NHK高校講座 生物基礎「適応免疫」(2) 2015.11.24


そんな事言わないでほら。
いや〜!生き物の不思議を解き明かす「生物基礎」へようこそ。
これまで私たちはさまざまな免疫のしくみを学習してきた。
今回学習するのは抗体が活躍する免疫のしくみである。
今日は抗体の謎に迫りますぞ。
こんにちは八田亜矢子です。
今日も楽しく「生物基礎」を勉強していきましょう。
よろしくお願いします。
東京アヴァンギャルドの丸沢丸と…。
綾瀬マルタと…。
森のイケメンミドリ君です。
ミドリ君の好きな鉛筆の濃さはBです!ちょっと濃いめが好きなんだ。
よろしくね〜。
よろしくね〜。
さあ今日のテーマは…適応免疫は獲得免疫ともいいますが前回はそのうちの細胞性免疫について学習しました。
今回はこちら体液性免疫について見ていきましょう。
(丸)よ〜し!体液性免疫で病原体は…あ〜!進歩のない事じゃのう。
「シャットアウト!」で済んだら病院も薬もいらんわなぁ。
おっしゃるとおり。
前回の…今回の……しくみです。
B細胞がつくる…。
抗体という物質?何それ。
何それ。
うむ。
抗体は免疫のしくみの中でとても大切なはたらきをする物質じゃ。
例えば…へぇ〜。
抗体って何だかすごいものなんですね。
では丸君今日のキーワードを出してくれたまえ。
はい。
ジャン。
(丸)「抗体による免疫のしくみ?」…ですか〜。
はい…どんなしくみで病原体を排除するのか見ていきましょう。
体液性免疫では…という事は抗体がどんな物質かまず…ほ〜う!分かったような事を言いおって。
でどうすれば抗体の正体が分かるのかな?それはその〜…。
亜矢子さん…。
(丸マルタ)お願いしま〜す。
はい。
では抗体の前に抗原って覚えてますか?はい。
そうそう。
はいそうでしたね。
では次に抗体についてですが先ほども言いましたが抗体はB細胞という免疫細胞がつくる物質です。
細胞ではなくて簡単に描くとこんな形をしたタンパク質なんです。
(マルタ)ふ〜ん。
Yの字の形ですね。
はいそうですね。
このYの形の先に病原体の抗原がぴったりとはまります。
実際には本当の大きさは抗体はずっと小さいんですけれど分かりやすく大きめに描いてあります。
(丸)ふ〜ん。
抗体には病原体の抗原がぴったりはまる。
という事はですよ亜矢子さん…だったらそれに合わせて…はいそのとおりです。
(丸マルタ)お〜!こちらを見て下さい。
このように病原体の抗原にぴったり合うようにたくさんの種類の抗体があります。
そしてこのように抗原と抗体が結合する事を抗原抗体反応というんです。
(マルタ)抗原抗体反応。
はい。
(丸マルタ)イェ〜イ!イェイイェイ。
わ〜!…と言っても模型を使った実験です。
これは…周りの赤いのが抗原だと思って下さい。
そしてこちらは…Yの字型の2つの先端に病原体の抗原がぴたっとくっつくようになってます。
(丸)お〜。
抗原抗体反応ですね。
はい。
では…試してみて下さい。
(丸)おっ。
(マルタ)はい。
(丸)じゃあちょっとやってみましょうか。
(マルタ)同じ病原体の抗原に別の抗体がくっついてこんなふうに。
(丸)はいはい。
おっ。
(丸)おっ。
(丸)よっ。
ほっ。
(丸マルタ)お〜。
(丸)え〜っと亜矢子さん…
(マルタ)これでいいんですか?はい。
うまくできましたね。
でもこれは模型ですよね。
(マルタ)こんな事が起こるんですか?では実際の抗原抗体反応を見てみましょう。
この液には抗A抗体という抗体が含まれている。
こちらは同じく抗B抗体が含まれている。
そしてこれはヒトのA型の血液。
このA型の血液を抗A抗体に加えると…。
血液が塊になっているのが見える。
抗原抗体反応によって固まったのである。
