≫ミタパンが持ち上げるんですか?
(アナウンス)「東教授の総回診です」
(東)君に査問を行うことが決まってね。
(財前)査問?頼むよ里見。
(里見)一体どういうつもりだ?
(又一)ただただ鵜飼大先生のお近づきになりたいだけですねん。
(鵜飼)わたしに一任するとおっしゃいましたよね。
(財前)そいつはもう役に立たないぞ。
僕の査問は中止になった。
(佐枝子)何だかほっとします。
本当のお医者さまに会ったみたい。
(東)万一わたしが君を推せないような状況になったらどうするつもりだね?泣き寝入りをしないような方策を考えさせていただくと思います。
(加奈子)おはようございます。
次期教授。
その言い方はやめてくれないか。
いつも冷たいですね。
熱心だな。
アルマシトシンをお願いします。
厚生労働省の承認まであと一歩なんです。
アルマシトシンの治験をお願いします抗がん剤はほかから頼まれてるのが山ほどあるから。
そこを何とか。
学会のお手伝いでもゴルフの運転手でも何でもやらせていただきますから。
病院内で有名だよ。
ユー&アイ製薬の林田は強引すぎる。
気を付けろ。
ウチはアルマシトシンに社運を賭けてるんです。
お願いします。
お望みなら一晩ご一緒しますから。
本気にするぞ。
わたし本気でもかまいませんよ。
今急ぐんだ。
〜失礼いたします。
(東)おっさあさあさあ。
ああ掛けなさい。
失礼いたします。
こちらはね阪陽建設社長の五十嵐さんだ。
(五十嵐)はじめまして。
財前と申します。
まあまあまあさっ。
五十嵐さんはね人間ドックで食道に腫瘍が発見されてね。
いやそれでぜひウチで手術を受けたいということなんだが。
大騒ぎするようなものでもないらしいんだが腫瘍といえば要するにガンでしょう?今会社残してくたばるわけにもいかんのであっちこっち聞き回ったんですよ。
そしたらみんなが消化器外科なら西では浪速大第一外科がいちばんだと言いましてな。
はあ。
何とかお願いできんでしょうか?君に切ってほしいとおっしゃってるんだよ。
東教授ではなくわたしでよろしいのでしょうか?君の評判を聞いていらしたんじゃないか。
ハハハ。
分かってることをわざわざ言わせるもんじゃないよ。
失礼いたしました。
わたしは東教授のご指示であればお断りする理由はありません。
それじゃあすぐにでも特別室を空けてオペの日程組んで差し上げなさい。
ああ大阪財界の実力者たる五十嵐社長だ。
不手際のないようにね。
かしこまりました。
腫瘍は胃に近い部分にあるようですから簡単なオペで根治できます。
全力を尽くさせていただきます。
ホントですか。
いや助かった。
天下の名医に切ってもらえるとは。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
じゃこれから後のことは財前先生に聞いてください。
私は教授会がありますのでこれで。
(五十嵐)お世話になりました。
(財前)失礼いたします。
それではまずお体を拝見しましょうか。
よし。
すっかりよくなったね好彦。
今日は学校に行けるぞ。
(好彦)はーい。
(三知代)良かったわね。
(好彦)うん。
昆虫図鑑ケイ君に見せる。
(三知代)うん。
(里見)よっぽど気に入ったみたいだな。
(政子)佐枝子さん佐枝子さん!派手かしら?
