(刺す音)
(うめき声)
(パトカーのサイレン)おい。
係長も来るらしい。
(榎本香織)裏全部閉まってた。
(本田勇蔵)おう。
早かったな。
お疲れさまです。
被害者はこの家に住む田口剛司さん。
家具メーカーアステカの代表取締役です。
アステカか…大手だな。
(刑事)妻子とは8年前に別居。
それ以来一人暮らしだったようです。
(刑事)傷の位置と防御創が見当たらない事から考えて背後から近づいて襲ったようですね。
凶器は見つかってるのか?いいえまだ。
しかし傷口から見ると包丁より小型の極めて鋭利な刃物だと思います。
(本田)一撃だな。
強い殺意を感じるな。
それに…。
それに?勘だが犯人は刃物を扱い慣れてる感じがする。
あっ…。
うん?メグスリノキ。
ああ?これメグスリノキですよ。
うちの実家にもあったんですけど皮を煎じて目を洗うと眼病に効果があるって。
ハハッ迷信だろう。
それが意外と効くらしいんですよね。
これわざわざ引っこ抜いたみたいだな。
ええ。
あっこれ写真撮って。
町内会の付き合いなんてありませんよ。
ろくにあいさつもしない人だったもの。
いろいろ噂はされてましたけどね。
どんな噂ですか?だから…いろいろ。
奥さんに捨てられたとか会社部下に乗っ取られそうになってるとか。
そうですか。
ご近所でのトラブルなんかは?しょっちゅうですよ。
向かいのお宅なんか犬がちょっと吠えただけで怒鳴り込まれて…。
ええっ?すぐに怒鳴る人でしたよ。
この前何かの配達の人に怒ってたし。
配達の人って…?あっ私携帯電話で怒鳴ってるの見た!それいつの事ですか?
(片岡悠介)大丈夫ですよ。
リンゴに白菜にホウレンソウでしょ?ええ。
ちゃんと忘れてないですから。
うん!もうちゃんといい色のやつ選んでますから。
はい。
もっとね息子を信用して…。
えっ?ごま油?それちょっと…もっと早く言ってくださいよもう!いえいえあの…口答えしてるわけじゃないです。
はい。
はい。
ちゃんと買って帰ります。
はい。
はい。
怖いなあ…。
ごま油…。
ごま油売ってるかな?ここ。
ごま油ねえ…。
イタッ!マジ痛ぇ…。
骨折れてるっぽいこれ。
大丈夫かよ?なめときゃ治るから。
なっ?おっさん。
えっ?その態度まずいっしょ。
ケガさせたんだから治療費ぐらい払ってくんなきゃ。
いやいやいや…。
ごめんごめんごめん。
悪いな。
大丈夫か?買い物買い物…。
イテッ!危ないねお前!とおっ!よいしょ!お前らがら空きなんだよ。
100年早いから。
なっ?こいつ!コラーッ!あんたたちこないだ補導されたばっかなのにまた悪さしてるの?ち…違いますよ。
だったらさっさと家帰って勉強する!合間にちゃんと親孝行もする!はいっ!榎本お前なんでここにいるんだよお前!女に嫌われる言動その1「お前」呼ばわりする。
すいませんねどうも。
これから聞き込みなんだけどさ佐久間印章って知らない?はんこ屋さん。
あっこの右行ったところだよ。
サンキュー。
そうだ!せっかくだからさ一緒に行かない?いや俺今日ね非番なの非番。
どうせ暇なんでしょ?たまには聞き込みぐらいしないと勘鈍るよ。
カモーン!カモーンってお前…何?俺買いもんだよ買いもん。
怒られるよ…。
ここ。
ああ…。
ごめんください。
(佐久間拓也)いらっしゃいませ。
お仕事中にすみません。
警視庁捜査一課榎本と申します。
同じく片岡です。
警察の方が何か?田口剛司さんの事でお聞きしたい事がありまして…。
田口剛司さんご存じですよね。
ええ。
亡くなったそうですね。
どこで聞きました?昼のニュースで見ました。
お気の毒です。
失礼ですがトラブルになっていませんでしたか?はっ?5日前の夜田口さんが電話で怒鳴っている姿を近所の人が見ていました。
該当する通話記録を調べたところこちらのお店の番号でした。
クレームをつけられましてね。
クレーム?商品にですか?商品なんてあっさり言われると困るんだけどまあ一応自分が作っているのは作品のつもりなんですよね。
1つ1つ心を込めて彫ってます。
つまりあなたは田口さんから注文を受けはんこを制作したもののその出来上がりに文句を言われたと。
ええ。
電話でさんざん嫌みを言われて。
翌日話をしに行きました。
(田口剛司)なんだ?このゆがんだ字は。
これじゃ読めんだろうが!
(佐久間)ゆがんでいるだなんて…。
(佐久間)篆刻っていうのは本来こういう字体なんですよ。
実印としてお使いになるならこの方が…。
何に使うかはこっちの勝手だろ!もっと読みやすい字で作り直せ!だからこうして彫り直していたんですがね。
(佐久間)本人が亡くなられたんでご家族に連絡しようと思ってたんですけど。
ゆうべの11時過ぎどこで何をしていらっしゃいました?仕事をしていましたよここで。
それを証明出来る人は?いなけりゃ私は殺人犯扱いですか。
いえ…念のためです。
ご近所に確かめてみてくださいよ。
夜中に通りかかった人が私の姿を見ていたかもしれない。
気に入らないなぁ。
なんか引っかかるのよね。
被害者ってあれ…離婚してたんだっけ?うん8年前。
あのはんこあの…「歩美」って彫られてたけどよあれどういう関係の女なんだ?残念でした。
離れて暮らしてる娘さん。
あっそ。
それより犯行に使われた凶器傷口の形状から見て小刀みたいなものだったらしいの。
あの店にはそういうのたくさんあったよね。
お前それじゃあよ大工とか金物屋が一番怪しい事になっちまうだろ?わかってるわよ!あくまで印象って事。
まあ頑張るこったな。
捜査本部は江東中署だから。
えっ?片岡んちからワンメーター。
おいちょっとやめろよお前。
うちに来て飯でも食いに来るつもり?お前。
先生に伝えて。
かわいい教え子がまた遊びに行きますって。
言っといてよ。
…ったくこの突貫女が!とんだ道草だよほんとに。
あっごま油忘れたよほら。
(高杉陽一)忙しいんすよ。
これから配達なんで。
すいません。
ひとつだけ確認させてください。
3日前田口さんの家に配達に行った時何かトラブルがありましたよね?
(高杉)クレームですよクレーム。
クレーム?あ…どういう事ですか?
(田口)ああ…こっちだ。
庭の方から入れてくれ。
はい!このバカ!大事な苗木を…。
すみません。
気がつかなくて…。
(田口)あんた名前は?えっ?会社にひと言言ってやる。
それとな代金は払わんぞ!
(高杉)えっ?それで代金を踏み倒された?いや最後には払ってくれましたけど。
まさか俺を疑ってるんじゃないですよね?いえいえ田口さんにかかわりのあった皆さんに話を伺ってるだけで。
それと念のため昨日の深夜11時頃どこにいらっしゃいました?うちでテレビ見てましたよ。
言っときますけど俺何も知りませんからね。
クレーマーなんてしょちゅうなんでいちいち殺してたら大変です。
まあそりゃそうだけどね。
あっすいません。
高杉さんって…。
(ため息)アイタッ!
