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空間造形の窓

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リビングデザインカフェ

リビングデザインカフェは、わたしたち学科の教員がそれぞれの専門領域での活動や、日々の生活の中で感じたり考えたりしたこと、リビングデザインにまつわる話題やエピソードなどを自由に書き込むページです。コーヒーでも飲みながらゆっくり読んで戴ける話題を提供できればと考えています。是非ご意見をお寄せください。

岩手県岩泉町『どこでもカフェ』 第4回目に行ってきました。

(三戸 美代子)

 昨年12月のリビングデザインカフェにも取り上げました、UIFA JAPON(世界女性建築家会議日本支部)の『どこでもカフェ』は、今年度も活動を継続しております。去る8月31日〜9月2日で4回目となるこの活動に、空間造形学科三戸美代子准教授は3回目として、同じく会員である神村真由美准教授、空間造形学科4年の渋谷絵里さん、藤岡由記さんは初めて参加してきました。
 今回は、岩泉町にある3つ全ての仮設住宅でのカフェが計画されており、私たち後発隊は1泊2日で2カ所の仮設をまわるという強行軍でしたが、テキパキと力仕事をこなしてくれる学生の参加は、高齢の女性が多いメンバーからも非常に喜ばれました。重い畳を運んだり、外部のテントを組み立てたりと大活躍でした。

小本会場のテントを組み立てる学生たち。
小本会場のテントを組み立てる学生たち。

地元のお手伝いの方といっしょに。
地元のお手伝いの方といっしょに。

 初日に伺った小成(こなり)地区は今回初めての仮設住宅で、規模が小さい上に一人暮らしでご高齢の方も多く、午後の暑い盛りに外にでるのは厳しい時間帯であったとは思います。ただそれ以上に、どこからやって来たかも分からない私たちを、簡単には受け入れられないのかなという印象でした。一口に支援といっても、相手の立場に立つ事がいかに難しいかを肌で感じられた時間でもありました。

小成地区の会場は廃校を利用した集会室。
小成地区の会場は廃校を利用した集会室。

集会室は畳を敷いて席をレイアウト
集会室は畳を敷いて席をレイアウト

 2日目は4回目となる小本(おもと)地区です。早朝から準備も着々と進み、開始早々あっという間にテーブルが埋まりました。その後も次々と来られる方とまたお話が広がって、皆様とてもくつろいでおられる様子でした。また、朝からずっとお手伝いをしてくださる方、茹でたてのトウモロコシや、自家製のブルーベリーの差し入れをしてくださった方、手作りのアクリルたわしのお土産までご用意してくださった方など、どちらがもてなされているのかというくらいでした。昨年からの地道な活動が受け入れられてきているというのを実感できるうれしい体験となりました。

バザー会場は開始5分で完売でした。
バザー会場は開始5分で完売でした。

茶席を設える学生
茶席を設える学生


抹茶担当の神村准教授は浴衣姿で。
抹茶担当の神村准教授は
浴衣姿で。
お手伝いしてくれた地元の子供といっしょに。
お手伝いしてくれた地元の
子供といっしょに。
自作のアクリルたわしを披露
自作のアクリルたわしを
披露

 移動の合間には、被害が大きかった小本港付近や、同じくUIFA JAPON の企画により実現した『だれでもフォトグラファー』(地元の方にカメラマンが撮影指導をし、今の岩泉町を記録するという趣旨)の展示会場となっている、三陸鉄道の小本駅にも寄ってきました。港湾部の復旧はまだまだ時間はかかりそうですが、大型バスで駅にのりつけ鉄道を楽しむ観光客の姿などは、半年前には考えられないことでした。きっかけは残念ながら震災ではありますが、私たちが体験したこの町の水や緑の美しさを、多くの方に伝えていきたいと思いました。

小本駅構内『だれでもフォトグラファー』展示風景。
小本駅構内『だれでもフォトグラファー』
展示風景。

絵に描いたようなのどかさ(三陸鉄道北リアス線)
絵に描いたようなのどかさ
(三陸鉄道北リアス線)