(佐枝子)くれない会?会長選挙があるの。
恥ずかしくないものを着て行かなければならないしかと言って鵜飼教授の奥さまより目立ってはいけないし。
大丈夫?ウフフ。
今度も役員を引き受けるの?引き受けざるをえないでしょうね。
選挙といっても名ばかりで鵜飼さんが会長に再選されるのは決まってるようなもんだから当然副会長にはお母さまを指名なさるわ。
でもお父さまは来年定年よ。
そろそろゆっくりしても…。
お父さまが定年退官を迎えるからこそ教授夫人会とつながってたほうがいいんじゃないの。
こっち?こっちね。
何度も言うようだけどあなたの縁談も有利になるのよ。
(佐枝子)わたしは結婚する相手は自分で見つけます。
(政子)私が辞退するって言っても鵜飼さんが許してくださらないのよね。
(水音)
(加奈子)うう二日酔いか…。
老けた。
ああ…。
(加奈子)里見先生。
(里見)ああどうも。
アルマシトシンのデータ読んでくださいました?データには興味深いものがあると思いましたが…。
だったら症例をくださいよ。
アルマシトシンは抗がん剤としては画期的な作用機序を持ってるんです。
(安西)阪陽建設の社長。
(佃)大物ですね。
(財前)早めに画像が見たい。
午後からCT室を押さえてくれ。
(柳原)はい。
CT後すぐにカンファレンスだ。
手の空いてる者は集まるように。
(一同)はい。
(佃)先生。
東教授はご存じなのでしょうか?
(財前)うん?いやこのところぎくしゃくしておられるようなので。
心配するな。
東教授から紹介された患者だ。
すいません余計なことを。
いや医局じゃ東教授はほかの大学から後任を連れて来るんじゃないかって噂もあって気が気じゃなかったんですよ。
最近東教授が東都大の船尾教授と頻繁に連絡を取り合ってんでそれでそんな噂が出たんだと思いますが。
ただの噂じゃないかもしれないぞ。
人事は分からんていうからな。
案外君が教授に指名されるかもしれない。
ええっ!そんな僕が?いやそんなアホな。
いやあ。
〜
(加奈子)先生。
コメントをお願いします。
(里見)ああ…じゃあ。
お疲れさん。
《これは僕の闘いなんだ。
負けるわけにはいかない》《闘ってるのは君だけじゃない》あら。
両次期教授はけんか中ですか?また君か。
良かったらわたしが仲を取り持ちましょうか?どうです?今夜新地あたりで…。
利益供与だとは言われないようご接待を…。
(里見)あっどうしました?林田さん林田さん。
どうしました?
(テーマソング)〜
(里見)林田さん。
めまいはよくあるんですか?
(加奈子)ええ。
ここんとこ飲み過ぎが続いてたから。
どこかほかに具合の悪いところありますか?
(加奈子)特にありません。
強いて言えばお肌が荒れてるぐらい。
まっ年だからしかたないけど。
すみません先生。
営業に来てぶっ倒れるなんて最低ですよね。
少し働き過ぎかもしれませんね。
(財前)もう一度撮影しますのでそのまま楽にしていてください。
はい。
(財前)CTに映らないくらい小さいな。
経裂孔術式で切除すれば難しいオペじゃない。
どう思う?
(佃)それしかないと思います。
(安西)はい。
金井君は?
(金井)経裂孔術式はリンパ節郭清が不十分だと思いますが…。
あっ。
でも腫瘍自体は小さいので先生の選択が正しいと思います。
じゃ経裂孔術式でいこう。
第一助手だが今回は佃君に頼む。
えっ。
(財前)危険性の低いオペでもあるしたまには佃君にも機会を与えたい。
金井君には術後のICUで頑張ってもらうよ。
ありがとうございます。
はい。
安西君は第二助手。
はい。
それから柳原君も慣れてきただろうから第三助手に入ってもらおうか。
はい。
うん。
(竹内)財前先生は?里見先生が至急連絡ほしいって言ってるんだけど。
今手が離せない。
患者がさ阪陽建設の社長なんだよ。
(竹内)うわっ特診か。
そりゃついてなきゃまずいな。
トクシンて?いやお前何言ってんの今ごろ。
特別に診察するVIP患者のことだろ。
あぁあぁあぁ特診か。
ああ特診ね。
(ドアが開く音)
(財前)里見の用件は?すいませんお忙しいところ。
ユー&アイ製薬の林田さんについて財前先生のご判断をいただきたい点があるそうです。
彼女シビアな状況なのか?詳しくは会ってお話したいということです。
今は無理だな。
後で連絡すると言っといてくれ。
一部上場企業の社長と製薬会社の一営業員じゃしかたないか。
まあ財前先生も大変な時期だからな。
ああ。
ただいまより投票用紙をお配りいたします。
では次期会長選挙を執り行います前に鵜飼現会長よりひと言ごあいさつちょうだいいたしたいと存じます。
(典江)皆さま本日は本当にご苦労さまでございます。
このくれない会は医者を夫に持つ私たちが妻の立場から少しでも夫の力になり国立浪速大学医学部の親睦を深めることを目標として発足されました。
その趣旨を十分にご理解いただきました上で公平な目で次期会長をお選びいただきたいと存じます。
(拍手)
(昭子)ではご記入くださいませ。
では私たちも記入いたしましょうか。
ええ。
(政子・典江)オホホホ。
(則内)えー次は第一外科の教授選のことですが。
(鵜飼)年内最後の大仕事ですな。
(則内)正式な選考会は来月なわけですが…。
東先生。
後任教授の候補者についてはそろそろお決まりですか?ええまあ。
(鵜飼)則内院長そりゃ愚問でしょう。
(葉山)確かに東教授の後継者は誰の目にも明らかですからね。
(鵜飼)どうでしょう東先生。
ここはひとつざっくばらんに今のご希望を聞かせていただくというのは?
