2015-11-23
国際三島由紀夫シンポジウム
「国際三島由紀夫シンポジウム2015」が終わった。
先週の11月14〜15日、そして22日と3日間開催されたものである。初日は東大駒場900番教室でドナルド・キーン、平野啓一郎、芥正彦、高橋睦郎のほか、内外の研究者、イルメラ・日地谷=キルシュネライト、スーザン・ネイピア、四方田犬彦の各氏らの講演と研究発表。とにかく、三島と東大全共闘が討論したあの900番教室で、しかも三島とやり合った芥氏が講演というのも感慨深いものである(講演スタイルも一人だけぶっ飛んでいた)。二日目は他の教室でトップバッターは浜崎洋介氏司会による三島由紀夫と保守思想、他に、21世紀に三島を読む、三島由紀夫と情動の問題と3つのセッションの他、竹本忠男、中村哲郎、キース・ヴィンセント、ダミアン・フラナガン各氏による講演。そして3日目は1週間あけた後の22日、表参道にある青学のアスタジオにてラカンvs.三島というパネルディスカッション、それからオペラや舞台系の研究発表が続き、宮本亜門、細江英公各氏による特別講演、ついで三輪太郎氏他の統括講演3本が続いた。(写真は3日目のアスタジオ)
しかし間口が広い。文学のみならず演劇や写真、音楽、そして政治思想やら精神分析やらから、三島と生前交流があった方の証言まで、三島を彩る種々の要素をギュッと凝縮したエキスのような感じがある。と、他人事のように書いているが、ワタクシ実は中の人の一人であったりする。
それから今回のシンポジウムで21世紀版「薔薇刑」も大々的に宣伝されていた。細江英公「薔薇刑」としては、初版、新輯版、新版に続く4冊目で、今回は浅葉克己デザインである。
前にも少し書いたことであるけれども、正確にいえば、初版、初版に英仏独語解説パンフ付いてる国際版、新輯版、新版、新版英語版、新版仏語版、新版英語版の再刷、初版復刻日本版、英語解説パンフがついた初版復刻海外版とあって、今度のはまた全く新しい装いと中身も一部変更がある21世紀版でなんと10冊目なのである。もっと細かいことを言えば、初版と新輯版の豪華な内容見本(とりわけ初版内容見本は極薄いパラフィン紙にタイトルなど印刷された筒型カバーがついている)などから、果ては写真集として一本にまとめられる前にちょびちょび「芸術生活」や「マドモアゼル」に発表されたグラビアの初出誌(これには「色彩版薔薇刑」が発表された71年の「芸術生活」も含まれよう)、まだ「薔薇刑」とタイトルが決定する前に「三島由紀夫氏の肖像」として展示された最初の「NON展」の時のパンフレットまで網羅する必要もあろう。
詳細と予約はここ。
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