H-IIAロケット29号機、商業衛星打ち上げに成功 18
ストーリー by hylom
安定 部門より
安定 部門より
headless 曰く、
種子島宇宙センターで11月24日15時50分00秒、カナダ・Telesatの通信放送衛星「Telstar 12 VANTAGE」を搭載したH-IIAロケット29号機が打ち上げられた。約4時間27分後、Telstar 12 VANTAGEは正常に分離され、国産ロケット初の商業衛星打ち上げは成功した(プレスリリース、三菱重工業のプレスリリース、毎日新聞、朝日新聞)。
H-IIAロケット29号機の第2段機体は、JAXAによる基幹ロケット高度化開発の成果を適用した高度化仕様。これにより従来よりも静止軌道により近い軌道に衛星を投入できたという。H-IIAおよびH-IIBロケットの打ち上げは今回で連続28回成功しており、成功率は96.6%となっている。三菱重工では同社初の商業衛星打ち上げ輸送サービスが成功したことで、今後の宇宙事業に大きな前進をもたらすとしている。
打ち上げた衛星の太陽電池パネルが変 (スコア:1)
打ち上げた衛星(Telstar 12 VANTAGE)の太陽電池パネルに大きなタブみたいなものがついた変な形してるんだけど何故だろう
ちゃんとした理由があってのことだろうが、誰かご存知の方がいらっしゃったら教えていただけませんか?
http://space.skyrocket.de/img_sat/telstar-12v__1.jpg [skyrocket.de]
Re:打ち上げた衛星の太陽電池パネルが変 (スコア:1)
太陽光圧を利用して姿勢制御や高度調整を行うためのフラップらしいです。
これは別にTelstar12Vの特徴というわけではなく、Eurostar3000衛星バスが提供している仕様のようですね。
http://space.skyrocket.de/doc_sat/astrium_eurostar-3000.htm [skyrocket.de]
高度化って (スコア:1)
どういうことかと思ったら
今まで
H2Aロケット「高度250kmのパーキング軌道まで連れてきてやったで。あとは自前でがんばりや」
衛星「ここから高度38000kmまで自力で登らなアカンやんけ。きついわ」
高度化
H2Aロケット「高度38000kmの静止トランスファー軌道まではワイが押し上げてやるんやで。静止衛星になるにはちょっとだけ速度足らんけどそこだけは衛星さん頑張ってや」
衛星「すまんな」
ってーことか。
ところで静止トランスファー軌道に移行した2段目はどうするのかな?永遠にその軌道をめぐり続けるの?
Re:高度化って (スコア:4, 参考になる)
ちょっとちがう
今まで
H2Aロケット「傾斜付き静止トランスファー軌道(遠地点がだいたい36000km)まで蹴飛ばしたろ。後はがんばりや」
衛星「傾斜角度を28.5度分戻しつつ近地点高度も上げらんと。1.8km/s分の加速はえらいこっちゃ」
F29
H2Aロケット「遠地点まで付いていてもう一押しロングコーストGTO(傾斜角20度近地点高度2700km)まで手伝どたろ」
衛星「ほな残りの1.5km/s分はがんばるわ」
差分の 300m/s 分の推進剤が静止軌道上の軌道調整数年分に相当。
衛星が頑張る 1.5km/s は傾斜角0度前後のGTOから静止軌道に移る場合とほぼ同じなので、
衛星はアリアンに乗せる場合と同じように作ればいい=アリアンの客を引っ張ってこれる。
もう1回噴射して減速できれば制御落下できるかもしれないが今回の2段目は当分ぐるぐるまわるんだろう。
Re:高度化って (スコア:3, 参考になる)
ちょっとだけ違うかな。今までも静止トランスファー軌道(GTO)には投入してた。
GTO には色々な種類があって(衛星から見て)効率の良いものの悪いものがあるんだけど、
高度化は第二段エンジンを再度使って、効率の良い GTO に投入する点が今までと違っている。
今まで: バーキング軌道 =(第二弾)⇒ 効率の悪いGTO —(衛星のエンジン)→ 静止軌道
高度化: パーキング軌道 =(第二弾)⇒ 効率の悪いGTO =(第二弾)⇒ 効率の良いGTO —(衛星のエンジン)→ 静止軌道
赤道上から上げてるヨーロッパのアリアンと違って、種子島からだと直接効率の良いGTOに乗せられないので裏技開発した感じ。
まさに (スコア:0)
平成の無誘導重力ターンw
Re:高度化って (スコア:2)
衛星側の燃料が節約できて、寿命が年のオーダーで伸びるんだそうだ。
Re: (スコア:0)
EMドライブ [science.srad.jp]がほんまもんだったら、
半永久的に運用できるな。
Re: (スコア:0)
あ、しまった。静止衛星軌道は高度36000kmだっけ。
月の38万kmと混同しちゃったぜ
なんで再々起動まで必要なの? (スコア:1)
ものすごーく初歩的な質問だったらスマン
なんで、3回にも分けて2段目使うの?
