偽装の夫婦 #8【天海祐希主演「驚愕の再会!変わり果てた夫に妻は…」】 2015.11.25


常に絶やさない女王様スマイルは世を忍ぶ仮の姿
実はとんでもない人間嫌いの嘉門ヒロはゲイであることを母に明かさない陽村超治に頼まれ理想の…もとい偽装の夫婦を演じるはめになってしまったが
超治親子に互いの秘密を打ち明けさせるとこれ以上自分の気持ちにもウソをつけなくなりついに…
(嘉門ヒロ)あなたのことが好きなんです。
(陽村超治)え?あなたにも愛してほしいんです。
身も心も全部。
もう一緒にいられません。
ごめんなさい。
でもさ〜ホントにそれでいいの?ヒロ〜
(女性)ヒロ〜ヒロ〜お母さん…。
お母さん足音
(女性)もう大丈夫よヒロ
(女性)大丈夫お母さん…。
(水森しおり)夢を見てたんですか?おかあさんの。
私どうして…。
覚えていませんか?昨日の夜ヒロさん洪水のような勢いで泣いてたから「家に来ませんか?」って言ったの。
泣き声ここに来てからも永遠に泣いてるんじゃないかって思ってたら私の膝の上で眠っちゃったんです。
朝まで?大丈夫ですか?大丈夫です。
ちょっとしびれただけです。
すいません。
考えてみたら泣いたの25年ぶりくらいで。
じゃあ25年分の涙が出たんですね。
お腹すいたでしょ?ごはん作りますね。
(水森由羽)ヒロちゃん「しょめいなついん」って何?え?すいません昨日ヒロさんが自分だけ署名捺印した離婚届を渡したっていうのを聞いたものですから。
署名捺印というのは書類にサインをして間違いありませんとハンコを押すことです。
じゃあ「ぎそう」って何?え?偽装結婚ってこと何度も言ってたのヒロさん。
偽装というのはウソをついているということです。
私と超治先生は本当の夫婦じゃなかったの。
じゃあ「こどく」って何?それも何度も言ってたんですか?私。
ええ「私は死ぬまで孤独だ」って。
えっと…孤独というのは…。
由羽幼稚園遅れるわよ。
答えは私が教えてあげるからほら支度しましょう。
あの私もそろそろ…。
ヒロさんよかったらしばらく家にいませんか?いきなり出て来たから泊まる場所がないんじゃ?全然大丈夫です。
帰ったら一緒に遊ぼうヒロちゃん。
ごめんね由羽ちゃん。

(陽村華苗)あっ!ヒロさんまさか戻って来たの?あ…いえそうではなくて。
指輪をお返しするのを忘れていたので。
これ返していただけませんか?申し訳ないけどお断りします。
今親子の縁切ったから。
え?
(華苗)誤解しないでね。
あの子がゲイだったから許せないんじゃないの。
あなたにしたことが許せないの。
偽装結婚頼むだなんて。
私こそ謝らなきゃいけないわね。
そもそも私がガンだなんてウソついたことがいけなかったんだし。
本当にごめんなさいヒロさん。
お義母さん分かってあげてもらえませんでしょうか?超治さんの気持ち。
超治さんはお義母さんを幸せにしたいって…。
申し訳ないけどあの子のことはしばらく考えたくないの!はぁ〜これから富山へ帰ってお友達に偽装結婚のこと謝らなきゃいけないし。
あっそうだ!このショールとっても温かいの。
これからず〜っと使わせてもらいますからね。
・母さん!・
(華苗)じゃあ。
さらば。
はぁ〜。
(振動音)
(着信を切る音)
(小俣)ちょっといつまで待たせんの?開館時間過ぎてるじゃない!とっくに。
(真理)すいませんいつも陽村さんが開けるんで。
(小俣)そうやってひとのこと頼りにしてるからいけないのよ。
(真理)すみませんでしたおはようございます。
すみませんでしたおはようございます。
・マジで?超ウケる・あ〜セーフ。
え〜ご要望の条件だとあんまりいい物件ありませんね。
(くしゃみ)失礼。
