彼女は様々な企業に、ソフトウェア・エンジニアとして雇った男性と女性の数のデータを共有するよう呼びかけた。「私はシリコンバレーで”data-driven design（データに基づいたデザイン設計）”を叩き込まれたの」とChou。「本当の測定基準が不明瞭では、問題は解決しない」。Chouの呼びかけに応じて、すぐに中小企業がデータをTwitter上で共有し始め、彼女はそれをデータベース化した。そして、他の企業も自己報告できるよう、プラットフォームを作った。すぐに、大手の会社も社内のダイバーシティレポート（従業員の多様性報告書）を共有し始め、みるみるうちに、ネット業界内の女性差別の全貌が明らかになった。だが、Chouは決して悲観視していない。それこそが変革につながるスタートラインだと彼女は言う。変化はすでに見受けられる——Pinterestを含む多くの企業が女性エンジニアを雇うことに努め、12％しか働いていなかったのが17％まで上がった。 「IT業界で働く女性として、ありのままの自分と仕事に求められている自分とのバランスを意識することを学んだわ。例えば、ワンピースや女性らしいシルエットの服を着ると、やっぱりエンジニアとして真剣に扱われない時もあることを認めざるをえないってね」。業界に馴染むため、Chouはシーンに合わせて着る服を選んで「スマートカジュアル」に見える服装を心がけている。同時に、業界の先駆者として決して周りに流されない。環境を変えていきたいと、しっかりと将来を見据えている。日々、様々なバックグラウンドの若いプログラマーを指導し、IT企業におけるジェンダーと人種の多様性の重要性について発信を続けている。Chouのキーワードは「進歩」だ。Chouは言う、「常に私は何かを向上させたいの。絶えず自分や、会社、商品を良くしていけば、自分らしくいられるのよね」と。