同じように抗B抗体にもA型の血液を加えてみるとこちらは塊は見られない。
この血液を顕微鏡で見てみると抗A抗体の方はいくつもの赤血球が寄り集まって塊になっている。
抗B抗体の方は一つ一つの赤血球がばらばらのままである。
赤血球が固まるのは分かったんですけど…。
今の実験では…ではこちらで説明しましょう。
実はヒトのA型の血液中の赤血球にはAの抗原があります。
今の実験ではA型の血液をこちらの抗A抗体に加えると塊ができましたよね。
これはAの抗原と抗A抗体の形がぴったり合って抗原抗体反応が起こったからです。
しかしA型の血液を抗B抗体に加えた時は血液は固まりませんでした。
これはAの抗原と抗B抗体は形が合わないので抗原抗体反応が起こらなかったからなんです。
(丸)あ〜なるほど。
(マルタ)でもその抗A抗体とか抗B抗体って一体何なんですかね?ではこちらを見て下さい。
今見たようにヒトのA型の赤血球にはAの抗原があります。
同じようにB型の赤血球にはBの抗原があります。
そして実はA型の血液には抗B抗体B型の血液には抗A抗体が含まれているんです。
(丸)え〜っとA型の血液に抗B抗体B型の血液に抗A抗体が含まれてる?という事は…そうなんです。
(丸マルタ)へぇ〜。
だから輸血をする時には血液型に注意しなくてはいけないんです。
では体液性免疫のしくみを見ていきましょう。
体液性免疫の主役はこの抗体です。
この抗体をつくっているのはこのB細胞。
そして細胞性免疫で活躍したヘルパーT細胞や樹状細胞。
ではこの仲間たちによる体液性免疫の物語をご覧下さい。
(マルタ)「は〜い僕は樹状細胞。
もぐもぐもぐ。
今日はこんな病原体を食べちゃったんだけど」。
あっミドリ君この前と同じ樹状細胞になってる。
持ってるのは何だっけ?体液性免疫の始まりは細胞性免疫と同じように樹状細胞が病原体を取り込む事から始まります。
そして取り込んだ病原体の目印を表面に出して示します。
これが抗原となります。
(マルタ)「この目印にぴったりの人誰かいませんか?」。
あ〜なるほど。
これが抗原ね。
で僕は何の役をやればいいんですかね?はい。
丸君はヘルパーT細胞です。
ヘルパーT細胞。
樹状細胞が示した抗原にヘルパーT細胞のレセプターがぴったり合うと活動が盛んになります。
これを活性化といい活性化したヘルパーT細胞はば〜っとたくさん増えます。
「僕はヘルパーT細胞です。
この抗原は僕のレセプターにぴったりだ。
うお〜っ!活性化して元気が出てきました。
増殖!」。
抗体をつくるB細胞も自分のレセプターに合う病原体を捕まえて取り込んでいました。
そしてやはり病原体の目印を表面に出してアピールします。
「あたいはB細胞。
こいつをやっつけるために抗体をつくるのがあたいの仕事だよ」。
そこに先ほど樹状細胞によって活性化されたヘルパーT細胞がやって来ました。
そして運命の出会いが始まります。
「お〜その抗原こそ私が求めていたものだ。
よし活性化しよう!」。
「すてき。
どんどん抗体つくっちゃう」。
このようにしてできたたくさんの抗体は病原体の抗原と抗原抗体反応を起こし病原体が塊になります。
塊になってまとまった病原体はマクロファージや好中球など食細胞が食べやすくなりその食作用によって排除されます。
ふ〜ん。
いや〜それにしてもさヘルパーT細胞とB細胞の運命の出会いなんて本当に感動的だったよね。
まあ確かにね。
えっ何?何何?いやその運命の出会いなんだけどヘルパーTが丸君じゃなかったらもっとロマンチックだったよね。
え〜!?さて2人は…はいあります。
僕もかかりました。
はしかにかかったのは…
(丸マルタ)はい1回だけです。
そう。
つまり…実はこれは免疫記憶というしくみによるものなんじゃ。
