また、ふっと起きてまた書くという。
だから、書いている間に
(アナウンス)「東教授の総回診です」
(里見)隠れてオペをやろうっていうのか?
(又一)医学部から追い出されるで。
(東)医者は派手な功績にばかり目を向けるのではなく君のように誠実なところがなくてはならない。
わたしは誠実ではありません。
(鵜飼)あの絵だがね今日のところは預かっておくことにするよ。
(財前)鵜飼先生!
(鵜飼)賄賂をもらったととられると何かと面倒だからね。
(又一)ハハハハハ。
今日のところは預かっておくて。
ヘヘヘヘ。
なかなか含みのあるええセリフや。
ハハハハ。
お義父さん。
笑い事ではありません。
(又一)うん?うっかりするとあの絵を贈ったことが逆に僕の命取りになるかもしれません。
何やあんた意外と気の小さいとこありますのやな。
これから大学教授になろうちゅう人間はもっと大胆でないとあかんのちゃいますか?
(岩田)そら違うな。
ああ。
ああこれは岩田はん。
よう来てくれはりましたな。
まあどうぞどうぞ。
ヘヘッ。
(岩田)又一はん。
えっ。
(岩田)あんた間違うてます。
えっ?
(岩田)国立大の医学部ってところは陰険で狡猾な人間の集まりなんやから小心で臆病くらいでないと教授にはなれません。
なあ。
(又一)ああウチの区の岩田医師会長や。
梅田で岩田内科を開業してはる。
言うたらこの辺の医師会のこの親分ですな。
あんじょう挨拶しとき。
財前五郎でございます。
(岩田)はあ。
あんたが財前助教授でしたか。
なかなか派手にやってられるそうで。
ヘヘヘヘ。
どうです次期教授の席は?
(又一)それがな岩田はん。
えらい難航してますのや。
(岩田)おおお。
ええ。
(又一)はいはい。
ヘヘッ。
東教授がこの五郎君の腕に嫉妬して飛ばしたがっとるらしいですわ。
その上この微妙な時期に鵜飼医学部長を敵に回すようなことしよりましてな。
また何で?説明し五郎君。
しかし…。
ハハッ。
心配すな。
この岩田はんと鵜飼医学部長とはもうただならぬ仲やちゅうこっちゃ。
(岩田)いやいやいや。
浪速大の同期やというだけやがな。
まぁ鵜飼君を医学部長にしたんはわしやけどね。
(又一)ヘヘヘヘヘヘ。
あんな五郎君。
鵜飼教授を医学部長に選出するときになこの岩田はん金ばらまいて強引に鵜飼票にまとめたんや。
鵜飼教授を医学部長に押し込んだわけや。
ヘヘッ。
そうでしたか。
(又一)ああ。
あの今後ともよろしくお願いいたします。
(岩田)うん。
まあわしに任しなはれ。
よその大学から東の後がまが来るより又一はんの婿であるあんたが教授になったほうがわしも何かと便利やからね。
ヘヘヘヘヘ。
そのためやったら何ぼでも銭出しまっせ〜。
ホッホホホ…!酒飲みまっせ〜。
ハハハハ。
(岩田)ハハハハハ。
(又一)おい!岩田はんの料理持ってこんかい!
(典江)あら。
どうなさいましたの?この絵は外しとくよ。
いずれ返さなくてはならんから。
まあせっかく頂いた物を。
何百万もする物をもらうわけにはいかんよ。
今更頂き物に驚くあなたではございませんでしょう。
タダより高い物はないんだ。
月並みなことおっしゃらないで。
大学教授にとってはタダはタダでございますわよ。
(郵便配達員)速達です。
(佐枝子)はいどうも。
ご苦労さまです。
あぁごちそうさま。
(政子)あらもういいんですの?
(東)うん。
(政子)パンもう一枚焼きましたのに。
(佐枝子)お父さま。
速達。
うん。
(政子)佐枝子さんもパンもう一枚いかが?
(佐枝子)ううん。
もういい。
(政子)あらぁ。
今日お父さまの大好きなほら角のあのパンなのに。
(佐枝子)ああそうなの。
(政子)う〜ん。
(政子)あれ東都大の船尾教授からじゃありませんの?
