(内村完爾)茶など淹れに来てくれと言った覚えはないがな。
(中園照生)言われる前に察するのが参事官の務めでございます。
うむいい心がけだ。
(ノック)
(内村)入れ。
(杉下右京)失礼します。
(中園)なんだお前ら!何しに来た?
(神戸尊)あれ?呼ばれたから来たんですけど。
何を言ってる。
お前らなど呼ぶわけがないだろう!もういい下がれ。
さっさと出て行け!お前だよ。
はっ!?でお話とは?お前たち特命にふさわしい仕事をやろうと思ってな。
それは災難でしたねえ。
それで頼み事というのはなんでしょうか?
(高村清美)はい。
常連さんたちが入れてくださったボトルご報告も兼ねてお返ししてるんです。
内村さんにもそれで来てもらったんですが1人だけ連絡つかない人がいて…。
それでこの田中さんを捜してほしいと。
なるほど。
特命にふさわしい仕事だ。
すみません。
いいって言ったんですがオヤジさんのツケを返さないままになったからって内村さんが…。
ハハ…ツケで飲んでたんだ。
父の携帯と手帳です。
拝見します。
(清美)手帳に1人だけ同じ名字の人がいたんで電話してみたんですが…。
田中晶さんですね。
「現在使われておりません」って。
そうですか。
おや少し前に粉飾決算で捕まったIT企業の菅原典史ですねえ。
お父さんはどうしてこの記事を取っておいたのでしょう?さあ…?携帯のアドレス帳なんですけど田中って名前は見当たりませんね。
ん…?どうしました?いやこれ発信履歴なんですけどここ最近になって10回もかけてる相手がいるんですよ。
なんか見覚えあるんですよね。
この名前…。
えーっと…。
奥村…奥村…。
えー…奥村…。
神戸くん。
はい?ああ奥村光良…。
確かおととしでしたねえ。
配管工の3人が空き家に侵入し盗んだ現金が埋まっている隣の家までトンネルを掘って盗もうとした。
最後は同じ金を狙う別の一味に捕まって自分たちが掘った穴に埋められそうになってましたけどね。
いや〜「墓穴を掘る」とよく聞きますけど実物を見たのは初めてでした。
実刑を受けたと聞いていましたが出所してたんですねえ。
でも菅原の会社ってIT企業でしょ?確かスマートフォンのゲームアプリかなんか作ってる。
どうしてそんなところに奥村が…?ちょっと行ってみましょうか。
え…?ご主人があれだけ連絡してたんです。
何か知ってるかもしれませんよ。
はい。
あの…こっちですけど。
あそうですか。
(奥村光良)えっ!?高村のオヤジさんが?
(奥村)もっと早くお店に行けばよかった…。
何度も電話もらったのに…。
どういった関係だったのでしょう?命の恩人です。
命の恩人?東京出てきたばっかりでお金がなかった頃出世払いでいいよってよくタダで食べさせてくれて。
その命の恩人の知り合いに田中晶って人がいるはずなんだけど心当たりない?お店の常連だったそうですよ。
さあ…?最後にオヤジさんに会ったのは7〜8年前ですし僕が引っ越しちゃって…。
それが最近になって突然連絡くれたんです。
突然ですか。
すぐに会いに行こうと思ったんですけど社長の菅原が逮捕されちゃったんでなかなか行けなくて…。
そのようですねえ。
それにしても君がIT企業とはね。
実は菅原は幼なじみなんです。
もうずーっと会ってなかったんですけど出所したあと僕行くところなくて困ってたら向こうから連絡くれてうちで働かないかって。
でどういう仕事してるの?どういうって…ゲームの話したり菅原の愚痴聞いたり…。
ああ秘書のようなものでしょうか。
一応役員なんです。
役員?よっぽど仲良かったんだね。
菅原子供の頃からパソコン少年で自分でゲーム作ってたんです。
誰も菅原が作ったゲームなんかやりたがらなかったんですけど同じ団地に住んでたって事もあって僕は大好きで。
あいつ僕しか友達いないから。
ふ〜ん…。
あ友達っていえばさ一緒に捕まったあの2人どうしたっけ?え〜っと…池谷と山崎。
池谷さん出所してすぐ僕に会いに来たんです。
(池谷隆平)久しぶりだなおい!アハハ…。
お前すげえなお前こんなきれいなところ!あ…はい。
いいバイト見つけたよな!それよかあの話覚えてるか?