(くしゃみ)・感動したわ!・・あらいいじゃない!・・空いてる空いてる〜!・みんな誘えってよかったわ!もう良かったわね〜!良かったわホントに今日の舞台!ヒロインが身を引いて去るところの歌が良かったわ〜!♪〜自分を失わないために・ヒロさん・
(すみれ)あの園長代理どうされてます?今日正式に辞表が受理されたみたいなんで。
すみません私も彼と別れたもので。
(すみれ)え…そうなんですか。
すいません全部私のせいですよね。
本当は私が辞めるべきなんだけど園長代理に子供達のことを頼むって言われたもんですから。
でもやっぱり自信ないです。
(みどり)原先生行きますよ。
じゃあ失礼します。
じゃあまた明日ねバイバイ。
(園児)先生さようなら。
家に来ませんか?落ち着き先が決まるまで。
誤解しないでください。
誘惑しようとかそういうんじゃないから。
全然大丈夫です。
そうは思えません。
ヒロさん何だか前のヒロさんに戻ってしまった気がするんです。
このまま一人でいたらどうなってしまうか心配なの。
ほっとけないんです。
今まで何度もヒロさんに助けて来てもらったから。
失礼します。
(由羽)待ってヒロちゃん!待ってますから!いつでも待ってますから由羽と!ヒロ!捜したよ〜!ハグしていいか?…ってもうしてるけどな!お前指輪は?あ〜よかった!してる!俺ゲイやめるよお前失うくらいなら。
ハハハ…!本気ですか?…なわけないだろ。
私はゲイですが…いやゲイだからこそ子供達を愛する気持ちは誰にも負けないつもりです。
もうママにもバレたしこれからははじけて生きて行くわよ〜!フォ〜!私みたいな人間は生きてるだけで迷惑なのよ。
ふぅ〜。
この前また見たよ。
子供の頃からよく見るお母さんの夢。
はぁ…。
何で私を独りぼっちにしたの?・ごめんねヒロ・・でもねこういう時は意外と近くにヒントがあるものよ・
(郷田天人)それはあの〜…あのあの…。
このシチュエーションだとちょっと喋りにくいね。
でもねおかあさんが言いたいのはヒロが…。
何やってるの?天ちゃん。
おっ…お〜お〜…。
あっあの…ちょっとあの…最近心霊術を研究してるからちょっと雰囲気出してたらちょっとあの…出にくくなっちゃって。
何でここに?ん?えっいやあの〜…。
あれあの…ちょっとあの〜図書館行ったらあれあの〜あのヒロちゃん無断欠勤してるし幼稚園行ったら超治さんゲイってバレてるし。
きっとヒロちゃんあのあれ…偽装結婚もやめて帰る所もなかろうからおそらくはここに…あのあれ…来るんじゃなかろうかと思い。
もしかしてずっと待ってたの?こういう時は家に!あ…あ〜ごめん。
こういう時は家に来ることもいいかもしれない。
え?うちの母親苦手なのは分かるけど見掛けよりは頼りになるしあの人。
そんなこと言ったって天ちゃんだって帰れないくせに。
叔母さんとケンカして。
だったら一緒に帰ろう。
ほら子供の頃みたいにさ。

(郷田照乃)「戸口を出ようとするごんをドンと撃ちました。
ごんはバタリと倒れました。
(照乃)兵十は家の中を見ると土間に栗が固めて置いてあるのが目につきました。
兵十はビックリしてごんに目を落としました。
『ごんお前だったのかいつも栗をくれたのは』」。
何か用かい?あんた達。
え…?そっちこそ何やってんのよ。
この子達が母親とケンカして家出して来たから本読みゃすぐ寝るだろうと思ってさ。
案の定最初のページでいびきかいてたけど。
子供にまで愛想尽かされたか八重子のヤツ。
何か報告することでもできたとか?いや…俺は別に。
ヒロちゃんが何かあるみたいでね。
あ…いや…はい。
あんた干からびたガムみたいになってるけどとうとう離婚した?あ…。
はいまぁ…。
フフフ…。
じゃあ私と同じだ。
え?
