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セブンイレブン、鈴木会長肝いりの新事業「オムニセブン」が不発

ニュースソクラ 11月24日(火)10時50分配信

自腹買いで数字合わせか

 セブン&アイ・ホールディングスが今月からスタートした次世代インターネット通販、「オムニセブン」が苦しい立ち上がりにあえいでいる。
 オムニセブンとは、ネットやスマートフォンで購入した商品を全国1万8000のセブンイレブン店で受けとれるサービスだ。苦戦の理由は、アマゾンや楽天に較べて商品の数や種類があまりにも少なく、ショッピングサイトの魅力がないことと、肝心の加盟店主(オーナー)からの賛同が得られていないからだ。
 半月たった現状での、全国のオーナーたちのナマの声を取材すると、オムニセブンの利用客が雑誌や書籍以外ほとんど広がっていない。平凡なショッピングモールでしかない実態が浮き彫りとなった。
 大阪・京都・兵庫方面の動向を知るベテランオーナー(店舗経営20年)によると、「もともと雑誌やCDはセブンネットで注文が入っていたので、みなさんオムニに引き継いでいる。実態はそれだけで、関西方面ではオムニで新しい客や注文が入ったという声はほとんど聞いていない」という。
 東京で数十店のオーナーグループを束ねる人物(店舗経営30年)によると、「オムニの利益率は10%となっているが、本部と分けあうので加盟店の取り分はたった5%でしかない。これじゃあ、商売にならない。オムニは、鈴木敏文会長が息子・康弘の実績をつくるためのものなので、みんな適当にやっていればいいや、と考えている」と、突き離している。
 オムニセブンに期待していた北関東の老舗オーナーも、「いゃあ、オムニが始まって『何だ こりゃあ』とビックリしている。アマゾンや楽天に較べていろんなものが話にならないくらい弱い。アマゾンが銀河系ならオムニは太陽系ぐらいの違いがある。もう、これじゃあ商売にならない」と絶望的な見方をする。
 ネット通販に詳しい人物は、「オムニセブンには買いたいものがない」と言い切る。
 「アマゾンや楽天では、服や靴で検索すると、2000~3000種類もの商品がどーんと出てきて、ブランド、サイズ、色で絞りこむと100~200アイテムから欲しいものを選んでいける。だけど、オムニではヒットする商品の数が少なすぎて、お客さんの選択権がないのですよ。だから、『アマゾンで買った方が早いや』となって、ほとんど競争にならないんですよ。まぁ、アマゾンの100分の1以下ですねぇ」
ネットのウリの商品選択がないのは致命的だ。そのうえでオムニセブンの欠陥をこう指摘する。
 「セブン&アイグループのイトーヨーカ堂やそごう・西武、ロフトだけでやろうとしているのに限界があるのですよ。しかも、アマゾンや楽天など、どのサイトで買ったものも、セブンで受けとれるならともかく、『オムニセブンで買ってセブンで受けとれる』と大宣伝していますが、アマゾン・楽天で買った商品はローソンで受けとれるので、オムニは新しくもなんともないのですよ」
 IT企業のアマゾンや楽天はメーカーや取引慣習の壁を取っ払って品揃えが充実している。それに較べ、オムニセブンは、イトーヨーカ堂系とか、ロフト系などのしがらみを引きずった旧態依然のクローズドモールだった。実は、セブン&アイグループは、セブンイレブン以外はいずれも2番手以下の企業で、その商品を寄せ集めただけのモールというのが実態。それが最大の問題だと経営者が気づいていないのだ。
 セブンの内情に詳しい人物がこう暴露する。
 「今、セブンの社員たちが何とかオムニを立ち上げようと、一生懸命、自腹で購入し、数字をつくっているということですよ。自費なので高額な商品は買えないで、安い商品で件数を増やしているようです」
 この“自腹買い“は、鈴木会長のキモ入り事業のとき、会長の顔色をみながらOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー、店舗経営指導員)らが手を染める悪習だ。
 現在、ブラック企業大賞にノミネートされ(第2位)ているが、これまでもおでんやクリスマスケーキや年賀状などのアルバイト従業員への“押し付け自腹買い”が有名だった。
 鈴木会長自身、「オムニセブンが失敗すれば責任をとる」とまで漏らし、入れ込んでいる新事業で、早くもやらせ疑惑が囁かれている。

渡辺 仁 (経済ジャーナリスト)

最終更新:11月24日(火)10時50分

ニュースソクラ

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