政治的混乱が常態の「EUの首都」
ベルギーの首都ブリュッセルで、テロ警戒レベルが最高に引き上げられ、厳戒態勢に入ったのは21日だが、まだ解除されない。少なくとも30日まで続くそうだ。
ベルギーというのは昔からへんてこな国だった。首都のブリュッセルは、紛れもなく美しく豊かな街で、美味しいビールと極上のチョコレートでも有名だ。もちろん、2万5000人の職員を擁する欧州委員会の総局があるので、「EUの首都」ともいえる。
しかし一方で、ブリュッセル市の人口が100万人強なのに19もの自治体に分かれていて、19人の長がいて、6つの警察本部がある。公用語はフラマン語、フランス語、そしてドイツ語。政治は混乱しており、すでにそれが常態のようだ。大昔、落合信彦氏がベルギーのことを「白いインド」と呼んだが、言い得て妙だった。
2010年の総選挙の後はなかなか組閣ができず、ようやく新内閣が成立した時には、選挙から535日が経っていた。つまり、1年半のあいだ正式な政府がなかったのだが、とくに支障もなかった。とはいえ、535日の空白というのは、おそらく世界新記録だろう。現在の内閣は4党連立で、14年6月の選挙後、わずか(!)4ヵ月で誕生した。
ベルギーにはイスラム系の移民が多い。ブリュッセルでは、その数は、すでに住人の半数を超えており、近年では、新生児の名前で一番多いのがムハンマド君だという。
アラブ系だけでなく、アフリカ系の移民も多い。コンゴ、ルワンダ、ブルンジなど、ベルギーがかつてアフリカに植民地を持っていたためだ。
ベルギーの植民地政策は、多くの国がまだ植民地を持っていた20世紀の初頭でさえ、あまりに残忍であるとして国際的な非難を呼んだという。コンゴでは、過酷な搾取によって人口が5分の3に減ってしまったそうだ。
ベルギーの植民地であった国は、独立した後もそろって貧困から立ち直れず、そればかりか、内戦や虐殺など悲惨な状況が続いた。それは、独立に際しての宗主国の無責任な対応の結果によるところが多いと言われている。
-
ロシアとトルコは「全面戦争」に突入するのか?~世界の列強は、すでに「対テロ戦後」を睨んで動き始めている(2015.11.27)
-
東京五輪を「フードテロ」が襲う!~逃げられない、防ぐ手段がまだない・・・爆破テロより深刻(2015.11.27)
-
福生顔面皮はぎ事件・被害者の「妻」が決意の告白! 「疑われているが私は無実。早く旦那のあとを追いたい・・・」(2015.11.27)
-
テロリストが「iMessage」を使う理由〜アップル社の暗号強化が裏目に?(2015.11.26)
-
炭水化物抜きダイエットはやっぱりキケン!? 虚実入り混じる「食」の情報、その真偽をただす(2015.11.26)
- イスラム過激派が500人!テロ厳戒下のベルギーはいま、無法地帯になっている (2015.11.27)
- EUを覆う「恐怖」と「不安」 〜テロリストの目的は達成された(2015.11.20)
- グローバリズムとは現代の「奴隷制度」である! ~反資本主義の哲学者、スラヴォイ・ジジェクがえぐる先進諸国の欺瞞(2015.11.13)
- ヨーロッパの「静かな崩壊」が始まった!~難民問題でドイツはギブアップ寸前。じわじわと広がる排斥運動が、EUの理念を侵食する(2015.11.06)
- 太っ腹中国にお金のために跪いたイギリスの「原発プロジェクト」がスリル満点すぎる!(2015.10.30)
- ますますドツボにはまるメルケル首相 ~難民問題は、「善意」や「人道主義」だけでは解決しない!(2015.10.23)