ラグビー横浜発祥に新説 幕末英字紙に1866年にプレーの記事

1874年の英国の雑誌に掲載されていた「横浜で行われたフットボール(ラグビー)の試合」と題した挿絵。観戦する日本人の姿も描かれている(YC&AC提供)

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 ワールドカップ(W杯)イングランド大会での日本代表の活躍で、一躍注目度が高まったラグビー。横浜は日本のラグビー発祥の地として知られるが、定説の1899年より33年前に、居留地の外国人らが横浜中華街付近でプレーしていた可能性が浮上してきた。調査にあたる英国人らは「横浜は2019年ラグビーW杯の決勝の地にもなる。ここで始まった日本ラグビーの歴史を多くの人に知ってもらいたい」と話している。

 日本でのラグビーの歴史を調べているのは、山手にある日本最古のスポーツクラブ「横浜カントリー&アスレティッククラブ(YC&AC)」理事で英国人のアレックス・ヘンディーさん(48)と、会員のマイク・ガルブレイスさん(68)。

 横浜開港資料館で古い英字新聞や雑誌などを調べたり、ロンドンにあるワールドラグビー博物館を訪ねたりしたところ、1866年の英字新聞に、YC&ACの前身の一つであるラグビー団体「横浜フットボールクラブ」が、居留地の外国人らによって設立されたという記事を発見した。設立総会は、現在の横浜中華街にあったラケットボール(近代テニスの前身)コートのバンガローで開催されたとある。

 74年の英国の雑誌「ザ・グラフィック」には、「日本のフットボール」と題した記事と、「日本の横浜で行われたフットボールの試合」と題した挿絵が掲載されていた。外国人が体をぶつけ合い、日本人が観戦する様子を描いている。

 横浜開港資料館の中武香奈美主任調査研究員は「資料などから、幕末の横浜で外国人によるラグビーの試合が行われた可能性は高い」と指摘。71年に現在の横浜公園の造成が始まり、クリケット場も整備されたことから、「71年以降は横浜公園で、それ以前は居留地内のラケットボールコートや運動場などで、外国人がラグビーを楽しんでいたのではないか」と推測する。

 これまでの定説では、99年に慶応大の英国人教員が学生に教えたのが日本ラグビーの始まりとされ、港北区の同大ラグビー場には「日本ラグビー蹴球発祥記念碑」もある。

 YC&ACはことし7月、ラグビーの歴史を記した記念碑を横浜中華街近くに設置したいと横浜市に申請し、資料も提出した。

 ヘンディーさんは「日本人のラグビー初プレーは1899年だが、それ以前から横浜で外国人がラグビーを楽しんでいたことが分かった。そうした長い歴史も知ってほしい」と話している。

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