「きょうの健康」今日のテーマは「間質性肺炎に注意」です。
間質性肺炎耳にするんですけど一体どういう病気なんでしょうか。
お話は…長年間質性肺炎について研究されています。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
この間質性肺炎ですね本当にどういう病気なんでしょうか?間質性肺炎とはその名のとおり主に肺の間質と呼ばれる部分に炎症を来す病気の総称です。
間質に炎症を来す。
どういう所が間質なのかこちらの図でちょっと説明をして頂けますか?私たちの肺は肺胞と呼ばれる所の周りにたくさんの毛細血管が張り巡らされています。
呼吸をする事で血液の中に酸素を取り入れそして二酸化炭素を排出するそういう生理的な作用を担っています。
こちらはそれを半分に断面図にしたところなんですが間質とはその肺胞の壁の部分黄色く示されている所ですけれどもここを示しています。
肺胞の境目といいましょうか壁のような所ですか?肺胞の壁の部分を指しています。
はい。
病気としては普通の肺炎とはどう違うんでしょうか?一般的な肺炎はあくまで肺の…これが健康な肺胞の形ですけどその中のこの紫になった所に肺胞の中に炎症が起こります。
これは主に細菌とか病原微生物によって引き起こされるものを肺炎と呼んでいます。
ところが間質性肺炎はこの間質と呼ばれる部分が慢性の炎症を引き起こして次第に厚くなって形が崩れ進行すると線維化を来して動きも悪くなっていきます。
呼吸が大変苦しくなるのはそのためです。
なるほど。
こういう苦しいとおっしゃいましたけどその間質がそれこそ厚くなると肺の機能としてはどうなんでしょうか?はい。
これは模式化した所なんですが肺胞の毛細血管の間の間質というのは本来はとても薄い壁でできている訳なんですがそうしますと酸素を血液に取り入れそれから二酸化炭素を排出するという作用をふだん行っている訳です。
ところが間質が厚くなる間質性肺炎になりますとこの黄色い部分が厚くなって酸素を取り入れる事も二酸化炭素を排出する事もだんだん低下していくとままならなくなって呼吸が苦しくなるという状態を示しています。
その間質性肺炎の症状としてはどんなものがあるんでしょうか?呼吸が苦しいとおっしゃいましたけど症状を詳しく教えて頂けますか?今申し上げましたように呼吸が苦しくなるというのは大体この息切れであるとか空気から酸素を取り入れる事が難しくなる事によって息切れ感が出てきます。
少しの動きでも労作時動くと呼吸が苦しいという事が出てきます。
それから肺胞の細胞が炎症で脱落していくためにせき反射の神経が過敏になって空せきがずっと続くという状態が続きます。
肺炎で見られるような発熱とか色のついたたんが出る事はまれだといわれています。
個人差はあるんですが日常生活に支障を来すようになるまでには数年かかるといわれてまして患者さんが自分でこういう症状に気が付いて病院に行った時には間質性肺炎がかなり進行しているというケースも見受けられます。
それは心配です。
でもどうしたら早く気付けるんでしょう?気付く事できるんでしょうか?遡って考えますとある程度前の段階から階段を上ると息切れがするなとか動く時の息切れ感が前に比べると著しくなったという事が後で思われる訳なんですがこういった症状はほかの病気でも起こりうる症状なのでこの症状からこの病気を特定するという事は難しいといわれています。
検診とかでX線検査で指摘されるという場合もあります。
それから聴診器をあてて聞きますと肺に特徴的な音が致します。
ちょっとその音を聞いて頂けますでしょうか。
この速くパチパチって音ですか?そうですね。
こういった音は聴診器をあてると聞こえる訳ですけども病態の初期から息を吸う最後のところ吸気の最後のところで聞こえるといわれていましてとても特徴的な音といわれています。
かなりの初期の段階からこういった音が聞こえますので掛かりつけ医の先生に聴診器をあてて頂いてこういう音がすれば専門医のところに紹介を頂くというような事が重要だと考えています。
どうなんでしょう。
そもそもその間質性肺炎の原因としてはどんな事が考えられるんでしょうか?これは原因が分からないというものもあるんですが加齢年を取るという事が細胞が炎症を起こしやすくなるという事の根本にあるだろうというふうに考えられています。
まれには遺伝性のものというのも見つけられる事があります。
それから…。
喫煙があるという事ですね。
これは肺が硬くなる症状と。
線維化が起こってくる背景は男性で50歳以上とかの方に多いんですが多くの方が喫煙をしているという事がありますのでこういったものが原因の一つというふうに考えられています。
ほかにも原因が明らかなものがこちらですね。
はい。
間質性肺炎が起こる原因というのは原因というか要因というふうにいっていますけども外から吸い込むもので空気中の微粒子。
これは職業性にアスベストだとか粉じんを吸入するお仕事の方。
こういったものも起こりやすいですし過敏性肺炎といわれるものはこれはほこりやカビ鳥の抗原など羽毛も含まれますけれどもそれらに対するアレルギー反応を示すと。
それから薬剤で起こるという事がまれにあります。
抗がん剤消炎鎮痛剤などがその中に含まれます。
それから全身の病気の一部の症状として例えば…全身疾患の一部として出てくる場合もあります。
それからがんの治療として放射線治療を受けた方放射線による肺臓炎もこの中に含まれてくるかと思います。
その原因はいろいろあるという事今伺ったんですけど例えば先ほど…薬ですよね薬はどうしてその原因になってしまうんでしょうか。
薬は直接的な副作用とアレルギー反応によるものに大きく2つに大別して考えています。
直接的な副作用というのは細胞障害を直接起こす抗がん剤などが代表的なものといわれています。