(東)ああ。
もしかして定年後の就職先お決まりになったの?船尾教授にお願いしたんですか?いやいや違うよ。
あらじゃあ何ですの?私心配しておりますのよ。
もしいいお話があるんでしたらじらさず私にも…。
これはねわたしの後任の教授の推薦状だよ。
(政子)えっじゃあなた財前さん教授にする気ありませんの?彼は大学教授として品格に欠けるところがあるからね。
そうですわよね。
私も思っておりましたの。
教授を押しのけて目立つような方に私たちの地位をお譲りしたくないわ。
(三知代)あっ…。
(好彦)もしもし里見です。
はい。
お母さん。
うん?東さんって人。
東さん?はいはい。
(佐枝子)覚えてますか?東佐枝子です。
はぁ驚いちゃった。
東さんって言うから東教授かと思って。
(佐枝子)急にごめんなさい。
いつでも電話していいとおっしゃっていたので。
ううん。
わたしもね佐枝子さんとはもう一度お話したいなって思ってたの。
あっホントですか?
(ノック)突然呼び出してすまなかったな。
ええまぁ。
失礼します。
(東)財前君が執刀した膵臓ガンのオペだがね。
あれは君の患者さんだったそうだね?はい。
実はあの手術はわたしは許可は出していないんだよ。
なぜならわたしの出張中に緊急オペとして行われたからね。
ハハッ。
いやいやホントのところあの手術は緊急オペとして行う必要があったのかね?記録を読む限りではそうは思えんのだよ。
財前君は自分で執刀したいがためにわたしの留守を選んで緊急オペに持ち込んだ。
違うかね?まっまあ財前君と君とは同期だから答えにくいところもあるだろうがいやしくも国立の大学病院の手術がいち助教授の私的な野心によって決定されるようなことがあってはならないとわたしは思う。
医学部の倫理を守るためにもホントのことを話してくれないか?財前助教授の手術は完ぺきでした。
あれだけ完ぺきなオペなら緊急オペという閉ざされた形ではなく他の教室の医局員も多く見学できる体制を取るべきだったのではと思いました。
そっそれはつまりその必要がないのに財前君は緊急オペを行ったということかね?はぁ。
よく言ってくれたね里見君。
(テーマソング)〜
(財前)特に胸部食道ガンでは頚部胸部腹部3つの領域にわたって多くのリンパ節転移が見られるケースが多い。
従って食道ガンの根治術においては徹底したリンパ節郭清が最も大事であり諸君は高い解剖学的知識が要求される。
(財前)腫瘍が気管に直接浸潤していたらどうする?全員教科書を閉じたまえ。
これから見せる症例は教科書などでは歯が立たない。
オペ室では君たちの医師としての想像力が勝負だ。
では実際にわたしの行ったオペを見てみる。
この患者は中部食道ガンで主病巣はsm止まりだが転移リンパ節が明らかに浸潤していた。
(鵜飼)査問ですって?
(東)今度の教授会で財前を査問にかけたいんです。
この患者が何か?どうやら財前はこのオペを自らやりたいがためにわたしの留守を狙って緊急オペとして処理したらしいんですよ。
まっこれまでも自分勝手な行動が目立ってましたがこれほどまでに主任教授をないがしろにされては教室のまとまりが持てません。
これは大きな問題にすべきだとわたしは思うんですが。
医学部長として賛同していただけますかな?そりゃ教室を乱すようなことがあれば教授会として追及しなければならないがその財前君が自ら執刀したいがために緊急オペにしたというのは確かなことですか?お宅の里見君から裏は取ってあります。
里見に?里見君は緊急オペという閉ざされた形でなくほかの教室の者も見学できるそのような体制を望んでいたと証言してくれました。
そうですか。
里見がそんなことを。
で東先生としては具体的に何を望んでおられるのです?独断で財前が緊急オペを決めたのなら断固糾弾したい。
うーん。
確かに彼には思い上がったところがあるようですからな。
(東)医学部の風紀のためにも彼にこれ以上我が物顔をさせるわけにはいきませんからね。
分かりました。
そこまでおっしゃるんなら何とかしましょう。
ただし事が事ですからすべては医学部長の僕に一任してもらえますか?ええ。
よろしくお願いします。
(竹内)すっごいよな。
(柳原)うん。
講義室いつも満席だもんな。
そうそう。
財前先生のさ講義に出るとさ背中がキュッて伸びるよ。
ああ俺も外科に移ろうかな。
(柳原)お前。
親父さんが内科やってんだろ?そりゃさいずれは親父の医院も継がなきゃなんないけど何か大学病院の内科って地味なんだよな。
どうせ医者やるなら派手に治す外科のほうが格好いいもんな。
(君子)何の話?
