利益増加率732%、SBI貯蓄銀イム・ジング代表成功の秘訣とは

 「IB(投資銀行)部門の利益増加率732%、投資元金の損失はゼロ(0%)」

 前会計年度(2014年7月-2015年6月)にSBI貯蓄銀行のIB部門があげた実績だ。日本でインターネット専門銀行や証券会社などを抱えるSBIグループは2013年、営業停止の危機に陥った現代スイス貯蓄銀行を買収し、韓国に進出。金融業界のマイナーリーグに属する貯蓄銀行が大手銀行や証券会社を驚かせるような成績表を受け取ったというわけだ。SBIは本業よりも副業といえるIB部門で491億ウォン(約52億円)の利益をあげ、当期純利益全体では232億ウォン(約24億円)の黒字を記録した。

 SBIが専門投資銀行に匹敵するほどの成果を挙げたのには、イム・ジング代表の力が大きい。米国ニューヨーク大学で経営学の修士号を取ったイム代表は、SBIに入る前、LG商事ベンチャー投資チームやパシフィックアライアンスグループ代表などを務めた。2013年5月にIB本部長としてSBIに入ったイム代表は、合併・買収(M&A)に投資家として参加したり、新規公開株(IPO)、プライベート・エクイティ・ ファンド(PEF)、メザニンファイナンスなどに投資し、それぞれ10-20%の収益を上げた。

 イム代表がSBIに入った当時、IB本部(旧企業金融部)の不良投資資産は1700億ウォン(約181億円)、延滞率は20%を超えた。2年たった今、IB本部の不良投資資産および延滞率はゼロだ。イム代表は双竜建設など法定管理(会社更生法適用に相当)に入った企業の融資資産を債権管理本部に移管し、債務企業に対する徹底した調査を通じて再投資・有償増資などを実施し不良資産を減らした。同時にIB本部は、この期間に120件の取引を行い6500億ウォン(約695億円)を投資し、およそ600億ウォン(約64億円)の利益を得た。こうした功績を認められ、イム代表は先月IB本部長(専務)から代表取締役に昇進した。現在、SBIは中村秀生、イム・ジング両代表取締役による体制を取っている。

 イム代表が成功した秘訣は「人材営業」と「弱みを強みに変えること」に要約される。イム代表は証券・キャピタル・会計法人などから人材を引き入れ、IB本部を大きくした。二つの部署に社員7人だったIB本部を、3部署・20人に増やした。イム代表は「自分一人が偉そうにしていては成功できないのがIB。人材を適材適所に配置し、チームワークを発揮しなければ成果を得られない」と語った。

 イム代表はまた「貯蓄銀行は法人であれ、個人であれ、100億ウォン(約10億円)以上は融資したり投資したりできない」という規制を弱点と考えず、さまざまな投資先に分散投資するのを強みとして活用。「構造化金融」など危険を減らす投資法を活用したのも奏功した。最近SBIがアシアナ航空に100億ウォンを貸し、カード会社を引き込んで延滞リスクをなくしたのが構造化金融に該当する。カード会社は顧客が使用するマイレージのように、航空会社に金を払わなければならないが、信託会社を通じてその金をSBIが受け取る構造を築き、貸し倒れの危険性を根本から防いだ。利子は年5%ほど。イム代表は貯蓄銀行の投資事業偏重を憂慮する声に対し「資産4兆ウォン(約4273億円)のSBIのような大手貯蓄銀行は庶民金融だけでは生き残ることはできず、庶民金融と中小企業への融資および投資という、二つの道を進まなければならない」と語った。

金智燮(キム・ジソプ)記者
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