(則内)まあまあ一応順を踏んでということで。
しかし我々は何をするにも時間がかかりすぎるんでね。
この件につきましては慎重に考えさせていただきたい。
(東)第一外科の教授選考は浪速大学医学部の将来にひいては日本の医学界の将来にも深くかかわる一大事ですから。
(政子)鵜飼典江さん。
(昭子)はい。
(政子)鵜飼典江さん。
(昭子)はい。
鵜飼典江さん。
(昭子)はい。
(政子)鵜飼典江さん。
(昭子)はい。
(政子)ご覧のとおり鵜飼医学部長夫人19票。
白票1票となりました。
この1票は鵜飼さんご自身の投票であると思われます。
よってくれない会の今年度の会長は引き続き鵜飼医学部長夫人にお願いすることになりました。
(拍手)鵜飼でございます。
皆さまのお力を得まして今後なお一層教授夫人会の教養と親睦を深めて参りたいと存じます。
えーつきましては補佐役を務めていただきます副会長の指名でございますが今年度は則内院長夫人にお願いしたいと存じます。
(喜久子)どうぞよろしくお願いいたします。
(拍手)
(典江)前副会長の東さんには本当にご苦労をおかけいたしましたがご主人の東教授も財前助教授というすぐれた後継者をお育てになり安心して退官なさるでしょうしどうぞ肩の荷を降ろしてのんびりとなさってくださいませ。
本当にご苦労さまでございました。
(拍手)待ってたんだが。
ああそうだったな。
悪かった。
いや光栄だよ。
もう口を利いてもらえないと思ってたから。
じゃ。
(加奈子)すいません部長。
入院して検査したほうがいいと言われまして。
大したことないと思いますけど。
あっただでは休みませんよ。
せっかくですから入院してる間に売り込みかけます。
ええお任せください。
はい。
じゃあ。
(財前)胃ガンの肝転移か。
それに肺にもあるな。
(里見)胃の主病巣から少しずつ出血がある。
3か月もてばいいほうだな。
こんなになるまで自覚症状はなかったのか。
(里見)仕事のプレッシャーを毎日の酒でごまかしていたため気づかなかったらしい。
耳が痛いな。
彼女はまだ36歳。
独身だそうだ。
僕にできることは何もないな。
待ってくれ。
随分早い判断だな。
ガンは全身に転移している。
オペでは取りきれない。
お手上げだよ。
じゃ約束があるから。
おい財前。
ちょっと待ってくれ。
それで終わりか?
