裁判員制度違憲訴訟:仙台高裁も1審支持し原告の控訴棄却
毎日新聞 2015年10月29日 11時19分(最終更新 10月29日 13時10分)
強盗殺人事件の裁判員を務めたため急性ストレス障害(ASD)になった女性が、裁判員制度は憲法違反として国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は29日、請求を棄却した1審・福島地裁判決(2014年9月)を支持し、女性の控訴を棄却した。
古久保正人裁判長は制度を合憲とした1審判決を踏襲。女性が「配慮なく遺体写真を見せた」と控訴審で運用面の過失を訴えた追加主張についても「違法な点はない」と退けた。
訴えていたのは福島県郡山市の元福祉施設職員、青木日富美(ひふみ)さん(65)。同県会津美里町で起きた強盗殺人事件で13年3月に福島地裁郡山支部の裁判員に選ばれた。死刑判決言い渡し後にASDと診断され、慰謝料などを求めて提訴していた。
古久保裁判長は、遺体写真の提示などについて「裁判員の心理的負担軽減のため工夫が求められる」としながら、「立証に必要な証拠で、検察官・裁判官の権限行使に相当性があった」と判断した。【伊藤直孝】