(奥村)出てこれたらあの話本当にやりません?3人で会社作るって話。
俺考えたんだけどさお前社長やりたいだろ?やらしてやるよ!な?俺裏回るからさあ。
な?社長!ウィー!ヘヘヘ。
…どうしたよ?ごめんなさい!今は無理です…。
お前もかよ!えっ…?もういいよ!ま…待って!聞いてください。
放せよ!放せって!あーっ!
(奥村)だ…大丈夫ですか?大丈夫だよ!あ…あとで泣きついたってなヒラでしか雇わねえからな!
(奥村の声)出所したの池谷さんが一番あとだったしまだ仕事のあてもなくてピリピリしてたんだと思います。
その後ぱったり連絡が来なくなってもう絶交されたのかなって…。
じゃあそれっきりなんだ。
…と思ってたんですけどつい最近になって…。
私奥村くんの大親友の池谷と申します。
あの本日は皆様のためにお菓子などをお持ち致しまして…。
いないって言ってください。
まあどう考えてもあの2人と会社作るよりここにいたほうがいいもんね。
違いますよ!僕だって約束忘れたわけじゃないんです!だけど菅原が裁判中なのに辞めるなんて言えませんよ…。
苦しいところですねえ。
苦しいです…。
ちなみに池谷さんは今どちらに?仕事先は見つかったみたいで東武蔵にある「くすの樹」っていう喫茶店で働いてるみたいですけど。
さてとこれからどうしますか?結局田中さんの事はわからずじまいでしたけど。
喫茶店へ行ってみましょうか。
え?まさか池谷にも会いに行くんですか?いけませんか?いやいけなくはないですけどさっきから横道にそれてません?ケンカ別れしていた池谷さん。
何年も会わないまま亡くなってしまった高村さん。
2人がほぼ時を同じくして奥村くんに会いたがっている。
ちょっと気になるじゃありませんか。
まあ確かに。
それにどうせ僕たちは…。
暇ですからね。
おっしゃるとおり。
(店内の音楽)よし完璧!ヘヘヘ…。
(沢口京子)池谷さん段々板についてきましたね。
ハハハこれも京子さん…いや沢口さんみたいに毎日来てくれるお客さんのおかげですよ。
(桂田良枝)ちょっと池谷さん。
(池谷)はい。
何よこれ。
いやメモどおりに買ってきたんですけど…。
ちゃんとドイツ産って書いといたでしょう!
(池谷)え?そうだったっけな…?はあ…ほんとにダメね!使えない。
あ〜あ…。
これじゃどっちがマスターでパートかわからないですね。
池谷さん頑張って。
ヘヘ頑張ります。
アハハ…ハハハ…。
(池谷)ちょっと…!お久しぶりです。
今は真面目にやってんですから!ひょんな事から奥村くんに会いましてね。
君の話を聞いたもんだから。
奥村に?なんだよあいつ俺には会わないくせに…。
いや奥村くんの仕事にもびっくりしたけど君も負けないくらい似合わない事やってるね。
保護観察所で紹介してもらったんですよ。
オーナーの方からぜひって。
せっかくですからお茶のひとつでもいただきましょうか。
(京子)お知り合い?ああむ…昔…まあちょっといろいろとお世話になって。
こちらは?常連さんの沢口京子さん。
沢口です。
どうも神戸…。
お好きな席どうぞ!ああ2階もございますし。
そこにしましょう。
大丈夫なんですかね。
はい?腹が立つほどうまくない。
おやまあ。
どうです?シェフ池谷の一品は。
お店の趣味はとてもいいですねえ。
ええ。
広さのわりにお客さんが少なくて。
落ち着くなあ。
さすがマスター。
フフ…。
ここらは元々人通りが少ないんです!私前のオーナーの時から通ってるんですけどその時もお客さんこれくらいでしたよ。
静かで私は好きです。
へへへ…ほら!3年ほど前駅に外資系のショッピングモールが出来るって話があったんですけど中止になっちゃったんですよね。
それが出来てれば状況も違ったんでしょうけど…。
ほらちょうどその頃急に円高になって。
さすが実業家だけあって学があるなあ。
実業家?雑貨販売の会社をやってて。
といっても社員は私1人ですけど。
あ…もうこんな時間。
いかないと。
ありがとうございました。
失礼します。
では。
ところで何度も奥村くんに会いに行ってるそうですね。
あんな奴友達でもなんでもないですよ。
じゃあなんでしつこく?菅原ってあそこの社長起業家を応援するとかでいろんな会社に出資してるっていうじゃないですか。
その人が奥村の幼なじみとくれば俺にだってチャンスあるでしょう。
ああそれが目的なんだ。
なのにあいつ無視しやがって…!山崎といい俺の周りは薄情者ばっかりですよ!ん?山崎とももめたの?もめるどころか電話してもつながりませんよ!メッセージ残したって1回もかかってきやしない。
おや噂をすれば…。
山崎…。
あの野郎…!