(里見)外科医なら何かほかにできることはないのか考えようともしないのか?できることはないからないと言ったんだ。
じゃ聞くがもしこれが特診患者のVIPでも同じようにもうお手上げだと答えたのか?いや。
3日ぐらい考えるふりをしただろうな。
外科は治る可能性のある患者を治すところだ。
治らない患者に長々と労力を割くよりは1人でも助かる患者を救いたい。
誰かを救うためには誰かを切り捨てるということか?べッドの数は限られている。
その中でできるだけ多くの患者を救う。
それが大学病院の使命だ。
結局君と僕はいくら話しても考え方の違いに行き着くみたいだな。
〜
(政子)あなた一体何があったのですか!?私くれない会の副会長を降ろされましたの。
あなた鵜飼教授ともめ事でもあったのですか?いや何もないよ。
いやたかが教授夫人会のことをいちいち医学部内のことに結び付け…。
たかが教授夫人会されど教授夫人会です。
鵜飼さんが則内さんを指名したことひとつを取っても鵜飼教授が定年退官を迎えるあなたに見切りをつけて則内院長に近づこうとしているのが透けて見えるではありませんか。
そこまで分かってるんだったら何もわたしに聞くことはあるまい?
(政子)私は責めているのではありません。
あなたもこの際しっかりと政治力をお振るいになってくださいって申し上げてるんです。
今日もまた第一外科は既に財前さんが背負っているような言い方をされたのですよ。
そのことについては考えてると言ったじゃないか。
船尾教授に推薦してもらった候補者のうちいずれにするか慎重に検討してる段階なんだよ。
(政子)んっ?んっ?一刻も早く会いたいんだがね。
何しろ一方は呼吸器外科の実力者。
そしてもう一方は心臓外科の新鋭だ。
いずれも甲乙つけがたい優秀な候補者だからね。
迷う必要ないじゃありませんの。
なぜだね?どうしてそんなにご自分の気持ちをごまかそうとなさるの?佐枝子のことも考えて決めればよろしいじゃありませんか。
こちらの菊川さんという方のほうが見た目もよろしくその上離婚して幸運にも子供がいないことに注目なさったらよろしいのです。
(東)学者というものはねそんな顔だとか家庭で決めるもんじゃない…。
ここは正直に第一外科だけではなく東家の後継者ともなりうる方をお採りになればよろしいじゃございませんか。
国立大学の教授の人事をそうしたプライベートな事情で決めるわけにはいかん。
(政子)じゃなぜ私にこれをお見せになったんです?私にお見せになったことであなたのお気持ちはすでに決まっているはずじゃありませんか。
んっんっ?何が決まってるんだ?
(政子)あなたはご自分の心の中に思っていることを私に言わせ私のせいにしてご自分の良心の呵責を少なくしようとなさってるだけですわ。
でもそれであなたの気が済むのなら結構です。
はい。
私が何度でも言って差し上げます。
どうか後任教授には佐枝子の結婚相手にもなりうる菊川さんのほうをお選びください。
〜
(マミ)いらっしゃいませ。
(ケイ子)ああいらっしゃいませ。
こんばんは。
マミちゃんご案内。
よそから教授をなあ。
東教授が東都大の船尾教授と連絡を取り合っているそうです。
ふーん。
東都大いうたら東の出身校やな。
学閥から後継者を連れて来るかハッ。
ケチなエリートのやりそうなこっちゃ。
このところの東教授の態度を考えると話は水面下でかなり進んでいるのかもしれません。
辛気臭い顔すなハハハ。
弱音吐いてるときやないで五郎君。
この8年間助教授として東教授に尽くしてきた結果がこれかと思うと正直がっくりしてしまって。
ヘヘヘ奉公が報われる思うとったらあかんがな。
ええ?世の中皮肉にできとんのや。
一生懸命やったことに結果が伴わんとええかげんにやったことがうまいこといったりすんのや。
ハハハ。
けど金はちゃうで。
金だけは対価を払うたら大概のものは手に入れることができんのや。
おーいママ。
(ケイ子)はーい。
難しいお話は終わりました?なあママ。
うん?金積んだらわしと寝てくれるか?ええ?ウフフ何先生?あんた五郎君とええ仲なのかもしれんけど。
わあ。
(又一)どや?わしと一回ぐらいないしょごとあってもええのんちゃうか?お義父さん。
僕と彼女はそのような関係では…。
ヤボなこと言うな。
婿やからいうて遠慮せんでもええ。
ええ女の1人ぐらいおらなんだら医者とは言えん。
よろしいですわよ又一先生。
(又一)ホンマか?