(片岡美知恵)いい加減にその猫背は直しなさい!ゆがんだ姿勢はゆがんだ精神に通じる!何度も言ってるじゃありませんか。
はい。
亡くなったお父さんの事を思い出してごらんなさい。
いつも背筋をちゃーんと伸ばしてあんたとは大違い。
はい…。
背広から何からお父さんのお古ばっかり着てるくせにそういうところは全然違うんだから!大体ねあんたって人はね…。
あっ母さん母さんあのね榎本がまた遊びに来たがってましたよ。
榎本香織さん?あの子最近どうしてます?相変わらずね男を押しのけて肩で風切って歩いてますよ。
フフ…さすがは私の教え子です。
中学生の頃からしっかりしてましたもの。
刑事になったと聞いた時はほんとにビックリしたけど。
私もビックリしましたよ。
母さんのね元教え子と同じ職場になるなんてね。
これも何かの縁です。
でいつ遊びに来るって?飯さえ用意すればねあいつは飛んでいきますよ。
どうせねあいつ自分で料理なんか出来やしないんだから…。
あんたに言う資格なし!まったくあんたときたら平気でシワシワの服を着るヒゲもろくに剃らない。
ピーマンは残す。
ご飯にお味噌汁をかけて食べる。
そんなふうだからお嫁さんに逃げられるんです。
逃げられたんじゃありませんよ。
あれはれっきとした円満離婚。
(美知恵)言い訳は結構!それから将棋なんかしてる暇があったらさっさと婚活に励みなさい!詰将棋です正確には。
これはですね頭脳を駆使したパズルのようなもので…。
頭脳を駆使して早く新しい嫁を見つける!あっわかっちゃったかも。
ふんふん…うーんだ!ヘヘヘ…。
おはようございます!おはよう。
ういっす。
おはようございます。
あっフジちゃん今日早いね。
いつもですよ。
オオカミみたいになっちゃって。
あっ榎本さんおはようございます。
おはよう。
8時59分55秒…。
56575859…。
よしっと。
相変わらず毎朝時計合わせてるのか?電波時計に買い替えろよ。
気に入ってるんですよこれ。
そりゃわかるが…。
でなんか用ですか?管理官から伝言だ。
今日から西青梅署に行ってくれってさ。
しばらくお前さんを借りたいって手塚新署長から直々の電話があったらしい。
手塚…手塚高志ですか?高校の時の同級生だってな。
やりにくいな。
いえ別に…。
ひょっとして部活の剣道部も一緒だったりして。
実はそうなんです。
ハハハ…そりゃあいいや。
腐れ縁ってやつだ。
昔の話ですよ。
で今すぐ来いって言うんですか?ああ…着任してまだ1週間だ。
仕事始めとして未解決事件の洗い直しに力を入れたいらしい。
11時に待ってるって。
はい。
ううっ…!
(刑事)おとなしくしろ!59分55565758…。
(手塚高志)入れ。
失礼します。
本庁捜査一課よりまいりました片岡悠介です。
11時ジャストか。
高校時代の遅刻魔が大した進歩だな。
何しろお前ときたら朝練は毎朝寝坊試合の日まで寝過ごしやがって!よく覚えてますね。
それにしても久しぶりだな。
剣道部のOB会以来か?ご無沙汰しております。
このたびは署長就任おめでとうございます。
やめろよ。
お前に敬語を使われるとむずがゆくなる。
それともあれか?お前の剣道と同じで油断させておいていきなり面か?いつまでも根に持たないでください。
で私が担当する事件というのは?まあかけてくれ。
これだ。
西青梅署の未解決事件の1つ橘町洋菓子店社長殺人事件だ。
概要をお願いします。
うん。
え〜事件発生は1994年11月26日。
被害者の小池健太郎さんは全国に12店舗を持つ小池洋菓子店の社長だった。
現場は自宅の美術品室。
美術品室。
被害者はなかなかの趣味人で気に入った骨董品や絵画を自宅の一室に保管していた。
(手塚の声)死体が発見されたのはその部屋の入り口近く。
死因は脳挫傷。
鈍器のようなもので頭を殴られていた。
入り口の鍵が壊されていたがそこからも室内からも犯人のものらしき指紋は見つかっていない。
唯一の手がかりは庭で見つかった25センチの靴跡だ。
男にしては小さいが女にしては大きい。
靴の特定は?量販店のスニーカーで犯人特定には結びつかなかった。
ちなみに現場に荒らされた形跡はなく骨董品類も持ち去られてはいない。
つまり物取り目的だった可能性は低いと。
うん。
怨恨の線で捜査が進められたが結局事件は迷宮入り。
時効まであと10日だ。
ハハハ…。
(手塚)何がおかしい?いやなかなか無茶をおっしゃると思いましてね。
たった10日でホシを挙げろと?しょうがねえだろ。
俺だってもっと早くに着任してりゃとっくにお前呼んでたよ。
目通しておいてくれ。
会議室だがここを再捜査班として使ってくれ。
他に空きがないもんで。
雨風しのげればなんでも結構ですよ。
刑事課の浅野だ。
浅野直樹です。
よろしくお願いします。
よろしく。
人手が足りない時は言ってくれ。
以上だ。
はい。
ああそれからここ全館禁煙な。
はい。
よろしく。
しっかし新署長もむちゃくちゃ言いますよね。
あのタバコは…。
いいんだよ。
ええっ?ああ…。
15年前のホシをたった2人で挙げろっていうんでしょ?しかも10日ってどんだけハードル高いんだって話ですよねぇ。
まあ署長の任期なんて2〜3年だしその間に手柄を立てたいっていうのはわかりますけどね。
…ってかもしこれで逮捕出来れば俺らも表彰もんですかね?よく動くお口だね。
俺しゃべってないと疲れるタイプなんですよ。
こっちはペラペラしゃべられるとな逆に疲れるんだけどよ。
とりあえず俺の捜査方針聞いてもらえます?被害者は洋菓子専門チェーンを一代で築き上げた人物でしょ?業界の風雲児と呼ばれていてそれなりに敵もいた。
だけど当時容疑者には全員アリバイがあった。
でも絶対どこかに穴があったと思うんですよね。
もう一度全員のアリバイを洗い直してですね…。
意味がない。
はい?それじゃあっという間に10日経っちまう。
(浅野)なんすか?将棋?詰将棋だ。
これは普通の将棋と違ってなあらかじめ与えられた譜面で玉を追い詰めるんだ。
最初の一手を誤ると永遠に詰められない。
しかし逆になんの意味もないような一手が勝負を決める事もあるんだ。
そんな話してる場合じゃないでしょう。
捜査の話だ。
はい?15年前警察がホシを詰められなかったのは最初の一手を誤ったからだ。
俺たちが今やるべき事は全く新しい一手を探す事。
15年前誰も見向きもしなかった切り口をな。
その一手が間違ってたらどうするんです?まあその時は…俺たちの負けだ。
それってただの博打じゃないですか!お前博打は嫌いか?いえ…あ…まあ…。
どこ行くんですか?15年前の事件当日犯人はこのフェンスを乗り越えて敷地内に侵入。
足下の地面には25センチの足跡がくっきり残っていた。
25センチってまた中途半端な大きさですよね。
男か女かわかりゃしない。
…つうか俺も25センチなんですけど。
ちなみに俺の彼女も同じです。
25センチ。
一緒に住んでるんですけど俺の靴下とかいつも勝手に履くんですよね。
俺が自分の履くと激怒するくせに…。
あれっ?聞いてました?犯人は母屋を無視して裏手に回り…。
この部屋に向かい…。
入り口の鍵を壊して…。
室内に侵入。
その後外出先から帰ってきた小池健太郎さんと鉢合わせし…。
(うめき声)
(浅野の声)なんらかの鈍器で小池さんの頭部を殴って殺害。
逃走した。
問題は犯人がなぜこの部屋に侵入したかですよね。
殺害が目的だったのなら初めから母屋の方へ向かったはずだし物取り目的ならここから貴重品がなくなってないのが変だし。
人を殺しちまったもんだからびびって何も盗らなかったんですかね?頼むからお前口だけじゃなくて脳みそ動かしてくれよ。
俺の脳みそ口と一緒に動くんですよ。
はいはい。
…おっ!これはすごい将棋盤だな!