(池谷)おい!なんで…!
(山崎正一)ああ!もう…座れほら!なんで連絡してこなかったんだよ!
(山崎)ちょっとなんで刑事さんたちいるんすか。
僕たちはお茶を飲みに来ただけですよ。
ちょっとあっちに行きましょう。
いいんだよ!別に悪い事してるわけじゃないんだから。
お前会社作るって話忘れてないだろうな?あああれね。
まあそういうのちょっと置いといて…。
ちょっと聞きたい事あるんすけど。
なんだよ?先輩田中晶って人知ってますよね?
(池谷)田中晶…いいや。
嘘でしょう!じゃあなんすか?これ!
(山崎)あれ…?ちょっとすいません。
(山崎)ほら!
(メールの着信音)ちょっと急用出来たんで行きますわ。
なんだ?あいつ。
わけわかんねえ。
あのバカまだバクチやめてねえのかよ!
(携帯電話)奥村!
(池谷)もしもし奥村か?お〜!連絡くれるの待ってたよ!よしわかった!お前絶対だぞ!うん。
よしそれじゃあな。
うん。
どうしたの?いやこの前言ってた奥村ってのが電話くれたんすよ!明日会いに来るって!あらまよかったね。
ええ。
あーよっしゃー!どうもありがとうございました。
じゃあ。
なんだか妙な事になってきましたね。
君も気づきましたか。
ええ山崎が持ってた葉書の宛名田中晶だって。
差出人は池谷隆平とありました。
しかし池谷さんは知らないと答えた…。
なんででしょう?さあそれはわかりませんがいずれにせよ僕たちが捜している田中晶を彼らが捜している事も間違いないようですねえ。
ん?彼ら?おやそちらは気づきませんでしたか?2階にいた男…。
(メールの着信音)彼が山崎さんにメールで指示を出したのでしょう。
寺島徹…。
「静岡刑務所」…。
山崎正一。
はい。
やはり同じ静岡刑務所ですねえ。
時期も重なっています。
(角田六郎)おい暇か?あれ?そいつ…。
おやご存じですか?ああ横坂組のチンピラだろう。
へへへ…あそこはうちで潰してやったけどな。
(角田の声)そいつら中国マフィアとヤクの取引してやがってな。
着手。
(小松真琴)着手ー!確保ー!
(角田の声)横坂組は組員10人総出だったから1人残らずとっ捕まえてやったよ!チャイナホワイト60キロ…。
3億円分押収してよう。
いやあれはスカッとしたねえ!へえ3億。
あれ?その目は俺にあこがれてるね?ただおかしいのはさ現金が見つかってないんだよな。
え?取引現場からですか?うん。
おかしくありませんか?横坂が言うにはブツを確認しに来ただけだったんだと。
いやそんなバカな話…。
いや俺もおかしいと思ったよ。
でも組員は全員逮捕したんだ。
現金持って逃げようもねえだろ。
その中に寺島もいた…。
ああずる賢いチンピラでな。
現場の見張りしてたから一番先に出てきたよ。
(大木長十郎)課長電話です。
なんだお前今いいとこなのに。
え〜まあ横坂もうすぐ出てくるからな。
そしたらもう一度追及してみるよ。
…聞いてる?聞いてます。
うん。
本当に現金なかったんでしょうか?
