(マイケル)
これは極東の国日本を訪れた我々家族の100日間の冒険の物語。
我々の目的は寺院巡りでも秋葉原でのショッピングでもない。
我々の最重要課題それは…
日本を食べ尽くす事だ。
(客たち)ハマチ!赤貝!
(板前)あいよ!
(客たち)赤身!サーモン!ビントロ!あいよ!こちらのお客さんはハマチと赤貝こっちのお客さんは赤身そしてこっちのお客さんはサーモンとビントロね。
(アスガー)わぁ!すごい記憶力!あの〜ビールを…。
(客たち)イクラ!ツブ貝!エンガワ!コハダ!イワシ!今ので聞こえたのかな?まるで戦場だね。
そうだアスガーすし屋は戦場なんだ。
ゴホンッ。
ビールを!
(客たち)タイ!ツブ貝!アジ!イワシ!ビールを!ビールを!ビールを!ビールを〜!
(板前)へいお待ち!
(リスン)全部聞こえてたみたいね。
ハ…アハハハハッ…いっぱい飲みたかったからいいんだよ。
うんうんやっぱりビールはうまいな。
ハハハッ…。
あなた飲み過ぎないでね。
(客)大トロ!
(エミル)サーモン。
(客)タイ!エンガワ。
(客)赤貝!イクラ。
あいよ!お待ち!エミルは上手ね。
リズム感がいいのかしら。
おっトシだ。
もしもし。
(トシ)ようマイケル。
・ミル貝!タイ!ん?すし屋にいるのか?まあな。
何か飲んでるのか?ああビ…。
まさか寿司を食べながらビールを飲んだりなんてしてないよな?いや…飲んでないけど。
じゃあ何を飲んでたんだ?ビ…ビ…微炭酸のジュースだ。
マイケルそいつはもったいないぞ。
せっかく日本に来たんだ。
料理だけでなく日本独自の酒も味わってみろよ。
…そう日本酒だよ。
あぁ?日本酒?いいよあれは。
前にロンドンで飲んだ事があるが匂いは接着剤味は石油みたいだった。
ハハハハッ。
言うじゃないか。
最近は海外でも人気だがさっぱり理由が分からないな。
お前はまだ本当にうまい日本酒を知らないだけだ。
一度飲んでみろ世界が変わるぞ。
うまいものを口にして世界が変わるあの瞬間お前も好きだろ?まあな。
そういう事なら話が早い。
お前に会わせたい男がいるんだ。
米米麹水などを主な原料としたアルコール飲料である。
米の主成分であるデンプンを麹の作用で糖分に変え更に酵母の力で発酵させて完成する日本特有の醸造酒なのだ。
原料の水米米麹は何種類も存在しそれらの組み合わせで各地域の食に合わせたお酒が造られている
え〜とこの辺りのはずだが…。
あここだ。
お…。
あ…あの〜トシから紹介を受けてやって来たマイケル・ブースです。
飲んでみぃ!えっ!は…はい!心の声うっ…やっぱりだ。
酒というより燃料の匂いがする。
うぅ〜…!飲んでみぃ〜や!は…はい!心の声うぅ〜…ま…まずい…。
何が世界が変わるだトシめ〜。
変わるどころかますます確信したよ。
日本酒ってやつは…。
(権藤)まずいやろ!え?あ…はい。
あんたが前に飲んだ酒と同じ味か?ええ。
確かにこの味です。
今度はこいつを飲んでみぃ!心の声お?嫌な匂いがしない。
それどころかどことなくフルーティーでいい香りだ。
はよ!飲んでみぃ!は…はい!うまいやろ。
は…はい!でもなぜこんなに違うんです?同じ日本酒なんですよね?日本酒造りは複雑かつ繊細や。
せやからちょっとでも手抜けばたちまち質の悪いもんが出来てまう。
恐らくあんたが飲んだんはそれや。
ほんで今飲んでるんはわしが手間ひまかけて造ったほんまもんの日本酒や。
う…うまい。
質の善しあしで日本酒はここまで違うのか!
(権藤)こいつも一緒に食ってみぃ。
は…はい!心の声これは…!塩辛のうまみと日本酒独特の風味が強烈にからみ合って絶妙な味わいを醸し出している!これが…これが日本酒か…!どうやら気に入ったようやな。
権藤や。
この土地で代々造り酒屋をやっとる。
トシから日本酒のすばらしさをあんたにたたき込むようにと言われたんや。
ありがとうございます。
日本酒のすばらしさよ〜く分かりました!あ?笑わせんな。
まだまだこれからや。
日本酒と最高に合う料理を出す店に連れてったるわ。
は…はい!着いたで。
ここや。
お?…え?え?…えぇ〜!ご…権藤さん冗談ですよね?
