読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

酒の湖、肉の森

アラサーなんちゃって起業家が起業・投資・女の子について語ります

なぜこうも女性に惹かれるのか?

女の子の話 投資の話 起業の話

5年ほど前の話。

当時、僕は地方で会社勤めをしていた。僕の一つ下の期に入ってきた後輩の中で、ひときわ目立つ女の子がいた。

Fちゃんである。

パッチリした大きな目に、綺麗に整った鼻筋、艶やかな唇。いつも化粧に一切のぬかりはない。細身であるが豊満な胸、そして腰のくびれと引き締まったヒップ。彼女は体のラインがしっかりと出るタイトな服装をよく好んだ。

容姿については、僕の主観では非の打ちどころがなかった。ただ、本人に限っては、身長がさほど高くないことを気にしていたようで、いつも高いヒールを履いていた。実際、身長さえ高ければ、容姿の面では本当に完璧だったと思う。

 

当然、僕はFちゃんのことを好きになった。

僕と彼女は部門が異なっていた。彼女とは週に一度の部門間ミーティングで少し絡みがある程度だった。

彼女は頭もよく、ミーティングでの発言回数も多かった。仕事に関しての経験はまだ少なかったので、時折的外れな発言をしていたが、部長クラスのおじ様たちによく可愛がられていた。そういうところがおじ様にとっては新鮮だったらしい。

前向きで、よく笑い、物怖じしない子だった。

 

彼女はよく目立った。僕はFちゃんのことをどんどん好きになった。これほど盲目的に人を好きになるのは、中学や高校のとき以来だった。

しかし、というより当然、彼女には彼氏がいた。その彼氏は、不動産会社を経営しているらしいのだ。一度、飲み会の場で酔いつぶれる寸前まで飲んだ彼女を、その彼氏が迎えにきたことがあった。

僕は、少しずつ彼女と仲良くなっていたので、彼女からも私生活についていろいろと話を聞くようになった。

彼女は、駅前にあるランドマーク的なマンションの、2LDKの部屋を借りて一人暮らしをしていた。そこは、明らかに新卒社員の給料では払いきれない家賃だった。僕は、その場では深くは詮索しなかった。

 

お金の扱いに関して、彼女は他の若手社員とは違っていた。

彼女のマンションの話を聞いたとき、僕は例の彼氏が家賃を払っているのだろうと決め付けていた。

僕は、愛人みたいなものじゃないかと困惑していた。一方で、彼女ほどの容姿と明るい性格があれば、世の中の金持ちオヤジの大半は彼女を愛人にしたいと思うだろう、とも考えていた。

しかし、事実は少し違った。彼女には副収入があった。

結局はその彼氏の話になるのだが、引越しを考えている友人を、割引価格で彼氏の経営する不動産会社に紹介し、その際に紹介料をもらっているということだった。彼女は社交的で、顔が広かった。かなりの人数を紹介していたようだ。

僕は、正当な報酬だと思った。

彼女は、2月ごろになると確定申告をしなければならないのが面倒くさいと言っていた。給与収入のみの若造であった僕には正直よく分からなかったが、大変そうだねと答えておいた。

 

僕の知らないハイレベルなマンションや生活水準、そして副収入や確定申告の知識など…。僕の知らないことを、彼女はよく知っていた。経営者の彼氏の影響が色濃く出ているのは間違いなかった。

年上の男にエスコートされ、女性のほうが大人の階段を早く登っていく…。それは思春期だけではなく、社会人になってからも同じだった。

僕は、好きな女の子が既に初体験を済ませていると知ってしまった童貞男のような気持ちだった。

 

あるとき、僕はFちゃんを飲みに誘った。Fちゃんは僕の誘いを快諾した。

 

飲みの席では、仕事の話や恋愛話などを一通り話した。彼女とはそれなりに仲良くなっていたし、彼女の性格である。話は盛り上がり、時間が過ぎていった。

0時をまわり、家が同じ方向だった僕とFちゃんは、同じタクシーに乗り込んで帰路に着いた。僕が先に下りるという道順だった。タクシーの中で、僕は激しく緊張していた。

「うちに寄っていかないか」その一言がどうしても出なかった。

タクシーを降りた直後、ようやく意を決した僕はドア越しに彼女に声をかけようとした。僕の顔は相当引きつっていたのだろう。僕が一言を発する前に彼女は全て察し、焦った様子で「またね、またね」と大きく手を振った。

僕は、完全に振られた、チャンスはゼロだなと思った。思い過ごしではなく、事実そうだった。

 