(山崎)はい来たローン!それフリテンだよ。
ん…?あ!なんだよ余計な事…。
なんでここわかったんすか?喫茶店でこれと同じものを見かけたもんでね。
刑務所仲間とつるんで何してんのかな?勘弁してくださいよ。
俺借金の取り立てやってるだけで何も悪い事してないっしょ?確か田中晶という人を捜してるんですよね?田中晶ってひょっとしてあの田中晶ですかね?ひょっとしなくてもあの田中晶でしょう。
え?知ってんなら教えてくださいよ。
俺ら顔も知らないんです。
見つけられたら礼金はずんでもらえるんですよ!
(寺島徹)山崎。
はいっ!
(寺島)ちょっと表でタバコ買ってきてくれ。
いつものやつだ。
(山崎)はい。
行ってきます。
刑事さんですよね?よくわかったね。
罪償って今は真面目にやってるんですが。
他人の郵便物を盗むのも立派な犯罪ですよ。
郵便?なんの事かわかりませんが。
あなたが現場にいた3年前の麻薬取引そこにはやはり現金があったんじゃありませんかねえ。
横坂はなんらかの方法でその現金を持ち出し田中晶という人物に預けた。
そして組の中で一番早く出てきたあなたは現金回収のために田中晶のところへ行った。
なんのお話です?あの時現金なんてありませんでしたよ。
じゃあなぜ田中晶を捜しているのでしょう?借金の取り立てですよ。
現場に金があったなんて証拠ないでしょう。
おや驚いた。
なんだよ。
現場には現金はなかったんですよねえ。
どうして証拠なんて気にするんです?気にしてねえよ!しつけえからだろ。
興奮しちゃった?してねえよ。
田中晶は横坂組の3億を預かった人物と見て間違いないようですねえ。
でも高村さんや池谷とどんなつながりが?面白くなってきましたね。
ごゆっくり。
(池谷)お待たせしてどうもすみません。
もうすぐ来ると思うんですけれど…。
(ドアベルの音)いらっしゃいませ!
(京子)こんばんは。
こんばんは。
あれ…。
お仕事もう終わったんですか?ああこんばんは!ええそうなんです。
こんばんは。
こんばんは。
いつものでいいですか?
(京子)ええお願いします。
はい。
良枝さん!京子さんにいつものを!ん…?これおいしい。
買ってきたのまんま出してるだけですから。
気に入らないなら別に無理して来てもらわなくてもいいんですけど!今日はちょっとお伺いしたい事がありましてね。
なんですか?田中晶さんご存じですよね?いや知りません。
なんでそんな事聞くんですか?だって葉書出してたでしょ?どういう関係なの?いやだから知りませんって…。
(ドアベルの音)奥村!よく来てくれたな!おい!アハハ!おうちょっとこっち来てくれ!こっち!こっちこっちこっちこっち!アハハ…!ずっとお前に会いたがってたんだよ。
(三井浩治)どうも三井です。
あ…どうも。
お話はかねがね。
この度はお近づきになれて光栄です。
フフフ…。
ああ…!今日のところはそういう堅いのは置いときましょ。
ちょっとあっちで待っててくれ。
あ…はい。
な?ありがとうございました。
僕としては喜んで協力させていただきます。
次回彼に持って来させますよ。
そうですかよかった。
(小田原昌也)あと例のものいただけるんですよね?もちろんです。
またすぐに連絡しますので。
よろしくね。
よろしくお願いします!あ…お代は結構ですので!