(竹内)んんっうん。
ああ。
(柳原)財前先生の講義に出たので。
どうしたら俺らもああなれるかってさ。
無理無理。
ハハッ。
腕も口も立って頭も切れる先生なんてめったにいないもん。
普通論文は書けても患者の扱いは下手か手術はうまくても理論はダメかどっちかだもん。
財前先生は特別だよ。
でも意外とつきあうとダメだったりして。
つきあえないつきあえない。
それより今夜どっか行かない?うるさいわね。
何もかもそろってる人はいないって言ってんの。
ああ。
あしたは夜勤?
(君子)夜勤夜勤。
いや財前先生は特別だよ。
(竹内と君子の談笑)東でございますが。
ああ。
早速優秀な人材をご紹介いただきましてありがとうございました。
(船尾)いえいえ。
両名とも東先生の後任として浪速大学第一外科の教授になるには適任だと思います。
まあ財前君の腕には劣るかもしれませんが。
いや私はね医師としてふさわしい人格かどうかを第一に考えたいと思っとりますよ。
(ノック)はい。
ではいずれまたご連絡申し上げますので。
はいはい。
入りたまえ。
失礼いたします。
(財前)遅くなりました。
講義が長引いたものですから。
いやかまわないよ。
君の講義は人気があって学生たちの質問が絶えないそうじゃないか。
いやわたしの講義などみんな静まり返ってるだけだからね。
結構なことだ。
そんな。
先生の講義は学生時代のわたしにとっては宝物でした。
来週の火曜は空いているかね?火曜は外来が入っておりますが。
金井君に代わってもらいなさい。
改めて連絡が行くと思うがね教授会に出てもらうことになった。
わたしが教授会に?君に査問を行うことが決まってね。
査問!?小西みどりという患者さんの膵臓ガンのオペについて事情を聴きたいんだよ。
あの何ゆえ査問なのでしょうか?あのオペは成功いたしました。
術後の経過も順調ですよ。
ええええ詳しいことは当日教授会でゆっくりと聴かせてもらうよ。
用件はそれだけだ。
戻っていいよ。
〜〜佃君。
どうした?
(佃)あのお話しておいたほうがいいのではと思いまして。
うん?〜終わりました〜。
やはり単独投与では反応が見られないな。
各種併用にして初めからやり直してみよう。
いやそんなことしてたら何年かかるか分かりませんよ。
抗ガン剤の効果増強の研究かね?
(竹内)お疲れさまです。
いやいやそのまま。
君。
これ回しといてくれたまえ。
竹内君。
無理だよ。
里見君は厳しい人だからね君が何か言ったぐらいじゃ考えは曲げないよ。
はあ。
(鵜飼)しかし厳しさというのはえてして周囲を傷つけることがあるからねえ。
そして自分をもねえ。
いや邪魔したね。
まっ頑張ってくれたまえ。
研究はできるうちが花だからね。
アッハハハハ。
そうか〜。
小西みどりのことバレちゃったんじゃないですか?あの失礼ですが先生。
もうちょっと器用に動いたほうがいいんじゃないですか?もう帰っていいぞ。
あとは俺がやる。
失礼します。
(里見)お疲れさま。
お疲れさまでした。
もしもし。
(財前)財前だ。
君から電話があると思ったよ。
なら話が早い。
これから時間を取ってくれ。
今実験のデータを取ってるんだ。
よかったらこっちに来ないか?大学じゃ話せない。
(里見)なぜだ?場合によっては君を殴るかもしれん。
(ケイ子)はいどうぞ。
(マミ)あの?今日は飲みたくないんで。
じゃあごゆっくり。
フフッ。
ごゆっくり。
そうだ。
東教授に俺から話した。
あのオペは公にしないという約束で引き受けたはずだぞ。
そんな約束はした覚えはない。
何だと?