後日、同僚がその夜のことを聞いてきたとき、「彼女と付き合うには、年収が10倍くらいないとダメだね」と笑って誤魔化した。実際にそうだろうとも思っていたが、そうだとしても年収を言い訳にするなんて情けなかった。本当のところは、僕に魅力が足りなかっただけだった。

僕はそれ以来、彼女とどうこうなろうという気を一切起こさなくなった。

 

その後、僕は会社を辞め、上京し、起業した。

 

僕はよく働いた。会社勤めのときは、ほとんど定時で帰っていた僕だが、起業してからは朝から深夜まで、ほとんど毎日働いた。

起業したての頃は報酬がほとんどなく、貯金を切り崩して生活していたが、1年も経ったころ運よく事業が軌道に乗り、売上が立つようになった。僕の報酬は順調に増えていった。

性格も変わった。起業した後いろんな壁にブチ当たったが、結局は何とかなるということが、経験的に分かったからだった。元来僕は思慮深いタイプだったが、まず行動を起こしてそれから考えるようになった。

また、人から断られることを恐れなくなった。無理なお願いでも、まずは提案してみる。ダメなら別の案に切り替える。思っていたよりもずっと、相手は僕のお願いを聞いてくれた。要求が通るかどうかは、利害はあまり関係なかった。それよりも、僕に愛嬌があるか、腹の内をさらけ出しているかどうかが重要だった。

 

仕事以外の時間は、よく本を読むようになった。主にビジネス書と投資関連の書籍だった。

不動産に関する書籍もよく読んだ。同時に、時間を見つけて勉強を続け、不動産関連の資格を取得して法的にも少し詳しくなった。そして中古のマンションを買って、人に貸し出した。しかし、不動産投資は購入から運用までいろいろと面倒で、僕の性格には合わなかった。

 

もっと効率よく資金を増やしたいと思い、FXで運用しようと試みたが、目立った結果を出せなかった。全世界で取引される為替市場は、おそらく効率的すぎるのだと思った。

その後、日本株式の個別銘柄をトレードする今のスタイルに落ち着いた。持ち越しても翌日の寄り付きまででポジションを解消する、短期トレードだった。このやり方で、1日1億円以上も売買するようになった。

事業収益と投資収益。2つの車輪を、僕はぶん回せるだけぶん回す。そしてたくさんお金を稼ぐ。

果たして僕は、大人の階段を登れただろうか?今の僕なら、当時の彼女を魅了できるだろうか?

 

かつての友人とは、疎遠になっていた。

この間、昔の会社で一緒のチームだった男友達が結婚すると聞いた。彼にお祝いのメールを出したとき、Fちゃんに思い至った。

彼女とは電話番号を交換していたから、いつだったかLINEの連絡先リストに自動で追加されていたのを思い出した。

そして、僕はLINEの連絡先リストを上から順々に探していき、彼女の名前を見つけた。すると…

 

 

彼女のアイコンは、かわいい赤ちゃんに変わっていた。

彼女似で目が大きく、とても可愛かった。僕は彼女の結婚や出産については、全く知らなかった。

その写真に映る彼女の面影を見ながら、僕は昔の自分を思い出した。あの頃の僕は本当に拙かった。あれからプライベートを随分と犠牲にしたが、今、僕は確かに成長している。

そして僕は思った。

「僕がこうして今成長できているのは、少なからず君のおかげだよ。ありがとう。」

 

 

男の魅力とは何だろうか?僕が言いたいのは、「男の魅力はカネだ」ということでは、決してない。

きっかけはなんでもいい。何かに対して打ち込んで、いろんな経験をし、いくつも壁を乗り越え、成し遂げる。そこに至るまでの努力や経験が、男、というよりは人間としての魅力を形成していくように思う。

僕の場合、きっかけは女の子にモテたいという、不純な動機だったかもしれない。別に、男ならそれでいいじゃないか。

「なぜこうも女性に惹かれるのか?」それは僕自身が、追いかけるための目標を必要としているからだろう。

 

こうして僕は普段から、金好き・女好きを公言するようになり、昔と比べると多少、女遊びも嗜むようになった。このブログやTwitterで何度も繰り返しているが、改めて言おう。

僕はお金と女の子のことが好きで好きでタマらんのである。基本、僕の思考回路は生臭いのである。

 

Fちゃん以来、あれほど盲目的に人を好きになることはなかった。それは年齢を重ねたからだろうか?だとしたら、僕は少し悲しい。

もう一度Fちゃんのような、僕の心を鷲掴みにして離さないような、そんな素敵な子が現われないだろうかと、僕は今も心を焦がしている。