(奥村)あ…。
いや〜やっぱり有名社長と知り合いだとすげえよな〜!これ。
なんですか?これ。
菅原社長に渡してほしいんだよ。
10万。
なんでこんな事してくれるんですか!水くさい事言うな!友達の友達は友達じゃねえかよ!俺も入ってた時はつらかったからさあ…。
知ってますよ。
僕も入ってましたから。
でさ友情の証しに菅原社長からお礼状をもらっておいてほしいんだよ。
お礼状?うん。
いいか?こういうのだよ。
お心遣いありがとうございます。
お借りしたお金は必ず出所後お返し致します。
会社の事もぜひ力にならせてください。
ああ!ちゃんとサインももらっといてくれよ。
そういうのがなあとで効くらしいんだよ。
ち…ちょっと待ってくださいよ。
なんですか?それ…。
奥村…。
はい。
俺マジで会社作りたいんだよ。
人生にリベンジしたいんだ。
池谷さん…。
頼む!俺にチャンスをくれ!わかりました。
明日の昼面会に行くんで頼んでみますよ。
奥村〜!アハハ…!アハハ…。
(米沢守)ここですねえ。
「アルトネットワーク」IT企業ですねえ。
「代表取締役社長三井浩治」見た事あると思った。
日本のスマートフォン市場を開いた人物といわれてます。
ただ有力なコンテンツを持っていないのが弱点でして最近ゲームアプリを主力としたレブリーをグループ内に取り込もうとしたようですが断られたみたいですね。
レブリー…菅原典史氏の会社ですねえ。
菅原氏が作ったSNS連動型ゲームのユーザーは今や一千万人を超えるといわれてます。
かくいう私もいくらつぎ込んだかわかりません。
おやおや…。
中国市場への進出も控えてましたし逮捕されたとはいえ三井にとって菅原はいまだにのどから手が出るほど欲しい才能でしょうな。
なるほど。
その三井が奥村に会いたがっていた。
当然目当ては菅原社長でしょうね。
でもまだ拘留中ですよね。
拘留中ですねえ。
(奥村)どう?中は。
(菅原典史)最悪だよ!わかるだろ?今回だって俺は何もやってない。
粉飾決算だって周りが勝手にやったんだ。
出たら一緒に新しい会社を作ろう。
レブリー潰してやるんだ。
ああそう!俺前配管工事の仕事やってたじゃん?その頃の友達から差し入れ預かってきた。
10万。
その人も拘置所入った事があってつらいだろうからって。
それでお礼状をもらえないかって言われてるんだけど…。
なんだよ…そいつまで俺に恩着せたいのか。
その人たちと約束したんだ。
一緒に会社作ろうって。
出来たらそうしたいと思ってる。
どういう意味?俺とは組まないって事?あ…そうじゃなくてあの…。
わかった。
礼状書くよ。
出所したら出資もする。
その代わり条件がある。
えっ?お前は俺のところに残ってくれよ。
頼む!お昼頃面会だと聞いていたものですからねえ。
アルトネットワークの三井社長?この前会った人がですか?ええ。
いやあ僕は全然知らなかったです。
やはりそうでしたか。
ねえ菅原社長の様子どうだったの?口では強がってたけど拘置所相当嫌みたいです。
そんなに嫌ならどうして保釈請求しないんだろうね?だって保釈金3億ですよ。
菅原そんなお金持ってないですもん…。
でも資産があるからそれだけの金額になるわけでしょ。
菅原さんは多くの起業家に出資しています。
資産は未公開株など投資有価証券。
つまり現金としてはほとんど持っていないという事でしょうねえ。
あ…確か保釈金って原則現金一括払いでしたよね。
見えてきましたねえ。
あの喫茶店で何が行われているのか。
居酒屋のご主人高村さんは奥村くんに会いたがっていました。
しかしその最中心筋梗塞で急死。
その後今度は池谷さんが奥村くんに会おうとしていました。
この高村さんと池谷さんには共通点がありますねえ。
2人とも奥村くんと親しいという事。
そして田中晶という人物がそばにいる事です。
でも田中晶はなんのために奥村に近づこうとしてるんでしょう?保釈金集めでしょう。
保釈金?現金を持っていない菅原社長に代わって幼なじみで役員の奥村くんが保釈金を集めている事にする。
三井社長をはじめ菅原社長に恩を売りたい人はたくさんいますからねえ。
じゃあ田中晶の目的は菅原社長の保釈ですか?そこがポイントです。
もしそうだとしたらなぜ当事者である菅原社長と奥村くんはその事を知らなかったのでしょう?ああそうか。
え…まさかこっそり集めて脅かそうとか…。