(天人)え?ええ…!何これ!親父が送って来たの?どうするの?もちろん別れるよ。
考えてみりゃ世の中の夫婦なんてどれも偽装結婚みたいなもんかもしれないね。
永遠の愛を本当に誓ったり互いを支え合う気なんて毛頭ないんだからみんな。
子供が欲しいとか生活の安定とか老後の面倒見てもらうのが目的で。
だから一緒にいるのが損だって分かったらさっさと別れちまう。
でも叔母さんは…永遠の愛を誓ったから結婚したんじゃないんですか?叔父さんと。
人は愛し過ぎると相手の欠点を忘れるっていうけど…よりによって何であんな男にほれちまったかねぇ。
そんなこと言わないでください。
叔母さんには天ちゃんと八重ちゃんがいるじゃないですか。
普通はそれが慰めになるんだろうけどうちの場合は…。
(ドアが開く音)
(名波八重子)マ〜マ〜!
(八重子)マ〜マ〜!もしかしてうちの子達来てない?うるさいねぇあんたは。
もう…。
もう心配したんだからねあんた達!もう散々捜したんだからねママ!もうほら!帰るわよ!
(名波愛)ヤダ〜!
(名波真)ヤダ〜!何よ!ママの言うこと聞けないの?だって…。
「だって」何?言いたいことあんならはっきり言いなさいよ!
(照乃)もううんざりみたいだよ。
あんたが自分のことばかり考えてその子達に何もしてやらないから。
何それ私はちゃんと…。
じゃああんた知ってるかい?この子達が勉強や運動ができなくて散々ばかにされてるの。
両親が離婚したせいでどんなに寂しい思いしてるか。
それは…。
あんた達何でそんな大事なことちゃんと言わないのよ〜。
(照乃)言わないんじゃなくて言えないんだよ!母親が毎日テンパってる顔見てたら。
この子達のほうがよっぽど心配してるじゃないあんたのこと!何よもう!自分だって散々私達に冷たくしたくせに!ねぇお兄ちゃん?まぁそれはさ…。
ママが優しくしてくれないから私達がどんだけ寂しかったか分かってんの!?ねぇお兄ちゃん?だから俺にふるなって。
あんたの気持ちはいいんだよ今。
この子達をどうするかって聞いてんだよ母親として!もういい!ママに分かってもらおうなんて思わないから!あんた達も勝手にすれば!?
(天人)八重子八重子…!ちょっと待って八重子!いつからママの味方になったのよお兄ちゃんは!そういうわけじゃないだろ!ヒロちゃん何か言ってよ!でも私は…。
どうでもいいしおめぇらのことなんか。
(八重子)ヒロちゃん…何?今の。
え?何か…すごいこと言ったから。
はぁ…。
心の声が出ちまったぜまた。
今のも…聞こえてるよ?あ…。
面白いねぇ。
やっとヒロの心の声が聞けた。
いい機会だから言いたいこと言えば?どうせ「死ねクソババア」とか思ってんだろ?私のこと。
叔母さんは…どうしてそうやってひとをもてあそぶようなことばかり言うんですか?大切な人を必死で守ろうとするのが母親なのになぜいつも家族のこと責めるんですか?家族なら何でも許されるって考えが一番嫌いなんだよ私は。
私がこの家に引き取られて両親に会いたいって泣いてた時叔母さん何て言ったか覚えてます?忘れた!何だっけ?「泣けるうちに好きなだけ泣きな。
人生には両親が死ぬより悲しいことなんていくらでも起こるから」って。
私あの時「この人魔女だ」と思った。
おかげで泣きやんだじゃないかあんた!私のことすごい目でにらんで。
それから私を見るたびに「かわいげのない子だね」とか「もっと笑え」とかそんなことばっかり!こっちのこと頼ろうとしないからだろ?あんたが。
いつでも何でも一人でやって。
生理になった時さえそう。
私は文句を言われるのが嫌だっただけです!叔母さんはいつも「叔父さんに愛されてない」ってイライラしてるし!要するにあんたは私のことが最初から気に食わないんだろ?私みたいな女になりたくないんだろ?それからこんなこと言ったの覚えてます?「もしタイムマシンがあったら若い頃の私のママに会ってパパと結婚するのを止めたのに」って!いちいちよく覚えてんねそんなこと。
あれってうちの両親が結婚しなかったら私みたいな子を引き取らなくても済んだのにってことでしょ!?顔怖いよあんた。
ごまかさないではっきり言ってくださいよ!そう思いたきゃ思えばいいだろう!