(店員)お待たせしました。
こちらマルゲリータです。
そしてこちらは本権藤でございます。
あぁ…あ…。
こいつもうちの酒や。
この店のオーナーは酒の味を分かっとる男なんや。
さっきとはまた違う味わいですね。
これが辛口の本醸造や。
辛口?本醸造?
(権藤)日本酒造りはまず原料となる米を削るとこから始める。
どんだけ削るかそれを精米歩合言うんやけどその歩合が70%以下のものを本醸造と呼ぶんや。
日本酒には吟醸純米吟醸大吟醸純米大吟醸本醸造純米やら精米歩合や細かな造り方によってさまざまなカテゴリーに分けられ更にそん中にも甘口やら辛口やらいろんな特徴や種類があるんや。
そ…そんなに種類が?
(権藤)ほなマイケルこのピザを肴に飲んでみぃ。
は…はい。
心の声衝撃だ。
濃厚なチーズにキリッと冷えた日本酒は確かに合うぞ!なんて爽やかな後味なんだ!これは…!う…うまい!
(オーナー)日本酒にはうまみ成分のアミノ酸が多く含まれていて料理との相性がいいんです。
特にチーズやトマトを使ったうちみたいな料理とは合うんですよ。
要はうちの酒は最高にうまいちゅうこっちゃ。
心の声これは想像以上に奥が深そうだな。
日本酒…。
くぅ〜っ!サバのみそ煮のような深いうまみとコクのある料理には純米酒がおすすめですね!落ち着いた香りと味わい深いコク。
お互いをバランスよく引き立て合う!正解や。
昨日まで酢や砂糖と相性の悪いビールをすしを食べながら飲んどった男とは思えへん。
も…もうその話はよして下さいよ。
(サラリーマン)それで部長がさ〜!
(笑い声)権藤さんあまり日本酒を飲んでいる方がいませんね。
この店ではあまり人気がないんでしょうか?ここだけやない。
日本人が日本酒を飲む量は年々減っとってな。
今や40年前の1/3や。
うちの酒も例外ではあらへん。
危機的や。
え…そんな状況なんですか?こんなにおいしいのに?なぜですか?酒の味が分からへん連中が増えたって事やろ。
まあそんなやつらにうちの酒を無理に飲んでもらおうとは思わんけどな。
でももっと消費者のニーズをつかまないと。
ニーズ?しょうもない。
わしの家は先祖代々うまい酒を造り続けてきたんや。
300年やで!300年の歴史を誇る老舗なんや!ちょっと僕彼らに取材してきます!お…おいマイケル!なぜ日本酒を飲まないの?
(サラリーマン1)だっさい。
(サラリーマン2)おやじ臭い。
(OL1)匂いがちょっと…。
(OL2)悪酔いするし〜。
(サラリーマン3)まあ必要ないっすね。
以上取材の結果です。
権藤さん?そやから聞きとうなかったんや〜!しかしちょっと取材しただけでも否定的な意見ばかりで…。
日本酒の印象はあまりいいとは言えませんね。
まだ精米も終わってへんような若造どもが…。
好き勝手言いやがって…。
ご…権藤さん?
(笑い声)え?誰このおやじ。
お前らほんまにうまい酒飲んだ事ないやろ。
飲んでみぃや〜!
