繰り返される贈収賄
渡されたカネは5万円と“ささやか”だが、構図は贈収賄で看過できない事件が、10月末に発覚した。
2016年度から公立中学校で使用される英語の教科書をめぐり、大手老舗出版「三省堂」(東京)が昨年8月、全国の公立小中学校の校長ら11人に部外秘の検定中教科書を閲覧させ、編集手当名目で5万円の謝礼を渡していたというもの。
当事者の三省堂は、11月30日を目処に、過去の不適切行為を調査し、改善策を盛り込んだ報告書を文部科学省に提出する。
同社は、09~10年にも計6回、同様の不適切な行為をしており、懲りない体質を露呈、今度の報告書は、文科省=国民を納得させられる内容になっているのか――。
それにしてもなぜ、こんな問題が繰り返されるのだろうか。業界事情に詳しい教科書会社OBは言う。
「三省堂に限らず、検定中教科書の部外者への閲覧は教科書業界ではさほど珍しくない。『教科書内容を改善するため』というのが表向きの口実だが、それならば検定前に見せればいいだけの話。検定中に見せても修正は限定的になり改善効果は低い。
むしろ、狙いは教科書採択工作の一環にほかならない。三省堂は、他社に一歩先んじようと、安易にカネを渡して下手をうっただけだ」
教科書営業が過熱するにはいくつかの理由がある。
まずは少子化だ。教科書協会によると、1985年に約2億1909万冊だった需要数は、2014年には1億2600万冊と過去30年間で約4割も減っている。少子化のあおりをもろに受けている。
パイの縮小に加え、4年に1度の採択という制度が教科書会社の焦りを募らせる。義務教育の教科書無償給与制度により、教科書は国の買い取りで児童生徒に無料で配布。ちなみに14年度の買い取り予算は413億円に上る。
「4年に1度の採択で選に漏れれば、その後の4年間は食いっぱぐれになり、経営を左右する要因にもなりかねない」と、教科書会社の営業担当者は、必死の営業につながる業界の特殊事情を指摘する。
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