神戸くん。
僕が捜査二課にいた頃こんなケースがありました。
拘留されている友人のために保釈金を出してほしいと知人を回り集まった保釈金をそのまんまこっそり持ち逃げしてしまった。
え…それって…。
ええ。
つまり保釈金詐欺です。
保釈金詐欺…。
田中晶は保釈金詐欺。
そう考えるとスッキリしませんか?まあスッキリしますけど…。
うん。
オレンジジュース1つ。
(池谷)またですか〜?え〜じゃあこのピザトーストを。
はい。
僕は紅茶で。
かしこまりました。
なんだよ…やっぱり合ってるじゃないか。
あのババア…!どうかしましたか?ああいやこの前買い物頼まれてこれ買ってきたんですけどドイツ産って言ったでしょ!とか言って怒られて。
で今見たらメモが間違ってんですよ!徳用国産!こんな難しい字使いやがってよ…これじゃ間違えるだろっつうの!明日文句言ってやる。
ねえこの前店にいた人さアルトネットワークの三井社長だよね?え…ちょっと…なんでそれを?池谷さんあなた菅原社長の保釈金を集めているんじゃありませんか?いや…。
だって菅原社長って出たがってるけどお金がなくて困ってるっていうじゃないですか。
保釈金集めに協力したら絶対あとで恩返ししてくれるって聞いて…。
あなた1人の思いつきとは思えません。
(ため息)内緒ですよ。
ここのオーナーです。
田中晶さん?あ…それが俺もまだ会った事ないんですよ。
ん?会った事ない?ええ。
なんかずいぶん忙しい人みたいで採用の時からずっとメールだけでやり取りしてるんです。
ちなみにあなたが出した葉書の内容は何だったのでしょう?雇ってもらったお礼ですよ。
出しとくようにって保護観察司に言われたんで。
でその葉書を見て寺島たちはこの店に来れたわけだ。
あの…今の俺から聞いたって絶対に言わないでくださいね。
雇ってもらった恩義があるんですから。
きっといい人なんですよ!
(川北祐三)あの喫茶店のオーナーなら確かどっかの会社だったと思いますけど…。
あ…ほらやっぱりそうだ。
拝見します。
所有者は「リリックコーポレーション」…。
この会社の社長が田中晶の可能性が高いですね。
これが今売りに出されているわけですね?
(川北)最近売りに出したみたいです。
でもこの不景気でずいぶん値が下がってますね。
買ったのは3年前…。
(川北)ええ。
あ…確かその頃この付近に外資系のショッピングモールが出来るという話がありましたね。
ああ中国資本の。
そういう噂が出回った事がありましたねえ。
結局なくなりましたけど。
期待していた方も多かったのでしょうね。
(川北)いや〜もちろんですよ。
大きなお金も動きますしなによりこの町の活性化につながりますからねえ。
いや〜残念でした。
お待たせしました。
どうも。
はい。
会社成立が平成21年って事は喫茶店を買う直前に作られた会社ですかね。
ええ1回の不動産取引のために作られたペーパーカンパニーである可能性が高いですね。
あっ…これ杉下さん…。
「代表取締役沢口京子」…。
えっ…?まさか彼女が田中晶?え…?
(月本幸子)はい。
猪のお肉を焼いたものです。
へえ〜珍しいですね。
でしょう?この前横浜でたまたま見つけて。
あら?どうしたんですか?黙り込んで。
またスランプですか?何か気になってるんですよ。
どうも腑に落ちません。
はい?沢口京子はなぜ麻薬取引に関係していたのか。
どこで菅原社長と奥村くんの関係を知り目をつけたのか。
それから不動産売買の話も気になりますねえ。
もう1つ腑に落ちないのですがこれ豚肉じゃありませんか?ん…本当だ。
豚だ。
(幸子)え…?だ…だってほら猪って…ほら。
中華街で買ったんです。
ああ確か中国語で「猪」は「豚」の事だったと思いますがねえ。
え?そうなんですか?あらやだ…本当だ。
豚ロース肉って書いてある!
(2人の笑い)相変わらずですねえ。
まあ確かに同じ漢字だから紛らわしいですよねえ。
漢字…。
メモが間違ってんですよ!ああ…なるほど。
そういう事でしたか。
え…?幸子さんどうもありがとう。
え?ああいえ。
…はい?ごちそうさま。
ありがとうございました。
なるほど…わかりました。
ではこれを。
ありがとうございます。
三井社長から菅原さんによろしくとの事でした。
はい。
失礼します!あ〜しびれるわ〜!ずしっとくるねえ5千万!