 岩泉町は、東京から半日以上かけてやっとたどり着くことができる三陸海岸北部の町です。被害が甚大だった地域に比べると支援の目が向けられにくいことや、東京や関西などではすでに震災のことが過去の事になっているのではということを、地元の方は非常に心配しています。なにも悪い事をしていないのに、ある日を境に全てを失った方がいるということを、そしてその方達はこれから先何年もこの生活をしていかなければならないことを、自分が忘れないために、また多くの方に忘れないでいただけるように、ささやかでも行動し続けていきたいと思います。

●参加学生の感想

 先生からお誘いがあり、『どこでもカフェ』に参加させていただきました。私達はテントの設置やお茶出しをお手伝いさせていただきました。今回初めて被災地を訪れたという事もあり、被害の大きかった沿岸部にも寄らせていただきました。そこには青く澄んだ海が広がり、あの日の光景が嘘のようでした。
 カフェでは、現地の方とどう接すれば失礼にならないか、どこまでお聞きしていいのかがわからず、あまりお話することができませんでしたが、一度限りで終わるのではなく、今後も継続してお手伝いをさせていただくことで、現地の方への理解を深めて行きたいと思いました。
(空間造形学科4年 藤岡由記)


津波でえぐられた道路(小本港)

 

完成させない、ということ
〜卒業制作を通して〜

(三戸 美代子)

この春、空間造形学科を卒業した小関未知さんから、うれしいニュースが届きました。彼女の卒業制作『ヒカリノタネ』が、彼女の出身地である福島県喜多方市の喜多方プラザで展示されて、静かな評判を呼んでいるとのことです。
『ヒカリノタネ』は、福島県の野菜を使った和紙を材料とした光のオブジェです。福島県会津地方の縁起物である起き上がり小法師をモチーフにし、倒しても起き上がる仕掛けもあり、ゆらゆらと揺れる光で人の心を癒したい、というのが彼女の思いでした。


喜多方プラザ内でも存在感のある展示です。

館の方には設置方法にも
ご配慮いただけました。

3.11の東日本大震災を経て、自分が卒業制作で何をしたらよいか、強いメッセージになるのは避けたい、でも何らかのアクションにはしたい。その狭間で迷いながらもなんとか前に進み、ようやく出来上がった作品は、粗さはあるもののある種の存在感を放つものになったと思います。4つが並ぶとなんだかユーモラスでもあるし、近寄ってみると素材の色や質感が光によって浮かびあがり、また違った印象を受けます。

喜多方での展示について小関さんから下記のコメントをいただきました。
彼女の感動が伝わってきて、こちらまでうれしくなるような文章です。


提出ギリギリまで作業が続きます。

卒業制作を通して

2011年3月11日の震災があり、地元の福島に対してなんらかのアクションを起こしたいと思い、制作に当たりました。希望を感じさせるもので光、福島との関わりを持たせる為に福島の野菜を使った和紙を作ることに決めました。


様子をみながら野菜和紙を貼っていきます。

「見た人の心が安らぐような、勇気づけられるような作品にしたい」という思いで制作していましたが、作っている最中も地元に展示していただくことが決まってからも、これは私の自己満足であって、福島の人からは受け入れられないのではないかという不安が常にありました。しかし、展示が始まって、友人や知らない方からも感想をいただけたり、作品を引き取りたいという方もいらしたりしたことで、自分の中の不安が消え、作品を認められた喜び、受け入れられた喜び、伝わった喜びを知りました。

在学時にもたくさんの物を作ってきましたが、自分で考え、一から作り、そしてこんなにたくさんの人の目に触れるような作品を作ったのは今回がはじめてです。作っている最中は逃げ出したいことも多く本当に大変でしたが、最後まで頑張って素晴らしい経験ができてよかったです。

喜多方プラザの展示後は樂篆家(※)の高橋政巳先生にお譲りし、先生によって書が施され、喜多方市内各所に飾っていただけるそうです。
自分の作ったものが形を変え、また人の手によって表情を変えていくというのも、作品として面白い運命だなあ、と楽しく感じています。機会があったら是非喜多方までヒカリノタネを見に来てください。

