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 ダブル選では、政策的には候補者間に大きな違いはなかった。いずれの候補者も大阪の全方位的な長期低落傾向を嘆き、再活性化の喫緊であることを訴えていた。そして、結局「大阪都構想」が再び争点になった。ふつう半年前に否決された政策が(特段の条件の変化があったわけでもないのに)再び争点化するということはない。ということは、この選挙のほんとうの「賭け金」が政策ではなかったということを意味している。

 大阪の有権者が選択を求められたのは政策の「中身(コンテンツ)」ではなく、候補者の人間性あるいは手法という「容(い)れ物(コンテナー)」だったと私は理解している。維新・非維新候補の際立った違いは何よりも「一枚岩の政党」の候補者か「寄り合い所帯」の候補者かという点にあった。

 有権者たちはその違いに最も敏感に反応した。「街の声」でも、SNSに流れた感想でも、大阪維新のアドバンテージとして「話がわかりやすい」「言うことに一貫性がある」を挙げたものが多かったし、逆に、自民党・民主党・共産党が推した候補者たちはまさに国政において対立している政党の支援を基盤にしたゆえに、いったいどのような立場を代表しているのか「わからない」という批判に終始さらされた。有権者は「一枚岩組織」のもたらす「わかりやすさ」を選好し、「寄り合い所帯」の「わかりにくさ」を退けたのである。