(ドアベルの音)ねえ今出てったの三井さんの秘書だよね?あ…はい。
現金を受け取ってしまいましたか?はい…。
一足遅かったようですねえ…。
何がです?保釈金の話。
菅原社長は何も知らないよ。
人に金を借りて保釈される気もない。
え?だってオーナーは…。
つまり保釈金詐欺です。
あなたはその片棒を担がされてしまったんですよ。
保釈金…詐欺?もしもし沢口です。
先ほどはどうも。
ええなんとかうまくいきそうです。
はいわかりました。
ええよろしくお願い致します。
使え。
騒がれると面倒だ。
行け!ダメです!貸せ!うおー!きゃっ!
(寺島)うおー!うおっ!
(芹沢慶二)はい警棒渡して〜。
はいおとなしくして〜。
(三浦信輔)お前!面倒かけんじゃねえよ。
コラ!
(伊丹憲一)お怪我ありませんか?はい大丈夫です。
これはうちの仕事じゃありませんよ。
どうもありがとう。
あなたは組の中で一番早く出所したのをいい事に横坂が出てくる前に田中晶を捜し出し3億円を独り占めにしようとしたんじゃありませんか?田中晶の名前と住所だけを知っていたあなたはまず田中晶のアパートへ行きました。
ところが田中晶は行方不明。
唯一の手がかりは池谷という男だけ。
池谷隆平の事を調べ上げたあなたは彼には前科があり共犯の仲間がいた事を知ります。
その中の1人が偶然あなたと同じ刑務所にいたというわけです。
じゃあ僕に連絡くれたのは…。
もちろん池谷さんを通して田中晶の居場所を探るためでしょう。
そんな…。
でその3億どこにあるんです?この喫茶店です。
喫茶店…?いやというよりここというべきでしょうか。
ここ?期せずして大金を預かる事になった田中晶は駅前に大型のショッピングモールが出来るという情報を手に入れます。
発表される前に土地を買えば必ず地価は高騰し大きな利ざやが手に入る。
そう考えた田中晶はペーパーカンパニーを作り身分を隠してこの土地を買ったんですよ。
ここを…?ええここを。
ところがショッピングモールの計画は白紙になりもうけるどころか土地は買った時よりも大幅に下がってしまった。
まもなく組長の横坂が出所してくる。
それまでに3億をそろえなければ命が危ない。
田中晶は頭を抱えた事でしょうねえ。
そこで思いついたのが保釈金詐欺というわけです。
お前ヤクザよりタチが悪いな!こらこらこら!とぼけんじゃねえ。
ここの土地を買った会社だって調べたんだ。
代表にしっかりお前の名前が書いてあったよ!それは誤解です。
(寺島)え…?沢口京子さんは名前を使われただけですよ。
この土地の所有者の名義が沢口京子さんになってるんだよ。
(池谷)じゃあ…。
(ドアベルの音)京子さんが…オーナー?しかも俺を騙してた…。
いえオーナーは別の人間です。
じゃあオーナーは一体誰なんですか?オーナーすなわち田中晶は麻薬取引の現場にいる事が出来かつ中国資本のショッピングモール建設計画の内部情報を得る事も出来さらに菅原社長とあなたの関係を知る事が出来る人物です。
全然わからないんですけど…。
たった1つだけ当てはまる職業があります。
それは通訳です。
通訳?3年前の麻薬取引組員全員が逮捕されたために誰も第三者の存在を意識しませんでした。
しかし実際にはもう1人いたんです。
確かにいたにもかかわらずまるでそこにいなかったかのような人物。
それが通訳です。
横坂組には中国語を話せる組員はいなかった。
現場にいた中国マフィアにも日本語が出来る者はいなかった。
つまり取引には通訳が必要だったんだよ。
通訳…?
(良枝)怖いわねえ〜。
知らずにそんな店で働いてたなんて。
身分を隠し池谷さんの動向を見守る。
パートに化けるとは…。
うまく考えたものですねえ。
田中晶は他でもないあなただと言ってるんですよ。
あなたは池谷さんにドイツ産を買うようにとこれを見せたそうですね。
池谷さんは「徳用の国産」と意味を読み違えたようですがこの「徳国」という言葉中国語ではドイツを意味します。
ええっ!?通訳は速記をしながら意味を訳しますからね。
つい仕事の癖が出てあなたは中国語を書いてしまったのでしょう。
調べましたよ。
ショッピングモールを計画していた中国の企業にあなた雇われた事ありましたよね。
レブリーでこの写真を見せて確認しました。
菅原さんの中国進出の際もあなたは通訳を務めました。
はいこちら。
つまり一連の計画はあなたにしか出来ないという事なんですよ。
(ため息)私だってこんなになるなんて思ってなかった。
(横坂)おいこれを持って逃げろ!警察だ。
お前ならあいつらにも面が割れてない。
もし俺らが捕まったら出所するまでこの金預かってくれ。
ちょっと待ってくださいよ!