(小池優子)あの時のままです。
(優子)部屋の中全部15年前のままです。
(浅野)あっ…先ほどはどうも。
勝手に拝見してます。
お気兼ねなく。
うちの娘です。
片岡です。
浅野です。
初めまして。
(小池めぐみ)めぐみです。
お世話になっております。
そういえば事件があった日は午後1時からバレエの発表会だったとか。
はい。
これでも主役だったんですよ。
グレーテルの役の。
グレ…てる?グレーテルです。
『ヘンゼルとグレーテル』です。
ご存じですか?あああの話?青い鳥を探しに行くんですよね?それはチルチルとミチルです。
『ヘンゼルとグレーテル』はお菓子の家を見つける話です。
(浅野)ああ…。
だけど会場の控え室で父にひどい事を言われたんです。
お前が主役になれたのは特に他の子よりうまいからじゃない。
家がお菓子屋さんだからじゃないのかって…。
めぐみ…。
頭にきて父を追い返しちゃったんです。
お父さんは見なくていい。
帰ってって…。
家に帰らなければ死なずに済んだのに…。
私があんな事を言わなければ…。
あなたのせいじゃない!もうおよしなさい。
いつまでもそんな事言うの!これよろしかったら。
すいません。
うちの人気商品です。
(浅野)ショートケーキか。
3年前の誕生日以来だな。
うるさいよ。
(浅野)すいません。
主人が生前若い人たちによく言ってたんです。
これがすべての基本だぞ。
無理に凝ったケーキなんか作ろうとするなって。
私のバレエの事もそう言いたかったのかもしれません。
基本を無視して背伸びするんじゃないって。
厳しい方だったんですね。
頑固で口の悪い人でしたけど見る目だけはありました。
人を見る目も物を見る目も。
あの晩小腹が減ってコンビニに行ったんです。
そのあとビデオ屋さんに寄って音楽を試聴したりして30分くらい店にいました。
事件の時刻と一致します。
って事はアリバイになりますよね。
…ええ。
なんだよ…来てるよ…。
(舌打ち)ほんとにすてきな人でしたよ!へえ〜。
麻の背広をパリッと着こなして乗馬に社交ダンスビリヤードなんかも嗜んで…。
え〜!あとあと結婚記念日にはバラの花束なんか贈ってくれたの〜!かっこいい〜!先生いいなそんなご主人。
悠介もねえあんなふうに育つはずだったのにどこで間違えちゃったのかしら…。
ただいま〜。
あっ帰って来た!おかえり。
お邪魔してまーす。
悠介ちょうどよかった。
冷蔵庫からビール取ってちょうだい。
ビール!ちょっとお二人共ね飲みすぎじゃないですか?何言ってんの!「酒は百薬の長」でしょ!そうですよ。
元教え子と酌み交わすなんて教師冥利につきます。
それはよかったですね。
うん。
あんたもねもう大人なんだから少しは飲めるようになりなさい!ほらほらほら…。
いやいや無理なもんは無理ですよ。
片岡!少しは人生の楽しみ方覚えたら?ほんとにねえ。
詰将棋指してれてば満足だなんて男としてスケールが小さすぎます!ちっちゃいちっちゃい!どうせねスケールの小さい草食男子ですもん。
草食のくせにピーマンは残す!ピーマン?あはははは!そうだ。
ねえ今度日本酒なんてどう?いいっすね。
よしあのね頂き物なんだけどね美味しいのがあんの。
持って来るねよいしょ!すいません!図々しいんだよお前は。
ちょっとお水にしたら?…シロみたいよ。
ん?あの佐久間さんてはんこ屋さん。
事件時刻コンビニとビデオ屋に行ってた。
ふ〜ん残念だったな見込み違いで。
いや〜…結構私の勘当たるんだけどな。
食堂はと…。
あっありました。
あっあれですね。
あれだ。
大学のキャンパスかあ…昔を思い出すなあ。
あっ俺テニスサークル入ってたんですよ。
片岡さんは?ん?俺は…。
へえ〜剣道。
黒帯っすか?お前剣道に帯なんかねえよ。
お前と話してると調子狂っちゃうんだよな。
でも渋いっすね剣道一筋の青春なんて。
俺な一筋なんかじゃねえんだよ。
ここだけの話な俺な編み物サークル入ってたんだ。
編み物?その顔で?顔でってお前…自分でマフラー編んじゃうんだよこうやって。
手編みでですか?ちゃんちゃんこもだよお前。
へえ〜あっ今度見してくださいよ。
すいませんねお食事中。
ちょっと時間がないもので。
(野村健一)いえいえ。
早速なんですけどこの15年間の間になんか新たに思い出した事ありませんか?犯人の特徴など…なんでも結構なんです。
ていうか逆にほとんど記憶消えてるんすけど。
普通そうだよな。
うるさい。
もう一度当時の状況を整理しましょう。
1994年11月26日あなたは小学校から帰る途中小池健太郎さんの家の前を通りかかった。
そこで家から出てきた人物とぶつかった。
(咳)しかしその人物の顔は見ておらず服装の記憶もないと。
ええ。
転んで起き上がった時には相手はもう角を曲がって見えなくなってたんですよ。
すいませんね役立たずで…。
いや無事で何より。
(2人)え?「尻餅をついたはずみに飴玉を喉に詰まらせた」。
当時の刑事たちにそうおっしゃったそうですね。
あれ以来でかい飴トラウマなんすよ。
ご協力ありがとうございました。
何味でした?は?その時の飴玉。
コーラ味ですよ。
よく覚えてます。
しかし学校に飴玉持参とは悪い小学生だね。
ちょっと片岡さん…!帰り道にもらったんですよ。
確か…集金のおばさんに。
集金のおばさん?通学路でよく見かけた人です。
いつも自転車に乗ってて…。
忘れちゃったな。
場所どこだっけ?あっおばさんこんにちは!
