未来のロボット研究者が集う!第15回S.I.T.ロボットセミナー全国大会開催
2015-11-25 20:42:25 | イベントレビュー
ライター: 奥野大児
芝浦工業大学の2015年度後期公開講座の一環として第15回S.I.T.ロボットセミナー全国大会が2015年11月22日に同大学の芝浦キャンパス(東京・田町)にて行われました。11月の3連休の中日に全国から総勢137名の小中学生が参加し、ロボットのデザインや競技で争われました。
各地の大会を勝ち抜いた子どもたちが集合!
芝浦工業大学では、子どもたちの科学や工学への興味・関心を深めてもらうためのプログラムの一環として、大学の教育資源を生かしたオープンセミナーを行っています。このたび行われた全国大会は、これまで札幌から福岡まで全国各地で行われたロボットセミナーで製作した自分だけのロボットを仕上げてデザインコンテストや競技大会に挑み、各地で勝ち進んだ強豪が進出してきました。
4種類6競技でロボットが競う
今大会で競ったロボットは4種類。
小学校低学年向け、親子で製作するのは
「タスカー」(4本足。相撲のような競技)
「ビートル」(4本足。棒の移動やでこぼこ道の通過など障害物競走)
の二機種。
そして、小学校4年生から中学3年生までが製作する
「ボクサー」(6本足。相撲のような競技)
「スパイダー」(8本脚。20個のピンポン玉を運搬する競技)
の競技。ボクサー・スパイダーはそれぞれ小学生の部・中学生の部が行われ、合計6部門で争われました。
競技は大白熱
137人の選手と保護者の方を合わせて、250〜300人くらいは参加者がいたのではないかという大賑わいの会場、もちろん競技も白熱、熱戦が続きました。
少年少女が自分たちで作り上げたロボットを競わせるその場は、まさに真剣勝負。中にはコントローラーで必死に操作する子供たち以上に真剣な親御さんもいたりして係の人に注意されるような熱気もありました。
ビートルは相手より先にゴールの棒を倒した方が勝ちです。終盤どちらが先に棒を倒すかというシーンでは競技者だけでなく周りの人も手に汗握り締める応援。
スパイダーはスピードだけでなく、ピンポン玉を確実に箱に流し込むための仕組みが大切です。
タスカー・ボクサーでは、相手を台から落とすか、足をすべて地面から離すように仰向けに近い形にしたら勝利です。
真剣勝負がそこにあった。
競技ごとに大熱戦が繰り広げられました。
ある男の子は勝負に負けたあと、お父さんに抱き着いて胸の中で泣きじゃくるほど悔しがっていました。ロボットを自分で工夫して作り、勝って喜び、負けて悔しい思いをするのはとても良い経験だなと感動しました。
決勝戦では人だかりも一段と多くなってきました。中学生の1vs1の格闘型でもあるボクサーでは、見ている方も力が入っています。
芝浦工大の学生さんが務めた審判も、真剣勝負を裁くとあって一瞬の気も抜けない様子でした。
各競技の上位入賞者は表彰もされ、全国大会は無事に終了しました。
デザインコンテストも開催
また同時にデザインコンテストも行われていました。
130台を超えるロボットがエントリー。全参加者に加えて保護者もデザインが気に入ったロボットを上位3つ、投票します。競技で競わせるだけでなくデザインも争うというのは、実用性に富むだけではなく人々の生活に溶け込まなければいけないロボットの将来を見据えているようで、そのセンスを問うというのは良いことだなと思いましたよ。
モノづくりの楽しさを知ってもらう
勝負以外にはロボットのデモンストレーションが行われたり、ロボットの修理コーナーが設けられたりしました。
ロボットのデモンストレーションでは同大学システム理工学部2年生の北村健太さんが二足歩行ロボットのデモを披露。
大会を控えた子供たちからは
「開発期間はどのくらいですか?」
「どのような電池を使っているのですか?」
「何人で開発したのですか?」
「どのような電池を使っているのですか?」
「何人で開発したのですか?」
と積極的な質問を受けていました。
また、競技中は職員の方などの協力を得て修理コーナーも常設。
動作がおかしくなったロボットは原則子供たちが自力で解決するルールですが、大人の協力を仰いでもかまいません。
同大学地域連携・生涯学習センター ロボットセミナー担当の池田 勝氏は「世界でただ一つの自分のロボットの完成度を高め、知識を広める場であるこの大会を通して、モノ作りが楽しいことを感じていただきたい」と語りました。まさにその狙い通り、ロボットを通して参加した少年少女はモノを作ること、工夫すること、実験(勝負)すること、その結果をもとにさらに工夫することを体で学んだといえるでしょう。
芝浦工大の生徒・学生・教職員が一丸となって協力し、少年少女にロボットを通してモノづくりの楽しさを伝えるイベントは、こうして幕を閉じました。
ここで素晴らしい経験をした子供たちが将来日本の工業を担い、モノ作りを任されるようになっていくことで、豊かな日本を維持し続けてほしい。そんな風に思えたロボットセミナーでした。
ライター: 奥野大児