1発でとまではいかんでも、1発目もうちょっと長くして、もう1発(計2発)でなんとかならないもん??
...とここまで書いてて、今回のやり方が一番早く#2923136の言う"効率の良いGTO"に向かえる気がしてきた
でもなぁ、3回も吹かすのってものすごくリスキー...って思いながらニコ生見てた
Re:なんで再々起動まで必要なの? (スコア:4, 参考になる)
打ち上げからそのまま噴射を続けるだけだと、軌道遷移のエネルギー効率が悪いです。
低高度の軌道から高高度の軌道に移るためのもっとも効率のよい方法は、
1. 楕円軌道の近地点で加速すると、近地点はそのままで、遠地点の高度がより高い、より扁平な楕円軌道に遷移する
2. 楕円軌道の遠地点で加速すると、遠地点はそのままで、近地点の高度がより高い、より真円に近い楕円軌道に遷移する
という二つを組み合わせることです。
(「1を何度か繰り返してから、2を何度か繰り返す」というやり方でも問題ありませんが、「1と2を交互に繰り返す」のは効率が悪くなります)
あと、軌道傾斜角も0度に合わせる必要がありますが、楕円軌道の場合、遠地点ほど速度が低いですし、速度が低いほど進路変更が楽になりますので、上記の2とセットで、
・楕円軌道の遠地点で、軌道傾斜角の調整噴射を行う
ことになります。
つまり、最初の打ち上げから考えると、
0. 通常の1段・2段で、低高度の軌道に遷移する(パーキング軌道)
1. パーキング軌道からの噴射で、遠地点が静止軌道までの高さの楕円軌道に遷移する(静止トランスファ軌道)
2. 静止トランスファ軌道の遠地点での噴射で、傾斜角0の円軌道に遷移する(静止軌道)
という3段階になるわけです。
今までのH2Aは、この0と1の2回噴射を行っていました。
この従来のやりかたで2回目の噴射をより強力にしても、遠地点が静止軌道より高くなってしまうだけで何の意味もありません。
今回の29号機は、さらに2の遷移を2回にわけ、まずH2A第2段の3回目の噴射により「遠地点はそのままだけど近地点がより高く」「より傾斜角が0度に近い」ようなトランスファー軌道に衛星を送り込み、そこから衛星自身の噴射で静止軌道に遷移するようになったわけです。
Re:なんで再々起動まで必要なの? (スコア:1)
ほほーなるほど!詳しい解説、ありがとうございました
お礼に一杯おごりたいところですが、精神的に...でご容赦ください
アリアンの方が良いよね。。。 (スコア:0)
アリアンの方が良いよね。。。
Re: (スコア:0)
アメリカではなくアリアンがシェアを持ってるのが意外。
サイパンが日本の委任統治領のままだったら、よかったのかなあ。
Re:アリアンの方が良いよね。。。 (スコア:1)
日本の金でソロモンに宇宙開発機関を作れば、有人飛行までできちゃうかもしれません
うじゃうじゃ
Re: (スコア:0)
ハナビー ハナビー 大きなハナビー
タンポポとマンゴスチンですね
Re: (スコア:0)
アリアン5 ECA は、47発中46発の打ち上げ成功で成功率98%の大台・・・。
そりゃシェア上がりますわ・・・。
最後に失敗したのは2002年12月11日でそれ以降はずっと成功だし・・・。
Re: (スコア:0)
アメリカの打ち上げ場って種子島くらいの緯度なんだよね。
もし今後アリアンじゃなくてアメリカがシェアを握ったらこの高度化は不要になるかも。
むしろ日本としてはどちらがシェア握っても対応できるようにしておくのが良いのか。