(子供たち)こんにちは!こんにちは。
今日もね飴あるわよ〜。
やった!俺コーラ味にする!じゃ俺オレンジ味!寄り道しないで帰りなさいよ。
(子供たち)はーい。
はーいまたね。
うん。
じゃあねおばさん。
はーい気をつけてね!その時の集金の女性の名前覚えてますか?う〜ん…なんてったかなあ?女子は「キャンディーおばさん」って呼んでましたけど。
キャンディーおばさん…。
事件時刻に近所を歩き回っていた人物なら犯人を見ている可能性はありますよね。
だけど新聞とか保険の集金人には当時の捜査員がすべて当たってるはずですからね。
いや15年前の地取りの資料集金関係の人物はすべて男の名前だった。
となると飴玉の女性は一体なんの集金をしていたのか。
う〜ん…。
ガスかもしれませんね。
ガス?いや都市ガスの担当者には聞き込み済みだ。
いやプロパンガスです。
事件現場の橘町って都市ガスの引かれてない地域なんですよ。
どの家庭も個々にプロパンガス会社と契約しているはずです。
プロパンかあ…。
そうですか…。
従業員はずっと男性だけで。
わかりました。
お忙しいところすみませんでした。
ここアウト。
誰が集金の女を捜せと言った。
お前が捜すのは犯人だろうが!事件発生時刻その女性は確実に現場付近にいたんです。
そして当時誰も彼女に聞き込みをしていなかった。
確証はあるのか?その女が犯人を見たという確証が!たとえ目撃はしていなくてもその後犯人につながる情報を耳にした可能性があります。
バカ言うな。
当時近隣住人からはめぼしい情報はほとんどと言っていいほど…。
人間初対面でしかも相手が刑事じゃ緊張してろくに話せないもんです。
思い出せるもんも思い出せなくなっちまう。
そうかもしれんが…。
集金の女性は社交的な性格だったようです。
情報っていうのは気さくな女性のところに一番集まるもんです。
まあとにかく2〜3人応援お願いします。
このままじゃ電話だけで日が暮れちまう。
女を見つけ出しても何も出てこなかったらどうすんだ?時効までの貴重な時間を無駄にするだけだぞ!警戒するばかりで打ち込まない。
そのうちに守りに隙が出来て攻め込まれる。
あなたはいつもそのパターンでしたよね手塚署長。
(浅野)そうですかご夫婦で経営を。
で奥さんの方が集金に回ってらしたんですね。
橘町にも契約家庭があった?すいません今奥さんいらっしゃいますか?何時頃お帰りに?え!?本当ですか?それいつの事です?ええええ。
で発見されたのは?でご主人はいらっしゃいますか?はいはい。
あ…わかりました。
ありがとうございました。
どうした?なんかわかったか?ええ多分当たりだと思うんですが…。
あの地区を回っていた女性は15年前に殺されたって…。
殺された?禁煙です。
すいません。
ん?おい。
(浅野)はい。
こいつだ。
えー遺体が発見されたのはえー…1994年11月28日午前9時頃。
場所は多摩市内の杉山中央公園の茂みの中。
第一発見者は公園の清掃業者だ。
被害者は永田美佐代42歳。
住所は青梅市峰巻。
夫と共にプロパンガス販売会社を経営。
死因は…首を絞められた事による窒息死。
死亡推定時刻は…前日の27日…!午後1時から4時の間。
所持品はなし。
(浅野の声)死体の右手には抵抗した際にむしり取ったと思われる本人のものではない髪の毛が数本握られていた…。
当時通り魔的犯行と考えられたもののこれといって容疑者が浮かばないまま事件は迷宮入り。
小池健太郎さんが自宅で殺害されたのは15年前の11月26日。
この女性が殺されたのはその翌日だ。
現場が離れてたから誰も関連付けなかったんですね。
殺害方法が違うし物を奪われてる点も違うしなあ。
彼女やっぱり目撃してたんですよ小池さんを殺した犯人を。
そして口封じのために殺された。
そう考えるのが一番自然です。
よし最初の一手だ。
(永田哲郎)ああいつもバッグに飴玉入れて持ち歩いてたよ。
「子供たちに配るのが楽しみだ」って言ってね。
集金途中に出会う子供ですね。
俺らガキいなかったからさ。
あの…この方ご存じですか?誰だよこれ。
小池洋菓子店社長小池健太郎さんです。
奥様の事件のあった前日つまり1994年11月26日橘町の自宅で殺害されました。
事件の起きた時間帯に奥様が同じ町にいた事がわかっています。
何?つまり2つの事件は関連している可能性があるんです。
事件前夜の奥様の様子話して頂けませんか?あの思い出せる限りでいいんで…。
(ため息)
(浅野)永田さん。
昔さんざん刑事に話したよ。
そいつらに聞きゃあいいだろう。
すでに捜査本部は解散しています。
現在この件を扱っているのは継続捜査の担当者のみです。
ふんお役所だよなあ。
コロコロ担当変わって人をあっちっこち引っ張り回しやがって…。
事件の前夜奥様にいつもと変わった様子は?だから地図見てたって刑事に言ったよ!地図?ああ狛江市の地図だよ。
(永田の声)担当区域でもねえのになんで狛江の地図なんかって思ったけどさ。
その時奥様何かおっしゃってませんでした?忘れたよそんな事!だけどな警察に言われた事は一生忘れねえ。
(浅野)なんて言われたんです?女房に男がいたんじゃないかとか夫婦仲は冷えていたんじゃないかとかさ。
揚げ句に奴ら俺を犯人扱いしやがった。
さんざん人をコケにしやがって…。
結局振り出しから1歩も進んでねえじゃねえか。
この15年ただの1歩も。
帰ってくれ。
あんたたちは信用出来ねえ。
狛江市の地図かあ…事件と関係ありますかね?前にも言っただろう。
意味がないように見える一手が玉を詰める事もあんだ。
二歩にならなきゃいいですけどね。
バカ野郎お前!いって!いつもと違う行動にはな必ず意味があるはずなんだよ。
それをたどっていけば必ず正解が見えてくる。
そう願いたいですけどね。
ああ?すいません…。
(舌打ち)
(めぐみ)キャンディーおばさん…この人キャンディーおばさんです。
みんなそう呼んでました。
学生にも確認とったし間違いないっすね。
あのこの人が何か?ご主人の事件が発生したまさにその時刻彼女は現場のすぐ近くにいました。
そして翌日何者かに殺されていたんです。
2つの事件は立て続けに発生したものの現場が離れていたため当時は関連がないと思われて…。
どうしてそんな大事な事どうして今頃…!どうして今までわからなかったんですか?めぐみ。
私たちほんとはもう諦めてたんです。
15年も手がかりが出てこないから犯人はもう捕まらないだろうって…。
言葉にはしなかったけど母も私もそう感じてた。
だからお互い父の話は避けてきた。
なのにこんなぎりぎりのところで…。
なぜですか!余計苦しいじゃないですか。
時効の日余計苦しいじゃないですか!めぐみ!もうやめなさい。
もう一度よく思い出してください。
現場になった美術品の部屋について。
15年前犯人の目的があの部屋にあった事だけは間違いないと思うんです。
事件の前とあととで部屋には必ず何か変わった事があったはずなんです。
思い出してください。
部屋は元のままだったって刑事さんに何度も話しました。
盗まれた物が何もなかった事も目録できちんと確認しました。
目録?美術品の目録です。
全部照らし合わせて…。
見せてくださいその目録。
無駄だと思いますけど…。
お願いします。
見せてください。
違う。
違う?何が違うんですか?