(天人)うっ!
(倒れる音)
(八重子)え?ちょっと!お兄ちゃんどうしたの?
(天人)何かが乗り移ろうとしてて。
(八重子)え?何?うわ〜!ヤダ怖い怖い怖い…!
(八重子)うぅ…。
(鼻歌)
(天人)ヒロ?聞こえる?え?おかあさんよ元気だった?
(照乃)ちょっとくだらない冗談はやめな。
そうよ天ちゃん。
ヒロあんたの叔母さんはねあんたのこと嫌い…嫌いなんかじゃないの。
ホントはとっても愛してるの。
いいかげんにしないとホントに怒るよ!わ…悪ぶっても悪ぶってもダメよ照乃。
照乃!あんた…あんた…あんた子供の頃の八重子が寝る時によく絵本読んでやってたけど1ページ読んだら八重子はすぐ寝ちゃうのにあんた最後まで読むのやめなかったでしょ!ヒロがドアの外で聞いてるの知ってたから!
(八重子)え?そうだったの?ママ。
それにあんた今でもヒロのことが心配だから家政婦に命令して様子見に行かせてるくせに図書館に。
え?
(八重子)ウソ!そうなの?小俣さん!いつも失礼なことして申し訳ありませんでした!奥様に「なるべく困らせて来い」って言われたものですから。
(八重子)え?何で?
(天人)多分怒らせたかったんだよヒロちゃんを。
自分の気持ち抑えて無理に笑うのやめてほしくて。
(小俣)失礼します。
いい気になって喋ってるけどいつの間にかすっかり本人に戻ってるよ?あんた。
う〜ん…。
お兄ちゃん!こうなったらさヒロちゃんのご両親が何で死んだのかも言ったほうがいいんじゃないの?どういうこと?あんた達!それ言ったら親子の縁切るからね。
お兄ちゃんママ押さえて!え?こうなったらさあれ見せたほうが早いじゃない!あぁそうかちょっとごめんごめん…!何よ!何すんだよ…!ごめんよ!ごめん…!
(照乃)やめなやめな…!
(八重子)ヒロちゃんのご両親が火事で死んだのは事故じゃなくてヒロちゃんのお母さんが家に火を付けたからなの!おとうさんが浮気してるのを知って…。
(女性)ヒロ〜!ヒロ〜!
(女性)ヒロ〜!お母さん
(八重子の声)その時燃える家の中からママがヒロちゃんを助けたの。
もう大丈夫よ
(八重子の声)ママその時背中に大やけど負った。
でもそのこと知ったらヒロちゃんが傷つくからって一生隠すって決めたのママ。
(照乃)いいかげん離しな。
苦しいから!
(天人)あぁ…ごめん。
こんなことしてどうなるか分かってんだろうね?あんた達。
ママもいいかげんホントの気持ち言ったら?そうだよいつも何考えてるか分かんないってヒロちゃんのこと責めるけどホントは自分だってそうじゃないか!ヒロちゃんのことをホントは大好きで甘えてほしいくせに。
ヒロ…。
私は…。
あんたの母親が大嫌いだった。
妹の私より何倍もキレイで親の言うことは聞くし…。
誰に対しても笑顔を振りまいてるくせに平気でウソをついて周りに迷惑掛けるから。
あんたがそんな姉にどんどん似て来ていつまでも母親を美化してるから腹が立って仕方がなかった。
ホントのことをぶちまけたくなるのを必死で我慢した。
だから…あんたとまともに向き合うことから逃げて…。
優しいことも言えなくなった。
でもね…私は…。
あんたを独りぼっちにするつもりはなかったんだよヒロ。
今更何言ってんだって感じだけどね。
まぁ許してもらおうなんて思わないからさ…。
恨みたきゃ恨めば?