(里見)それに引き受けたという言い方はおかしい。
君は外科医だ。
内科医からオペの依頼があったらやるのは当然だ。
(ため息)教授会で査問を受けることになったよ。
査問?東教授が教授会にねじ込んだらしい。
君の純粋な理想のおかげだ。
そうか。
それならちょうどいい。
俺もその教授会に出席を求めるよ。
フッ。
東教授と結託して僕を糾弾するっていうのか?バカを言うな。
今回の件について報告書を提出するつもりだ。
鵜飼教授の誤診についても書くと?はぁ。
まっそれが目的ではないがきちんと書くよ。
今後こういうことが起きないためにも事実は隠ぺいされてはならない。
相手は医学部長だ。
僕ら本当に飛ばされるぞ。
真実を言って飛ばされるなら未練はないよ。
正義漢ぶるのもいいかげんにしろ!君は自分が正しいことをしているということに酔ってるだけだ。
そうかもしれない。
だが…だからといって平然と嘘を続けていいということにはならないよ。
ど田舎で真実を叫んでも誰も聞きやしないぞ。
医者をやるなら医学部の教授にならなければ意味がない。
金も患者も集まる一流の国立大のな。
君の考え方はおかしい。
ああ。
おかしいかもしれん。
しかし多少おかしくないと正気で人の体を切り裂いて内臓を縫い合わせたりできんよ。
教授会の査問は何とか切り抜ける。
だから報告書なんか提出して僕を巻き添えにするのはやめてくれ!悪いが断る。
これを機会に医学部がこんなに閉鎖的でいいのかみんなに見直してもらいたいんだ。
じゃ行くよ。
(財前)頼むよ!頼むよ里見!一体どういうつもりだ?これは僕の闘いなんだ。
負けるわけにはいかない。
なあ財前。
闘ってるのは君だけじゃない。
(ケイ子)ありがとうございました。
〜
(ケイ子)先生。
(財前)ハハッ。
(ケイ子)ハハッ。
ああああ重い。
ああもうちゃんと歩いて。
(財前)ビール。
ハハッ。
もうやめなさいよ。
はい。
あしたは久しぶりにオペがないんだ。
ああっ!好きなだけ飲ませてくれよ。
はぁ。
あぁ。
財前先生。
緊急オペが入るかもしれませんことよ。
フッフフフフ…。
太刀打ちできなかったわね。
あの里見って先生五郎ちゃんよりうわてよ。
ああいうのが好みか?フフッ。
まさか。
でもあの人偉くならなくても正しいことができる人だわ。
偉くなりたい五郎ちゃんはそれだけで負けてんじゃないかしら。
どうしたの?帰る。
(ケイ子)そう。
じゃあね。
〜
(ため息)
(ため息)〜
(三知代)おかえりなさい。
ごめん。
起こしちゃったか?
(三知代)ううん。
好彦さっきまで咳出してたの。
(里見)いつも任せっきりで悪いな。
(三知代)ううん。
〜引っ越すのも悪くないか。
えっ?三知代。
もしかしたら職場を変わることになるかもしれない。
心配しなくていい。
心配なんかしてないわ。
医者なんかと一緒になって苦労ばっかだな。
あなたがお医者さまじゃなかったら出会ってないじゃない。
〜〜〜
(杏子)ああ…あぁ。
おかえりなさい。
ああ。
(杏子)お酒?うん。
教授選も近いからいろいろあってな。
ふーん。
(杏子)で?どうなの?なれそう?教授。
なってよ。
子供はできない。
教授夫人にもなれないじゃわたしの人生あまりに中途半端でしょう。
簡単になれたらつまらないだろう。
(ドアの開閉音)
(ドアチャイム)
(佐枝子)はい。
お邪魔いたします。
財前の家内でございます。
どうも。
近くまで参りましたので奥さまにご挨拶したいと思いまして。
ご在宅でしょうか?