免疫記憶?記憶してるんですか?さっきB細胞は抗体をつくる前にヘルパーT細胞と抗原の情報をやり取りしていましたよね。
この時B細胞が活性化してたくさん増えるんですがその増えたB細胞の一部は記憶細胞として体の中に残るんです。
(丸)ふ〜ん。
B細胞が記憶細胞として残る。
でここからが重要なんですがもし同じ病原体が再び体の中に入ってきた時この記憶細胞が活動し病原体に対する抗体をすばやくたくさんつくるんです。
そうなんです。
初めて感染した時と違ってすばやく大量の抗体ができるんです。
これが免疫記憶のしくみです。
(マルタ)B細胞が記憶細胞として残っているから…そうです。
実は記憶細胞として残るのは…ヘルパーT細胞や前回の細胞性免疫で登場したキラーT細胞も記憶細胞として残ります。
お〜。
BもヘルパーTもキラーTも体内に残る。
これだけ残ってれば病原体は…そうですね。
やった〜!これが適応免疫の大きな特徴です。
先生こんにちは。
(大野)八田さんこんにちは。
どうぞ。
はいありがとうございます。
先生ここまでいろいろな免疫のしくみを勉強してきましたがもう一度分かりやすく整理してもらえますか。
そうですね。
どれも同じような名前の免疫細胞が出てきますからね。
ちょっとまとめておきましょう。
まず自然免疫の食作用ですがこれは白血球である好中球やマクロファージが病原体を自分の中に取り込んで排除しました。
はい。
食べるように見えるので食作用でしたよね。
はい。
次に適応免疫の細胞性免疫。
これはまず樹状細胞がキラーT細胞を活性化しそのキラーT細胞が細胞の中に侵入したウイルスを細胞ごと殺してしまいました。
そして今日学習した体液性免疫では樹状細胞によって活性化されたヘルパーT細胞が更にB細胞を活性化。
そしてそのB細胞がつくった抗体が抗原抗体反応によって病原体を排除するというしくみでした。
どれも信じられないほどうまくできていますよね。
そうなんです。
ヒトの体のしくみはどれもよくできていますが…では亜矢子さん今日の「実になる一言」お願いします。
今日の「実になる一言」はこちら。
(丸マルタ)「体液性免疫は抗原抗体反応による免疫」。
体液性免疫ではB細胞がつくる抗体が病原体の抗原と抗原抗体反応して病原体を排除します。
いや〜今日はお芝居大変だったね。
ね〜。
という訳で樹状細胞役のミドリ君でした。
イェ〜イ。
そしてヘルパーT細胞役の丸君でした。
ありがとう。
そしてB細胞役のマルタさん。
みんなありがとう!ありがとう!ありがとうありがとう。
ありがとう。
ありがとう。
ありがとうまた見てね。
2015/11/24(火) 14:40〜15:00
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 生物基礎「適応免疫」(2)[字]

生物を学ぶ事は自分自身を知る事です。ヒトとはどんな生物なのか?体のしくみや健康に暮らすための知識等々、本格的に「生物」を学ぶ前に「生物基礎」でその準備をします。

詳細情報
番組内容
さまざまな病気には、一度かかると二度目はかからない(あるいはかかりにくい)という現象がよく知られています。これはなぜなのでしょうか。実はB細胞が抗体によって病原体を排除する体液性免疫というしくみと深い関係があるのです。その詳しいしくみについて学んでいくことにしましょう。【出演】八田亜矢子・東京アヴァンギャルド 【講師】大野智久
出演者
【キャスター】八田亜矢子,【リポーター】東京アヴァンギャルド,【解説】都立国立高等学校教諭…大野智久,【語り】増谷康紀

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