(天人)まだそんなことを…。
今…今ちゃんと伝えるべきこと言わなきゃ!ヒロちゃんに。
ホントはこう思ってんだろ?
(八重子:照乃のモノマネ)あんたの家族はここにいるよ。
(八重子:照乃のモノマネ)あんたさえ望めばいつでも帰りを待ってるから。
え?何?今のえ?何でお前が言うの?いいでしょ別に何か違ってた?違ってないけどさ何だよおいしいとこちゃっかり持ってってさ!大体モノマネ全然似てないよ?
(八重子:照乃のモノマネ)あんたの家族はここにいるよ。
あんたさえよければいつでも帰りを待ってるから。
(天人)誰のマネ?誰のマネだよ。
バカだねぇ〜!
(天人)全然似てないし何で急にやるんだよ。
(八重子:照乃のモノマネ)あんたの…。
(天人)もういいよやんなくて。
ごめんね天ちゃん。
ごめんね八重ちゃん。
ごめんなさい…叔母さん。
私のことを傷つけないように守っててくれたのに…。
みんなのことを信じないで家族とも思わなくって…。
ホントに…私って…バカだよね。
(須藤)今日も一日お願いします。
(一同)お願いします。
おはようございます。
(真理)よかった〜!陽村さん来てくれたんだ〜!皆さんすいません勝手に休んで。
(村上)いえホッとしました。
(吉本)陽村さんがいないと心細くて私達。
(真理)館長なんて「このまま陽村さんが辞めたらどうしよう。
この図書館はもうおしまいですよ」なんて一日オロオロしてたんですよ。
いや…私なんかいてもいなくても一緒ですけど陽村さんは図書館に絶対必要ですから。
またそういうこと言う。
館長は2つ間違っています。
え?1つは…私はもう陽村ではなく嘉門に戻ります。
え…離婚なさるんですか?それからここにいてもいなくても一緒という考え方も違っています。
え?大切なのはここにいたいと思うか思わないかじゃないでしょうか。
少なくとも私はここにいたいです。
本が大好きだから。
誰でも自由に来ることができて好きな本開くだけで時間や空間を超えいろいろな世界に触れることができる素晴らしい場所だから。
返却ですか?
(弟子丸)はい。
あの…聞きました超治さんから。
離婚するんですって?ええ。
それってもしかして僕のせいですか?ううん。
彼があなたを好きになったからじゃなくてもう偽装結婚してる意味がなくなっただけ。
ううんそれも正確じゃないなぁ。
私が彼を好きになっちゃったの。
だから一緒にいるのもつらいの。
でも彼はゲイだから私を好きになるわけないし。
何か…ヒロさん変わりましたね。
吹っ切れたっていうか。
お願いがあるんだけど。
彼の家に置いて来た本を送ってもらえないかな?叔母の家に厄介になることにしたので。
いいですよ。
その前に超治さんに会ってもらえませんか?どうして?ヒロさんがいなくなってから超治さん家から一歩も出てないんです。
え?
