「マイナンバー」の通知が始まり、国民全員にそれぞれ番号を付す制度が本格的に動き出した。マイナンバーは社会保障など「国民へのサービス向上!」が大きな目的だとされているが、同時にやらなければならないことがある。行政側のサービスにも番号をふることだ。
そこで今回は、行政サービスIDの重要性を訴える安井秀行・アスコエ社長に話を聞いた。
日本の行政サービスは利用者目線になっていない
---安井さんは国民に番号を付けるのなら、行政サービスにも番号を付けるべきだと主張されています。
安井 そもそも私はマイナンバーは必要だと思っています。ただ、マイナンバーを本当に国民サービスの向上に使おうと思うのなら、行政サービスにも番号(ID)を付けることが不可欠です。
これは民間では当たり前のマーケティングの視点で考えれば分かります。
企業では顧客を管理をする場合、それぞれの顧客にIDを付けますが、それと同時に、その顧客が購入する商品やサービスにもIDを付けています。どの顧客がどの商品を購入し、どのサービスを利用しているかを把握するには、双方に識別番号が必要なわけです。
ところが日本の行政サービスには統一したIDというものが存在しません。どの国民がどの行政サービスを利用しているのか体系的に把握するためには、国民に番号をふるマイナンバーだけでなく、行政サービスにも番号が必要になるのです。
---確かに、行政サービスは同じものでも名前が異なるなど、分かりにくいものが多いように感じます。
安井 子育て、介護、防災といった市民が頻繁に利用するサービスでも自治体によって名称が違うケースがままあります。例えば、東京都千代田区の「こども医療費助成」と広島市の「乳幼児等医療費の補助」は同様の制度です。
また、実質的に同じサービスなのに、国の制度の変更によって名前が変わることもしばしばです。民主党政権時代の「子ども手当」と自民党政権の「児童手当」が端的な例です。さらに、自治体独自のサービスというのもあって、一般の人たちには理解しにくくなっています。
役所の人たちは、「窓口に来てくれるか、電話をもらえれば、どんなサービスがあるか説明します」と言います。しかし、働きながら子育てをしている女性に電話をする余裕はありません。
そこで、ウェブサイトを見るわけですが、これがたいへん分かりにくい。担当者は、「ホームページに書いてあります」と言うのですが、実際には見つけられないケースも多い。見つけられたとしてもPDFファイルをいちいち開いて役所の文書を読まなければなりません。サービスを利用する顧客、つまり市民目線になっていないのです。
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