(浅野)片岡さん!やっぱり違うなあ。
この駒の素材は楓です。
楓?しかし目録には「黄楊」と書いてあります。
ほんとだ。
「本黄楊」ってありますね。
この盛上げ駒ってなんですか?うん文字を彫ったあと漆を埋めて盛り上げるんだ。
将棋駒の中では最高級品だ。
先日どうも妙だと思ったんです。
楓は駒の素材の中では二級品です。
この将棋盤は榧の最高級品なのになぜ駒はそうでないのかと。
父がまがい物を買わされたという事ですか?いや。
ご主人は物を見る目はあったと先日おっしゃいましたよね?ええ。
だとすれば素材が楓である事に気づかないわけがない。
おそらくご主人は本当に黄楊の駒を手に入れたんでしょう。
え?じゃあこれは…。
犯人がすり替えたかもな。
その前に気になるのは駒の購入日だ。
11月18日。
事件のあったわずか1週間前。
これはまるで…。
(優子)まるでなんです?ご主人は黄楊の駒を手に入れたために殺された。
そんな感じさえします。
見えてきましたよ。
15年前犯人がなんの目的でこの部屋に侵入してきたか。
黄楊の駒を楓の駒にすり替えるために…。
その最中に思いがけずご主人が帰宅してしまった。
おい!何してるんだ!確かにそう考えればすべてがつながりますよね。
ご主人が駒を手に入れた経緯をご存じありませんか?私は主人の趣味には一切口出ししませんでしたから詳しい事は…。
でも15年前の11月に主人は山形へ行ったんです。
山形?果物農家を見て回りに。
父は商品に使うフルーツをいつも自分の目で選んでましたから。
その帰りに天童市に寄ったらしくって…。
山形県天童市将棋駒の産地ですね。
あの人工房を見てきたって言ってました。
いい駒が見つかったので職人さんに直接注文したって…。
その注文を受けたのがこの人物。
駒職人竹田幸造。
(手塚)駒のすり替え…。
それが犯人の目的だっていうのか?ええ。
駒がなくなればすぐばれちまうがよく出来た偽物がそこに残されていれば誰も盗難だとは気づかない。
犯人はそう考えたんじゃないかと。
すり替えの途中帰宅した小池さんと鉢合わせて殺害に及んだこれで決まりですよ。
いやしかし犯人はそもそもなんのために駒をすり替えたんだ?それは現金に換えるためですよ。
名人が作った黄楊の駒はかなりの値段になるそうですから。
(手塚)都内の質屋骨董屋を片っ端から調べる必要があるな。
署長出張の許可頂けますか?出張?どこに行く。
山形県天童市。
15年前小池さんから注文を受けた駒職人に会ってきます。
マジっすか!?犯人は当時駒が注文された事実そのものを把握していたはずです。
だからこそ小池さんが駒を手に入れた直後に犯行を実行出来た。
職人の周辺を洗えばそいつが浮かび上がってくるってわけか。
さらにこの竹田幸造という駒職人も疑う必要があります。
わかった。
行ってこい!失礼します。
(ドアの開閉音)
(手塚)あと1週間…!あなたが働いてる運送会社では作業用のカッターナイフが従業員全員に配られていますね。
刃の形状が被害者の傷口と一致しました。
こんなカッターどこの文房具屋だって売ってるじゃないですか!お宅以前家具メーカーのアステカに正社員として勤めていたらしいね。
だが今年の春田口社長の号令で始まったリストラの対象になってクビを切られた。
当然社長を恨んだよな?そのあとアルバイトとして働き始めた運送会社であなたは偶然にも田口さん宅に荷物を届ける事になった。
かつて自分をクビにした社長の家に。
そこで田口さんからクレームをつけられお宅はトラブルを起こしたとして時給を大幅にカットされた。
恨みが二重になったわけだ。
そうだけど殺してなんかいないですよ!現場近くの民家が門に防犯カメラを設置してました。
(本田)こいつは事件直後の時刻だ。
ここに映ってるのは…?植木以下ですよ…。
植木以下…?俺らは植木以下の存在だったんですよ。
あいつにとっては。
自分は平気で社員を切り捨てるくせにちょっと苗木を倒したぐらいで…。
このバカ!ギャーギャーギャーギャー…。
認めるんだな?田口さんを殺したのを。
(田口のうめき声)悪い事をしたと思ってます。
でも後悔はしてません。
人を殺した事を後悔してない…?
(本田)何がおかしい?ニュースで名前出ますよね?俺の名前。
名前が出るのがうれしいのか?有名になりたかったのか?
(高杉)そんなんじゃありません。
じゃなんで笑ってる?最近名前なんか呼ばれてませんでしたから。
いつもそこのバイトそこのバイトって。
ちゃんと名前で呼べってんだ!バカが!
(浅野)せっかく来たんですからまずは米沢牛食べません?「腹が減っては戦は出来ぬ」っていうし。
「武士は食わねど高楊枝」ともいうしな。
じゃあ聞き込みが終わったら食べましょうよ。
あと俺彼女に土産頼まれてるんですよね。
ビーフジャーキー。
でも女ってなんでああなんすかね?人を平気でパシリに使って。
お前女にナメられてどうすんだよ…。
(携帯電話)あっ…ちょっとごめんね。
(携帯電話)はいもしもし?あっ片岡?こっちの事件解決した。
あの例のはんこ屋だったか?違った。
犯人ね運送会社のアルバイトの男だった。
「当てになんねえなおめえの勘も」うるさいなぁ。
でさどっかでパーッと飲みたいんだけど付き合ってよ。
片岡は水でも飲んでグチ聞いてくれればいいからさ。
あ無理だな。
俺今な出張で山形にいるんだよ。
山形?あっそれじゃお土産にビーフジャーキー買ってきてよ。
米沢牛の…。
「それでまた片岡んち…」
(不通音)はあ…。
どうしたんですか?なんでもない。
ごめんください。
15年前工房を見学に来た小池健太郎さんから駒の注文を受けた。
間違いありませんよね?