(※) 樂篆家(らくてんか):篆書を始めとする書、刻字を楽しみ伝える人。高橋先生の造語。高橋先生のブログ:http://ameblo.jp/takahashi-masami/


粉砕された野菜が美しく浮かびあがります。

 

今回の事を通じて、作品を完成させるということについて改めて考えてみました。
作品の完成というのはいったいどの地点なのでしょう?これはとても難しい問題です。たとえば住宅を設計する際、施主(依頼主)が住み始めたら完成ともいえますが、私にとっては、家が自然に生活の一部になってからが完成ではないかなと思っています。それには5年、もしかしたら10年以上かかるかもしれません。
小関さんのケースで言えば、モノとして仕上げただけでなく、伝える努力をした事でより完成に近づき、それによって得難い体験ができました。

何かを創るとき、自分だけが満足すればよいか、他人に理解されたいのか、他人を感動させたいのか、目指すところは人それぞれです。ただ、本当にそれで完成?と問い続けることはどんな場合も必要だと思うのです。たとえ1枚の図面、スケッチであっても、自分が満足するまで、簡単には完成させないことを私自身も大切にしたいし、もっともっと伝えてゆかなければと痛感しました。
作品づくりにおいて常にそのような心がけが出来れば、他人や社会との関わりについても、本当に理解している?伝わっている?と、自身に問い直すことができるはずです。

『ヒカリノタネ』も、これから向かうところがある限りまだまだ完成ではないのかもしれません。作品とともに小関さんの今後の成長に期待しています。

小関さん作品ページはこちら>>

 

 

岩手県岩泉町の仮設住宅で『どこでもカフェ』

(三戸 美代子)

UIFA JAPON(世界女性建築家会議日本支部)は、東日本大震災に対して様々なアプローチをしていますが、その一つに『どこでもカフェ』があります。これは、岩手県岩泉町の仮設住宅にお住まいの方に、暖かいお茶とゆっくりできる時間を提供しようという試みです。その2回目となる11月6日のメンバーとして、一泊だけの短い時間ですが岩手を訪れてきました。

盛岡から岩泉町へ向かう山間部は、雄大でどこか懐かしい風景が続き、2時間以上の長旅も飽きさせない美しい場所でした。それだけに、沿岸部の被災地区との対比が怖いものに思え、今現在、東京で普通に暮らせていることとのギャップを痛感します。覚悟していたとはいえ、被害状況は頭で理解できる範囲を超えています。ただ、とにかく自分の目で見たということが今後、少しずつ私の核に影響していくことだろうし、そうでなくてはならないという気持ちを強くしました。

ガードレールをへし曲げた津波の勢い(小本地区)
ガードレールをへし曲げた津波の勢い
(小本地区)
要塞のようなスーパー防潮堤も根元から倒れてしまった(田老地区)
要塞のようなスーパー防潮堤も根元から倒れてしまった(田老地区)
集会室も秋の野の花を飾って華やかに 集会室も秋の野の花を飾って華やかに

さて、残念ながらカフェ当日は寒い雨でした。それでも、プレハブの仮設住宅の集会室の設え(しつらえ)を持ち寄ったもので整え、野の花を飾ると、まさしくそこは『カフェ』でした(私は力仕事担当でしたが…)。住民の方が入口で「わぁっ!」と声を上げてくださるのを聞くと、工夫次第で場の雰囲気を変える力を実感します。

一番人気の抹茶 一番人気の抹茶
(手作り菓子付き)

また、席に着く時はなんとなくぎこちなかった方も、同席した方と長く話し込んだり、小さなお子さんを愛でたりと、和やかになっておられました。当事者でなく他者が関わることで、少し日常から離れた時間を持ってもらえたのではないでしょうか。