(弟子丸)すっかり別人になっちゃってるし。
別人?それに超治さんまだ出してないんです。
離婚届。
え?ちょっと…。
どうしたの?これ。
いえ別に。
あなたの本を全部読もうかと思いまして。
あなたが今まで何を考えていたのか分かるかな〜と思ったものですから。
何?その喋り方。
あんた大丈夫?そちらも意外ですね。
何かイメージ変わってますが。
もう周りの人間嫌ったり本心隠したりしないで素直に生きようかと思って。
それはとてもいいことですね。
一体どうしちゃったの?その笑顔も不気味なんだけど。
あなたに申し訳ないことをしたとそればかり考えてるうちにあなたがいつも浮かべていた笑顔が乗り移ったみたいで。
それに人は大切な人を失うと心が空っぽになりもう偽りの笑顔しか浮かばなくなるみたいで。
もしかして25年前のあなたもそうだったのではと思うと…。
ますます心が痛くなって。
もういいからやめてよ。
そうだ保君から聞いたんだけどまだ離婚届出してないんですって?ええまぁ。
どうして早く出さないの?あなたはもうカミングアウトしたんだし私の気持ちも分かったでしょ?だからです。
え?だからあなたの気持ちに何とか応えられないかと思って。
だって今まであなたには偽装結婚ばかりではなくいろいろ助けてもらったのにこっちは何もできなかったから。
ねぇ何か私にできませんか?何なら25年前みたいにもう一度トライしてみるとか。
ひょっとしたらできるかもしれないし。
そんなことしても無駄に決まってるでしょ。
じゃあせめて…キスだけでも試してみるとか。
やめてよあなたには好きな人がいるでしょ。
どうせ保君は私なんかと付き合ってくれないし。
でも忘れられないでしょ?彼のこと。
あなたのことだって忘れられませんよ。
だったら私と保君が溺れてて救命胴衣が一つしかなかったらどっちに投げる?保君。
早いね〜。
いやいやそれはあなたなら溺れていても自力で助かると知っているからで。
もういいから無駄な努力は。
お義母さんにもカミングアウトしたんだし。
それもしないほうがよかったのかな〜って。
そうすれば勘当されることもなかったしあなたとの結婚生活も続けられたのに。
今更何言ってんの?だって偽装結婚だったけど一緒にいて楽しかったじゃないですか。
そうだけどさ…。
偽装は偽装でしょ。
私は本物の結婚がしたいの。
本物の幸せが欲しいの。
本物の愛が欲しいの。
すみません。
だから私達は親友でいればいいんだしあんたも自分に素直に生きたら?あれ?プルーストもアップダイクもテネシー・ウィリアムズもゲイっていわれてるんだよ。
詩人のホイットマンもそう。
彼の言葉で一番好きなのはこれ。
「私も誰もあなたに代わって道を歩くことはできない。
自分の道は自分で行くほかないのだ」。
そうね。
分かってくれた?これからは人生プランAで生きて行く。
何?プランAって。
世界を放浪して一人で生きて行くの!プランBは?ないのかよ考えとけよ。
だってもう何か自信なくなっちゃったんだもん。
周りの人を幸せにしたいって本気出して頑張って来たのに結局み〜んな不幸にしちゃったし母さんも子供達もそれに…ヒロも。
私は別に不幸じゃ…。
私はしょせんゲイじゃなくてデイなのよ。
デイ?「泥」って書いて「泥」。
海の中にいる架空の生き物なんだけど海から出た途端…。
泥酔したおっさんみたいにダラ〜ンってなっちゃうの。
「泥のように眠る」っていうでしょ。
その語源になった生き物。
私は今絶望のパンチをみぞおちに食らって立ち上がれないの暗闇でジ〜っと生きてくしかないの。
だからもう親友でいるのもやめたほうがいいわよ。
私なんかとかかわったってろくなことないから。
あ〜。
今の気持ちにぴったりの映画でも見ようかな〜。
昔一緒に見たの覚えてる?『さらば友よ』。
分かりました。
だったら私も付き合います。
え?ちょっ…ちょっと待てよヒロ。
また前のように本の世界に閉じこもって心の中で毒づいて人を嫌って生きて行きます。
あなたと親友になるのもやめます。
記念に一緒に見ましょう。
『さらば友よ』。
いやいや…お前までそんなことする必要ないだろう。
この際だからはっきり言いますけど私があなたならきっと同じことをしたと思います。
え?もしお母さんに余命半年だと言われ何か親孝行ができないかと考えた時誰かに偽装結婚を頼んだと思います。
ウソ…。
確かに後先考えたらできなかったかもしれません。
だから実際にやってしまうあなたのバイタリティーと愛情あふれるところが好きだったのに。
世界中の人を幸せにしたい笑顔にしたいと願うあなたのことが好きだったのに。
