新さんがやって来たのは上野の東京国立博物館。
長年見たいと願っていたあるものと出会うためです。
それは…。
おおっ。
おお〜。
生きているかのような兵士の像兵馬俑です。
うわでも細かいな…。
ああすごいなぁ手のしわまでちゃんと表現してる。
紀元前3世紀中国秦の始皇帝が作らせた等身大の焼き物です。
兵馬俑とは何のために作られたものなのか?今その謎が次第に解き明かされようとしています。
350m四方の墳丘。
始皇帝が眠る陵墓です。
1974年陵墓から東に1.5kmの所で兵馬俑は発見されました。
その数8,000体。
20世紀最大の考古学的発見と言われ今も発掘が続けられています。
冠をかぶり威厳に満ちた表情。
軍団の将軍とされる像です。
たくましい両腕。
リボンのような房飾りなど装飾性を重視した鎧や冠から後方で指揮を執る高級官吏である事が分かります。
顔のつくりが一体ずつ違うものですので。
やっぱりそうなんですか。
はい。
実在したある軍団の兵士一人一人をモデルにして作ったのではないかというふうに考えられているんです。
ああちゃんとモデルがいて…。
だからなんですねこう一体一体見ていくと目つきも違えばちょっと骨格も違ったりもしてたので。
これはどういう事なんだろう…。
ほんとにこのままいくと全部違うっていうありえない事が起きるのかなって思ったんですけどほんとに一体一体違うんですね。
そうですね。
軍団ですので当然階級の上下一般的な兵士がいれば指揮官がいたりあるいは兵士の中にも歩いて移動をする歩兵あるいは馬に乗って移動する騎兵など役割の違いもございましてそういった違いまでも表現されているんですね。
立て膝をつき遠くを見据える兵士。
厚い鎧を身にまとい手には弩弓と呼ばれる強力な弓を携えていました。
新さんこの像に気になる点を見つけたようです。
一つ「これは何だろう?」っていうのがあってこの靴のこの裏の丸い表現っていうのはこれは一体何なんでしょうか?今私が履いている靴の裏にも似たようなものがございます。
よいしょ…。
あっそういう事なんですか。
滑り止めでございます。
へぇ〜。
滑り止めとしての…実際使っていた靴をちゃんとそれこそしっかり写しているっていう事なんですか。
しかも土踏まずの辺りがですね少し円が大きくまたかかとと爪先の近くは円が小さいんですね。
これも大きさを変える事でより滑り止めとしての機能を高めていたんだと考えられています。
写実表現というとギリシャローマ彫刻の感覚ですと美しいから写実的に作るという事が言えると思うんですがこの始皇帝が作らせた兵馬俑の写実表現というのは恐らく……あったのかもしれないですね。
なぜ始皇帝はここまでリアルな兵士の像を求めたのでしょうか?多くの国が互いに覇権を争っていた春秋戦国時代秦は西の端にある小さな国でした。
しかしその後急速に勢力を広げ紀元前221年中国史上初めて全国を統一。
それを成し遂げた秦の王は「最初の皇帝」始皇帝を名乗りました。
始皇帝が40年近い歳月をかけて築かせたのが自らの巨大な陵墓でした。
しかしそれは単なる墓ではありませんでした。
栄華を極めた宮殿をそのまま模したと考えられる施設を造りそこに副葬品などを埋めたのです。
両詔権と呼ばれる重さの基準となる分銅です。
「始皇帝が命じて全国の度量衡を統一させた」と刻まれています。
これは絶大な権力の象徴でもありました。
宮殿に配された陶製の…こうした高い技術が大国秦の繁栄を支えました。
同様のものが始皇帝陵からも見つかっています。
更に不思議な像が始皇帝陵の周囲で次々と発見されました。
はだしででっぷりとした体格。
甲冑も武器も身に着けていません。
(川村)広い意味で兵馬俑の一種とされています。
とはいえこれまでご覧になったような兵士や馬をかたどったものではありませんで半裸の姿で結構かっぷくのいい男性でして今で言うアクロバットとかいわゆる雑技団の一員ではないかという説もございます。
武人だけではなくてこういう技芸の方の人々も俑として作られていたっていう事ですか。
そうなんです。
ですので始皇帝の陵墓というのはもちろんお墓ではあるんですけれどもただ遺体を埋葬するためだけの施設ではなかったようでしてさまざまな性格の始皇帝に仕えた兵士や人物をこの焼き物の像で俑として造形してそして陵墓の周囲に坑を掘ってその中に埋めたようなんですね。
兵士や芸人から帝国を象徴する品まであらゆるものを陵墓とその周辺に収めさせた始皇帝。
そのねらいは何だったのか?鍵を握る埋葬品が1980年発見されました。
青銅製の馬車です。
領土全域を何度も巡ったと言われる始皇帝の馬車を1/2サイズで忠実に再現したものと言われています。
およそ6,000もの部品で精巧に組み立てられた馬車は中国考古学史上最も美しい作品とされています。
後ろに続くのは皇帝専用の馬車。
皇帝が中で体を横たえられる作りになっています。
馬車の内側も外側も神の使いとされた龍を思わせる文様で覆われています。
御者の姿は表されていますがこの馬車に乗るべき主人の姿はございません。
という事は恐らく始皇帝の亡くなったあとも存在すると信じられていたあるいは期待されていた霊魂の一部がですね乗るように作らせた可能性が高いです。
…と考えられるんです。
これほど空前絶後と言ってもいいような徹底された写実表現というのは恐らくは永遠への願望ともしかしたら関係してるんではないかと今回私たちは考えています。
地上で栄華の絶頂を極めた始皇帝が地下の世界に築こうとしたものそれは死後も自らが君臨する永遠不滅の帝国。
そして皇帝は永遠の存在である事を示そうとするものでもありました。
未来の誰かに向けてというようなものではなくてやっぱりほんとある一人の人のためにみんなが思いを寄せていってるからこそ美術や芸術というものからちょっと飛び越えていったようなものに感じるのはきっとその思いの大きさみたいなものかもしれないですね。
皇帝の壮大な夢を物語る兵馬俑。
2015/11/22(日) 20:45〜21:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽特別編“始皇帝と大兵馬俑”展[字]
「特別編 始皇帝と大兵馬俑」(東京国立博物館 平成館 10月27日〜2016年2月21日)
詳細情報
番組内容
「特別編 始皇帝と大兵馬俑」(東京国立博物館 平成館 10月27日〜2016年2月21日)
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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