(ケイ子)ええ。
ああさすがママや。
話がよう分かっとる。
ただし…。
うん。
額が折り合えばの話ですけど。
フフフフ額がな。
うん。
聞いたやろ五郎君。
ええ?額さえ折り合いがついたら大概のことは何でもなるっちゅうこっちゃ。
女をものにするのもなんじの敵を握りつぶすのも。
はい。
わしはあきらめへんで。
(ケイ子)あら先生。
(又一)もう離さへん離さへん。
(ケイ子)どうしはったん?
(又一)1億1億…。
(ケイ子)何言うてはる?うーん。
(ケイ子)五郎ちゃんも大胆ね。
お義父さんに探りを入れられたのに堂々と誘うなんて。
婿養子にも冒険が必要だからな。
随分疲れてるみたいね。
わがままな特診患者の相手でくたびれたんだ。
(ケイ子)うん?1日に3つのオペをこなしても平気でわたしに会いに来る人が?あいつと話したせいかもしれない。
あいつって里見先生?五郎ちゃんを揺さぶることができるのは偉い人じゃない。
強い人でもない。
里見先生みたいに自分自身を信じてる人だわ。
分かったようなことを言うな。
そんな弱気で教授選大丈夫?お義父さん意気込んでたけどホントにお金で票が買えるのかしら?ここまで来たらどんな手段に訴えてでも教授の椅子を取るよ。
何しろ10数年に1度教授が退官するときにしか回ってこないチャンスだからね。
必ず手に入れて見せるよ。
そんな強気の人が夜の海を見て人並みにセンチメンタルになったりするもんじゃないわ。
あなたの魅力はね何の疑問もなく医学部に入ったお坊ちゃんなんかが持ち合わせていないあざとさとしぶとさと厚かましさよ。
その辺の男と同じようにすぐにあきらめたり身の程知ってしまうようなら五郎ちゃんじゃないわ。
見くびるなよ。
俺はあきらめたりなんかしない。
弱気にもならない。
俺には腕があるからな。
〜
(安西)ヤナやっといて。
(柳原)あっはい。
(看護師)231号室の五十嵐さんをお連れしました。
(佃)おいヤナ。
何ぼやっとしてんだ。
(柳原)はい。
失礼します。
ご気分の悪いところはございませんか?いや。
財前先生のオペだ。
大船に乗った気持ちですよ。
(柳原)いえ。
(上村)お手もと失礼します。
〜
(一同)よろしくお願いします。
(財前)準備は?
(佃)血圧も脈拍も問題ありません。
(財前)ではこれより開腹する。
難しいオペではないが最後まで気を抜かないように。
(一同)はい。
(財前)メス。
(佃)コッヘル。
(安西)コッヘル。
(柳原)ガーゼ。
(鵜飼)この患者は手の打ちようがないね。
年は越せんだろう。
系列の病院のどこかを紹介してやりなさい。
早いほうがいいよ。
あのウチで引き受けることはできないでしょうか?有効な治療法がないのにかね?せめて痛みをコントロールして少しでも延命効果のある治療法を探りたいと思います。
まだ分からんのかね。
ウチは高度の設備を備えた国立大学の医学部なんだよ。
よくなる見込みのないただ死んでいくだけの患者がベッドをふさぐことは許されんよ。
製薬会社の営業員か何か知らんが安っぽい同情に振り回されるより助かる患者を助けるんだ。
同情ではありません。
わたしは…。
(ドアが閉まる音)
(財前)クーパー。
(財前)次は縦隔郭清だ。
(佃)スパーテル。
(財前)しっかり術野を確保しておけよ。
(一同)はい。
(財前)ケリー。
サクション。
メッツェン。
(金井)失礼します。
お呼びでしょうか?
(東)こちらへ掛けたまえ。
(金井)はい。
今回君は第一助手になぜ入っていないんだね?財前先生が佃君に機会を与えてやってはどうかと。
佃君はまだ経験が浅い。
本来なら講師の君が入るべきじゃないのかね?はあ。
本当のところ君は一体どう思ってるのかね。
うん?財前君のことをだよ。
はあ。
長年東先生のご指導を受けただけあってすばらしい腕をお持ちだと尊敬しております。
本当に尊敬できるのかね?
