すべてがFになる 〜森博嗣〜
第一回メフィスト賞受賞作。密室から飛び出した死体、孤島のハイテク研究所、探偵役の建築工学助教授、その研究室の美少女お金持ち学生といったありがちな設定に、読者を翻弄する数理的なトリックや推理を持ち込んだ発表当時センセーショナルを巻き起こした推理小説です。その謎解きもさることながら、登場人物の軽妙かつ深遠な会話もこの作品の大きな魅力の一つです。
これを初めて読んだ時はもう面白くて本当に寝食を忘れて読みふけった。死んだように仕事して、仕事が終わると嘘のように覚醒して読んだ。それほど面白い小説。
星を継ぐもの 〜ジェイムズ・P・ホーガン〜
物理学用語いっぱいのハードなSFで、理系ならきっと歓喜できます。天才物理学者のハントとライバルの生物学者ダンチェッカーの、白熱の議論シーンは必見。五万年前の月面で何が起こったのか?発見された死体と人類との関係は? ミステリ仕立てで展開される物語は、逆転を繰り返してまさかの結末に落ち着きます。フィクションだと分かりつつ、スケールの大きさでそんなことすら忘れてしまう、刺激的な一冊でした。
スティル・ライフ 〜池澤 夏樹 〜
耳元をかすめる冬の風、雪のにおい、星のまたたき。
理科の教科書の天体観測の章、あの感じです。
しし座流星群があたまの中で降ってきます。
何よりもきれいな言葉、しつこくない文章は
ほかの池澤作品に比べても完成されている
下手な理屈は捨てて、自分の感性だけで世界を見たとき、自然はいろいろな姿を見せてくれるよ、そんなメッセージを受け取りました。優しい気持ちになり、生き物としての自分が甦ってくる小説です。
アルジャーノンに花束を 〜ダニエル・キイス〜
「知や名声、権力が人にもたらす腐敗な部分が描かれ、本当に人として大切なことは何かを考えさせられる。きっと子供の頃から知ってるのだろう。年をとって周りに与える影響が大きくなるにつれ、それを忘れず心に留めておける人がどれくらいいるのか。チャーリイの最後の日記の内容にも、はっとさせられた。」
「まるでジェットコースターのような本でした。チャーリイが加速的に上がって下がる物語。報告書を読んでいるような形式と、挟み込まれるチャーリイの過去で重層的な味わいがありました。最後のほうはひどく心を動かされました」
風の歌を聴け 〜村上春樹〜
処女作。本人は未熟な作品として翻訳は許していないみたいだが、文章の持つ力の凄さを感じる。いまだに圧倒的な引力と影響力を感じる本。村上春樹の本だけを集中的に読むのは危険なのでやめよう。多分変な文章を書いてしまう羽目になる。衝撃的なデビュー作だが、発売当初は好意的に迎えられたとも言いがたい状況だったらしい。そういうものなのかもしれない。
村上春樹の本には麻薬が入っている。癖になる。彼の紡ぎ出す言葉の数々には人間を惹きつける何かがある。独特の文体で人々を魅了する。そのきっかけになった名作がこれだ。
星の巡礼 〜パウロコエーリョ〜
「星の巡礼」を読み終えて、サンチャゴの巡礼を私自身も歩き終えたようなそんな充実感に陶酔しています。
この新世紀にも脈々として古代からの秘密が人から人へと受け継がれているということは、人の本質は何も変わっていないということなのかもしれませんね。
星の巡礼では、たくさんの実習が出てきます。生きたまま葬られる実習では「何度もあとでいつでも出来るからと思って、自分のやりたいことをやりそこなった」ことをパウロは思い出します。その言葉に私の生活や、考えが次々と重なってゆきます。
人が未知のものを恐れるのは、正体のない自分を作り上げた不安の影におびえているからなのだと思いました。その不安を克服するために、今を犠牲にしたり、そのことについて、正当化するだけなのだということを感じました。
人生の秘密を、生命の秘密を言葉で表現するパウロコエーリョの名作だ。
月と六ペンス 〜サマセット・モーム〜
今まで読んだ小説の中で、最も面白かったものの一つ。
登場人物とゴーギャンとを重ね合わせる必要はない。
もし重ね合わせるのなら、ファンタジーの入り込む余地のある程度にいい加減にしておくくらいの遊びがなければ、史実との違いにとらわれて楽しめないだろう。
この小説は20世紀に大量消費されることになるエンターテイメント小説のはしりーとも言える作品ではないでしょうか。 もちろん娯楽小説(伝奇もの、怪奇もの、探偵もの)というものはそれ以前からあったわけですが、そういう特殊な、リアル感をあまり求められない空想物語ではなく、かといって19世紀の偉大な文学作品のように、作者の思想や全人格をぶつけてくるようものでもなく、適度に重く、スリリングかつ、大衆にも知識人にも楽しめる小説のプロが生み出す物語ーという意味において、やはりこれはそういう小説の原型ではないかという気がするのです。
白夜行 〜東野圭吾〜
桐原亮司と西本雪穂。二人が小学生から大人になる十九年間の物語。高度成長末期からバブル経済の時代まで。彼らが歩む人生の周囲では、次々に不幸になる人々がいる。人々を絶望の泥沼に蹴落としながら、雪穂は睡蓮のように美しく咲き誇っていくのだ。
ここにあるのは『殺らねば殺られる』の共通認識に繋がった共生するモンスター2体の物語だ。
全ては意図的で計画的なモンスターは次第にそのカタチを見せる。
八日目の蝉 〜角田 光代 〜
物語は、不倫の末に堕胎し、子どもができなくなった女性・希和子が、
不倫相手の子どもを衝動的に誘拐するところから始まる。
まだ乳児だった子どもは「薫」と名付けられ、そのまま数年の時を誘拐犯である女性と、
そうとは知らずに暮らすことになる。
しかし、平和な日々は長くは続かず・・・。
後半は、誘拐された少女が親元に戻って、大学生になってからの話が展開される。
実の親の元に戻ったものの、ある日突然「私が本当のお母さんよ」と言われても馴染めない娘。
一方で、不倫をしていたことが世間にも知れてしまった父親と、
そんな夫を持ったことに苦しむ母・・・。
うまく行かない現実に「なんで私が」と誰もが苦しみながら生きてく・・・というお話。
ようこそ地球さん 〜星 新一〜
星新一氏十八番の、ショートショート集です。それは当然どれも珠玉の出来、星氏の商業への道を開いた「セキストラ」などは特に面白いですね。今のインターネット時代、それをそのものずばり言い当てているとも言えますし。これが、才能というものなのでしょうか。
巻末の「殉教」などもまた、今読んでも感じるものが多くあります。個人的にはこれ、自分も生き残る側だなあとか思ったりして大いに感銘させられました。これが新時代のエデンのでき方なのか、とね。あっという間に最後まで読めてしまう、読まずにはいられないそんな作品ばかりです。
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