(横坂)行け!お前も捕まりたいのか!
(良枝の声)その時はかかわり合いになりたくないって思ったのよ。
(良枝の声)閉店後のママみたいな顔して出てったらうまく出られたのよ。
でも次の朝行ったら…まだあったのよ。
あんな危ない金預けられたのよ。
ちょっとぐらいいい思いして何が悪いのよ。
ヤクザの通訳なんかしたらトラブルに巻き込まれる事も十分予想出来たはずでしょう。
ギャラがよかったのよ!それにこれがなんか罪になるわけ?三井の金にはまだ1円も手つけちゃいないよ!横領詐欺未遂…それから文書偽造といったところでしょうかねえ。
文書偽造?ペーパーカンパニーを作るのに沢口京子さんの名前使いましたよね?しかしどうして京子さんの名前を?物件の下見に来たらいたのさ。
美人鼻にかけて愛想振りまいて。
気に入らなかっただけよ。
そんな…!で?全部合わせてどんだけのもんだって言うのよ!あなたの場合初犯ですからねえ。
すべて合わせても執行猶予のつく可能性がきわめて高い。
あらま。
それは残念ねえ〜。
ええ残念ですねえ。
まもなく出所してくる横坂からあなたを守ってあげられないのが。
しかしもし何かありましたら警察にご一報を。
伊丹さん中終わりました。
(芹沢)じゃお願いします。
(芹沢)さあじゃあ行きますか。
え?僕もっすか!?寺島と何してたかわかんないからさ。
とりあえず参考人として話を聞くだけだよ。
そんなあ…。
自業自得だよ!約束破ってあんな奴とつるんでるからだろうが!池谷さん…。
お前たちもだよ!ええっ!?忘れてないっすよ!先輩。
何が?だから金が欲しかったんすよ…。
会社作る金全部俺が出しますって見栄張りたかったんすよ!山崎さん…。
バカが…。
あ〜あ!こんなんじゃ俺の給料も出ないだろうし…。
奥村お前貯金いくらある?全然ありません。
なんでだよ!だっていい給料もらってたんだろ?ずっと菅原に差し入れてたんです。
なんだよそれ…!あとまだ言ってなかったんですけど会社も辞めちゃいました。
(山崎・池谷)ええっ!?やっぱりみんなとの約束守んなきゃと思って…!お前…!早まった事してくれたねえ。
やっぱ1回でも刑務所入った時点で俺たちもう終わりなんすね。
僕たち…もう終わりなんですかね?どうすればいいですか?ああ…。
そうですねえ…コツコツやる事ですね。
コツコツ…。
ええコツコツ。
コツコツ…。
おいコラ!いい加減行くぞ!グダグダしてんだから。
(3人)お世話になりました。
行けほら。
はい。
あ…そういえば内村部長に報告しないと。
でもどう報告すればいいですかねえ。
捜していた常連の田中晶は喫茶店のパートでありオーナーでもあり…。
通訳であり詐欺師でもあった。
う〜ん…わかってもらえますかね?まあありのままに報告するしかありませんねえ。
はい。
杉下さん…。
はい?僕たちも明日からまたコツコツやっていきましょう。
あ〜神戸くんコツコツはいいですねえ。
2015/11/26(木) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
相棒season10[再][解][字]
過去に穴掘り強盗未遂事件を起こした三人組が出所後再会し、またしても右京(水谷豊)と尊(及川光博)の前に現れる。水面下で一体なんの事件が起きようとしているのか?
詳細情報
◇出演者
【キャスト】
水谷豊、及川光博、鈴木杏樹
川原和久、大谷亮介、山中崇史、山西惇、六角精児
小野了、片桐竜次
【ゲスト】
金井勇太、三宅弘城、松本実、甲斐まり恵
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語
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