(竹田幸造)ああ…。
小池さんに売った駒素材はなんでしたか?素材?はい。
なんでそんな事を?見覚えは?知らん。
なんだい?これは。
小池さんが所有していた駒です。
素材は楓ですよね?ああ…。
これはあなたが作ったものではありませんね?竹田さん…。
(竹田)俺が作った駒だ。
えっ…さっきそんな…!?たった今「知らない」とおっしゃったのは?思い出せなかった。
思い出せなかった?自分の作った駒をですか?ああ。
歳のせいかな。
ビンゴですね。
駒をすり替えたのは彼ですよ。
そう思うか?当たり前じゃないですか。
でなきゃ元から楓の駒だったなんて見え透いた嘘つきませんよ。
あの職人が駒のすり替えの張本人だとしたら目的はなんだ?なぜ自分の駒を取り戻そうとしたんだ?小池さんとの間に支払いのトラブルでもあったんじゃないんですかね。
だとすれば鉢合わせて殺しちまったのも納得出来ますし。
とにかくこの目録を突きつけて任意で引っ張りましょうよ。
その前に米沢牛でも…。
浅野お前東京戻れ。
はあ?狛江の地図の事がどうも気になるんだよ。
永田美佐代さんが見てたっていう?うん。
殺される前の晩なぜ彼女は狛江市の地理を確認する必要があったのか…。
そのヒントになる事をあのだんなは必ず知ってるはずだ。
だけどご主人は何も覚えてないって…。
お前ね…女房との最後の夜の会話だよ。
きっかけさえあれば必ず思い出すから。
きっかけって…。
どうすりゃいいんです?お前しゃべり得意だろ。
任せるから。
任せられても困りますよ。
それに俺ビーフジャーキー買って帰らないと。
はいはいそれも…。
それも任せるから。
な?ビーフジャーキーも任せる…?これ俺持ってあげる。
いや片岡さんもビーフジャーキー欲しいんですか?要らない要らない。
えっ?ダメだ。
都内の質屋骨董屋をしらみつぶしに当たったが15年前に駒が持ち込まれた店はなかった。
もしかしたらすり替え説は空振りかもしれないぞ。
持ち込まれた店がないならないでまた別の筋が見えてきます。
(手塚)「どういう意味だ?」犯人は金目当てじゃなかったって事ですよ。
「何!?」盗まれた駒は犯人にとって金なんか問題にならないほど特別なものだったんです。
失礼します。
またあんたか。
いや…何度もすいません。
あの…これをお見せするのを忘れてまして。
小池さんがあなたから買ったのは楓の駒じゃありませんね。
素材は黄楊だとここにはっきり書いてあります。
なぜあんな嘘をついたんですか?俺は自分の駒を取り戻そうとした。
その事を知られたくなかったからだ。
では小池さんの家に侵入し駒をすり替えた事は認めるんですね?ああ。
私だ。
なぜ?なぜ取り戻そうとしたんですか?私の作品を価値のわからん人間の手元に置いておきたくなかったからだ。
小池さんを殺したのはあなたですか?ご同行いただけますか東京まで。
大金星かもしれんぞ。
はい?片岡だよ。
時効1週間前に重要参考人が出たそうだ。
おぉ…。
ハハハ大した奴だあいつは。
なかなかやるじゃん。
将棋の駒は勝負のためにある。
だがあの成り金にとっての駒は壺やら掛け軸やらと同じただの観賞用だった。
金に飽かせたお飾りだった。
あの男の手に渡った駒は永遠に使われる事もなく愛される事はない。
自分の作品がただのお飾りになるのが耐えられなかった。
それが駒を取り戻そうとした理由ですか?そうだ。
あの駒は今まで作った中で最高の出来だった。
だからこそそれにふさわしい人物の手に…本当に将棋を愛する者に譲りたかった。
すり替える途中小池さんが帰宅しましたね。
もう一度伺います。
あなたが小池さんを殺したんですか?状況から見てほぼ奴に間違いないだろう。
時効直前の身柄確保感謝する。
まだ事件が解決したわけじゃありません。
うん…。
無論これからが勝負だ。
なんとしても殺しの供述を引き出して起訴に持ち込まなければ時効は停止しないからな。
署長はあの男が犯人だとお思いですか?どういう意味だ?彼は永田美佐代さんの写真を見てもなんの反応も示さなかった。
彼女の事知らないんですよ。
構わん。
えっ?俺がお前に命じたのは洋菓子店社長殺しの捜査だけだ。
集金の女性殺しについてはお前の推測に過ぎない。
うちの管轄の事件については半ば認めてるも同然なんだ。
作戦かもしれませんよ。
(手塚)作戦…?自分が犯人だとにおわせておけば警察の捜査はそこでストップする。
それが彼の狙いだとしたらどうします?何を言ってる?タイムリミットは目の前です。
この日が過ぎてしまえば我々はもう永遠に王手をかけられない。
勝てる局面が目の前にあっても一手も指す事が出来なくなるんです。
あの男はそれを知っていて真犯人の誰かをかばっている。
真犯人が別に存在するっていうのか?間違いないと思います。
バカ言え。
足のサイズだって一致してるんだ。
同じサイズの男は山ほどいます。
いいかこの段階で15年前のアリバイなんて奴に立証出来るわけがないんだ。
今お前がやるべき事は奴と被害者とのトラブルを洗って自供を引き出す事だ!それじゃ彼の術中にはまるだけです。
これは命令だ。
片岡!彼は任意で引っ張ってるんです!帰ると言われれば止める事は出来ないんですよ!だったらホテルでもなんでも缶詰めにして取り調べを続けるんだ!
(浅野)お願いしますよ。
ったくお前もしつこいね。
忘れたっつってんだろ。
なんでこんなとこまでくっついてくるんだよ!
(浅野)最後の晩の会話です。
何か1つぐらい覚えてるでしょう。
目障りだ。
帰れ帰れ。
そう言わずに。
お酌しますから。
男につがれたってうれしかねえんだよ。
お前が帰らねえんなら俺が帰る。
酒がまずくなっちまった。
(店員)ありがとうございます!あっ俺出します。
ここ大丈夫ですから。
冗談じゃねえよ。
警察に借りなんか作ってたまるかよ。
気にする事ないっすよ。
どうせ経費ですから。
4500円になりますね。
財布…。
何か?財布拾ったんだあいつ。
(浅野)えっ?
(永田美佐代)免許証なかったら困るわよねぇ…。
免許証がないと困るだろうってそう言ってたんですか?ああ。
(浅野)狛江市の地図を見ながら?ああそうだよ。
他には?他には何か言ってませんでした?それだけだよ。
もういいだろ?いつまでもくだらねえ事言ってねえでお前も飲めほら。
はいはい…。
おねえさん!冷酒おかわり!
(店員)はーい!免許証…。
よし!
(田口歩美)ありがとうございます。
ああ…田口さんの…。
(歩美)娘の歩美です。
警察の方だけですお花を供えてくれるのは。
いえそんな…。
いいんです。
父がみんなに嫌われてた事よく知ってます。
平気で人を傷つける人だったから。
だけど最後に会えてよかった…。
はい?事件の3日前私父に会いに来たんです。
結婚?うん。
同じ会社の人と。
式は3か月後。
式に出てくれるでしょ?お父さん。
バカ…当たり前だろう。
はんこ?お前ももう大人だ。
1つちゃんとしたのを持たせてやろうと思ってな。
お父さん…。
嫁に行っても使えるように下の名前で作った。
しかしひどい代物だ。
そんな事ないよ。
今はんこ屋に彫り直させてる。
お前らしい素直な字でな…。
頑固だったけど私には優しい父でした。
ええ。
これ私がプレゼントしたんです。
メグスリノキっていうんですけど。
そうだったんですか…。
目の病気に効くそうですね。
父白内障だったから。
気休めですけど。
大事になさってたんでしょうね。
すり替えていない?昨日の供述はすべて嘘だったというんですか?ああ。
俺が作ったのは楓の駒だ。
黄楊なんかじゃない。
小池さんの目録はどう説明するんです?送った時品名に本黄楊と添え書きをつけた。
彼にわかるはずがないと思ったからね。
(ため息)供述を二転三転させて我々を混乱させるつもりですか?そうやって時間稼ぎして時効の瞬間を待つつもりですか?なんの話だかわからん。
一晩ゆっくり寝て思い出しただけの事だ。
(ため息)あなた方駒職人が作る駒はすべての文字が揃っていて乱れがないのが信条ですよね?あなたの工房にあったのもそうでした。
しかしこの駒の文字は1つずつ微妙に乱れています。
これはあなたの作品でないのは明らかです。
よく見てるな。
あんたも将棋が好きなのか?はい。
竹田さん真実を話してください。
真実か…。
この駒は字が乱れてるわけじゃない。
わざと違えているんだ。
字の太さはねの具合など1つ1つをすべて変えてる。
しかしこんなのは本来の職人の仕事じゃない。
いわば道楽。
遊びで作ったもんだ。
それだけだ。
もう話す事はない。
今日は山形に帰らせてもらうよ。
どうぞ。
遊びで作った駒を商品として売るはずがないでしょう。
職人としてのあなたのプライドが許さないはずだ。
これは小池さんに売ったものじゃない。
天童市のあなたの作品を仲介する業者に確認しました。
あなたはいつも客の注文を受けてから駒を彫り始めるそうですね。
それがどうした?しかし15年前小池さんのもとには注文からわずか2日で駒が送られてきていました。
たった2日で駒が出来上がるはずがありません。
となると考えられる事は1つ。
すでに出来上がっていた駒…別の誰かのために作った駒を小池さんに売ったという事です。
その駒を受け取るはずだった人物は悔しかったでしょうね。
もういい。
だから危険を冒してまで駒を手に入れたくなった。
もう何も話したくない。
誰をかばってるんです?