(佐枝子)はい。
どうぞ。
(政子)あーら。
財前さんでしたの?ごぶさたしております奥さま。
(政子)まあ結婚式以来何のご挨拶もないからすっかりお顔を忘れておりましたわ。
申し訳ございません。
医学部のおつきあいは敷居が高くて私のような不調法者には近づきがたくて。
あら敷居が高いにしては一体今日は突然どういう風の吹き回しかしら。
あっはい。
いつまでも子供みたいなことばかりも言っていられないと思い至りまして。
財前さんも偉くなられましたものね。
ホホホ。
お母さま。
上がっていただいたら?どうぞ。
あぁ。
残念だわ。
私これから教授夫人会に参りますから。
あっいいえ。
もうホントにご挨拶だけのつもりでございます。
これよろしかったらウチの近所のフレンチレストランのパンなんです。
とってもおいしいので今朝特別に焼いてもらいましたの。
(政子)まあもっと残念。
宅は専ら和食でしてね。
朝昼晩お米でパンは全く頂きませんの。
ではごめんくださいませ。
お母さま!すみません。
ふーん。
お母さまって言うのね。
お母さまにお伝えくださる?今度は新潟のお米を持参しますって。
では。
(拍手)
(鵜飼)ただいまご紹介にあずかりました浪速大の鵜飼でございます。
本日は浪速大病院で過去20年間に狭心症患者に対して我々が行ってまいりました研究成果の一端を…。
(鵜飼の講演)ちょっと向こう行きまんねん。
(鵜飼の講演)
(又一)五郎君。
こっちやこっちや。
ああ。
お待たせしました。
ほんまかいな教授会で査問て。
はあ。
ああ。
これは東のヤツは本気やな。
本気であんたを嫉妬で焼き殺すつもりや。
よっしゃ。
ほなこっちも本気でいこうやないか。
ちょっと耳貸して。
単に降圧剤によって血圧のみをコントロールした群と比較すればその差は一目瞭然でございます。
浪速大では高血圧と肥満の両方をコントロールすることでその結果狭心症の発生率を34パーセント減少させました。
すばらしい!詳しくは医学新報の増刊号に私の論文が掲載されておりますので…。
(又一)買います。
ぜひ読みたいですわ。
ええ。
ここは皆さん。
医師会で配るとして300冊購入しましょう。
ねっ。
アハハハハ。
ハハハ。
(拍手)ああそれはグッドアイデア。
ハハハハハ。
(拍手)
(又一)さあさあ。
こちらですのや。
(岩田)どうぞどうぞ。
(又一)さあさあ。
ヘヘヘ。
(岩田)ささささ。
(岩田)平日の昼にあれだけ盛況な講演は珍しい。
医師会長としての僕の株も上がりましたよ。
いやいや。
ほんまにわたしもええ勉強させてもらいました。
その上婿の財前五郎まで何かといろいろお世話になっております。
(鵜飼)いい機会だから言わせてもらいますが財前さん。
はい。
ああいうことをしてもらっては困りますな。
はっ?ああいうこと?とぼけないでいただきたい。
あなたの名前で贈られた絵のことです。
(又一)はあ。
(鵜飼)あの絵はお返しします。
すぐお返しすると角が立つので一応お預かりしているだけで財前助教授にもそう言っておきました。
(又一)そないおっしゃらんとお納めいただきたいですな。
ほっほんのお近づきの名刺代わりですさかいもう何とぞ何とぞお気楽にひとつ。
財前助教授は次期教授の呼び声が高いのです。
教授選挙を前にしているときにああいう誤解を招くようなことはできません。
五郎君はそない有力候補でんのか?いや何やあの教授会で査問を受けんならんと聞いとったもんでいや心配しとったんですけど。
ああそうですか。
いやそらありがたいな。
そらうれしいな。
鵜飼君。
今の言葉本当かね?ほかならぬ医学部長の言葉だから重大だよ。
いや専らそういう下馬評というだけで。
財前君に対しては僕は全く白紙ですよ。
だからこそ誤解を招きたくないと申し上げてるんだ。
何も急にそない他人行儀にならんでも君と僕とは同期の桜で何事もツーツーカーカーで助けおうてきた仲やないか。