(サラリーマンたち)ひいぃ〜!いや〜こんなに日本酒がうまいとは知りませんでした。
今度お店に買いに行きます。
(サラリーマンたち)それじゃあごちそうさまでした!やりましたね権藤さん!多少強引でしたが彼らあなたのお酒のすばらしさ分かってくれましたよ!あ…あ?せやけどなマイケル。
こないな付け焼き刃やとどうにもあかん。
わしも自分の酒の良さをお客さんにどない伝えてどない売るか真剣に考えへんとなそやろ?権藤さんあなたのお酒を海外に売ってみたらどうです?海外?そうです!日本酒は今海外で人気が高まっています。
輸出量もこの5年で2倍まで増えているそうですよ。
あなたのお酒なら絶対うけますよ!そうだあなたの事を記事にしていいですか?マイケル…。
あなたのお酒の事世の人にもっと知ってもらいたいですからね。
そうと決まれば権藤さん酒蔵に戻りましょう。
もっと飲まないと!ま…まだ飲む気か?ええ取材対象をとことん味わい尽くすのが僕のやり方ですから。
それで昨日からこんな時間までずっと飲み続けていたわけ?記事を書くためには権藤さんのお酒の事をもっと知る必要があったからね。
あ〜それにしてもちょっと飲み過ぎたかな〜。
ちょっとどころの騒ぎじゃなさそうだけど。
ママ行こうよ!そうね。
私たち御飯行ってくるわね。
何か買ってきてほしいものある?日本酒。
まだ飲むの?おいしいんだよ日本酒。
じゃ行ってくるわね。
僕は日本酒に導かれてどこまでも…。
マイケルピザと日本酒のマリアージュにえらく感動したみたいだな。
マリアージュってのは料理と酒の絶妙な相性を楽しむ事だ。
なんて気取ってはみたが実は俺はそんなに詳しくはない。
だから今日はこの方に教えてもらいに来た。
あっトシさんどうも。
君嶋哲至さん。
うまい酒を追い求め日本全国の酒蔵を訪ね歩いている老舗酒店の4代目だ。
君嶋さん日本酒って本当に何でも合うの?日本酒っていうのはお米でできてますよね?まあ御飯と考えると…。
まあ御飯というものであったらどんなものでも合いますけども更に温めたり冷やしたりいろんな組み合わせをできるのが日本酒なんですね。
なるほど。
じゃまずはこれ。
冷やした淡麗辛口の純米酒。
この酒はさっぱりとした切れ味が特徴だが君嶋さん何に合わせる?そうですねやっぱりこのお野菜を使ったですねバーニャ・フレッダかな。
バーニャ・フレッダ。
冷たいアンチョビソースをかけた野菜の盛り合わせ。
アンチョビなら普通は白ワインだよね?
(君嶋)白ワインだと結構魚臭さが出てしまってこの淡麗辛口の純米酒を冷やして飲むと見事にその生臭さを消してくれて野菜のみずみずしさを更に引き立てるという。
確かに生臭さがないね。
野菜もさっぱりとしてうまい。
冷たい酒の次は温かい酒だ。
コクがある純米酒のお燗。
君嶋さん何と合わせるのか?なんとマグロのステーキ!味付けは濃厚なジャガイモのピューレとバルサミコソース。
どうしてこの料理なの?お燗にすると隠れたものが出てくるっていうか。
だから本来の味に近づくっていう形です。
ボリューム感が出てきてお魚の味をどんどん持ち上げてくれてソースとの相性も非常によくなる。
なるほど。
お燗で引き出された酒のうまみとマグロのうまみが響き合い味わいの幅が広がっていく!次は難しいぞ。
濁り酒だ。
米や麹を粗くこす事で残った白いオリが特徴の酒。
さあどう来るのか?
(君嶋)そこのお客さんが食べてるトリッパなんかすごくおいしいです。
え?トリッパ?牛の胃袋をトマトソースで煮込んだ料理だよね?本当に濁り酒に合うの?
(君嶋)オリがあるから内臓がよりおいしく感じるんですね。
この脂とかを濁り酒のオリで包み込んで口の中で調和する。
オリの魔力ですね。
お見事!脂っこくないよ。
「オリの魔力」とはうまい事言うねぇ!ふぅ〜食った食った!最後はスイーツで締めようか。
3年熟成させた古酒だ。
これに合うスイーツなんてあるの?チョコレートです。
熟成してる常温の古酒はカカオのような香りこのチョコレートと同系列の香りがするわけです。
甘みもありますのでこのチョコレートの甘みも非常に合いますので。
マリアージュのコツも分かった事だし今度マイケルに教えてやるか。
年間3,500万人が利用する日本の玄関口だ
2015/11/24(火) 16:05〜16:25
NHK総合1・神戸
アニメ 英国一家、日本を食べる「日本酒の危機」[二][字][再]
イギリス人フード・ライターとその家族が、日本に滞在して各地の料理や食材を食べ尽くす!?「和食」をテーマに、一家の100日に渡る日本珍道中を描くコメディー・アニメ
詳細情報
番組内容
ビールを飲みながら一家で寿司をつまんでいたマイケルにトシから電話が入る。「まさか寿司を食べながらビールなんて飲んでないだろうな?」とまるでこちらの様子を見透かしたようなトシに焦るマイケルだったが、日本酒のうまさを知るため造り酒屋に行くよう勧められる。向かった先で出された日本酒の味が、自分の知っている日本酒とは全く違うことに衝撃を受ける!
出演者
【声】竹本英史,満仲由紀子,広橋涼,松本大督,半田裕典,徳山靖彦,滝藤賢一
原作・脚本
【原作】マイケル・ブース,【翻訳】寺西のぶ子,【脚本】吹原幸太
監督・演出
【監督】ラレコ
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
情報/ワイドショー – グルメ・料理
趣味/教育 – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz
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