。
今のAさんはまさしくこの3番目のこれ大人になってから初めて発症するケースになりますね。
Aさんは大人になってから発症という事だと思います。
でもそもそもぜんそく発症する原因といいましょうかねそれはどういうものが考えられるんでしょうか?まだ完全に分かっていない点もあるんですが大きく2つの事が考えられていて一つは非常にアレルギーが強いタイプ。
このアレルギーの原因としては犬とか猫とかいったような動物のふけとか毛ですね。
あるいはダニほこりといったようなハウスダスト。
こういうものに対するアレルギーが原因というふうにいわれています。
一方で全くアレルギーがはっきりしない非アレルギー性というのもあってそういうものの原因の中には…こういうものが原因となってアレルギーがはっきりしないタイプがあるという事が分かっています。
子どもは多くはアレルギー性なんですが大人のかなりの割合が非アレルギー性という事が分かっています。
またこういうぜんそくの発症の原因になるものはぜんそくの発作の原因となる事もあるので注意が必要です。
なるほど。
そもそもですねぜんそくになるとその体の中喉の辺りですねどんなふうになってるかそれを教えて頂けますか?これは人体の様子を見たものですけれども食べ物が通る食道の前に空気が通る気道というのがある訳ですがぜんそくの方ではこの気道が慢性的に炎症を起こしてるという事が分かっています。
慢性的に炎症が起きている。
はい。
これは空気の通り道というのを見たものですけれども健康な人では気道というのは管になってる訳ですけれども中がきれいに空いていて空気は自由に出はいりできます。
この丸い所が空気を通る所ですね。
はい空気の通り道ですね。
そして粘膜が…?この内側が粘膜で外側に筋肉があります。
これがぜんそくになってくるとこの粘膜面が炎症を起こしてきてむくんできます。
そして少し狭くなってくると。
しかし発作がない状態ではあまり症状を感じないと。
このように粘膜に炎症が起きてくると非常に敏感になってしまうと。
そこにいろんな刺激が加わってくるとこの筋肉がきゅっと収縮をして縮んで非常に狭くなってしまって息苦しさを感じたりヒューヒューという音がしたりするという訳です。
これ見ますと本当その発作がなくても炎症起こしてるといいましょうか気道が若干狭くなってるという事なんですね。
治まってる状態という事ですね。
それにしても私もよく喉痛めたりとかかぜをひいたりするんですが高齢でもありますしねその…かぜをひくんだけどぜんそくにならない人なる人というのは何が違うんですか?そこもまだ完全には分かっていないんですけれども一つは持って生まれた体質というのがあってそこに何らかの環境からの要因が加わる事で発症するというふうに考えられていますので桜井さんはもともとその体質を持っておられないのかたまたま今まで要因が来なかったのか。
そういう意味ではもしかしたら今後ぜんそくを発症してきても不思議ではないというふうに思われます。
もしかしたら明日とかあさってなる可能性もあるという事…。
今晩出るかもしれない。
なるほどね〜。
どうなんでしょうか少し戻りますが一度そのぜんそくになった人というのは治るんですか?治らないんですか?発作ができないようにはもちろんできるんですけれども敏感になった気道というのは元どおりに戻る事はできません。
従って症状がないからといって治療をしないでおくとやはり刺激が加わった時に非常に敏感なのでまた発作を起こしてしまう可能性はあると。
そういう意味では完全には治ったとは言えないという事になると思います。
ですからそういう意味じゃいつもそういう状態だとするとこれからの季節は冷たい風…。
そうですね。
非常に発作を起こしやすい時期なので特に注意が必要だと思われます。
本当にそうすると完治しにくいという事ですか?治ったように見えるけど完全に元どおりになる事はないという事です。
じゃあ気を付けなければいけないんですがその前の段階で完治しないとすれば…早期に発見する何か手だてってあるんでしょうか?例えば軽くてせきだけしか症状がない場合というのはなかなかぜんそくの診断というのに気付くのは難しい訳ですけれどもよく聞いてみるとせきをした時にせきだけではなくてゼーゼーヒューヒューという喘鳴といいますけどもそういう音が聞こえる事があります。
あっ確かにせきのあとにヒューヒューと尾を引くような。
これがその喘鳴っていうんですか?よく聞くとこういう音が聞こえる時があってそういう時にはこういう長いせきが続いてこういう喘鳴がある場合にはぜんそくもなんですけれどもぜんそく以外にも…こういう病気が原因の場合もあります。
また心臓が弱ってくる心不全とかそういう可能性もありえます。
そういう重篤の病気の可能性もあると。
でも今の音ですと本当にその自宅でもよくせきを聞いているとそのあとのヒューという音が聞こえる場合もあるという事なんですね。
はい。
はい分かりました。
さあそれではそうかもしれないなと思って病院に行くとします。
病院での検査ですねそれはどんなものがあるんでしょうか?ここに病院でのぜんそくの検査法を示してあります。
一般的なものとしてはやはり最も大事なのは聴診器を使って先ほどの喘鳴が聞こえないかという聴診をする事が大事です。
胸部のレントゲン写真を撮って先ほど申し上げたような結核とか心不全とかそういう重い病気がない事を確認した上で呼吸器の専門的な病院においては呼吸機能検査いわゆる肺活量の検査。
吐く息の中の成分このNOという成分を測定したり近年ではこの強制オシレーションといったような検査法があります。
一酸化窒素の検査ですね。
はい。