(又一)ヘヘヘ。
まぁ名刺代わりにお贈りした絵を納めていただいたからちゅうてどうこうせえちゅうなケチな根性は持っておりまへんがな。
ただただ鵜飼大先生のお近づきになりたいだけですねん。
ここはひとつ受け取ってやってもらえんかね。
又一はんはこう見えて産科医として大阪の財界人の奥さん方の顔利きだから名刺ぐらいもらっといても損はないと思うよ。
さすが医師会の役員方だけあって圧力のかけ方は見事なもんですな。
しかたがない。
あの絵は財前さんのお名刺代わりということで頂くことにしましょう。
ハハハ。
(又一)あーっ!ヘヘヘ。
そない言うていただいたらもうありがたいですわ。
お礼申し上げます。
おーい。
鵜飼大先生が絵をもろうてくれたぞ。
ハハッ。
あんたからも礼を言いなさい。
(財前)失礼いたします。
この度は義父の気持ちをお受け取りいただきましてありがとうございます。
(又一)いやこれで何もかも安心や。
ハハハ。
いや高い名刺刷ったかいがあったちゅうもんや。
ヘヘヘヘヘ。
まあ先生先生。
ヘヘヘヘ。
さあさあ上げてくなはれ。
上げてくなはれ。
ヘヘヘヘヘ。
〜
(ノック)はい。
おはよう。
おっ君か。
徹夜で報告書の作成か?
(里見)俺は何を言われても考えを変える気にはならない。
そいつはもう役に立たないぞ。
んっ?僕の査問は中止になった。
なぜだ?教授会が僕の判断を認めてくれたんだ。
あのオペは緊急オペの必要があったとね。
君は膵臓ガンを発見した。
僕はそのガンを切除した。
患者は順調に回復している。
それだけのことだ。
〜〜査問を中止する?どういうことですかな?
(鵜飼)財前君を査問する必要はないと判断したのです。
しかしなぜ急にそんな…。
(鵜飼)医学部長として各科の意見を総括したところ財前君の判断に間違いはなかったという結論に至りましてね。
まさか財前君に頼まれましたかな?失礼な。
医学部長たる僕が誰かに抱き込まれるようなことがあろうはずがありません。
とにかくこの件はなかったことにしましょう。
誤診でもあったんなら別ですが患者が助かってるんですから。
確かわたしに一任するとおっしゃいましたよね。
ではまた。
(ため息)〜
(ケイ子)もしもし五郎ちゃん?どうしたのこんな時間に?俺勝ったよ。
勝った?ああ。
おぼれずに済んだ。
そう。
気を付けてね。
先へ進めば進むほど深くなっていくものだから。
医者の世界から逃げ出したヤツに言われたくないな。
(電話を切る音)逃げ出したから見えるのよ。
(好彦)うわすごい!カブトの幼虫も載ってる。
おもしろいでしょう?すいません立派な図鑑を。
いいえ。
ウチにあったものなんです。
古くて申し訳ないけど今では売っていないものだそうなので。
佐枝子さんが子供のころ見てたものなの?いえ。
兄が昔好きだったんで。
まあお兄さんが。
大学のときに亡くなったんです。
山の事故で。
そうだったの。
好彦。
大事にしなさいよ。
(好彦)はーい。
じゃ片づけてくる。
うん。
じゃあね片づけたら手洗ってね。
ピザ手伝って。
(好彦)はい。
(里見)ただいま。
(三知代)おかえりなさい。
早いのね。
ああ。
実験が一段落ついたんで。
(三知代)そう。
あのこちら東佐枝子さん。
東教授のお嬢さん。
東教授の?はじめまして。
東佐枝子です。
お留守に申し訳ございません。
里見といいます。
どうも。
どうぞ
(里見)よっ。
あっごめん
(カズ)ちゃんとけってよ
(里見)どうぞゆっくりしてってください。
(好彦)おかえりなさい!おっただいま〜。
今日はゼイゼイしなかったか?
(好彦)うん。
(里見)よかったな。
(好彦)フフン。
(三知代)ほらもう一枚出来た。
(佐枝子)すいません。
おいしいよおねえさん。
そう?ホント。
ねえあなたも一緒に食べない?ねえ…?悪いけどちょっとあとにしてくれないか。
どうかしたの?