(東)手先の技術のみにこだわっているのは学者ではない。
絶えず世間の評判やマスコミを意識して…。
フッフッ。
いや財前君というのはね腕におぼれるところがあるんだよ。
まあわたしから言うと角が立つから君からそれとなく言ってみてはどうかね?彼のためにも。
はい。
じゃ後は頼んだよ。
ちょっと今日来客があるんで。
(金井)ええ。
東先生。
うん?
(警告音)休みは取れましたか?はい。
今まで休んだことなかったので有給たっぷりたまってるんです。
そうですか。
わたしよくない病気ですか?これでも製薬会社の営業一筋ですから何の検査してるのか大体は分かります。
そうですか。
でもついてたかもね。
浪速大学を担当して10年。
結婚もせずにずっと必死で仕事してきたから言ってみれば戦場で倒れたってわけだもん。
先生たちにも病院にも愛着あるしよその病院に入院するよりは良かった。
だってもし自分が重い病気になったらやっぱりここに入院しようって思ってましたから。
(警告音)
(看護師)出血量トータルで600を超えました。
(佃)奥から血があふれてきてますね。
(財前)血圧は?
(上村)50切ってます。
(財前)どこから出血してるんだ?サチュレーション。
(佃)90パーセントです。
(財前)胸腔穿刺をしてみろ。
(柳原)はっはい。
20のシリンジと18ゲージ針。
(看護師たち)はい。
(財前)クーパー。
〜
(財前)貸してみろ。
(柳原)すいません。
(財前)こいつだ。
スパーテルが入ったときに下肺静脈が破れたんだ。
(佃)ええっ!?
(安西・柳原)すいません。
(財前)左開胸して止血するぞ。
輸血全開。
パンピングしてくれ。
(一同)はい。
(佃)輸血10単位。
大至急。
(上村)麻酔科医応援お願いします。
(看護師)はい。
オペルームです。
麻酔応援お願いします。
どうしましょう?介助に入りましょうか。
いや。
余計な口出しはかえって危険だ。
ここは財前君の腕を信用して任せよう。
(三知代)おっ。
(佐枝子)良かったですね。
よくなって。
(三知代)しょっちゅう高い熱を出すの。
男の子らしく遊べないのがかわいそうで。
大丈夫。
うん?ウチの兄も小さいときは弱かったけど高校に入ってからすごく元気になって登山まで始めましたから。
(三知代)ねえ聞いていいかしら?佐枝子さんのお兄さまはいつ?
(佐枝子)二十歳のときでした。
2年浪人して東都大の医学部に受かって初めての夏休みに遭難したんです。
ご両親悲しまれたでしょうね。
大事な跡継ぎでしたしそれに自殺の疑いもあったので…。
ごめんなさい。
つらいこと聞いたわね。
いいえ。
それよりわたしも聞いていいですか?怖いわね。
何?里見先生とは恋愛結婚ですか?ええ?里見先生って大学の医学部では珍しいタイプだなあと思って。
どうかな。
恋愛でもお見合いでもないかもしれない。
ここから先はないしょ。
ああずるい。
嘘嘘。
実はね…。
あっごめんなさい。
ううん。
もしもし。
わたしだ。
今どこにいる?おっ。
実は頼みたいことがあるんだがね。
お客さまを迎えに?新大阪駅のホテルで待ち合わせたんだがねウチまでご案内してくれないか?ああ。
急な大事な手術で迎えに行けなくなってしまってね。
分かったわ。
お名前は?
(東)石川大学の心臓外科の教授でね菊川さんというんだ。
えー年は41だよ。
じゃ頼んだよ。
(三知代)ほら汗かいたからねこの辺りちょっとふかないとね。
大丈夫?