(浅野)おはようございます!お前こんな時に遅刻か?いい根性してんなこの野郎!いや違いますって。
朝イチで永田さんに再確認してたんです。
再確認?はい。
ゆうべは永田さん酔いつぶれちゃったもんですから。
免許証の入った財布を拾った…?らしいです。
それだけご主人が話してくれました。
おそらく財布は犯人が落としたものでしょう。
永田美佐代さんは中に入っていた免許証の住所を見て落とし主に届けようとした。
だから担当地区ではない狛江の地図を見ていたんですよ。
しかし犯人にとって彼女は危険人物だった。
素性は知られているし犯行現場から逃げるところを見られていたかもしれない。
口封じする動機は十分です。
やっぱりいつか俺が言ったとおりじゃないですか。
美佐代さんは犯人と出くわしたために殺されたんですよ。
片岡さん俺がいつも適当な事ばっかり言うと思ってるんでしょうけど今回ばかりは…。
すいません。
今回ばかりは認めてやるよ。
お手柄だよ。
ありがとうございます!犯人を絞り込む材料は揃った。
94年11月の時点で狛江市に住んでいた人物。
そして竹田幸造から駒を受け取るはずだった人物だ。
天童市の駒の配送センターに電話しろ。
顧客リスト洗ってもらえ。
え…?それどういう…。
(ノック)
(浅野)はい!お疲れさん!なんだよおめえかよ…。
どうも。
どうもどうも。
あ!君が浅野君?はあ…。
お噂はかねがね。
ああどうも。
あの…どちら様で?どちら様ってほどのもんじゃねえけどよ…。
警視庁捜査一課の榎本警部補。
これは失礼いたしました!うんどうも。
こっちがひと段落したから陣中見舞いに来てあげたのよ。
それはわざわざどうもと言いたいけどねこっちは大詰めでお前のご機嫌取ってる暇ねえんだよ。
何よせっかくお土産持ってきてあげたのに。
まあ山形で食べたかもしれないけどさ皆さんでどうぞ。
わぁおいしそうだなぁ〜!ラフランスってやつですよね。
わざわざ買ってきたの?例の佐久間さんってはんこ屋さん田口さんにはんこの彫り直しさせられたって言ってたでしょ。
それを娘さんが取りに行くっていうんでまあ…お詫びがてら一緒に行ったの。
そしたらこれ。
あはんこ屋がくれたの。
山形出身なんだって。
これ名物。
いなかからいっぱい送ってきたからどうぞって。
せっかくだから頂きましょうか。
これむいてきて。
(刑事)はい。
(刑事)すいません頂きます。
どうぞ!はんこ屋…山形…はんこ…。
あれ被害に遭った田口さんとこのお嬢さん…名前なんだっけ?田口歩美さん?歩美…?まさか…!もしかして…。
片岡さんなんですか?な…何?どうしたの?榎本ちょっと一緒に来てくれ!え…!?ちょっ…!ちょっとちょっと…!痛い!どこ行くの〜?え?田口さんの家だよ!え〜?田口さんの家。
浅野!おい何やってんだ!おめえも来るんだよ!早く!ったくいつもこれだよ!田口さんって誰ですか…!いらっしゃいませ!あ…お宅この間の…。
佐久間拓也さん。
ちょっと伺いたい事がありまして。
なんなんです?犯人はもう捕まったんでしょう?そっちの事件じゃありません。
この楓の駒見覚えは?…さあ?知りません。
先日あなたがここで彫っていたはんこです。
印鑑用の文字でもどこかにその人本来の癖が出るもんですね。
この2つの「歩」の文字…ここのハネ具合なんか素人目にもそっくりなのがわかりますよね。
この駒を彫ったのはあなたですよね?あなたははんこ職人になる前将棋駒の職人見習いとして山形で修業していた。
師匠の名は竹田幸造。
15年前あなたは師匠のもとを飛び出して上京し狛江市のアパートに入居した事がわかっています。
そして1994年11月26日。
あなたは自分が作ったこの駒を持って小池健太郎さんの家に侵入し師匠のものとすり替えた。
そして戻ってきた小池さんと鉢合わせして彼を殴って殺害した。
知りません!小池なんて人知りません。
ふ〜ん…。
ではこのお店調べさせてもらえますか?店を…?はい。
あなたが小池さんの家で駒をすり替えたとすればこの店のどこかに竹田さんが作った駒が保管されているはずです。
それが嫌なら髪の毛を何本か頂けませんか?
(浅野)もう1人の被害者永田美佐代さんの手に残っていた犯人の髪と照合するために。
どうします?疑いを晴らすチャンスですよ。
部屋と髪の毛どちらを調べてほしいですか?浅野…!
(浅野)佐久間ー!待て!
(浅野)観念しろ!下がってろ!そこ!佐久間!大事な仕事の道具をそんなふうに使っていいのか?師匠が泣くぞ。
俺には師匠なんていない!浅野!…はい!おい…いつまでこうやって待たせる気だ?
