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シリア:「妊産婦の死亡率が悪化」NGOが支援訴え

毎日新聞 2015年11月21日 20時46分(最終更新 11月21日 21時15分)

取材に応じる国際家族計画連盟アラブ地域事務局のリーム・ファヤラ渉外部長=東京都千代田区で2015年11月20日午後2時36分、三木幸治撮影
取材に応じる国際家族計画連盟アラブ地域事務局のリーム・ファヤラ渉外部長=東京都千代田区で2015年11月20日午後2時36分、三木幸治撮影

 世界最大級の保健NGO「国際家族計画連盟(IPPF)」アラブ地域事務局のリーム・ファヤラ渉外部長が20日、毎日新聞の取材に応じ、内戦が続くシリアで6割の病院が破壊され、妊産婦死亡率が紛争前より2割悪化していることを明らかにした。女性への性暴力も増えており、ファヤラ氏は「移動診療所の増設など支援を拡大する必要がある」と訴えた。

 IPPFは国連と協力して、アサド政権の統治地域だけでなく、反体制派や過激派組織「イスラム国」(IS)の支配地域でも、女性や子供を対象にした医療支援を行っている。内戦のストレスで性暴力や家庭内暴力が増加しているほか、女性だけで避難する途中で男に襲われる事件も起こっているという。

 IPPFが支援するシリア国内の医療拠点は2010年に19カ所だったが、14年には74カ所に拡大。診察件数も14年は11年に内戦が始まる前の10倍となる110万件に達した。

 ファヤラ氏は、ISにも「趣旨を説明し、活動を理解してもらっている」と話した。今後はISが首都と位置づけるラッカでも診療を行う予定だという。ファヤラ氏は「日本にも一層の支援をお願いしたい」と述べた。

 シリアは内戦開始以降、難民が約430万人、国内避難民が約760万人に達し、国内だけで1200万人以上に人道支援が必要とされる。【三木幸治】

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