日に日に緊張度が増している六代目山口組と神戸山口組。正式な分裂から、ネット工作などの情報戦、引き抜きなどの行動。地回りなどの示威行為などがあったが、初めて「音が鳴った」。音が鳴る、とは拳銃の発射を示す隠語であり、それが起こったのだ。
●名門組織の復活に待ったをかけた遺族側
長野県飯田市の温泉施設付きホテルで6日、住所不定の男性(43)が射殺された事件で、県警は8日、同市八幡町、山口組系暴力団幹部、有賀健一郎容疑者(48)を殺人容疑で逮捕した。逮捕容疑は6日午後0時40分ごろ、同市上殿岡のホテル玄関前で、男性の頭部を拳銃で撃ち、翌7日朝、頭蓋内損傷で死亡させた、としている。
8日夜、県警飯田署に出頭してきたという。六代目山口組側から神戸山口組への移籍をしていた組員を射殺した事件である。この事件は直参の幹部が起こした事件として注目されてはいるが、当の組織は絶縁、破門者が起こした当事者同士の勝手な喧嘩として処分をしたい、とこの組織の内情に詳しい人間が昨夜、筆者の電話に答えた。
それはその通りであろう。普通に考えれば見せしめの意味もあるが、今のご時勢ではトップまでの使用者責任もある位である。その他に注目しなくてはいけない組織がある。六代目山口組で総本部責任者に抜擢されている二代目竹中組である。ご存知の読者の方も多いであろうが、この組織は四代目山口組の当代を出している組織であり、名門組織である。そして二代目竹中組組長の安東美樹組長は山一抗争の際の功労者であり、出所後一心会の幹部から柴田会を継承して、その後組織名を竹中組に改称して、二代目竹中組を名乗った。
これに待ったを掛けたのは竹中家遺族である。簡単に書けばそれを認めない、と言う事である。竹中組は初代を竹中正久、二代目竹中武、三代目竹中正が竹中組の系譜だ。だが、三代目は岡山竹中組を名乗った為に、その系譜は正しくはない、と言う見方もある。こればかりは第三者が口を挟む事では無いので、その真偽は判断できない。だが、原点回帰を訴える六代目山口組側では復活を考えたのであろう。その遺族の意を受けて神戸山口組側でも竹中組再興の意を受けて動いているのが現状だ。果たしてこの結末はどの様になるのであろうか。
それを考えれば初代宅見組も宅見の名前を継いで欲しくはない、との遺族の意向があったが、それは叶わずに現二代目宅見組の名前を継いで神戸山口組側の主力組織になっている。その当時はメディア戦略、裁判等の考えは一切無かった為に、そのまま名前は維持されていた。
別の意味で注目されているのは安東組長の人脈だ。九州の道仁会の小林哲治会長と兄弟分の縁がある為に、動きを注目されている住吉会の住吉会の総本部長である加藤英幸幸平一家総長が事務所に出向いた。これは加藤総長と小林会長が兄弟分である為に、回り兄弟である安東美樹組長の元に出向いたのであろう。
加藤総長は神戸山口組の定例会初日に事務所を訪れる、住吉会執行部が六代目山口組本部に行った際には体調不良の為に欠席するなど、その動きに目が離せない。住吉会が六代目山口組に挨拶に行ったのは誤解されている読者の方も多いであろうから説明を一言付け加えるが、住吉会の関功会長が逮捕された際の六代目山口組側の見舞いに対しての返礼である。相変わらず六代目山口組と住吉会は親戚組織にはなってはいない。今後も適度な距離感を保って行くのであろう。
次に目を離せない組織は新たに直参になった司興業である。果たして何に注目されているのか? それはこの組織の舎弟として迎えられ顧問に就任した片岡昭生氏である。片岡氏は一時期山健組の本部長として絶大な力を持っていた人間であるが、ある事情があり絶縁された人間だ。
普通絶縁された人間を迎え入れる事は組織としてはご法度であるが、六代目山口組側では神戸山口組を組織として認めていない為に、絶縁者を迎え入れる事を許可したのであろう。毎日情勢が変わる山口組分裂劇。神戸山口組では先日の定例会直後に初の直参が逮捕されるなど警察当局も取締りに躍起になっている。
(※関係者から誤字のご指摘を受けまして訂正致します。
Writing by 西郷正興
Photo by K-SAKI(コラージュ)
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