(刑事)恐れ入ります。
もうしばらく。
(ノック)どうもお待たせして申し訳ありませんでした。
いい加減にしてくれ。
私はもう帰らせてもらうよ。
残念ですがそういうわけにはいかなくなりました。
もう少しお話を伺わなければなりません。
何を言ってるんだ!もう話す事なんかないと言ってるだろう。
たった今佐久間拓也を逮捕しました。
逮捕…。
(竹田)今朝方配送センターの北原さんが持って来てくれた。
「本当にこれを発送してよろしいんですか」と言ってな。
なぜこんな出来損ないの駒を私の名前で売ろうとしたんだ。
師匠が注文をお断りになったからです。
当たり前だ。
今まで見た事もない全く新しい字体?そんな注文を私は受けない。
お客の注文に応えて新しい駒を作ることがなぜいけないんですか?何…?若い人たちの中には他の人のと違う日本中で自分しか持っていない将棋駒が欲しいって人だっているんですよ!それを注文された方だって…。
そういう要望に応えてあげるのも職人の仕事じゃないんですか?駒職人は代々乱れのない駒を作る事に心血を注いできた。
しかし人間は機械ではない。
手彫りの駒にはおのずと1つ1つに微妙な違いが出る。
それが職人の個性であり力というものだ。
客の要望にいちいち応えて無理に字体を乱そうとすれば先人たちが作り上げた伝統が失われてしまう。
時代は変わってるんですよ。
全く変わらない伝統なんてあるんですか?将棋は年寄りだけのものじゃない。
若い世代が喜ぶ駒があったっていいじゃないですか!百歩譲ってその意気や良しとしよう。
しかしそれはお前が私を超えてからやるべきだ。
私は自分の跡を継ぐのはお前しかいないと思っていた。
これはお前が私を納得させる駒を作った時に渡そうと思って用意しておいたものだ。
だがこの分ではまだまだ先だな。
若くて傲慢だった俺は師匠の言葉を受け入れる事が出来なかった。
自分が全否定されたとしか思えなかった。
だから自分が正しい事を証明するために知り合いの収集家や美術商に俺の駒を売り込もうとしたんだ。
だが誰ひとり相手にはしてくれなかった。
それで駒職人の道をあきらめ上京したわけか。
いやそれでも俺はあきらめきれなかった。
もう一度やり直そうと師匠のところに詫びを入れに行ったんだ。
ところがその日あの小池って男が現れた…。
(小池健太郎)こう見えてもね工芸品には一家言あってね。
うん。
素晴らしい駒だ。
(竹田)ありがとうございます。
伝統を受け継いだ品はやはりいい。
甘えもてらいもなく強さがある。
本物の強さがね。
うちで働いている菓子職人にはいつも基本を学べと言ってるんだ。
新しがるだけではいいものは出来ないってね。
まあ反発して出て行く者もいるがそういう連中は決してものにはならん。
(竹田)そうでしょうな。
どうだろう?この駒私に売ってもらえないだろうか。
値段はお宅の言い値でいい。
これほどの駒には二度と出会えない気がするんだ。
ぜひ譲ってもらいたい。
このとおりだ!わかりました。
数日以内にお送りいたします。
あの駒は元々俺のものだったんだ。
(浅野)だから手に入れようと決心した。
あれを見てもう一度昔の気持ちを取り戻したかった。
駒職人に戻りたかった。
だからどうしても…。
(小池)おい…!何してるんだ!君はあの職人の弟子だったそうだな。
君のような若者山ほど知ってるよ。
自分のやり方を否定されすねて姿を消した若者たちを。
みんなどうしようもないクズになってしまったがね。
クズ…?そう。
今の君のようにな。
君にはその駒を持つ資格なんかない。
さっさとそれを元に戻して消えうせろ。
(殴る音)
(うめき声)凶器は鍵を壊すのに使ったバールですか?そして現場から逃げようとしてあなたは財布を落としましたよね。
ああ…。
それを拾った永田美佐代さんは狛江市に住むあなたを訪ねて行き…。
親切な人だった…。
(ノック)
(佐久間)…はい。
佐久間拓也さん?お宅これ昨日落としたでしょう。
橘町で。
「落としましたよ!」って呼んでも振り向きゃしないんだもの。
あんまり急いでるからなんか悪い事でもして逃げて来たのかと思ったわよ。
フフフ。
(佐久間)ありがとうございます。
助かりました。
いいのよ。
どうせ暇なんだから。
それじゃ。
あの…!お礼と言ってはなんですけど車でお送りしましょうか。
夕立が来るみたいなんで。
あらやだ。
そうなの?そして車の中で殺したんですか。
ああ…。
あの人は現場近くで俺を見ていた。
俺の素性も知ってる。
だから…。
(ため息)
(ノック)あなたの弟子佐久間拓也が2件の殺人について自供しました。
(手塚)竹田さん。
あいつに伝えてもらえませんか。
1つだけ…。
本当に素晴らしい駒だ。
成金社長の言ったとおりだよ。
俺はクズだ。
個性だとかプライドだとか…そんなものはどうだっていい。
魂を込めた職人仕事にかなうわけがない。
どうしてもっと早く気がつかなかったんだろう…。
黙って師匠のところに戻って頭を下げればよかったんだ。
師匠に会いに行くか?もう会っちゃくれないさ。
俺は師匠に見捨てられた人間だ。
そうかなぁ…?どう思ってるか直に聞いてみたら?竹田幸造さんはおとといからうちの警察にいるぞ。
警察…!?あの人はあんたをかばうために我々の捜査を混乱させようとしていた。
時効まで粘ってあんたを自由の身にさせるために。
嘘だ…。
いや…あの人の行動の理由はそれしか考えられない。
竹田さんは今でも自分の技術をあんたに伝えたいと思って…。
違う!自分のためだ!あの人だって自分の身が可愛いに決まってる!昔の弟子が殺人犯だと知れたら竹田幸造の名前に傷がつく!だからそうやって…!バカ野郎!なんでわかってあげねえんだよ!竹田さんからあなたへ伝言です。
約束の駒はもう一度作り直してちゃんとしまってある。
(浅野)いつか必ず渡しに行くと。
見捨てられちゃいなかったんだよ。
あんたは。
逮捕…!?本当ですか!ありがとうございます。
ありがとうございます…!
(優子)あなた聞いたでしょう。
これでやっとゆっくり休めますね。
お菓子の家だよお父さん。
私が作ったの。
犯人がなぁ…捕まったそうだ。
ん…ん…ん…よいしょ。
また合わせてるんですか?時計。
これやらねえとな1日の区切りがつかねえんだよ。
電波時計に買い換えたらどうですか?もしかして思い出の時計とか?ハハ図星っすか?お前さぁ…。
はい。
その勘の良させいぜい捜査に生かしてくれよ。
はぁ…。
じゃあな。
お疲れ!
(刑事)お疲れさまでした。
(浅野)片岡さん!間に合いましたね。
ああ間に合ったな。
ご苦労。
俺は2年で本庁の殺人班に戻れる事になってる。
お前さえよければ俺の班に編入してくれるよう今から希望を出しておくがどうだ?いや私は今の継続捜査の方が水が合ってます。
それに忘れたくないんです。
いまだにホシが挙がっていない事件の遺族や同僚たちの顔を。
絶対にホシに高笑いさせたままにはしない。
ただそれだけです。
失礼します。
(ドアの開閉音)
(美知恵)事件解決を祝して…カンパーイ!カンパーイ!あ〜おいし〜い!ただいま〜。
おかえり。
あ〜どうもどうも…。
まったくなんでこんな時間から飲んでんですかあんたたちは。
もう…。
いいじゃないよたまには〜。
あんたのためにお祝いしてるんでしょ。
私の鋭い勘のおかげで片岡の事件も解決したんじゃないの?そりゃどうもありがとうございます…。
わかったならおつまみでも用意しなさい。
俺が?うん。
「親孝行したい時に親はなし」。
「墓に布団は着せられず」と。
片岡の作るマリネ最高なんだよね〜。
お前ほんとにそう思ってる?最高だよ。
ほ…ほんとか!?おう!そうか俺褒められると弱えんだよな。
作っちゃおうかな!作っちゃうよ!アハハ…!母さん。
母さん冷えちゃうから。
はい着て着て。
温かい温かい。
温かい。
作っちゃおうかな〜!フンフ〜ン。
ねえねえこれこの間の?じゃいきましょうよ!よ〜し!おい榎本!ほら出来たぞマリネ!いいじゃんいいじゃん!これこれこれ…。
これが食べたかったの私!お前俺を見習ってなこれ作れよこういうな料理を。
料理できないんだよ。
いいのよ。
私はさあ仕事出来るんだから…。
2015/11/23(月) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
再捜査刑事・片岡悠介[再][字]
時効まであと10日!東京〜山形天童、2つの迷宮入り事件を結ぶ15年前の殺人免許証
詳細情報
◇番組内容
未解決事件の継続捜査を行う警視庁捜査一課・第二特殊班の刑事・片岡悠介は、時効の迫った殺人事件の応援に行くことに!!一方、悠介とは顔なじみの榎本香織刑事は、家具メーカー社長殺害事件の犯人を追って!!
◇出演者
寺島進、南果歩、金子貴俊、杉本哲太、吉行和子、小野武彦、石井正則、不破万作、山下容莉枝、つまみ枝豆
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
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