雨にもかかわらず衣料提供も盛況
雨にもかかわらず衣料提供も盛況

ところで今回驚いたのは、衣類提供(主に古着)が好評だったことです。通常、衣類は支援物資として敬遠されると言われますが、持参した品を直接顔を合わせてお分けできたので、安心して貰っていただけたようです。被災地の支援と一口に言っても、さまざまな要望に対応するのは本当に難しいです。でもだからこそ、女性ならではの細やかな点に配慮し、継続していくことが大切だと思います。

私に何ができるのか、お役に立てるのか、不安を抱えての出発でしたが、こちらが暖をいただけたようなほっこりした気持ちで帰途につきました。
(写真協力 : 岩泉町役場 有原隼人氏)

 

 

「未来へ ─ 女性建築家のパイオニアたちの肖像展」記

(三戸 美代子)

6月6日〜17日まで、建築会館ギャラリーで開催されていた「未来へ ─ 女性建築家のパイオニアたちの肖像展」の受付業務をお手伝いしてきました。このイベントは、歴史的な女性建築家の作品を収集する組織(IAWA:国際女性建築家アーカイブ)が設立25周年を迎えたことを記念し、私も所属しているUIFA JAPON(国際女性建築家会議 日本支部)との共催で行われたものです。

現在、日本では多くの女性が建築家として活躍されており、中でも2010年に建築界のノーベル賞と言われるプリツカー賞を妹島和世さんが受賞されたことは記憶に新しいです。しかし、今から約60年前、日本には建築(住居学)を学べる女子大すらなく、また、アメリカですら、50年前には1%しか女性建築家がいなかったそうです。当時の女性たちが、まさにパイオニアとして未来を切り拓いてくださったおかげで、私たちはその苦難の上に敷かれた道を簡単に歩くことができるのです。改めて、深い敬意を表したいと思います。


建築会館のエントランスに並ぶ女性建築家の肖像

新しい時代が進んで行く中で、先人の偉業を振り返り、学ぶということは、大変意義があることだと思います。震災を経た今だからこそ、私たちは少し立ち止まって、進むべき方向を見定めてもいい時なのかもしれません。そんな時にこの展覧会に関われたことは、私自身大変刺激になりました。


鈴木貴美子氏展示

展示の中で特に惹き付けられたのは、鈴木貴美子氏の詳細図面(原図)です。
一枚の図面の中に多くの情報を盛り込みながら、図面自体がアートのように美しく、迫力さえ感じました。このような素晴らしい図面があったからこそ、デザイナーから作り手に対して「この建物をきちんと作ってください」という意思疎通ができたのだろうと思います。多くのことがシステム化された現在であっても、その便利さは享受しつつ、決して機械的にならずに、思いの伝わる仕事をしていかなければ、という思いを強くしました。

 

 

車2台分のスペースに家族3人の家を建てました。

(三戸 美代子)


建物はデッキスペースの分、道路から奥まっています。

この春私たち家族は、約18坪(57.4㎡)の敷地に小さな家を建てました。法律により実際に家が建てられる広さ(建築面積)は半分の9坪、駐車スペース2台分といったところです。

夫婦で設計をしていますと、自分の作品としてたくさんのアイディアを詰め込もうとしたり、デザインを重視しようとしたりしがちですが、私たちは「快適さ」を採りました。そのために、必要な機能(核となるキッチン空間)は確保した上で、妥協できるところは割り切りバランスをとっています。

たとえば我が家には、玄関スペースというものがありません。玄関ドアを開けたらすぐリビング空間となるのですが、周辺環境が穏やかで建物が奥まっているため、実際にはそれ程無防備には感じません。リビングからダイニング、キッチンも隔たりがなく、訪れる方に気軽に食事を楽しんでいただくために、この配置が必要だったとも言えます。


玄関ドアをあけるとすぐリビング空間が出現。

このような暮らし方は、この敷地に置ける我が家にとっての「快適さ」ですが、同じように、依頼主にとっての最大限の快適をつくることが、住宅を設計するということだと私は思っています。対話の中で、依頼主すら意識していなかった希望を形にできたときが、設計者として「やった!!」と思える幸せな瞬間です。