カート・ヴォネガットも『猫のゆりかご』という小説で言ってます。
「人間の言葉は数々ある中で最も悲しむべきなのは『だったはずなのに』」。
あなたの料理もあなたのハグもあなたの笑顔もみんな大好きだったのに!あんたまで人間嫌いになってウソくさい笑顔浮かべてどうすんのよ!バカじゃないの!?こんなところで落ち込んでないであんたらしく自由に生きればいいじゃない!自分はゲイだって胸張って生きて行けばいいじゃない!子供のことが好きなら諦めないで新しい幼稚園でも何でも見つければいいじゃない?あんたを求めてる人は必ずいるんだから!お義母さんとも仲直りしてくれなきゃ困るからね。
人間なんて誰も傷つけないで生きて行くことなんてできないんだし。
死に別れ以外縁切ったらダメなんだからね本当の親子は。
それにあんたまで不幸になったら結局私が本気になったら周りの人間を傷つけるって思うじゃない?また。
あんたのおかげで人間嫌いもやめて心の声も出るようになったのに。
何よ言いたいことがあるなら言えば?今心の中で毒づいてるんでしょ。
現実から目背けて本の世界に逃げ込んで『アナ雪』のエルザになったつもり?これから50607080…。
ず〜っと氷のお城で一人生きて行くの?「私がいたら周りを不幸にする」とか自分で呪いかけてんじゃないわよ!そんなの私が好きだった陽村超治じゃない!お前…それって…。
25年ぶりに再会して初めて私に言ってくれた言葉です。
早く…私の好きだったあなたに戻ってください。
超治だから引き受けたんだよ。
偽装結婚。
(職員)それでは書類に不備がありませんので受理させていただきます。
これでお互いバツイチってわけだ。
ええ。
あ…また忘れるとこだった。
これ。
いろいろ悪かったなヒロ。
しつこい!何遍目?謝るの。
考えてみたらあっという間だったな結婚生活。
これからどうするんですか?しばらく旅に出ると思う25年前みたいに。
お前は?今までみたいに図書館で働きます。
できるだけ長く。
ホントに大丈夫なんだな?ヒロ。
いろんな人に愛されてるのも分かったし今までみたいに一人で生きて行くようなことはしないから。
俺に何かできることがあったらいつでも連絡くれよ。
いつでも駆け付けるから。
じゃあ…一つ頼みがあるんだけど。
何?ハグしていいか?…ってもうしてるけどな。
ありがとう超治。
何が?自分を愛することを教えてくれて。
ちょっと…そっちも何か言ってよ。
俺今…いいこと思い付いちゃった!え?聞くのやめとく?ほら今まで俺が何かひらめくとろくなことなかったし。
ううん最後だから聞いとく。
もし1年後お互いに付き合ってる人がいたらまたここで会わない?同じ時間に。
それで恋人を紹介し合おう。
ダメ?分かった。
メルシーセラヴィケセラセラ。
何でフランス語?いやこういうシチュエーションだとロマンチックでいいかなと思って。
じゃあオウルヴォワール。
ヒ〜ロ〜!いるんだな?付き合ってる人。
そっちも。
2015/11/25(水) 22:00〜23:00
読売テレビ1
偽装の夫婦 #8【天海祐希主演「驚愕の再会!変わり果てた夫に妻は…」】[字][デ]

元恋人から求婚…が、彼はゲイでした。「女王の教室」「家政婦のミタ」脚本家・遊川和彦と挑む意欲作。“本当のパートナー”とは?新しい夫婦の形を描くラブストーリー。

詳細情報
番組内容
ヒロ(天海祐希)は、超治(沢村一樹)に募る想いを告白し、離婚届を渡して家を飛び出した。そんな彼女に寄り添うしおり(内田有紀)の前で、ヒロは25年ぶりの涙を流した。ヒロは両親の墓参りに行き、待っていた天人(佐藤二朗)と一緒に郷田家へ行く。そこでヒロは天人と八重子(坂井真紀)から、両親の死の真相を告げられる。そんな中、ヒロは保(工藤阿須加)に、超治の様子がおかしいので会ってほしいと頼まれて…。
出演者
天海祐希
沢村一樹
内田有紀
工藤阿須加
坂井真紀
佐藤二朗
柴本幸
田中要次
キムラ緑子
富司純子ほか
原作・脚本
【脚本】
遊川和彦
監督・演出
【演出】
深川栄洋
音楽
平井真美子
【主題歌】
「What You Want」JUJU(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作
【プロデューサー】
大平太
高明希
田上リサ
【制作会社】
5年D組

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
ステレオ
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