(佐枝子)お気遣いなく。
内科のお医者さまは外科と違って患者さんとのおつきあいが深いから大変だと思います。
お父さん。
うん?おねえさんにもらったんだよ。
おお。
いいやつじゃないか。
うん。
カブトの幼虫も載ってるよ。
フフッ。
次のページめくってみろ。
トンボの羽化が載ってるぞ。
(好彦)うわ!お父さんすごい。
ほらすごいよ!
(里見)小学校のころ僕が夢中で読んでたものと同じなもので。
はぁ。
驚きました。
ほら好彦。
本は食べてからにしなさい。
(好彦)はーい。
ホントにごめんなさいね。
もう仕事の本を読み始めると2食ぐらい平気で抜いちゃうのよ。
いいえ。
何だかホッとします。
本当のお医者さまに会ったみたい。
ほらまだまだあるからね。
それでねチーズはカルシウムっていうのが入ってて骨が強く…。
(足音)
(佃)第一外科東講座教授総回診よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
(アナウンス)「東教授の総回診です」〜
(財前)食道切除後の患者です。
うん?術式が書いてないね。
アイバールイス法の胸腔内吻合で行いました。
ほう。
君のような新鋭外科医があんな古典的なオペをやるのかね?患者の体力を考えてそれが最善の方法だと思いました。
しかしアイバールイス法ではリンパ節の郭清が不十分なはずだが?これは言葉が足らず失礼いたしました。
わたしがアイバールイス法と申し上げましたのは基本はこの方法でという意味でつまりアイバールイス法の変法として上縦隔郭清を定型的に行い…。
君。
言葉を慎みたまえ。
君にそのような講義を聴かなくても分かってるよ。
それともすでに教授にでもなったつもりかね?あまり先走らんほうがいいよ。
どの世界でも人事というのはフタを開けてみなければ分からんと言うからね。
わたしは東先生を信じております。
長年お側で仕えてきたわたしを裏切るはずはございません。
うんそれはそうだけどねだが万一わたしが君を推せないような状況になったらどうするつもりだね?まさかそんなことがあるはずはございません。
しかし万一そうなったときは…。
泣き寝入りをしないような方策を考えさせていただくと思います。
(足音)『アメイジング・グレイス』〜〜〜〜〜2015/11/25(水) 14:55〜15:50
関西テレビ1
白い巨塔 #03[再][字]【教授の椅子に座るのは誰か?財前の野望を賭けた戦い!】
「土下座」
詳細情報
番組内容
財前五郎(唐沢寿明)が教授選対策のために鵜飼医学部長(伊武雅刀)に贈った高価な絵に対し、鵜飼は「預かっておこう」と微妙な返事をした。その絵の資金を提供した財前の舅・又一(西田敏行)は、教授選の参謀として地元医師会長であり鵜飼の親友である岩田(曽我廼家文童)を財前に紹介した。一方、“財前教授就任阻止”を画策する東教授(石坂浩二)は、東都大・船尾教授(中原丈雄)から適任者の推薦を受けた上、
番組内容2
財前が執刀した膵臓がん手術について教授会で査問することにした。 東が査問を決意した理由が、里見助教授(江口洋介)の“暴露”と思い込んだ財前は里見を問い質すが、里見はそれを認めたうえで、さらに報告書を提出すると言う。 又一と岩田は医師会講演会に鵜飼を招いて、もてなす。義理のある岩田に因果を含められ、絵を受け取ることにした鵜飼は・・・。
出演者
唐沢寿明
江口洋介
黒木瞳
矢田亜希子
水野真紀
沢村一樹
片岡孝太郎
伊武雅刀
若村麻由美
西田尚美
野川由美子
池内淳子
伊藤英明
石坂浩二
西田敏行ほか
原作・脚本
【原作】
山崎豊子
【脚本】
井上由美子
監督・演出
【企画】
和田行
【プロデューサー】
高橋萬彦
川上一夫
【演出】
河野圭太
【音楽】
加古隆
「アメイジング・グレイス」ヘイリー
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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