(好彦)もう自分でふくよ。
(三知代)まあ偉い偉い。
(財前)肺鉗子。
(看護師)はい。
(財前)吸引しっかりしろ。
(上村)はい。
(財前)よし止まった。
輸血急げ。
(一同)はい。
(財前)シルク。
(看護師)はい。
(警告音)
(佃)VTです。
(財前)クソッ心臓マッサージをするぞ。
どけ。
(財前)除細動器を用意しろ。
絶対に死なせるな!
(一同)はい!〜〜失礼ですが菊川さんでいらっしゃいますか?
(菊川)菊川です。
浪速大学の東の娘でございます。
父が手術で急遽お迎えに上がれなくなりましたので代わりに参りました。
あっ。
それはわざわざ。
どうぞ。
ウチまでご案内します。
あの東教授はしばらくかかるのでしょうか?あっはい。
大事な手術が長引いていると申しておりましたので。
それなら大学病院のほうへ案内してもらえませんか?大学へ?前々から浪速大学の新しい施設をぜひ拝見したいと思っていましたので。
はい。
分かりました。
(財前)急げ!
(看護師)はい!
(財前)20でチャージ。
(看護師)はい。
(看護師)チャージできました。
(財前)フラッシュ。
(財前)30に上げて。
(看護師)はい。
(財前)これでダメなら一巻の終わりだ。
(看護師)チャージできました。
〜
(財前)フラッシュ。
(電子音)
(佃)心拍戻りました。
(上村)動脈波形も出てます。
(佃)あっバカ!
(安西)ああごめんなさい。
(財前)よし。
血圧が安定したら静脈を縫合する。
(佃)はい。
(財前)みんなよく頑張ってくれた。
(一同)はい。
(財前)肺リトラクター。
(柳原)はい。
(佃)サクション。
(看護師)はい。
(財前)シルク。
チッ。
いやさすが財前君だね。
任せておいてよかった。
〜先日はありがとうございました。
ああいえ…。
ああ。
あっ父のお客さまをご案内したんです。
石川大学の菊川と申します。
あっ第一内科の里見です。
ありがとうございました。
後は自分で参りますから。
あの好彦君熱が下がって良かったですね。
ああはい。
えっ?さっき奥さまにお会いしてたんです。
ああそうですか。
あの仲よくしてやってください。
いえわたしこそ。
三知代さんと話していると何だか楽しくて。
仲よくしていただきたいです。
では失礼します。
〜
(ノック)入りなさい。
失礼します。
あなた…。
菊川でございます。
本日はお招きいただきありがとうございました。
ああいやいやいや。
ああよくいらっしゃいましたね。
さあ。
ああどうぞ。
はあ。
大先輩にお会いできて光栄です。
浪速大学の施設を拝見したくてこちらへ回りました。
(東)ああそうですか。
(ノック)ああ入りなさい。
失礼いたします。
たった今五十嵐さんのオペが終わりました。
ああああ。
どなたでいらっしゃいますか?『アメイジング・グレイス』〜〜〜〜2015/11/26(木) 14:55〜15:50
関西テレビ1
白い巨塔 #04[再][字]【教授の椅子に座るのは誰か?財前の野望を賭けた戦い!】
「落選」
詳細情報
番組内容
製薬会社の営業ウーマン・加奈子(木村多江)が、財前(唐沢寿明)と里見(江口洋介)の前で倒れた。末期のがんであった。里見は財前に手術を頼むが、財前は拒否。東(石坂浩二)から回ってきた関西経済界の大物・五十嵐(大林丈史)の“特診”手術に全力を注ぐことにした。だが、その手術が、危ういところで失敗しそうになる。一方、反財前の東は、石川大学から菊川(沢村一樹)を個人的に招き、次期教授の因果を含めにかかった。
出演者
唐沢寿明
江口洋介
黒木瞳
矢田亜希子
水野真紀
沢村一樹
片岡孝太郎
伊武雅刀
若村麻由美
西田尚美
野川由美子
池内淳子
伊藤英明
石坂浩二
西田敏行ほか
スタッフ
【原作】
山崎豊子
【脚本】
井上由美子
【企画】
和田行
【プロデューサー】
高橋萬彦
川上一夫
【演出】
河野圭太
【音楽】
加古隆
「アメイジング・グレイス」ヘイリー
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
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