今回の依頼主は自分ということで手強かったですが、住み始めて一ヶ月、依頼主と設計者のコミュニケーションが上手くいった、ということを日々体感しています。


細長いバスルーム。見た目以上にリラックスできます。

特に気に入っているのは、LDKに沿うように細長く配置したお風呂。初めて見る人はかなり驚きますが、この細さがなんとも落ち着き、ついついウトウト…。快適過ぎも気をつけないとですね。

(写真撮影: 西川公朗)

 

▼「つくえの住宅」設計:
  ココアデザイン一級建築士事務所
http://cocoadesignoffice.com/
works_tukue.html

 

 

薬膳って難しそう?(その2)

(三戸 美代子)

前回「薬膳って難しそう?(その1)」において、薬膳を普段の生活に取り入れるためには、というお話をしました。

その答えはズバリ、旬の食べ物を積極的に摂ればよいのです。

現在、多くの食材の効能の研究が進んでおり、日本の気候には日本の旬の食材が季節に特有な身体の不調に効能があることがわかってきています。
例えば暑い夏には、身体の熱を冷まし、解毒効果のある苦みのある食材がいいとされています。ゴーヤが、暑さの厳しい沖縄でよく食べられていることもうなずけます。
また最近では、スーパーモデルからも注目される程、和食は身体によい食事言われていますが、四季の変化が豊かな日本で古くから伝えられてきた食材や味付けの方法などは、薬膳の考え方とマッチしています。

春は暖かく、気分が高揚しすぎることで『肝』(肝臓そのものでなく、自律神経と結びついた生体機能のこと)が弱り、イライラになりがちですが、春に旬を迎える貝類の多くは、肝を癒す効能があります。また、春先によく食べられる酢の物などの酸味は春に必要な味付けとされます。

こうして考えると、自然の力と、それをよく観察して生活に取入れた先人の知恵というのは、本当に素晴らしいですね。しかも、和食では季節を感じるような設え(しつらえ)が大切な為、デザイン的にも優れた食器類を生み出すなどの伝統が育ち、ものづくりをする者としてはとても興味深いです。

今は、どんな野菜が旬かもわかりにくい時代になりましたが、少しでも季節感を大切にした食生活が、心や身体のケアにつながることを知って、これからの食事を楽しんでいただけたらと思います。


旬の食材で季節感を楽しむ和食ってすばらしい!!

 

 

薬膳って難しそう?(その1)

(三戸 美代子)

 ここ数年、食の安全ということが叫ばれていますね。
 もともと食いしん坊であった私は、どうせ作るならちゃんと基礎を知りたい、ということで、家庭料理に始まり、フレンチ、イタリアン、中華、和食などを経て、健康に関心の高い方たちが口にする、玄米菜食、マクロビオティック、薬膳料理などにも触れてみました。その中でも特に興味が深くなった薬膳については、日本中医食養学会認定の『中医薬膳指導員』という資格も取得しています。

 「薬膳」と聞くと、特別な薬を入れた料理というイメージが強いですが、実は、普段みなさんが口にしている料理も、薬膳料理といってもいいものが多くあるのです。
 そもそも、薬膳とは「中医学」(=中国の医学)の理論に基づいて、食べ物の作用を用いて作られた食事のことをさします。「医食同源」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは「薬食同源」という古典の中の言葉から来ております。中医学ではどんな食べ物にも効能があると考えられ、その中でも効能が強いものが薬(生薬)として差別化されるようになりました。
 例えばみかんは皮を干すと「陳皮」というお腹の膨満感やむかつきなどに効く薬ですが、果肉そのままでも食欲不振、口の乾き、咳などに効能があります。用いる食材の効能を知って効果的に組み合わせることが、薬膳の目的とも言えます。
 とはいえ、多様な食材の効能を全て覚えるなんてとても大変ですよね。中国や古代ローマなどでも食事の管理ができる「食医」は、内科医や外科医よりも位が高かったと言われるほどです。
 では、薬膳を気軽に生活に取り入れるにはどうすればよいでしょうか?
 それについては(その2)で詳しくお伝えできればと思います。


「医食同源」という考えを知ることが薬膳の第一歩