これがそれぞれの検査なんですけれども呼吸機能検査というのはいわゆる肺活量の検査で力いっぱい息を吐いて頂いてもし狭くなってるとその吐いた数字が下がる事でぜんそくというのが診断できる事があります。
その気道が狭くなった場合には…。
数字が低くなる訳ですね。
この呼気の一酸化窒素NOの検査というのはこれは吐く息を分析するだけで肺の中にぜんそくの炎症がないかという事を測定する事ができます。
炎症を見る検査なんですね。
この強制オシレーション法というのは肺活量というのは力いっぱい息を吐く必要がある訳ですがこれは普通に息をしてもらうだけである程度肺の中の状態が分かるという事でそれぞれの検査でそれだけでぜんそくの診断がつく訳ではないんですけれども組み合わせる事で昔に比べると随分ぜんそくの診断はできるようになってきたという事になります。
より精度の高い検査方法が組み合わせもできるようになってますね。
それではその検査を受けてぜんそくと診断されました。
今度は治療はどうなんでしょうか?ぜんそくの治療というのは大きく2つの柱があって一つはもちろんお薬で治すと。
もう一つは薬を使わない日常生活上での対策というのも重要です。
この薬での治療は次回また詳しくお伝えするとしましてこの日常生活での対策ですねこれについて今日詳しくお伝えして頂けますか?特にアレルギーがはっきりしてる方というのは室内にあるようないろんな発作の原因を避ける事。
ダニハウスダストあるいは犬や猫の毛とかいったものを頻繁に掃除をして減らすという事が大事です。
またかぜやインフルエンザの予防として当然の事ながら手洗いマスクそしてワクチンを打つという事も大事です。
また非常に敏感な気道に刺激物が入っていかないようにたばこや化粧品に気を付けるというのも重要ですし。
化粧品とは化粧品の何ですか?強い匂いとかが刺激になる事があるんですね。
これは全員ではないんですが日本人のぜんそくの大体半分ぐらいの方がアルコールお酒を飲む事で発作を起こすという方もおられますのでそういう方はお酒を飲まないように注意するという事も大事だと思われます。
アルコールにも注意しなければいけないんですね。
ほかに何か自分でできる事ってありますか。
自己管理の武器として一つこのぜんそく日記というものがあります。
ぜんそく日記。
中身はこのようになってます。
細かくこう見ると分かれてますよね。
例えば発作にしても大中小とあるんですね。
これは小発作というのは苦しいけど横になれる。
中発作というのは苦しくて横になれない。
大発作というのはもう動けないという発作です。
そういう発作の種類から次はこのピークフロー値ですか。
これは何ですか?ピークフローというのはご自宅で患者さんが息を吐く事でそのスピードを測定してどれぐらい気管支が狭くなってるかを知る方法でこのピークフローメーターという機器を使って測定します。
ちょっとよろしいですか?はい。
これを吹いて…これ確かにスケールがありますのでこれ上がったり下がったりしてそれでその気道の狭さ太さが分かるんですか?ちょっと吹いてみていいですか?吹くポイント…。
力いっぱい一気に吹いてみて下さい。
一気にはい。
こういう感じでいいんですか?そうですねはい。
この値によってぜんそくかどうかという判断になるという事なんですか。
はいあまり症状がなくても狭くなってるとかいう事が分かる訳ですよね。
なるほど。
これはどういう所で入手できるんですか?呼吸器の専門の病院でご相談して頂ければ手に入れる事ができます。
はい。
今日は大人のぜんそくの最新情報ですね「これってぜんそく?」という事で伺ったんですけど改めて今日のポイントをお願いできますでしょうか。
ぜんそくというのは発作が起きていない状態でも炎症があって非常に敏感になっています。
従って発作がない時にもしっかりと治療しなければなりません。
それはやっぱりお薬を使う事も大事ですけれどもいろいろな日常生活の注意ですねこまめに掃除をしたり刺激物を避けたりインフルエンザのワクチンを打ったりそういう事が大事です。
またせきだけが長く続くとかいった場合にもぜんそくの可能性があるので早期発見早期受診というのが大事だと思います。
油断をしちゃいけないという事になってきますね。
はい。
今日は松瀬厚人さんと一緒にお伝え致しました。
明日は…どうも今日はありがとうございました。
明日またよろしくお願い致します。
2015/11/23(月) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 ぜんそく 最新情報「これってぜんそく?」[解][字]

ぜんそくは発作と安定した状態を繰り返すため、気づかずに過ごすケースがある。季節の変わり目に突然発作が起こることもあるので注意が必要。原因と自分でできる対策を紹介

詳細情報
番組内容
ぜんそくは、大人になって初めて発症するケースも少なくない。ぜんそくになると、気管が常に炎症を起こし、ささいな刺激にも敏感な状態になる。刺激がなければ、症状が出ず、自覚することが難しい。しかし、一度敏感になった気管は元に戻らないので、季節の変化などの日常のささいな刺激でも突然発作が起きる。発作が重症の場合は窒息死する場合もあるので特に注意が必要。早期発見のポイントや自己管理の対策について紹介する。
出演者
【講師】東邦大学医療センター大橋病院教授…松瀬厚人,【キャスター】桜井洋子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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