2つ目のこのアレルギー反応はサプリメントや漢方薬でもアレルギー反応を起こす事によって肺障害が起き間質性肺炎が起こるという場合がまれながらですがありますので注意が必要だというふうに考えています。
どうなんでしょう詳しく検査をするとその原因というのはある程度特定できると考えていいんでしょうか?特定できる原因もありますけれども何を調べても原因が特定できないこういう原因不明のものを特発性間質性肺炎というふうに呼んでいます。
その中でも特発性肺線維症といわれるものは最も予後不良でありまして特発性間質性肺炎は7つの病気に分けられますけれどもこの肺線維症といわれるものはその半分を占めるぐらいの比率で病状がどんどん進行して生命の危険性を示してくるという難病の一つです。
なるほど。
その肺炎かあるいは間質性肺炎か検査によって診断ってできるんでしょうか?医療機関の専門医はこのX線検査とかそれから初期の場合には本当にCT検査でやっと分かるという事もあります。
画像診断という事になりますが。
それから呼吸機能検査をして肺活量や酸素の量を測ると重症度が分かると。
それから間質性肺炎のマーカーといわれるものをはかったりそれから非典型的な画像を示すような場合には病理検査をして確かにそういう病気タイプであるかどうかを検証すると。
組織を採って病理検査と。
そうですね。
病理をとって顕微鏡で見ないと分からないという場合もあります。
それから血液検査とかほかの疾患であるかどうかという事をこういう検査をして原因が明らかなものはそこから分類して外すという事をやっています。
その検査で診断されましたと。
間質性肺炎。
今度はその治療としてはどうなっていくんですか?この「原因の除去」と書いてありますけれども先ほども申し上げましたように粉じんだとかそういうほこりを吸う環境にいる方はそれをなるべく吸わないようにする。
あるいはカビとかそういったものも除去すると。
薬が原因だという事であればそれを除外すると。
ほかの薬に変えるとかですね。
それから原因を取り除く事ができないこう原病であるとかそういったものの場合にはステロイド療法であるとか免疫抑制剤を使って原疾患の治療あるいは間質性肺炎の治療を行って症状を軽減するという事が行われています。
特発性の場合もありますよね。
なかなか難しい。
特発性間質性肺炎の場合には先ほどの最も難病とされる特発性肺線維症では従来治療法がないといわれてきたんですがこの数年抗線維化薬と肺が硬くなるのを抑えていこうという治療法が開発されてきています。
ピルフェニドンという薬は2008年からそれからニンテダニブは2015年今年から処方ができるようになりました。
それから酸化ストレスとかが肺を壊すという事が病態として考えられてますのでエヌアセチルシステインというのを吸入して一定の効果が得られるという場合もございます。
特発性肺線維症以外の間質性肺炎はやはりステロイドあるいは免疫抑制剤などを使用して症状を軽減すると。
それから症状が進んでいってしまうと酸素が低下してまいりますので酸素療法を補って施行してあげるという事が患者さんのために行われているところです。
その新しい薬が登場したという事でそれだけね選択肢が増えたと思うんですけれども治療の。
どうなんでしょう私たちが日常的に予防といいましょうか間質性肺炎にならないように何か注意ができる点ってあるんですか?日常的に気を付ける事は喫煙者に多いという事から禁煙をお勧めするというのがまず第一にあります。
それから増悪因子となるようなかぜの予防のためにうがい手洗いあるいは予防注射の接種といった事を励行するという事がありますし。
悪化させないという事ですね。
悪化させないという事です。
それから薬。
いくつもの医療機関から薬をもらってらっしゃる方もいらっしゃると思うんですけど薬剤であるとかそれからまれにサプリメントという健康食品とかでもアレルギー反応を起こしたりする事ありますのでどういったものを服用されているかというのは主治医には情報の共有をして頂いて処置を頂くという事も重要だと考えています。
改めて今日のポイントを最後にお願いできますでしょうか。
特発性間質性肺炎は特に特発性肺線維症はこれまで治療法がないといわれて諦める疾患でありましたけれども抗線維化薬が開発された事によって早期の診断と進行抑制を期待できる目標にする時代になりました。
息切れとか空せきなどといった症状が疑われる場合には掛かりつけ医の先生を受診して頂きまた必要に応じて専門医療機関に紹介して頂くという事が大事だと思います。
今日は吾妻安良太さんにお話を伺いました。
どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2015/11/25(水) 13:35〜13:50
NHKEテレ1大阪
きょうの健康「間質性肺炎に注意」[解][字]
間質性肺炎は肺胞の壁の部分の間質に炎症が起き、間質が繊維化して厚くなり、肺に空気を取り込むのが難しくなる。最近、特発性肺線維症に対する新しい薬が出た。
詳細情報
番組内容
一般的な肺炎は、細菌などによる感染により肺胞の内部に炎症が起きるが、間質性肺炎は、肺胞の壁の部分の「間質」に炎症が起きる。その後、間質は繊維化して厚くなり、結果的に、肺に空気を取り込むのが難しくなってしまい、息切れがしたり空ぜきが出るようになる。原因は加齢やアレルギーや薬などだが分からない場合も多い。最近、原因が分からない特発性肺線維症に対する新しい薬が出て進行を抑えられるようになってきた。
出演者
【講師】日本医科大学教授…吾妻安良太,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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